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三章
(1)サケ違い
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ご飯を手に入れたら、今度はそれに見合う食材探しに夢中になる。実際のところ、寿司ネタはほとんど手に入れている。
マグロ、ブリ、アナゴ、イカ、タコ、サンマ、サバ。
これだけあれば十分だろうに、こだわり派っていうのはどこにでもいるもんで……
「阿久津君、私サーモンが食べたいの」
「シャケ、いくら! 海の親子丼!」
「サーモンはムニエルも美味いぞ!」
「お願い、阿久津君!」
というお願い攻撃によって重い腰を上げた。
本当、お前ら少しは自分で探してくるなりしろって。な?
まぁ実際、ない時は我慢できたが思い出せば欲しくなるのも確かだ。特にサーモンは安くて美味い。
安いってのは入手のしやすさ、サイズ的にいっぱい食えるって前提があるからで、実際にそれを見かけないだけで幻の高級魚になりかねないのだ。
仕方ねぇ、やるか!
俺も言われ続けて食いたくなってきたし。
いつだって行動理念は食い物。それが俺たちらしいや。
「と、言うわけでサーバマグマでやってきたわけだが」
「新しく協定を結んだドリュアネスには?」
そう言えばそうじゃん。ナイス薫と内心で褒めてたら、委員長が首を横に振る。
「あの場所は魚もNGらしいわ」
「つかえねー」
「米以外碌なもんがないってのは本当だな」
「一応魔法技術はすごいらしいから」
「ファンタジーの定番よね」
「すぐ飽きて飯に食いつく辺り、やっぱ最強なのは強さより飯の旨さだって最近気が付いたわ」
「阿久津さんのガチャは本当、なんでもできて羨ましいですわ~」
「こいつ、自分の能力が頭おかしいってなんで気づかないのかしら?」
「あまり褒めんなよ、照れんじゃん」
一個くらい皮肉も混ざってるが、正直自分でもチートにも程があるって思ってるから正解だ。
でもこれ、俺一人で扱い切るには難度が高すぎでさ。
全員で協力しあってこその成長。
逆に俺はガチャ回してるだけで頼りにされるの、ちょっと心苦しい時もあるんだぜ?
と、そんな時だ。
サーバマグの街が慌ただしくなったのは。
「何事かしら?」
「丁度俺たちが居てよかったな」
「もしかしてクラスメイトには未来預言者がいた?」
「ないない、食い気100%だぞあいつら。感謝の言葉を吐くのは食い終わった時のみだ」
「とんでもないクズよね、つくづく」
「まぁ、勇者大戦のレギュラーのストレスもあるんだ。補欠の俺たちだからこそできるお仕事ってやつよ」
「お人好しにもほどがあるのよね」
アリエルからはあまりよく思われてない様だが、委員長曰く反抗期だから真に受けなくていいとのこと。相手を褒めることに慣れてないから悪態が出るんだそうだ。
生まれた環境が悪いと言われたらそれまでだが、まぁヨシ。
現れたのはゾンビの大群。
ホラー映画かよ、って思ったら海岸にでけー幽霊船が離陸した。現れたのは巨大なイカ、クラーケンのゾンビとアル中モンスターと化したシグルドのオッサンだった。
どうもアルコールが切れて場に乗じて暴れ出したらしい。
率先的に俺たちを狙ってくるのは利害の一致か、はたまた強請れば出すと思ってるからか。舐められたもんである。
秒で仕留めて即終了。
シグルドのオッサンはムーンスレイに泥を塗ったとノヴァさんにしこたまお仕置きされ、更に今回の騒動の下手人はアリエルの知り合いだった。
誤解は解け、友好の印に貰ったのはサーモン。
ちなみに知り合いの少女はこのサーモンでシグルドを雇ったと言っていた。
「酒と鮭は違うわよ?」
「エラール、あんたバカね。これ出したらもっと暴れてたと思うわよ、あいつ。欲しがってたのはアルコールの方よ」
「バカじゃないもん! お友達が教えてくれたんだもん」
「騙されてんのよ。傷つけない様に何度も繰り返された優しい嘘ってやつよ」
「アリエルのバカー」
なんていうか微笑ましい光景が繰り広げられていた。
こんな幼気な子を騙して人殺しをさせるなんてドラグネス皇国、許せねぇよなぁ!
それはさておきサーモンの握りを食べる。
その日はサーモン一色になったのは言うまでもない。
マグロ、ブリ、アナゴ、イカ、タコ、サンマ、サバ。
これだけあれば十分だろうに、こだわり派っていうのはどこにでもいるもんで……
「阿久津君、私サーモンが食べたいの」
「シャケ、いくら! 海の親子丼!」
「サーモンはムニエルも美味いぞ!」
「お願い、阿久津君!」
というお願い攻撃によって重い腰を上げた。
本当、お前ら少しは自分で探してくるなりしろって。な?
まぁ実際、ない時は我慢できたが思い出せば欲しくなるのも確かだ。特にサーモンは安くて美味い。
安いってのは入手のしやすさ、サイズ的にいっぱい食えるって前提があるからで、実際にそれを見かけないだけで幻の高級魚になりかねないのだ。
仕方ねぇ、やるか!
俺も言われ続けて食いたくなってきたし。
いつだって行動理念は食い物。それが俺たちらしいや。
「と、言うわけでサーバマグマでやってきたわけだが」
「新しく協定を結んだドリュアネスには?」
そう言えばそうじゃん。ナイス薫と内心で褒めてたら、委員長が首を横に振る。
「あの場所は魚もNGらしいわ」
「つかえねー」
「米以外碌なもんがないってのは本当だな」
「一応魔法技術はすごいらしいから」
「ファンタジーの定番よね」
「すぐ飽きて飯に食いつく辺り、やっぱ最強なのは強さより飯の旨さだって最近気が付いたわ」
「阿久津さんのガチャは本当、なんでもできて羨ましいですわ~」
「こいつ、自分の能力が頭おかしいってなんで気づかないのかしら?」
「あまり褒めんなよ、照れんじゃん」
一個くらい皮肉も混ざってるが、正直自分でもチートにも程があるって思ってるから正解だ。
でもこれ、俺一人で扱い切るには難度が高すぎでさ。
全員で協力しあってこその成長。
逆に俺はガチャ回してるだけで頼りにされるの、ちょっと心苦しい時もあるんだぜ?
と、そんな時だ。
サーバマグの街が慌ただしくなったのは。
「何事かしら?」
「丁度俺たちが居てよかったな」
「もしかしてクラスメイトには未来預言者がいた?」
「ないない、食い気100%だぞあいつら。感謝の言葉を吐くのは食い終わった時のみだ」
「とんでもないクズよね、つくづく」
「まぁ、勇者大戦のレギュラーのストレスもあるんだ。補欠の俺たちだからこそできるお仕事ってやつよ」
「お人好しにもほどがあるのよね」
アリエルからはあまりよく思われてない様だが、委員長曰く反抗期だから真に受けなくていいとのこと。相手を褒めることに慣れてないから悪態が出るんだそうだ。
生まれた環境が悪いと言われたらそれまでだが、まぁヨシ。
現れたのはゾンビの大群。
ホラー映画かよ、って思ったら海岸にでけー幽霊船が離陸した。現れたのは巨大なイカ、クラーケンのゾンビとアル中モンスターと化したシグルドのオッサンだった。
どうもアルコールが切れて場に乗じて暴れ出したらしい。
率先的に俺たちを狙ってくるのは利害の一致か、はたまた強請れば出すと思ってるからか。舐められたもんである。
秒で仕留めて即終了。
シグルドのオッサンはムーンスレイに泥を塗ったとノヴァさんにしこたまお仕置きされ、更に今回の騒動の下手人はアリエルの知り合いだった。
誤解は解け、友好の印に貰ったのはサーモン。
ちなみに知り合いの少女はこのサーモンでシグルドを雇ったと言っていた。
「酒と鮭は違うわよ?」
「エラール、あんたバカね。これ出したらもっと暴れてたと思うわよ、あいつ。欲しがってたのはアルコールの方よ」
「バカじゃないもん! お友達が教えてくれたんだもん」
「騙されてんのよ。傷つけない様に何度も繰り返された優しい嘘ってやつよ」
「アリエルのバカー」
なんていうか微笑ましい光景が繰り広げられていた。
こんな幼気な子を騙して人殺しをさせるなんてドラグネス皇国、許せねぇよなぁ!
それはさておきサーモンの握りを食べる。
その日はサーモン一色になったのは言うまでもない。
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