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41話 ライバル宣言(side轟美玲②)
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「ここが噂のフレンチレストランね」
「ミレイ、本当ならこんなところさっさと終わらせて愛しのダーリンのところに行きたいのではない?」
「そうやって煽るなリンダ。これも世界に顔を売る仕事だ。個人の都合で行かないわけにもいかない、な」
「モーゼの失態を挽回するのに必死なのでしょう、どうせ」
あたしが今回帰国したのは祖国の汚名返上に付き合わされる形だった。
世界的探索者のSSSSランクに休暇はない。
政治的な思惑に付き合わされるのはこれが初めてと言うわけではないが、気乗りはしなかった。
リンダの言う通り、早く仕事を終わらせて洋一さんに元気な姿を見せにいきたい。それが本音だ。
店内はフレンチの趣向を取り入れておしゃれさを全面に押し出している。
小手先だけ器用で、腕の方までは期待できない。
率直にそう感じる。
「チームフレイヤ様、お待ちしておりました。当店オーナーシェフの越智間と申します。本日はわざわざお越しくださりありがとうございます」
「そう言う挨拶いいから、下手なもの出したら、わかってるわね?」
「誠心誠意、努めさせていただきます」
軽く脅したのに、余裕の笑みで返された。
どうせすぐに馬脚を表すに決まってる。
そう思って望んでみたら。
「こちら、の空ウツボのリエットにございます。クラッカーと共にどうぞ。必要でしたら白ワインもご用意させますがどういたしますか?」
リエット。
それは肝などをペースト状にして乾燥させたクラッカーやフランスパンの上に乗せて食べる料理。
空ウツボをリエットにするなんて大胆な発想だと思った。
けどそれはどうみたって空ウツボの身とは程遠い色合い。
何かの肉を空ウツボに見立てているのだろう。
すぐに察して憤慨した。
所詮こんなこけおどしなのだと。
何でもかんでも空ウツボをつければあたしが靡くと思ってるのだと思ったら、甘く見られたものね。
けど一口食べて、それがまやかしではないと気がついた。
「これ、空ウツボだわ!」
自分でも驚いている。
どうみたって違う動物の肉を思わせる色合いなのに、ちゃんと空ウツボだった。
あたしのレベル上限が反応するくらいに美味な、空ウツボを使った料理だった。色眼鏡で見ていた自分がバカらしくなる。
「美味いなぁ、こんなに美味いリエットは初めて食べる。こう言うのは酒の肴で割と濃いめの味付けのことが多いいんだが、これは別格だ」
「ありがとうございます。続いてサラダをお待ちいたします。本日は轟美玲様のご来店という事で、当店シェフが腕によりをかけて空ウツボメニューをご用意させていただいています。どうぞ、お楽しみください」
甘んじるのは負けを認めるようで悔しかったが、ただのサラダかと思っていたドレッシングに謎のぷつぷつ感を感じとる。
なんとも珍しい、空ウツボの魚卵らしい。
身と同様に透明で一見してわからないが、味の強さと風味がドレッシングに甘く溶け込んでサラダも全て平らげてしまった。
リンダやマイクも驚きに手を叩いている。
「ミレイ、これは当たりじゃないか? オードブルでこの美味さだ」
「ねぇ、これからは無理にダーリンに頼らなくても良いかもしれないわよ?」
「それはそれ、これはこれ、よ!」
あたしはムキになって否定する。
洋一さんならこれ以上のメニューを考案してる。
でもこれは凄い、認めてあげてもいいとは思う。
ちょっと日本を離れてる隙に技術革命でも起こったのかしら? と言うほど美味が続いた。
けど最後に台無しにされた。
出てきたのはステーキ。その実は真っ白だった。
ああ、これは失敗作だ。
身が白いのは食べる価値がない、そう認識しているからこそ来る失望。
さっきまで褒めてた自分がバカらしくなる。
やはり空ウツボを任せられるのは洋一さんしかいない。
そう思ってステーキにナイフを落とすと……モーゼの時のような感触が返ってこなかった。
ゴム毬のような弾力を想定して入れたナイフはカツンと皿を突き抜けて、ふわふわでとろとろの身が切れた断面からこぼれ出しそうになっている。
これは、私の知っている空ウツボの肉の感触。
確かめるように一口入れれば、ほんのりとした苦味と、甘みのあるねっちりとしたソースが口いっぱいに広がった。
「これは何? 知らないわ、こんな空ウツボ」
「これは私の師である本宝治洋一様から教わった知識でございます」
「洋一さんの!?」
「はい、今回轟様をお迎えする上で、私自らが頭を下げ、弟子入りし、そして空ウツボの特殊解体とその真髄を教えていただきました。まだ成功率は低いですが、日々精進しております」
「そう、だったのね。洋一さんのお弟子さんなら認めないわけにはいかないわね。でもこの白い身は他店のと同様に勘違いさせるわ。思わずギョッとしたもの」
「実は師匠から肝が美味という情報を手に入れてから、なんとか身と一緒に絡めたいと考えておりました」
「その結果がこれだったのね。苦味の原因も肝だと聞いてるけど?」
「火入れをすると苦味成分が身を圧迫し、破裂してしまうのだそうです。ですので細心の注意を払ってすり潰し、ソースと混ぜたのです。まさかかけたそばから身を白くさせるとは思わず、先ほどまで出すかどうか迷ったのですが……」
「でも出した?」
「味には自信がありましたので」
「とても美味しかったわ」
「ありがとうございます。これで面目躍如、日本の信用は保てました」
「あなたも災難ね、日本の看板を背負っての料理は」
「皆様ほど忙しくはありませんが、ご助力できたのなら嬉しく思います。そして轟様にはこれを」
「これは?」
差し出されたのは一枚のカード。
それは居酒屋ポンちゃんと呼ばれる屋台の位置情報を指し示すマッピングカードだった。
「我が師の居場所を示すものです。以前より精力的に活動してまして、ますますレシピの開拓に余念がつきません。最近なんかはゴーレムやゴースト、ゾンビドックまでも調理されてました。同じ料理人としてその探究心は見習いたいところです」
「そう、洋一さんはあれからも同じ仕事を続けているのね」
それを知れてほんのりと表情が和らぐ。
緊張の糸が解けたのだ。
「それと種明かし。今回料理に使われた食材の殆どは師匠の特殊調理によって加工されたものです。当店風にアレンジしましたが、食べる人が食べればすぐにわかります」
「それを明かしてしまってもいいの?」
「流石に自分の実力以上に品物を自分の成果にはできません。帰国される前に、一度本場の味を楽しんでいってください。色々と変わってますから」
「あたしのために気を遣ってくれてありがとう。上にはよろしく言っておくわ」
「またのお越しをお待ちしております」
気分よく退店する。
こんなに気分よく店を出たのはいつぶりかしら?
6年前、モーゼで初めて食事をした時以来かもしれない。
「すっかり気分よくなっちゃって、ダーリンが逞しくなってて嬉しいのね」
「そのカード、GPSみたいなやつだろ? やられた方は堪んないんじゃないのか?」
「これ、相互の位置情報が割れるものみたいよ? ほら、ここに情報送信チップ埋め込まれてる。きっとお得意様に渡して、来店を知らせるものね」
「お互い様ってやつだな。しっかし加工品とは、前来た時はなかったろ?」
「本当に、あたしがエチオピアに行ってる間に随分と変わったみたい。ダンジョンセンターもあたしの出身地を謳ってないし、代わりに新メニューを揃えてるみたいよ?」
居酒屋ポンちゃん、ダンジョンセンター出張店。
そう見出しがあり、そこに並べられたメニューは確かに見たことのないものばかりだった。
「スライム食材なのに照り焼きチキンバーガー?」
「こっちにはゾンビドッグのパスタまでありやがる」
「それが飛ぶように売れてる状態は本国でも類を見ないわね」
「ええ。二人はお腹にどれくらい入る?」
「全然余裕だが?」
「買ってくの?」
「洋一さんのメニューなら、食べない手はないわ」
それから買い付けに行った先で散々騒がれて支部長室まで通された。
「あのなぁ、嬢ちゃん。あんたもっと自分の立場ってものを弁えたほうがいいぞ?」
「まぁまぁ支部長。貴女が轟美玲様ですね、お初にお目にかかります。私は倉持クララ。本宝治洋一さんに命を救われたものです」
「おい、その言い方だと……」
「事実ですから。そして私は美玲様、貴女にライバル宣言をさせて頂きます!」
なんなのこの子!
あたしが誰か分かってての発言なの?
「クララ!」
「いいえ支部長、ここから先は女と女の勝負ですから。私は本気ですよ、ランクは関係ありません!」
「年齢を考えろっていう話をしてるんだ」
「歳の差があった方が燃えます!」
「そうじゃなくてポンちゃんにだって選ぶ権利が……」
しゃしゃり出てきた少女が堂々と宣戦布告。
洋一さんに惚れていると、そう言ってきた。
普通なら生意気なと捻り潰してやるところだけど、洋一さん絡みだから下手な手は打てない。
どうしたものかと悩んでいたら、うちのマイクがあっけらかんと言った。
「そういうのは本人を前にしていうもんだ。ミレイもクララも、こんなところでいがみあってたって仕方ないぜ?」
「これは思わぬライバルが出てきたわね」
「バカ言わないでちょうだい」
完璧に油断していた。
マジックポーチを手渡して、唾をつけておいたと思ったら、全く別の方向から切り込まれた感じだわ。
「そう、貴女年齢は?」
「16歳です!」
「若さだけじゃ洋一さんは靡かないと思うわ」
「それでも引く理由にはなりません!」
「なら受けて立つわ、クララ」
「望むところです!」
これで後に引けなくなった。
私は洋一さんを遠くから見守ってるだけでよかったのに、どうしてこんな事に……
「ミレイ、本当ならこんなところさっさと終わらせて愛しのダーリンのところに行きたいのではない?」
「そうやって煽るなリンダ。これも世界に顔を売る仕事だ。個人の都合で行かないわけにもいかない、な」
「モーゼの失態を挽回するのに必死なのでしょう、どうせ」
あたしが今回帰国したのは祖国の汚名返上に付き合わされる形だった。
世界的探索者のSSSSランクに休暇はない。
政治的な思惑に付き合わされるのはこれが初めてと言うわけではないが、気乗りはしなかった。
リンダの言う通り、早く仕事を終わらせて洋一さんに元気な姿を見せにいきたい。それが本音だ。
店内はフレンチの趣向を取り入れておしゃれさを全面に押し出している。
小手先だけ器用で、腕の方までは期待できない。
率直にそう感じる。
「チームフレイヤ様、お待ちしておりました。当店オーナーシェフの越智間と申します。本日はわざわざお越しくださりありがとうございます」
「そう言う挨拶いいから、下手なもの出したら、わかってるわね?」
「誠心誠意、努めさせていただきます」
軽く脅したのに、余裕の笑みで返された。
どうせすぐに馬脚を表すに決まってる。
そう思って望んでみたら。
「こちら、の空ウツボのリエットにございます。クラッカーと共にどうぞ。必要でしたら白ワインもご用意させますがどういたしますか?」
リエット。
それは肝などをペースト状にして乾燥させたクラッカーやフランスパンの上に乗せて食べる料理。
空ウツボをリエットにするなんて大胆な発想だと思った。
けどそれはどうみたって空ウツボの身とは程遠い色合い。
何かの肉を空ウツボに見立てているのだろう。
すぐに察して憤慨した。
所詮こんなこけおどしなのだと。
何でもかんでも空ウツボをつければあたしが靡くと思ってるのだと思ったら、甘く見られたものね。
けど一口食べて、それがまやかしではないと気がついた。
「これ、空ウツボだわ!」
自分でも驚いている。
どうみたって違う動物の肉を思わせる色合いなのに、ちゃんと空ウツボだった。
あたしのレベル上限が反応するくらいに美味な、空ウツボを使った料理だった。色眼鏡で見ていた自分がバカらしくなる。
「美味いなぁ、こんなに美味いリエットは初めて食べる。こう言うのは酒の肴で割と濃いめの味付けのことが多いいんだが、これは別格だ」
「ありがとうございます。続いてサラダをお待ちいたします。本日は轟美玲様のご来店という事で、当店シェフが腕によりをかけて空ウツボメニューをご用意させていただいています。どうぞ、お楽しみください」
甘んじるのは負けを認めるようで悔しかったが、ただのサラダかと思っていたドレッシングに謎のぷつぷつ感を感じとる。
なんとも珍しい、空ウツボの魚卵らしい。
身と同様に透明で一見してわからないが、味の強さと風味がドレッシングに甘く溶け込んでサラダも全て平らげてしまった。
リンダやマイクも驚きに手を叩いている。
「ミレイ、これは当たりじゃないか? オードブルでこの美味さだ」
「ねぇ、これからは無理にダーリンに頼らなくても良いかもしれないわよ?」
「それはそれ、これはこれ、よ!」
あたしはムキになって否定する。
洋一さんならこれ以上のメニューを考案してる。
でもこれは凄い、認めてあげてもいいとは思う。
ちょっと日本を離れてる隙に技術革命でも起こったのかしら? と言うほど美味が続いた。
けど最後に台無しにされた。
出てきたのはステーキ。その実は真っ白だった。
ああ、これは失敗作だ。
身が白いのは食べる価値がない、そう認識しているからこそ来る失望。
さっきまで褒めてた自分がバカらしくなる。
やはり空ウツボを任せられるのは洋一さんしかいない。
そう思ってステーキにナイフを落とすと……モーゼの時のような感触が返ってこなかった。
ゴム毬のような弾力を想定して入れたナイフはカツンと皿を突き抜けて、ふわふわでとろとろの身が切れた断面からこぼれ出しそうになっている。
これは、私の知っている空ウツボの肉の感触。
確かめるように一口入れれば、ほんのりとした苦味と、甘みのあるねっちりとしたソースが口いっぱいに広がった。
「これは何? 知らないわ、こんな空ウツボ」
「これは私の師である本宝治洋一様から教わった知識でございます」
「洋一さんの!?」
「はい、今回轟様をお迎えする上で、私自らが頭を下げ、弟子入りし、そして空ウツボの特殊解体とその真髄を教えていただきました。まだ成功率は低いですが、日々精進しております」
「そう、だったのね。洋一さんのお弟子さんなら認めないわけにはいかないわね。でもこの白い身は他店のと同様に勘違いさせるわ。思わずギョッとしたもの」
「実は師匠から肝が美味という情報を手に入れてから、なんとか身と一緒に絡めたいと考えておりました」
「その結果がこれだったのね。苦味の原因も肝だと聞いてるけど?」
「火入れをすると苦味成分が身を圧迫し、破裂してしまうのだそうです。ですので細心の注意を払ってすり潰し、ソースと混ぜたのです。まさかかけたそばから身を白くさせるとは思わず、先ほどまで出すかどうか迷ったのですが……」
「でも出した?」
「味には自信がありましたので」
「とても美味しかったわ」
「ありがとうございます。これで面目躍如、日本の信用は保てました」
「あなたも災難ね、日本の看板を背負っての料理は」
「皆様ほど忙しくはありませんが、ご助力できたのなら嬉しく思います。そして轟様にはこれを」
「これは?」
差し出されたのは一枚のカード。
それは居酒屋ポンちゃんと呼ばれる屋台の位置情報を指し示すマッピングカードだった。
「我が師の居場所を示すものです。以前より精力的に活動してまして、ますますレシピの開拓に余念がつきません。最近なんかはゴーレムやゴースト、ゾンビドックまでも調理されてました。同じ料理人としてその探究心は見習いたいところです」
「そう、洋一さんはあれからも同じ仕事を続けているのね」
それを知れてほんのりと表情が和らぐ。
緊張の糸が解けたのだ。
「それと種明かし。今回料理に使われた食材の殆どは師匠の特殊調理によって加工されたものです。当店風にアレンジしましたが、食べる人が食べればすぐにわかります」
「それを明かしてしまってもいいの?」
「流石に自分の実力以上に品物を自分の成果にはできません。帰国される前に、一度本場の味を楽しんでいってください。色々と変わってますから」
「あたしのために気を遣ってくれてありがとう。上にはよろしく言っておくわ」
「またのお越しをお待ちしております」
気分よく退店する。
こんなに気分よく店を出たのはいつぶりかしら?
6年前、モーゼで初めて食事をした時以来かもしれない。
「すっかり気分よくなっちゃって、ダーリンが逞しくなってて嬉しいのね」
「そのカード、GPSみたいなやつだろ? やられた方は堪んないんじゃないのか?」
「これ、相互の位置情報が割れるものみたいよ? ほら、ここに情報送信チップ埋め込まれてる。きっとお得意様に渡して、来店を知らせるものね」
「お互い様ってやつだな。しっかし加工品とは、前来た時はなかったろ?」
「本当に、あたしがエチオピアに行ってる間に随分と変わったみたい。ダンジョンセンターもあたしの出身地を謳ってないし、代わりに新メニューを揃えてるみたいよ?」
居酒屋ポンちゃん、ダンジョンセンター出張店。
そう見出しがあり、そこに並べられたメニューは確かに見たことのないものばかりだった。
「スライム食材なのに照り焼きチキンバーガー?」
「こっちにはゾンビドッグのパスタまでありやがる」
「それが飛ぶように売れてる状態は本国でも類を見ないわね」
「ええ。二人はお腹にどれくらい入る?」
「全然余裕だが?」
「買ってくの?」
「洋一さんのメニューなら、食べない手はないわ」
それから買い付けに行った先で散々騒がれて支部長室まで通された。
「あのなぁ、嬢ちゃん。あんたもっと自分の立場ってものを弁えたほうがいいぞ?」
「まぁまぁ支部長。貴女が轟美玲様ですね、お初にお目にかかります。私は倉持クララ。本宝治洋一さんに命を救われたものです」
「おい、その言い方だと……」
「事実ですから。そして私は美玲様、貴女にライバル宣言をさせて頂きます!」
なんなのこの子!
あたしが誰か分かってての発言なの?
「クララ!」
「いいえ支部長、ここから先は女と女の勝負ですから。私は本気ですよ、ランクは関係ありません!」
「年齢を考えろっていう話をしてるんだ」
「歳の差があった方が燃えます!」
「そうじゃなくてポンちゃんにだって選ぶ権利が……」
しゃしゃり出てきた少女が堂々と宣戦布告。
洋一さんに惚れていると、そう言ってきた。
普通なら生意気なと捻り潰してやるところだけど、洋一さん絡みだから下手な手は打てない。
どうしたものかと悩んでいたら、うちのマイクがあっけらかんと言った。
「そういうのは本人を前にしていうもんだ。ミレイもクララも、こんなところでいがみあってたって仕方ないぜ?」
「これは思わぬライバルが出てきたわね」
「バカ言わないでちょうだい」
完璧に油断していた。
マジックポーチを手渡して、唾をつけておいたと思ったら、全く別の方向から切り込まれた感じだわ。
「そう、貴女年齢は?」
「16歳です!」
「若さだけじゃ洋一さんは靡かないと思うわ」
「それでも引く理由にはなりません!」
「なら受けて立つわ、クララ」
「望むところです!」
これで後に引けなくなった。
私は洋一さんを遠くから見守ってるだけでよかったのに、どうしてこんな事に……
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