君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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最終章「久遠」

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「超常現象を警察も処理のしようがないからです。先輩は校門に立っていた女性の話をすれば良いだけです」

「神近の言う通りだ。無駄に聴取を長引かせるのは得策じゃないな」

 二人の言葉に僕は頷いた。その女が生霊になって僕に取り憑いたんですと、言ったところで信じてもらえるとは思えない。

 警察署についた僕は二人に終わったら連絡すると、約束をして別れた。緊張した面持ちで受付で名乗ると、スーツ姿の男性が迎えに来て僕は両親の元へと案内される。

 不安げな表情をしていた母は僕を見て、安堵の表情に変わった。

「無事でよかった」

 そう言って母は僕に近づくと手をギュッと握りしめた。

 事情聴取は想像以上に大変で、何でそのことに気づいたのか、その女を見たのはいつかと事細かに聞かれていく。調書を読み直し、サインをした僕が解放されたのは、もう夜の七時を回っていた頃だった。

 姉にも一応、生霊云々は言わないほうがいいと連絡した。姉は元からそのことを言うつもりはなく、彼氏のストーカーだった女だと話すと言って、明日には戻って聴取を受けるとのことだ。

 神近くんと泰明にも連絡したものの、疲れていた僕は、明日また学校で会う約束を取り付けて早々に電話を切った。疲労困憊の僕は両親に連絡すると、迎えに来てもらって久しぶりの自宅へと戻る。

 散らかっていた家は両親があらかた片付けてくれたようだけど、さすがに僕は自分の部屋では寝れずリビングに布団を敷いて寝ることにした。あの女が僕の部屋に入ったと思うと、怖くてとてもじゃないが無理だ。

 まだ潜んでいるんじゃないかと、あり得ない想像しては恐怖が押し寄せて来てしまう。あの女はもう拘置所にいて、ここには来れない。分かっていても不安は拭えず、僕は布団にこもって眠れない夜を過ごしたのだった。

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