95 / 175
連載
7.-53
しおりを挟む
私がひとりで町へ飛び出したこと。心配ではあったが、「影」をつけているからよかろうと考えたこと、その間に、部下である隊長に遭遇し、そのまま二人で町を散策し、どうやらその間に、彼に対してまず最初に「リア」呼びを許したらしいこと。
「──たまたま、リヴェア様がおひとりでおられたときだけ、護衛代わりに傍にいたに過ぎない隊長だけが許された呼称、というのも、いかがなものかと思いまして」
場合によりけりではありますが、私もそのようにお呼びすることになりました、と、オルギールは通常の業務報告みたいに感情を込めずに語った。
……いかがなものかと、だって!お呼びすることに「なりました」だって!?
私はレオン様の肩に顔を埋めたまま毒づいた。無論、声には出さずに。
どの口が叩くか、オルギール!
アルフに対してか、贈り物を受け取った私に対してかよくわからないけれど、物凄く気分を害したらしく、お仕置き的なイヤらしいことをさんざんやりまくったその次の朝のことだ。今度は打って変わってでろでろに私を甘やかし、マッパで私を抱きかかえ、顔中にちゅうの雨を降らせながら、強引に自分にも「リア」と呼ばせろと迫ったのだ。
忘れたとは言わせない。
あとで文句を言おう。
私はそう拳を固めつつ、黙って聞いているレオン様の反応を待った。
「──なるほど」
沈黙が長すぎて、私が心配になるくらい時間がたってから、レオン様はとりあえずひとこと、呟いた。
「隊長、という男はどんな奴だ」
「アルフ・ド・リリー。別動隊の隊長です」
「……ああ。……あの男か」
レオン様はかるく頷いて、皮肉気に鼻を鳴らした。
「黒髪、紅い瞳。女癖の悪い男ではなかったか」
「仰せのとおり」
妙なところで、レオン様とオルギールが頷きあっている。
どうやら、三公爵様方全て、痴話喧嘩のあれこれをご存じの様子。
アルフ。あなた、どれだけ悪さをしてきたのですか……
「そのような男が、身の程知らずにも、リヴェア様に懸想しているようです」
「リヴェアに、あの男が」
しれっと、オルギールは言わなくてもいいことを言った。
もちろん、レオン様がスルーするはずはない。
ぐ、と私の腰に回した手にまた力が加わる。
まだ、顔を上げる勇気はない。いつも私を甘やかしてくれるレオン様がいきなり無表情になる瞬間は、実はオルギールの氷の礫並みに恐ろしいのだ。
経験則上、今たぶんそうなっていると思う。
「リヴェアは、自分に懸想している男と町を散策していた、と」
「はい」
「その男に、リア、と呼ばせたと」
「はい」
「男はさぞ嬉しかっただろうよ」
「私がお迎えに参りましたとき。蕩けんばかりの顔をしてリヴェア様を口説いていましたよ」
「ほう。……なんと?」
「ちょっと待った!!」
私はここで思わず顔を上げてしまった。
平然と私を窮地に追い込むオルギール。
真上を見れば、金色の瞳が鷹のように鋭いレオン様。
二人が、それぞれの表情で私を見つめている。夢見が悪くなりそうな光景だ。
けれど、怯んではならない。
このままでは、私がタラシに誑かされる馬鹿女のようではないか。
「リーヴァ、そんな大声をあげなくても」
眼光は鋭いままだけれど、いくぶん身に纏う空気を和らげて、レオン様は言った。
くすり、と笑いながら、私の額や頬に張り付いた髪を丁寧に耳にかけてくれる。
「綺麗な肌に、髪や俺の甲冑の痕がついてるぞ」
「レオン様、私、口説かれてなどおりません」
レオン様の甘い仕草に騙されてはいけない。この話題は終わったわけではない。釘を、それもふっとい五寸釘を刺さなくては!
「町を一人で歩くのは不用心だ、ということになり、隊長が共に来ると言っただけです!」
「きっかけはそうなんだろう」
ひょい、と、レオン様は膝の上で私を抱えなおした。
そして、がっしりと私の腰を力強い両腕であらためて囲い込む。
「それは構わない。というより、それは仕方がないと思う。俺が問いたいのは、リーヴァ」
レオン様は私を覗き込んだ。
「リア、と呼ばせたのは君が望んだからか?」
「そうです」
私は胸を張って答えた。だって、何一つ恥じることはない。
「他に供も連れず散策しているときに、閣下、だの、姫、だのと言われてはまずいでしょう?」
「まあな」
一応、レオン様は同意してくれた。
「それで、私から言ったのです。リヴェア、のさいしょとさいごをとってリ、ア。その時だけで終わる呼び名と思いましたし、さしたる意味合いもありません」
「……君はそのつもりでも、な」
レオン様は、今度は同意してくれなかった。
そして、曖昧な目つきで私を見下ろし、
「いっそ、まったく関係ない偽名にすべきだった」
と、言う。
……そんなこと言われても。
「自らを愛称で呼ばせるなど。それも、女癖が悪く、君に入れあげている男に。いかにも不用意で考え無しな君のやりそうなことだ」
「レオン様!」
なんてひどい言われよう!結局、私が悪いのですか!?
「そんなこと、心外ですわ!!愛称、とか、考えすぎなのです!」
「……で、オルギール」
レオン様はきゃんきゃん喚く私をよそに、黙って佇むオルギールに話を振った。
「はい、レオン様」
「リリー隊長はなんと言ってリヴェアを口説いてたんだ?」
「喰っちまいたいくらい可愛い、と」
「オルギール!!」
物凄く恥ずかしいことを、相変わらずの口調でオルギールは言った。
私が悲鳴のような声を上げても、眉ひと筋も動かさない。
「やだやだやだ!!」
「頬を赤らめて、目を逸らして、菓子を次々に口にして。……恐らく、その少し前から口説かれていたのでしょう」
「ほう……」
「確かに、それはもう男をその気にさせる、と申しますか、煽るお顔で。あの男、そんな顔、むやみにみせるな、とまで言っておりましたから。……無自覚でいらっしゃるところが手に負えませんね」
「なによ、意地悪オルギール!!」
次々に繰り出される問題発言。
まあ、百歩譲って概ね事実だったかもしれないが、いちいちオルギールの冷静な見解は不要だろう。
レオン様の膝の上で拘束されたまま、何とも締まらない体勢ではあるけれど、私はオルギールを弾劾した。
「私がのんびりしていたところを、いきなり強襲して。勝手なことばかり言わないで!」
「のんびり、楽しんでいたのか、リーヴァ」
レオン様から思い切り横やりが入った。
「自分に懸想している男と、のんびり?……そこへ、副官が迎えに来たのを‘強襲’と?」
……なんか、雲行きが怪しくありませんか。
さっきまでレオン様VSオルギール、だったのに、なぜ、私が標的に。
ふるり、と思わず身震いしたけれど、今回はレオン様のフォローは入らなかった。
「楽しかったようだな、街歩きは。……黒髪に赤い瞳。思い出した。名うての遊び人が、最近はずいぶん鳴りを潜めているとか。俺の恋人に入れあげているとはな」
「ちょっと、レオン様、そういう仰りようは」
「リヴェア様に自分の髪と瞳の色の装身具まで贈っていましたからね」
「ふん。ぞっこんだな」
「オルギール!!」
あんまりだ。ひどすぎる。このタイミングでアルフにもらったもののことまで。
「オルギール、どうして意地悪ばかり言うの!?」
「嘘はついておりません」
しゃあしゃあと、オルギールは言った。
その顔が、話し方が、更に腹が立って仕方がない。
「ほんとならいい、ってもんじゃないわよ!」
「本当なんだな」
レオン様が打たなくてもよい相槌を打った。
私は慌てて口を噤む。
このひとたちの前でモノを言うとろくなことがない。
わかってはいても反論してみたけれど、やっぱり駄目だった。
「その男のことは、心しておこう。アルフ・ド・リリー隊長か」
レオン様はあらためてその名を噛みしめるように呟き、頷いた。
彼はからだ中に怪我を負うほどの激戦を重ね、お手柄だったし、お金、貸してくれたし(そういえばお土産を渡す話をしたかったのに)、何も悪いことはしていないのに。
よほど、素行が悪かったらしいけれど、見たところ彼なりに改心しているみたいなのに。
そもそも、オルギールはアルフのことを悪く言いすぎる。なんだってそんなにアルフのこととなると目くじらを立てるのだろう。
ジト目でオルギールを睨んでやったけれど、当然のことながら氷の魔王は私の目線など蚊が飛んだほどにも感じないに違いない。
それどころか、わざわざ私に紫色の瞳を向けて、優し気にわずかに目を細めると、そんなお顔をされても可愛らしいだけですよ、などとぬかした。
「……で、レオン様。リヴェア様について、もう一つご報告すべきことがございまして」
「聞こう」
オルギールの目線、発言に、一瞬毒気を抜かれかけたけれど、そこはやはりオルギールはオルギール。
ひとたび「報告」という名の「告げ口」を始めると、完了するまで手を緩めないようだった。
──国籍不明の軍との対峙。選択した陣形、戦いぶり。狂兵の出現。結果としては、味方の圧勝。
無駄な言葉は全くなく、簡潔、的確な報告は、あらゆる「報告」のお手本のようではあったけれど、主旨と結論に甚だ問題があった。
それは、つまり。
「離脱をお勧めしてもお聞き入れなく、やむなく私が無理にお連れした次第です」
「ふん。……指揮官としての責任感はあっぱれだが」
「御身のご無事こそが味方のためにもなるとの自覚にかけるご様子」
「なるほど」
とても、不穏な感じになってきた。身の危険、とでも言おうか。
「……仕置きが必要か」
「仰せのとおり」
「はあ!?お仕置き!?」
そんな、無体な!
愕然としてレオン様とオルギールを交互に眺めると。
金色と紫色。二色、二対の瞳が私を見下ろしていた。
……捕食者の如き色を湛えて。
「──たまたま、リヴェア様がおひとりでおられたときだけ、護衛代わりに傍にいたに過ぎない隊長だけが許された呼称、というのも、いかがなものかと思いまして」
場合によりけりではありますが、私もそのようにお呼びすることになりました、と、オルギールは通常の業務報告みたいに感情を込めずに語った。
……いかがなものかと、だって!お呼びすることに「なりました」だって!?
私はレオン様の肩に顔を埋めたまま毒づいた。無論、声には出さずに。
どの口が叩くか、オルギール!
アルフに対してか、贈り物を受け取った私に対してかよくわからないけれど、物凄く気分を害したらしく、お仕置き的なイヤらしいことをさんざんやりまくったその次の朝のことだ。今度は打って変わってでろでろに私を甘やかし、マッパで私を抱きかかえ、顔中にちゅうの雨を降らせながら、強引に自分にも「リア」と呼ばせろと迫ったのだ。
忘れたとは言わせない。
あとで文句を言おう。
私はそう拳を固めつつ、黙って聞いているレオン様の反応を待った。
「──なるほど」
沈黙が長すぎて、私が心配になるくらい時間がたってから、レオン様はとりあえずひとこと、呟いた。
「隊長、という男はどんな奴だ」
「アルフ・ド・リリー。別動隊の隊長です」
「……ああ。……あの男か」
レオン様はかるく頷いて、皮肉気に鼻を鳴らした。
「黒髪、紅い瞳。女癖の悪い男ではなかったか」
「仰せのとおり」
妙なところで、レオン様とオルギールが頷きあっている。
どうやら、三公爵様方全て、痴話喧嘩のあれこれをご存じの様子。
アルフ。あなた、どれだけ悪さをしてきたのですか……
「そのような男が、身の程知らずにも、リヴェア様に懸想しているようです」
「リヴェアに、あの男が」
しれっと、オルギールは言わなくてもいいことを言った。
もちろん、レオン様がスルーするはずはない。
ぐ、と私の腰に回した手にまた力が加わる。
まだ、顔を上げる勇気はない。いつも私を甘やかしてくれるレオン様がいきなり無表情になる瞬間は、実はオルギールの氷の礫並みに恐ろしいのだ。
経験則上、今たぶんそうなっていると思う。
「リヴェアは、自分に懸想している男と町を散策していた、と」
「はい」
「その男に、リア、と呼ばせたと」
「はい」
「男はさぞ嬉しかっただろうよ」
「私がお迎えに参りましたとき。蕩けんばかりの顔をしてリヴェア様を口説いていましたよ」
「ほう。……なんと?」
「ちょっと待った!!」
私はここで思わず顔を上げてしまった。
平然と私を窮地に追い込むオルギール。
真上を見れば、金色の瞳が鷹のように鋭いレオン様。
二人が、それぞれの表情で私を見つめている。夢見が悪くなりそうな光景だ。
けれど、怯んではならない。
このままでは、私がタラシに誑かされる馬鹿女のようではないか。
「リーヴァ、そんな大声をあげなくても」
眼光は鋭いままだけれど、いくぶん身に纏う空気を和らげて、レオン様は言った。
くすり、と笑いながら、私の額や頬に張り付いた髪を丁寧に耳にかけてくれる。
「綺麗な肌に、髪や俺の甲冑の痕がついてるぞ」
「レオン様、私、口説かれてなどおりません」
レオン様の甘い仕草に騙されてはいけない。この話題は終わったわけではない。釘を、それもふっとい五寸釘を刺さなくては!
「町を一人で歩くのは不用心だ、ということになり、隊長が共に来ると言っただけです!」
「きっかけはそうなんだろう」
ひょい、と、レオン様は膝の上で私を抱えなおした。
そして、がっしりと私の腰を力強い両腕であらためて囲い込む。
「それは構わない。というより、それは仕方がないと思う。俺が問いたいのは、リーヴァ」
レオン様は私を覗き込んだ。
「リア、と呼ばせたのは君が望んだからか?」
「そうです」
私は胸を張って答えた。だって、何一つ恥じることはない。
「他に供も連れず散策しているときに、閣下、だの、姫、だのと言われてはまずいでしょう?」
「まあな」
一応、レオン様は同意してくれた。
「それで、私から言ったのです。リヴェア、のさいしょとさいごをとってリ、ア。その時だけで終わる呼び名と思いましたし、さしたる意味合いもありません」
「……君はそのつもりでも、な」
レオン様は、今度は同意してくれなかった。
そして、曖昧な目つきで私を見下ろし、
「いっそ、まったく関係ない偽名にすべきだった」
と、言う。
……そんなこと言われても。
「自らを愛称で呼ばせるなど。それも、女癖が悪く、君に入れあげている男に。いかにも不用意で考え無しな君のやりそうなことだ」
「レオン様!」
なんてひどい言われよう!結局、私が悪いのですか!?
「そんなこと、心外ですわ!!愛称、とか、考えすぎなのです!」
「……で、オルギール」
レオン様はきゃんきゃん喚く私をよそに、黙って佇むオルギールに話を振った。
「はい、レオン様」
「リリー隊長はなんと言ってリヴェアを口説いてたんだ?」
「喰っちまいたいくらい可愛い、と」
「オルギール!!」
物凄く恥ずかしいことを、相変わらずの口調でオルギールは言った。
私が悲鳴のような声を上げても、眉ひと筋も動かさない。
「やだやだやだ!!」
「頬を赤らめて、目を逸らして、菓子を次々に口にして。……恐らく、その少し前から口説かれていたのでしょう」
「ほう……」
「確かに、それはもう男をその気にさせる、と申しますか、煽るお顔で。あの男、そんな顔、むやみにみせるな、とまで言っておりましたから。……無自覚でいらっしゃるところが手に負えませんね」
「なによ、意地悪オルギール!!」
次々に繰り出される問題発言。
まあ、百歩譲って概ね事実だったかもしれないが、いちいちオルギールの冷静な見解は不要だろう。
レオン様の膝の上で拘束されたまま、何とも締まらない体勢ではあるけれど、私はオルギールを弾劾した。
「私がのんびりしていたところを、いきなり強襲して。勝手なことばかり言わないで!」
「のんびり、楽しんでいたのか、リーヴァ」
レオン様から思い切り横やりが入った。
「自分に懸想している男と、のんびり?……そこへ、副官が迎えに来たのを‘強襲’と?」
……なんか、雲行きが怪しくありませんか。
さっきまでレオン様VSオルギール、だったのに、なぜ、私が標的に。
ふるり、と思わず身震いしたけれど、今回はレオン様のフォローは入らなかった。
「楽しかったようだな、街歩きは。……黒髪に赤い瞳。思い出した。名うての遊び人が、最近はずいぶん鳴りを潜めているとか。俺の恋人に入れあげているとはな」
「ちょっと、レオン様、そういう仰りようは」
「リヴェア様に自分の髪と瞳の色の装身具まで贈っていましたからね」
「ふん。ぞっこんだな」
「オルギール!!」
あんまりだ。ひどすぎる。このタイミングでアルフにもらったもののことまで。
「オルギール、どうして意地悪ばかり言うの!?」
「嘘はついておりません」
しゃあしゃあと、オルギールは言った。
その顔が、話し方が、更に腹が立って仕方がない。
「ほんとならいい、ってもんじゃないわよ!」
「本当なんだな」
レオン様が打たなくてもよい相槌を打った。
私は慌てて口を噤む。
このひとたちの前でモノを言うとろくなことがない。
わかってはいても反論してみたけれど、やっぱり駄目だった。
「その男のことは、心しておこう。アルフ・ド・リリー隊長か」
レオン様はあらためてその名を噛みしめるように呟き、頷いた。
彼はからだ中に怪我を負うほどの激戦を重ね、お手柄だったし、お金、貸してくれたし(そういえばお土産を渡す話をしたかったのに)、何も悪いことはしていないのに。
よほど、素行が悪かったらしいけれど、見たところ彼なりに改心しているみたいなのに。
そもそも、オルギールはアルフのことを悪く言いすぎる。なんだってそんなにアルフのこととなると目くじらを立てるのだろう。
ジト目でオルギールを睨んでやったけれど、当然のことながら氷の魔王は私の目線など蚊が飛んだほどにも感じないに違いない。
それどころか、わざわざ私に紫色の瞳を向けて、優し気にわずかに目を細めると、そんなお顔をされても可愛らしいだけですよ、などとぬかした。
「……で、レオン様。リヴェア様について、もう一つご報告すべきことがございまして」
「聞こう」
オルギールの目線、発言に、一瞬毒気を抜かれかけたけれど、そこはやはりオルギールはオルギール。
ひとたび「報告」という名の「告げ口」を始めると、完了するまで手を緩めないようだった。
──国籍不明の軍との対峙。選択した陣形、戦いぶり。狂兵の出現。結果としては、味方の圧勝。
無駄な言葉は全くなく、簡潔、的確な報告は、あらゆる「報告」のお手本のようではあったけれど、主旨と結論に甚だ問題があった。
それは、つまり。
「離脱をお勧めしてもお聞き入れなく、やむなく私が無理にお連れした次第です」
「ふん。……指揮官としての責任感はあっぱれだが」
「御身のご無事こそが味方のためにもなるとの自覚にかけるご様子」
「なるほど」
とても、不穏な感じになってきた。身の危険、とでも言おうか。
「……仕置きが必要か」
「仰せのとおり」
「はあ!?お仕置き!?」
そんな、無体な!
愕然としてレオン様とオルギールを交互に眺めると。
金色と紫色。二色、二対の瞳が私を見下ろしていた。
……捕食者の如き色を湛えて。
21
お気に入りに追加
6,156
あなたにおすすめの小説
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。
ヤンデレ義父に執着されている娘の話
アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。
色々拗らせてます。
前世の2人という話はメリバ。
バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。