溺愛三公爵と氷の騎士 異世界で目覚めたらマッパでした

あこや(亜胡夜カイ)

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 レオン様の腕に抱かれてとろとろしていたけれど、入室前のケイティと彼の険悪なやりとりでさすがにすっかり目を覚ましてしまった。

 次の展開に怯えて身構えていると、レオン様は私を抱いたまま大股に居間を横切り、勝手知ったる風情でいくつかある扉のうちの一つを開けた。

 浴室である。昼間、利用させて頂いた浴室。

 夕食が終わる頃合いを絶妙に見計らってのことか、広く浅い湯船にはなみなみとお湯が張られてスタンバイOKだ。

 お風呂に入りたいです、と私が言うより早く、レオン様は私を浴室に立たせると、神業のように手際よく私の美しい衣裳を脱がせ、さっさと下着も取り去って、瞬く間に私を裸にしてしまった。

 「あの、レオン様」
 
 やっとのことで、「できればひとりで入浴したい」と私の希望を述べようとしたころには、更なる手際のよさでレオン様自身も着衣を全て脱ぎ捨て、波打つ黄金の髪に縁どられた彫像みたいな姿をさらすと、もごもご言いかけた私を抱き上げつつ威勢よく湯船に入ってしまう。

 レオン様とのお風呂は初めてではないからそんなに恥ずかしがることはないのだけれど、でも、見慣れぬ他人様(ユリアス)の城の浴室、客室であれこれするのはちょっとどきどきしてしまう。
 部屋の外には、遠ざけたとはいえ警護の兵士達もいることだし……

 少なくとも湯船の中でヤらしいことはイヤだなあ、と思っていたら、幸いにしてレオン様は行為に及ぼうとはしなかった。今のところは、かもしれないが。
 レオン様のそれが臨戦態勢になっているのは、まあ健全な男性としてはやむを得ない。想定内である。

 話しかけられるまで刺激をせず、大人しくしよう。

 浴室へ入って間もない頃の私はそう考えて、レオン様に腕に囲われて、静かにお湯につかっていた。

 「……怖い話を聞かされたのか?」

 ぬるめのお湯とはいえ、長湯のおかげか互いの肌がだいぶ色づいてきた頃、レオン様は静かに問いかけた。
 お湯の中で、私の胸をずーっと撫でながらではあるが、口調は静かな湖面のように凪いでいる。
 ユリアスがさっき舌や唇で好き放題にしたところを撫でているので、洗い落としているおつもりなのだろう。
 
 「ええ、急に、怖くなってしまって」
 
 私はあの話を思い出して、ちいさく身震いした。
 酔いのせいばかりではない。考えないようにしたいけれど、心の片隅に冷気が纏わりつくようだ。
 やはり、恐ろしい。
 
 「ギルド長も、対峙した兵士も。ひいては後ろにいる国家からも。……そんなにも根深く、執着して、私が狙われているのかと思うと」

 そう。恐怖は自分のことだけじゃない。私を狙うということは私を庇護するレオン様やグラディウスを無駄に危険に晒すということでもある。
 私がいなければ、などと、悲劇のヒロインになるつもりは毛頭ない。とはいえ「私」と言う存在の持つ意味、周囲に与える影響を想像すると、叫び声をあげて逃げ出したくなってしまう。

 きゅう、と口を引き結んで俯いていると、レオン様がそっとくちづけをしてくれた。

 無理に唇をこじあけようとしない、ささやかなくちづけ。レオン様にしては珍しい。

 飽かず胸を撫でられて何度も何度も触れ合わせるだけのくちづけを受けていたら、恥ずかしいことに私が妙な気持ちになってきてしまった。
 
 お菓子の酒精はとっくに抜けた。もともと、飲酒、というほどよっぱらったわけではない。ゆっくりと長湯をしたら抜けていった。
 だから酒精のせいではなく、私自身がむずむず……はっきり言えばからだの中心がむずむずするし、気持ちの部分ではむらむらしてしまったようだ。

 くちづけは好きだ。その威力は大きい。貪るようなものではなく、唇が触れ合うだけでも心が満たされる。からだも潤ってくる。
 けれど、なぜこんなに今日は延々と延々と胸を撫でまわすだけなのだろう。

 お仕置きはイヤだけれど、でももっと……

 目で会話、できないかな。
 レオン様、わかって下さらないかな。

 回数もわからないくらい唇「だけ」を重ね続けながら、私はレオン様の金色の瞳を覗き込んだ。

 「……リーヴァ」

 レオン様は目を細めて、最後のくちづけだけ、ちゅ、と小さな音を立てた。

 気づいて下さった?と、期待を込めてレオン様にもっと全身で擦り寄ろうとした、その時。

 「!?……レオン様、」

 突然の刺激に、からだが反りかえった。ばしゃん、とお湯が派手な音と立てる。

 ひたすら撫でるだけだったレオン様の両手が、私の胸をいきなり鷲掴みにしている。
 細められた瞳はとても甘いのに。

 そのまま、くりかえし揉みしだかれた。
 揉み、捏ねて、尖る二つの頂きを指で弾く。弾いては擦り、その度に跳ねるからだをレオン様の長く力強い両足が巻き付き、抑え込む。

 「レオン様」

 欲しかった強い刺激に、甘い声を上げてしまう。
 痛いほど硬くなった胸の先端が口に含まれると、さらに大きな声を上げてしまう。
 浴室で反響するのが恥ずかしくてたまらない。でも、止めてほしくない。

 それどころか。
 まだ足りない。胸だけなんて、足りない。どうして、どうして……

 「ユリアスは胸が好きなんだ。気づいたか?」

 レオン様の手と唇と舌とで両胸をもみくちゃにされ、喘ぎながら、私は必死で頭を左右に振って否定した。
 そんなことは知らない。知っていたらあんな衣裳、全力で拒否していた。

 「女に興味がない、というような顔をして、知将と言われるほど明晰な頭脳を誇るあいつがだ。笑えるだろう?」

 笑えるだろう、と言っているのに、レオン様の口調は皮肉たっぷりだ。

 「ひゃう!」
 
 変な声を上げてしまった。
 レオン様が大きく口を開けて、甘噛みには程遠い力で歯を立てたのだ。

 「あいつに舐められただろう、リーヴァ。吸われて、唇の痕までつけさせて」
 「いや、レオン様、や……」

 かぷ、がぷ、と大きく胸を食まれ続ける。
 両脇から寄せて大きな胸をさらに大きく掴み上げながら、舐めしゃぶり、歯型が付かない程度に、けれども官能と痛みを同時に感じる程度に。

 刺激は欲しかったけれど。でも浴室で、胸ばっかりなんて。
 なんか、怒られてるのだろうか。わからない。さっきは、胸ははだけられてないし、……

 「レオン様!」
 
 ぢゅう、とひときわ強く先端を吸いあげられ、声が裏返る。
 直後に、今度は舌先で強くそれをめり込むように押し潰され、脳が甘く痺れる。

 「ちょっと舐められた程度だと思ってるだろう」

 両胸に、交互に刺激を与えながら、レオン様は言った。

 「怖かったのはわかる。もっときちんと話をして、安心させてやりたい。君を抱いて、君の中に入って、不安を取り除いてやりたい。……そうは思うんだが」

 胸への愛撫はこんなに激しいのに、レオン様の声は奇妙なくらいに静かだ。
 浴室に反響するのは、湯船のお湯が跳ねる音、私の喘き声だけ。

 いや、こんなの。
 レオン様に、一緒に気持ちよくなってほしいのに。私だけ、それも胸だけで乱されて。
 
 「レオンさま、さいきん、おしおき、ばかり」

 私は途切れ途切れに、必死で抗議した。

 「わたし、わるいこと、してない。わたしが、さそったんじゃ、ない」
 「君が誘うわけがない。‘意識的には’。そんなのわかってる」

 理不尽に続けられていた強引な愛撫が唐突に止んだ。

 ざばん、とレオン様は派手な水音を立てて身を起こすと、私を浴槽の縁に腰かけさせ、私の前に立ってそそり立つものを私に握らせる。

 お湯か先走りかわからないものに塗れて光り、凶暴なほどに硬く、猛々しく主張するものを握らされたとたん、それは更に強度を増して、私の視覚を犯した。

 「レオン様、こんなこと」
 「何度言ってもわからんらしい。……君はいつだって考え無しで。つまり無意識で」

 抗議にもならないほど我ながら弱々しい声は、当然のように無視された。

 今度は私自身の手で自分の胸を両脇から掬い上げるように命じられた。そして、胸の間にレオン様の屹立を挟み、胸を使って扱き上げるように誘導される。

 経験はなくても、私だって知識くらいはある。
 これはいわゆる、AVとかで言うところの。

 恥かしいことを強要されているのに、もっと確かなものが欲しくて。そして、何を考えているかわからないレオン様の声音が寂しくて。

 レオン様に気持ちよくなってもらえるように、私は痴女のように懸命にからだと胸を動かした。

 髪に挿した髪飾りがかすかな音を立てる。
 そう言えば、ケイティが緩く結い上げた髪は、そのままなのだった。
 解けかけ、幾筋も落ちた髪が、うなじに、肩にまつわりつくけれど、完全に解けることはない。

 レオン様の大きな手が、そんな私の頭をそっと包み込んだ。
 
 はっ、とレオン様がちいさく息をつく。
 気持ちよくなってくれているのだろうか。

 「レオン様……」

 私は必死で行為を続けながら、レオン様を見上げた、。
 
 濡れた金色の髪に縁どられたレオン様の男らしい美貌が、ようやく快感に歪んできたように見える。

 「君は何度注意しても、理解しない。できない。……煽るんだ」
 「あおって、ません」
 
 納得がゆかないことには、諾とは言えない。途切れがちに、それでも私は否定の言葉を述べる。

 「リーヴァ。いつか、ユリアスが、これを求める」
 
 レオン様も息が上がってきた。
 私への愛情なのか、欲情なのか、それとも怒りなのか。全てがないまぜになった狂おしい瞳が、私を拘束する。

 「ユリアスは、君に、君の胸で、こうさせる。その前に俺が」
 
 レオン様は最後までは言おうとしなかった。それとも、言葉にならなかったのか。
 
 たまりかねたように私の手に自分の手を添え、更に数回、力強く扱き上げると、呻き声とともにレオン様は果てた。温かい飛沫が私の胸に顔に降りかかる。ほとんど毎晩、私を抱いているのに、こんなにもたくさん。

 レオン様は、ユリアスに嫉妬したのだろうか。
 ユリアスがするであろうことを、レオン様が、先に、私に。

 いつだって余裕のレオン様が今回私に向けた激情は、心も脳も麻痺するのじゃないかと思うほど私を蕩かして。それだけで、あらぬところが反応してしまうくらいに幸せで。


 ……今日のこれは、お仕置きではない。お仕置きだとは思わないことにしよう。

 ぬるぬるするものをたっぷりと浴びたまま、私はぎこちなく笑んで、まだ力を失わず、ひくひく蠢くレオン様のそれを、やわく口に含んだ。

 そこまでは、求められていなかったらしい。リーヴァ、と、大好きな掠れた美声とともに、レオン様はすぐにまた反応した彼自身を私の口から引き抜き、跪いてしっかりと私を抱きしめてくれる。

 気持ちよくなってくれて嬉しくて。レオン様に抱きつき返して、白濁塗れの顔のまま擦り寄ると、レオン様は愛している、リーヴァ、と何度も言いながら、ようやくお砂糖みたいに甘いくちづけをくれた。
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