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7.-23
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オルギールに肌を晒すのは勿論初めてではないどころか、今までに倫理観の欠落したアレコレをされているわけだけれど、今日のコレは本当にまずいと思う。
マッパの私を、下穿き一枚のオルギールが抱き上げているのだ。考えてみれば、出会って間もないうちにお風呂に襲来されたし、その後も色々あったとはいえ、オルギールは当たり前だが着衣を全く乱していなかったのだ。それが、なおさら私の羞恥を煽っていたともいえるのだが。
日焼け、とは無縁なのか、オルギールはもともと「白皙」という表現どおり、白いなめらかな肌を持つ美貌なのだけれど、脱いでもまったくその通りであることがこんな形で判明した。白大理石の彫刻のようだ。真っ白なのに、まったくひ弱さを感じさせない、逆三角形で驚くほど筋肉の発達した厚い胸。腹筋もおそらく六つに割れているのだろう。おそらく、というのは、恥ずかしくて目線を下げることができないからだ。
混乱のあまり無抵抗な私の態度を大変都合よく解釈したらしく、オルギールはそれはそれは優しく、艶めかしく微笑んで、今日のリヴェア様は素直ですね、と言って、浴槽の隣に据えられた椅子に私を抱いたまま腰かけた。
オルギールの張りのある大腿部の感触が生々しい。落ち着かない。
「・・・あの、オルギール」
私は、つとめて平静な声を出した。・・・つもりだけれど、動揺して声はしゃがれている。
それもやむを得ない。体の関係のない、若い男(それもとんでもない美形)に素っ裸で膝に乗せられて平然としていられるひとがいたら顔を見てみたいものだ。
どうしました?と、私の髪と頬を撫でながら目を合わせてくる。
・・・目が潰れそう。・・・美し過ぎて。
ではなくて。
私は目を閉じてぶんぶん頭を振った。
ダメだ。私にはレオン様という愛するひとが。
お風呂場なんて、レオン様とだって、えっちするようになってから初めて一緒に入るようになったのだ。入る、というか強制的に入らされるというか、一人で入っていても乱入されるというか。で、そのまま濃厚に・・・以下略。
「・・・まあ、何をお考えか、想像ができるのですが」
極甘モードに、少しだけスパイスが効いた感じの、微妙なトーンでオルギールは言った。
「レオン様は、あなたとからだを重ねるまでは、共に入浴はされなかったでしょう?」
「ちょ、なんて、・・・」
思わず、目を開けてしまう。そして、瞬時に後悔した。
なんて恥ずかしいことを真顔で至近距離で言うのだ。
それもまた、ドンピシャの深読みで。
オルギールは曖昧に笑んだ。
「・・・だから、からだを重ねてもいない私とこうしていることが気になると?」
「どうして、そんなことを言うの?そういう言い方をするの?」
思わず、イラっときて私は噛みついた。
「イヤらしい言い方しないで。わかってるならやめて。親密な関係ではない男性と一緒にこんなことしているの、気にするのは当然でしょう」
束の間、自分が心許ない素っ裸であることを忘れて言い募る。
そうだった。この世界の男性には、多少強気でものを言わなくては伝わらないのだ。
そんなわけで、イラっとするあまり、オルギールの瞳が急速に冷えていったことに気づくのが遅れてしまった。
・・・気づいた頃には後の祭り、だったけれど。
「私の唯一はレオン様だって、知っているでしょう?なのに、こんな・・・!?オルギール!!」
「親密になればいいのですか?リヴェア様」
優しく私の髪を撫でていた手が、いつの間にか、がっしりと後頭部を掴んで離さない。頬を撫でていた手が、私の顎を捕らえて引き寄せる。
その手の力に、紫の瞳の目力に、後に続く言葉をすべて飲み込んでしまう。
「存じ上げておりますよ、リヴェア様。あなたの唯一はレオン様、と」
互いの吐息どころか、唇が触れ合うほどの距離で、オルギールは囁いた。
まずい、ヤバい。・・・甘々オルギールのがマシだったのに、極寒になってしまった・・・
「・・・けれど、唯一の方は今ここにはおられない。今、あなたの最も近くにいるのは私です。・・・この、オルギール・ド・カルナックがあなたの傍に」
「!?・・・んっ・・・!」
「あなたを一人にして、どれほど後悔したか。・・・決して、もう二度と」
──あなたの傍を、離れない。
冷たい瞳、熱い声。
オルギールは赤い舌を伸ばして、私の唇を、ねっとりと、濃密に舐め上げた。
不覚にも、全身を震わせてしまう。
「親密になれば、あなたは気が楽になりますか?・・・理屈がないと納得できないリヴェア様」
「んんっ、んむぅ・・・んんん・・・」
「感じるだけでいいと。・・・理屈など不要と言いましたのに」
べろべろと唇を舐め回され、息ができるようなできないような。苦しくてたまらない。
逃れようにもオルギールの本気モードの力は物凄くて、顔を左右に逸らすことさえできない。
ひたすら、私の唇を蹂躙したあとは、当然のように舌が侵入してきて、だらしなく半開きになった私の口腔を責め立て、たまった唾液を啜られた。
この頃には、もうからだに力なんて入らなくなっていて、オルギールの胸にもたれかかりながら肩で息をしているありさまだ。だから、もう、抵抗する気力なんてなくなっているのに。
「素直になったかと思えば、あなたという方は。・・・親密に、なるとしましょうか」
「オルギール、待っ・・・」
最後まで言うことはできなかった。
私をくちづけで黙らせ、立ちあがり、オルギールは私を抱いたまま、浴槽にその長身を沈めた。
マッパの私を、下穿き一枚のオルギールが抱き上げているのだ。考えてみれば、出会って間もないうちにお風呂に襲来されたし、その後も色々あったとはいえ、オルギールは当たり前だが着衣を全く乱していなかったのだ。それが、なおさら私の羞恥を煽っていたともいえるのだが。
日焼け、とは無縁なのか、オルギールはもともと「白皙」という表現どおり、白いなめらかな肌を持つ美貌なのだけれど、脱いでもまったくその通りであることがこんな形で判明した。白大理石の彫刻のようだ。真っ白なのに、まったくひ弱さを感じさせない、逆三角形で驚くほど筋肉の発達した厚い胸。腹筋もおそらく六つに割れているのだろう。おそらく、というのは、恥ずかしくて目線を下げることができないからだ。
混乱のあまり無抵抗な私の態度を大変都合よく解釈したらしく、オルギールはそれはそれは優しく、艶めかしく微笑んで、今日のリヴェア様は素直ですね、と言って、浴槽の隣に据えられた椅子に私を抱いたまま腰かけた。
オルギールの張りのある大腿部の感触が生々しい。落ち着かない。
「・・・あの、オルギール」
私は、つとめて平静な声を出した。・・・つもりだけれど、動揺して声はしゃがれている。
それもやむを得ない。体の関係のない、若い男(それもとんでもない美形)に素っ裸で膝に乗せられて平然としていられるひとがいたら顔を見てみたいものだ。
どうしました?と、私の髪と頬を撫でながら目を合わせてくる。
・・・目が潰れそう。・・・美し過ぎて。
ではなくて。
私は目を閉じてぶんぶん頭を振った。
ダメだ。私にはレオン様という愛するひとが。
お風呂場なんて、レオン様とだって、えっちするようになってから初めて一緒に入るようになったのだ。入る、というか強制的に入らされるというか、一人で入っていても乱入されるというか。で、そのまま濃厚に・・・以下略。
「・・・まあ、何をお考えか、想像ができるのですが」
極甘モードに、少しだけスパイスが効いた感じの、微妙なトーンでオルギールは言った。
「レオン様は、あなたとからだを重ねるまでは、共に入浴はされなかったでしょう?」
「ちょ、なんて、・・・」
思わず、目を開けてしまう。そして、瞬時に後悔した。
なんて恥ずかしいことを真顔で至近距離で言うのだ。
それもまた、ドンピシャの深読みで。
オルギールは曖昧に笑んだ。
「・・・だから、からだを重ねてもいない私とこうしていることが気になると?」
「どうして、そんなことを言うの?そういう言い方をするの?」
思わず、イラっときて私は噛みついた。
「イヤらしい言い方しないで。わかってるならやめて。親密な関係ではない男性と一緒にこんなことしているの、気にするのは当然でしょう」
束の間、自分が心許ない素っ裸であることを忘れて言い募る。
そうだった。この世界の男性には、多少強気でものを言わなくては伝わらないのだ。
そんなわけで、イラっとするあまり、オルギールの瞳が急速に冷えていったことに気づくのが遅れてしまった。
・・・気づいた頃には後の祭り、だったけれど。
「私の唯一はレオン様だって、知っているでしょう?なのに、こんな・・・!?オルギール!!」
「親密になればいいのですか?リヴェア様」
優しく私の髪を撫でていた手が、いつの間にか、がっしりと後頭部を掴んで離さない。頬を撫でていた手が、私の顎を捕らえて引き寄せる。
その手の力に、紫の瞳の目力に、後に続く言葉をすべて飲み込んでしまう。
「存じ上げておりますよ、リヴェア様。あなたの唯一はレオン様、と」
互いの吐息どころか、唇が触れ合うほどの距離で、オルギールは囁いた。
まずい、ヤバい。・・・甘々オルギールのがマシだったのに、極寒になってしまった・・・
「・・・けれど、唯一の方は今ここにはおられない。今、あなたの最も近くにいるのは私です。・・・この、オルギール・ド・カルナックがあなたの傍に」
「!?・・・んっ・・・!」
「あなたを一人にして、どれほど後悔したか。・・・決して、もう二度と」
──あなたの傍を、離れない。
冷たい瞳、熱い声。
オルギールは赤い舌を伸ばして、私の唇を、ねっとりと、濃密に舐め上げた。
不覚にも、全身を震わせてしまう。
「親密になれば、あなたは気が楽になりますか?・・・理屈がないと納得できないリヴェア様」
「んんっ、んむぅ・・・んんん・・・」
「感じるだけでいいと。・・・理屈など不要と言いましたのに」
べろべろと唇を舐め回され、息ができるようなできないような。苦しくてたまらない。
逃れようにもオルギールの本気モードの力は物凄くて、顔を左右に逸らすことさえできない。
ひたすら、私の唇を蹂躙したあとは、当然のように舌が侵入してきて、だらしなく半開きになった私の口腔を責め立て、たまった唾液を啜られた。
この頃には、もうからだに力なんて入らなくなっていて、オルギールの胸にもたれかかりながら肩で息をしているありさまだ。だから、もう、抵抗する気力なんてなくなっているのに。
「素直になったかと思えば、あなたという方は。・・・親密に、なるとしましょうか」
「オルギール、待っ・・・」
最後まで言うことはできなかった。
私をくちづけで黙らせ、立ちあがり、オルギールは私を抱いたまま、浴槽にその長身を沈めた。
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