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Chapter 2
88*すべきこと
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__アシュリーがいなくなった。
そう、告げられたのはナタリーが自身の店にいた時だった。一瞬、何かの冗談かと思い、笑いながら答えた。
『ドレスの最終チェックで明け方まで作業してたみたいだから、どこかで寝てるんじゃない?』
しかし、虚しくも返答はなく伝えにきた従者は首を横に振っただけだった。
『すぐさま屋敷に戻る様に…』との、母からの伝言でナタリーは屋敷へと戻った。
「ただいま戻りました」
そう言えば、執事長や侍女長を始めとした皆んなが笑顔で出迎えてくれるはずの屋敷は、驚くほど閑散としていた。
いや、正確には人は普段よりも多いのだ。
ただ、それが明るく元気な侍女達ではなく、一切口を開かない鎧を纏った騎士達に変わっただけ…
朝出掛ける前の、のんびりとした穏やかな雰囲気などもうなかった。
「こちらへどうぞ」
そう、案内された先には母と辺境伯の騎士団長がいた。
母ミリアーナは、ナタリーの姿を確認するとあからさまにホッとした表情を浮かべた。
その隣に立っている騎士団長も、ナタリーを確認すると大きく頷いた。
そして、ミリアーナにこう言ったのだ。
「今回、拐われたのはお一人ですね」と。
もはや、何の話をしているのかナタリーにはわからなかった。
屋敷の、重々しい雰囲気に気がついていないはずがない。
しかし、ナタリーはこの部屋に案内されるまで、必死に気が付かないふりをしていた。
だってそうだろう?
"アシュリーが拐われた"なんて事…
絶対に認めたくない。
しかし、ナタリーの願いも虚しく…
母と騎士団長の元へは、様々な情報が寄せられていた。
確実に、アシュリーが拐われたと確信が持てる程に…
「ナタリー様、お座りになりませんか?」
どれぐらい、立っていたのだろうか。
気がつけば、ナタリーの側にはそっと肩に手を置いたマーサがいた。
ナタリーを落ち着かせる様に、ゆっくりと背を撫でるとマーサはニコリと微笑みソファへと誘導してくれる。
そして、ソファへと腰をかけたナタリーの手を握ると、マーサはまるで自分自身に言い聞かせるように語りかけた。
「大丈夫ですよ、きっと大丈夫!アシュリー様はご無事です」
何度もそう繰り返すマーサの手は、わずかに震えていた。
ナタリーは、思わず伏せていた顔を上げた。
目の前にいるのは、長年辺境伯家を支えてくれている侍女長である。
そして、彼女もまた幼い双子が拐われたことを知っている人物なのだ。救出時の様子は、一部の者たちには伝えられていた。
だからこそ、彼女は覚えているのだ。
鎖に繋がれていたせいで、幼い双子の首や手足に血で滲んだ擦れた後があったことも…
ショックで寝込み、しばらくは口も聞けなかった事も…
すべてを…
ナタリーは、ゆっくりと周りを見渡した。
しっかりと顔を上げ、確認する。
そして、自身に問うた。
"自分達は、何のために鍛えたのか"と。
ナタリーは、ふぅ…っと息を吐くと、高らかに宣言する。
「アシュリーを探してきます」
そう、告げられたのはナタリーが自身の店にいた時だった。一瞬、何かの冗談かと思い、笑いながら答えた。
『ドレスの最終チェックで明け方まで作業してたみたいだから、どこかで寝てるんじゃない?』
しかし、虚しくも返答はなく伝えにきた従者は首を横に振っただけだった。
『すぐさま屋敷に戻る様に…』との、母からの伝言でナタリーは屋敷へと戻った。
「ただいま戻りました」
そう言えば、執事長や侍女長を始めとした皆んなが笑顔で出迎えてくれるはずの屋敷は、驚くほど閑散としていた。
いや、正確には人は普段よりも多いのだ。
ただ、それが明るく元気な侍女達ではなく、一切口を開かない鎧を纏った騎士達に変わっただけ…
朝出掛ける前の、のんびりとした穏やかな雰囲気などもうなかった。
「こちらへどうぞ」
そう、案内された先には母と辺境伯の騎士団長がいた。
母ミリアーナは、ナタリーの姿を確認するとあからさまにホッとした表情を浮かべた。
その隣に立っている騎士団長も、ナタリーを確認すると大きく頷いた。
そして、ミリアーナにこう言ったのだ。
「今回、拐われたのはお一人ですね」と。
もはや、何の話をしているのかナタリーにはわからなかった。
屋敷の、重々しい雰囲気に気がついていないはずがない。
しかし、ナタリーはこの部屋に案内されるまで、必死に気が付かないふりをしていた。
だってそうだろう?
"アシュリーが拐われた"なんて事…
絶対に認めたくない。
しかし、ナタリーの願いも虚しく…
母と騎士団長の元へは、様々な情報が寄せられていた。
確実に、アシュリーが拐われたと確信が持てる程に…
「ナタリー様、お座りになりませんか?」
どれぐらい、立っていたのだろうか。
気がつけば、ナタリーの側にはそっと肩に手を置いたマーサがいた。
ナタリーを落ち着かせる様に、ゆっくりと背を撫でるとマーサはニコリと微笑みソファへと誘導してくれる。
そして、ソファへと腰をかけたナタリーの手を握ると、マーサはまるで自分自身に言い聞かせるように語りかけた。
「大丈夫ですよ、きっと大丈夫!アシュリー様はご無事です」
何度もそう繰り返すマーサの手は、わずかに震えていた。
ナタリーは、思わず伏せていた顔を上げた。
目の前にいるのは、長年辺境伯家を支えてくれている侍女長である。
そして、彼女もまた幼い双子が拐われたことを知っている人物なのだ。救出時の様子は、一部の者たちには伝えられていた。
だからこそ、彼女は覚えているのだ。
鎖に繋がれていたせいで、幼い双子の首や手足に血で滲んだ擦れた後があったことも…
ショックで寝込み、しばらくは口も聞けなかった事も…
すべてを…
ナタリーは、ゆっくりと周りを見渡した。
しっかりと顔を上げ、確認する。
そして、自身に問うた。
"自分達は、何のために鍛えたのか"と。
ナタリーは、ふぅ…っと息を吐くと、高らかに宣言する。
「アシュリーを探してきます」
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