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第五章「計画」

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「でも神近くんは本当に見えるんだよ」

「幻覚とか思い込みとかじゃないの……その友達、あんたと一緒でそういうのが好きなだけで」

 僕は返す言葉が見つからず俯いた。見えないものをそこにあると証明するのはどう考えても無理だ。

「その子……ちゃんと友達とかいるのかしらね……もしかしたら寂しくてそんなこと言って、気を引こうと考えてるのかしら」

 哀れみ始めた母に、僕は居たたまれない気持ちになった。僕だって見えないし、母がそうやって疑うのも分かる。あの泰明だって、神近くんの事を疑るような発言をしたのだから……

「まぁーあんたは単純なところがあるから、その子も仲良くなりやすいと思ったのかもしれないわね。お家にお邪魔するんだったら、ちゃんと手土産ぐらい買っていきなさいよ」

 母はそう言って視線をテレビに戻してしまう。これ以上言い訳や否定を重ねたところで無意味だろう。何より僕が神近くんを信じてあげればいいだけの事だ。たとえ嘘だったとしても、僕は神近くんが好きだし笑って済ませてあげたい。

 僕はそう心に決めると、荷物をまとめに自分の部屋に向かった。

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