双子の転生先は双子でした

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Chapter 1

56*セザールは落ちる 〜セザールside

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【夜会の帰り】

セザール・マルクスは、今起きている事に思考が追いついていなかった。


醜態を見せてしまったことは、重々承知していた。
まさか、あの場に彼らが自分を探してきていたなど知る由もなかったのだから…
特に、ナタリーには感謝してもしきれない。
相手があれほどに自分へ執着しているとは、正直思っていなかった。いや、正確には興味がなかっただけだ。
ナタリーの起点がなければ、あのまま泣き縋られていた事だろう。

ただでさえ、会う度に惹かれていたのに…

しかし、これを恋と思うには、自分は歳をとりすぎている。
馬鹿馬鹿しいとは思うが、彼女を…
ナタリーをエスコートすると決めてからは、身の回りをと思った。
しばらくは、何故?といった理由を求める声もあったのだが、全て放置した。お互い、面倒ごとにならないようにと、付き合っていたのだから問題ないと思っていたのだが…
それが間違いだったと、まさかこの夜会で知ることになるとは思いもよらなかった。

そして、その後、彼女たち双子に根掘り葉掘り聞かれるとも思っておらず…己の爪の甘さを恥じた。

夜会終盤、予定が合わなかった為にそれぞれのパートナーごとに帰路につくこととなる。


__そして現在、我が家の馬車の中で私はナタリーの唇を貪っていた。

いや、初めに口付けをしてきたのは、ナタリーだった。突然のことに驚きつつも、なんとか落ち着かせようと彼女を諭したのだが…
もはや、意味はなかった。

彼女の頬に触れ、何度も角度を変え、柔らかな彼女の唇に己の唇を押し付けた。
口付けの合間に漏れ出す、とろけたような甘い声がセザールの理性に靄をかける。

んっ…っは、ぅうんっ…ちゅっ、ちゅ…


落とされまいと、必死に首にしがみつくナタリー。
その姿に、セザールはもはや唇だけでは全く足りなくなっていた。
口付けを止めることなく、ナタリーの柔らかな身体に手を添える。その手で、ゆっくりと背中を撫であげると、ビクビクッとナタリーが身震いをする。
その反応全てが、セザールにとっては媚薬のようだった。
次第にその手は、ナタリーの柔らかな腰へと吸い寄せられるように向かって行く。

この手は知っているのだ。

あの、コルセットの無い柔らかで引き締まった腰を…!

まるで、身体のラインを確かめるようにセザールの手がナタリーの身体を弄っていく。
次第に、熱を持ち始めた身体は少しの動きにも敏感に反応し始めた。

んっ!あっ!…っ!

可愛いらしい声が上がる度、セザールの手は遠慮がなくなってゆく…
いよいよ、その手がナタリーの双方の膨らみを捉えた。
ふわっと柔な感触が、セザールの男根を目覚めさせる。ぐぐっと立ち上がる己の欲望に、一番驚いたのはセザール自身だろう。
この年になっても、性欲は衰える事はなかった。
しかし、口付けと胸に触れただけで勃ち上がることもなかったのだ。今までは、自分で少しづつ刺激を与えて勃ちあがらせていたのだから…

セザールは思う。
もはや自分は、ナタリーに捕らわれる寸前なのだろう、と。


そして、気がつけば…
ただただ夢中で口付けをし、彼女の柔らかな胸元に手を添えて揉みしだいていた。
時折、彼女を見ると目元を赤くし必死になってセザールの唇を追いかけてくる。
そっと、唇を離し、口付けをしながら徐々に下へ下へと降りてゆくと、彼女の赤く熱った唇からは、甘く痺れるような吐息が漏れてくる。
その姿に、セザールが微笑めばナタリーは恥ずかしそうにセザールの首元に顔を埋めた。

(あー、なんて可愛いんだろうか)

時が経つのも忘れて、彼女の胸の谷間をペロッと舐め上げた、次の瞬間…


コンコンッ!

「セザール様、まもなく辺境伯様邸に到着いたします!」


従者からの声掛けに、ハッと我にかえったセザールは慌ててナタリーの身なりを整えて、自分の膝から下ろそうとしたのだが、何故かナタリーはぎゅとしがみついたまま降りようとしなかった。

そして、彼女はセザールの耳元で呟いたのだ。

「私だけのセザール様になって…」と。



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