君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第五章「計画」

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 ボストンバッグ一つ分の荷物を抱えた僕は、再び炎天下の中を駅まで引き返す。途中で泰明に連絡を取って、学校で落ち合うことになった。

 いつ神近くんの実家に行くか分からないし、早めに泰明には事情を説明しておきたい。なんて言われるだろうか、と不安な僕は泰明に「悩み事か?」と言われてしまうほどテンションが落ちていた。

 駅に戻った僕は、ひとまず荷物をロッカーに預けると神近くんと合流する。

「待たせてごめんね」

 駅のロータリーに現れた神近くんに、僕は申し訳なさそうに告げる。

「承諾は取れましたか?」

「……うん。大丈夫」

 母の言葉が脳裏に浮かび、少しだけ言葉が遅れてしまう。

「そうですか。鐘島先輩は?」

「連絡して学校で合流することになった」

「分かりました。ところで先輩、いつも以上にしけた面してますけど」 

 いつも以上って事は、普段から僕はそんなにしけた顔をしているのだろうか。複雑な面持ちのまま、神近くんと連れ添って学校に向かって歩き出す。暑さと強い日差しにげんなりし、行ったり来たりの往復はさすがにしんどいものがあった。

「辛気臭いんですけど、何かあるんですか?」

 疲弊してる僕に、神近くんが再度聞いてくる。


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