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最終章「久遠」
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しおりを挟む「じゃあ、なんで教えてくれなかったの?」
「聞かれなかったから、答えなかっただけです」
神近くんはしれっとそう言って、作りかけのパズルの箱を机に置く。そんな答えで僕が納得するはずもなく、「そんなの卑怯だ!」と抗議の声を上げた。
「部長になるのが、そんなに嫌なんですか?」
「そうじゃないよ。神近くんが部長だと思ってたから、僕はパシリになったりセクハラにも耐えたんだ!」
数々の暴挙を上げていくも、神近くんはひるんだ様子もなく、それどころか呆れたような目を向けてくる。
「先輩。俺は今まで強制はしてません。勝手に先輩が思い込んで、そうしてただけじゃないですか」
「っ……ーー」
思い返してみれば確かにそうだ。神近くんは指示を出しただけで、拒否しなかったのは僕の方だった。
「俺は先輩がずっと、好きでパシられてるんだと思ってました」
「そんなわけないじゃん!」
神近くんの向かいに腰を下ろしながら、僕は即座に否定する。
「そうなんですか……なんか残念です」
神近くんはさして残念そうな表情ではなかったけど、思わず「なんで?」と聞いてしまう。
「やっぱり先輩は優しいし、俺のこと好きなんだなって思っていたからです」
神近くんはそう言いつつにも、ジップロックから色分けしたパズル取り出しては、濃淡
の青いグラデーションの山が次々と机に作っていく。作業しながら淡々とした口調で言われても嘘にしか聞こえない。けれども僕は口を開けずにいた。
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