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Chapter 1
57*双子の価値観
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「そんな事、言ったの!?」
アシュリーの、驚いた声が部屋の中に響いた。
ナタリーが、夜会から帰宅するまでの馬車の中での出来事を全てアシュリーに話した。
「てか、そこまでして最後までやってないとか…辛っ!!」
そして、少し違った声も響いたが、そう言うはっきりと示すところはアシュリーらしい。
だからこそ、ナタリーも正直に言えるのだ。
「そう!めっちゃ辛いっ!もう、最後までいきたかったーーーっ!」
そう言って、笑いながら大変残念がっていた。ナタリーとしては、十分な進展であるのだが…
由希としては、やはり物足りないのだろう…
しかも、残念なことに、あの後からセザールには全く会えていないのだ。
『私だけのセザール様になって…』
そう伝えた時のセザールは、本当に驚いている様子だった。抱きついていたナタリーを剥がそうとした手が、僅かに震えてはいたが、結局セザールは一言も発することはなかった。
"受け入れてもらえないかもしれない…"
咄嗟に、そう感じたナタリーはセザールから離れる寸前に、顔を埋めていた彼の首筋に、ありったけの愛を込めた。
襟で隠れるか隠れないかの際どい位置に、己の存在を主張するかのように、赤い花びらをつけた。
彼はハッとし、咄嗟に首元を押さえていたが、きっとソレはまだ消えていないはずだ。
消える前に、もう一度会いたい…
ナタリーは、そう願いを込めた。
夜会が行われる前までは、夜会の準備だなどと理由をつけて会いに行けていたはずが、夜会が終わればセザールの元を訪ねる理由さえ、何も見つからない。
それが、どうしようもなく寂しく思う。
「あーぁ、なんか悔しいのよね。私だけ…私だけが夢中になって必死に足掻いてる見たくてさぁ…」
__これじゃぁ、夜会で見た彼女と一緒だ。
ナタリーの胸の中に、黒い想いが渦巻き始めていた。
しかし、そんな想いを察したのかアシュリーは一喝した。
「そうかなぁ?意外とセザール様の方が、いっぱいいっぱいになってそうだけど…?」
それは、無いだろう。
ナタリーは、漠然とそう感じているのだが、アシュリーは確信しているかのように続けた。
「いや、なんとなくだけど…セザール様って臆病なんじゃない?もしくは、慎重になってるとか?」
「臆病?慎重?
全くそんな風にはみえないけど?」
ナタリーは、アシュリーの言葉に首を傾げていた。
「でも、ほら…考えてみて。
私達って、今は若いのよ!ピチピチなのよ!
前の私達でも、10代と!ってなったら考えるでしょ?それと同じなんじゃない?」
「…確かに」
アシュリーの言うことも、一理ある。
アシュリーもナタリーも、今は前世のような30代ではないのだから。
そう考えると、今まさに30代でもうすぐ40代に差し掛かろうとしているセザールが、まだ10代のナタリーに手を出すとなると…なかなか勇気がいるかもしれない。
ナタリーは、少し悩みながらも自らセザールの元を訪ねようと決めた。
「決めた!私、セザール様を押すわ!」
__押して押して押しまくる!!!
ナタリーが、胸の前で小さくガッツポーズを決める姿に、アシュリーもしっかりとその背中を押した。
「うん、絶対その方がいい!もう、押し倒してやってこいっ!身体から落とそう!!」
そう言って、かなり…嫌、大分積極的で漢前な後押しをしてくれた。
そして、ナタリーの方向性が決まれば、もちろん次は…となるのが、この双子だ。
「で?アシュリーは、どうするの?」
「どうするの?って…何が?」
「またまたまた~!!
アレキサンダー殿下の事よ!
私は、ちゃんと見てたんだからね?」
アシュリーの、驚いた声が部屋の中に響いた。
ナタリーが、夜会から帰宅するまでの馬車の中での出来事を全てアシュリーに話した。
「てか、そこまでして最後までやってないとか…辛っ!!」
そして、少し違った声も響いたが、そう言うはっきりと示すところはアシュリーらしい。
だからこそ、ナタリーも正直に言えるのだ。
「そう!めっちゃ辛いっ!もう、最後までいきたかったーーーっ!」
そう言って、笑いながら大変残念がっていた。ナタリーとしては、十分な進展であるのだが…
由希としては、やはり物足りないのだろう…
しかも、残念なことに、あの後からセザールには全く会えていないのだ。
『私だけのセザール様になって…』
そう伝えた時のセザールは、本当に驚いている様子だった。抱きついていたナタリーを剥がそうとした手が、僅かに震えてはいたが、結局セザールは一言も発することはなかった。
"受け入れてもらえないかもしれない…"
咄嗟に、そう感じたナタリーはセザールから離れる寸前に、顔を埋めていた彼の首筋に、ありったけの愛を込めた。
襟で隠れるか隠れないかの際どい位置に、己の存在を主張するかのように、赤い花びらをつけた。
彼はハッとし、咄嗟に首元を押さえていたが、きっとソレはまだ消えていないはずだ。
消える前に、もう一度会いたい…
ナタリーは、そう願いを込めた。
夜会が行われる前までは、夜会の準備だなどと理由をつけて会いに行けていたはずが、夜会が終わればセザールの元を訪ねる理由さえ、何も見つからない。
それが、どうしようもなく寂しく思う。
「あーぁ、なんか悔しいのよね。私だけ…私だけが夢中になって必死に足掻いてる見たくてさぁ…」
__これじゃぁ、夜会で見た彼女と一緒だ。
ナタリーの胸の中に、黒い想いが渦巻き始めていた。
しかし、そんな想いを察したのかアシュリーは一喝した。
「そうかなぁ?意外とセザール様の方が、いっぱいいっぱいになってそうだけど…?」
それは、無いだろう。
ナタリーは、漠然とそう感じているのだが、アシュリーは確信しているかのように続けた。
「いや、なんとなくだけど…セザール様って臆病なんじゃない?もしくは、慎重になってるとか?」
「臆病?慎重?
全くそんな風にはみえないけど?」
ナタリーは、アシュリーの言葉に首を傾げていた。
「でも、ほら…考えてみて。
私達って、今は若いのよ!ピチピチなのよ!
前の私達でも、10代と!ってなったら考えるでしょ?それと同じなんじゃない?」
「…確かに」
アシュリーの言うことも、一理ある。
アシュリーもナタリーも、今は前世のような30代ではないのだから。
そう考えると、今まさに30代でもうすぐ40代に差し掛かろうとしているセザールが、まだ10代のナタリーに手を出すとなると…なかなか勇気がいるかもしれない。
ナタリーは、少し悩みながらも自らセザールの元を訪ねようと決めた。
「決めた!私、セザール様を押すわ!」
__押して押して押しまくる!!!
ナタリーが、胸の前で小さくガッツポーズを決める姿に、アシュリーもしっかりとその背中を押した。
「うん、絶対その方がいい!もう、押し倒してやってこいっ!身体から落とそう!!」
そう言って、かなり…嫌、大分積極的で漢前な後押しをしてくれた。
そして、ナタリーの方向性が決まれば、もちろん次は…となるのが、この双子だ。
「で?アシュリーは、どうするの?」
「どうするの?って…何が?」
「またまたまた~!!
アレキサンダー殿下の事よ!
私は、ちゃんと見てたんだからね?」
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