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いまさらですが火竜の君は絶倫でした。~オーディアル城滞在記~3.
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何品か厨房長の指揮によりご立派なメニューが加わったが、シグルド様は私の手料理をおかわりしまくって超絶ご機嫌で夕食を終えた。
言葉も態度も出し惜しみしないのが公爵様たち、というかこちらの世界の男性の特徴である。シグルド様は手放しで料理をほめちぎり(たいしたものではないのだが)、夕食の席のおめかしについても絶賛し(どこかの城で着せられるようなお胸強調ではない衣装だ)、自分の体調不良を私が心配してこちらへ来たことへの感謝感激をありったけの言葉を尽くして披露してくれたが、ずうっと私の気持ちは晴れなかった。
晴れないどころか暗雲垂れ込め、ゴロゴロと雷が鳴っていたと言ってよい。
疑惑の確証がないだけに土砂降りとはなっていないだけで。
……シグルド様の長衣から出てきた手紙は女性からのものらしかった。
極上の紙に書かれた繊細な筆致。微かに鼻腔を擽る花の香り。
愛しい方へ、と始まる手紙には、受け取る側、つまりシグルド様の立場をおもんぱかってか、名を明記してはいない。
だから一瞬、「誰か違うひとへの手紙かも」と期待したのだけれど。
勇気を出して手紙を広げて目を走らせたとたん、淡い期待は木っ端みじんに吹き飛んだ。
(赤い花を見ればあなたさまの髪を。空を見上げればあなたさまの美しい瞳を思い出すのです)
緋色の髪、空色の瞳。
そのまんま、火竜の君のことではないか。
まず頭を一発ぶん殴られた気持ちになった。
(夢のような一夜でございました。わたくしはいっそこのまま死んでもいいとさえ思いました)
(わたくしを哀れんで下さったに過ぎないことは承知しておりますのに)
(アルバへお供したい、お連れ下さいと思わず泣きだした愚かしいわたくしを優しく諫め、思い出のよすがにと指環まで下さって)
連綿と恋する女ごころが書き連ねられて。
(------わたくしにも婚約者がおります。あなたさま同様に。ですからよすがなど頂けません。いえ、頂くべきではないのでしょう。ですからこれはお返し致します)
だから、指環が入っていたのか。
(たとえ一夜限りと言えど、あの時、あの瞬間だけは真実、わたくしを愛して下さった。そう思うことをお許し下さい)
(あなたさまの温かさ。麗しいお姿。生涯忘れることはないでしょう。どうか、お元気で。お幸せに)
あの後、差出人の名前のない手紙を元通りにして、部屋を出た。
ミリヤムさんはゆっくりと振り向いておそらくは強張った表情の私を見て、瞬時に事の次第を悟ったらしい。どこまで正確に、かはわからないが、少なくともシグルド様の女性関係のことだと推測したらしい。
「いつでもお力になりますから」
ひとことだけそう言って、さあそろそろ参りましょう、と私を促したのだった。
それからはずっとずっとずうっと、私の思考の一部はあの手紙のこと、指環のこと、その向こうにいる女性のことで占められている。
どんな女性だろう。何色の髪だろう?緑柱石の指環だった。緑色の瞳だろうか。それとも緑髪?
文面からするとがつがつした肉食系じゃない。たおやかで、けれど芯の強い女性。
あんなにもシグルド様に恋した様子なのに、頂いたものを返すなんて。
どんなに勇気のいることだったろう……
食事の間中、久々に私の中の女優モードが発動した。
つまり、楽しそうなふり。シグルド様との会話に、食事に、集中しているふりを全力で演じて。
まあ食事がおいしかったのも、シグルド様の帰城までのお話が面白かったのも事実ではあるから、何から何まで「ふり」でもなかったけれど。
朗らかにお話をするシグルド様。
空色の瞳に蕩ける甘さを絡めて見つめてくる。
私だけに見せてくれる表情。そう思っていた。そう思いたいのに。
この手紙の女性にも見せていたのだろうか。
シグルド様の私への愛情。それを疑ってはいないし疑ったことはない。
でもあの手紙からすると、ようは旅先で女性を抱いた、ってことだ。
指環まであげたのだ。少なからずお気に召したに違いない。
一晩だけとかお情けとか。そんなことは私には関係ない。
身分の高い男性のことだ。まして、これほど美しくて優しいシグルド様。夜伽の女性など自薦他薦を問わず掃いて捨てるほどいるのはわかる。わかっていた、つもりだ。
でも私は。
おめでたいことに、婚約者たちの女性関係についてまるで気にしたことがなかったのだった。
公爵様方もオルギールも、競うように溢れんばかりの愛情を私にぶつけてくれて、「四人の夫を持つのはたいへんだなあ、私、身がもつかな」と思うばかりで、まさか自分が嫉妬することになるなんて、毛筋ほども想像したことはなかったのだ。
気持ちが波立つ。大声を上げて無茶苦茶に走り回りたい気分。実際にやらないだけ。
何度、卓の下で、シグルド様から見えない自分の膝の上で、指がてのひらに食い込むほど強く手を握りしめたことだろう。
……やがて食事は終わり、お茶を頂くため居間に場所を移して、促されるままシグルド様と隣同士ぴったりくっついて長椅子に腰かけていた私の手に、「姫、これを」と小さな箱が載せられた。
優美な花柄の包みに薄紅色のリボンがかかっている。
「これは?」
尋ねはしたが、装身具かな、と思う。この形状と重みからすると。
「土産だ。食後に、と言ったろう?」
シグルド様は私の頬と手の甲を撫でまわしながら言った。
嫉妬という名の底なし沼にどっぷりとはまりっぱなしだったから、抵抗こそしないものの包みを開けようとはせずに、ただぼんやりと手渡された物を見つめていると、
「他にもたくさんあるが、とりあえずこれを。開けてみてくれないか?」
シグルド様は優しく、けれどちょっとだけ急かすように言った。
正直、お土産なんてどうでもよかったけれど、こうまで言われて「後で見ます」とは言えないだろう。
ありがとうございます、と一応きちんと礼を述べてから、のろのろと開封した。
鋲を打った革の箱。
開けてみれば、やはり指環。
お揃いの首飾りもある。
中心に緑柱石がセットされて、周囲を小さめの藍玉が取り巻いている。空色と緑色、なかなか斬新な色使いなのだけれど、緑色の深みと空色の透き通るような軽やかさの対比が素晴らしく、びっしりと彫り込まれた金の台座が重厚感を加味していて、とても素敵な指環と首飾り。
……さっきの指環も緑柱石だった。
瞬時にそれを思い出して、私はまた静かに打ちのめされる。
私は宝石好きなだけあってそれなりに目利きだと自負している。
こちらの指環のほうが数段豪勢なことはわかるけれど、台座の細工、全体の醸す雰囲気。
同じ店の商品、あるいは同じ職人が手掛けたものだ。
シグルド様はどんな気持ちで、どんな顔で選んだのだろう。
あの指環を……
「緑柱石はユリアスの瞳の色なのが癪に障るが」
小箱の蓋を開けたきり、眺めているだけの私に焦れたように、シグルド様は指環をそっと手に取った。
「店で一番良いものを、と出させたらたまたま緑柱石ばかりだったんだ。でもこれは俺の色が取り巻いているからまあいいかと」
緑柱石「ばかり」?
他にも候補があったわけだ。
で、これを私に。あの繊細で華奢な指環をあの女性に。
……むかむかする。
食事のせいじゃない。
嫉妬だ。そして怒り。
夜伽の女性への贈り物と婚約者である私へのお土産を、同じ店で買い求めたのだ。
腹が立ってむかついて、むかつきすぎて沈黙している私の手をそっと持ち上げ、シグルド様は右手の中指にお土産の指環を嵌めようとして。
ぱしん、と軽い音がした。
指環が飛んで、ぼとりと床に落ちる。柔らかな絨毯が敷かれているのでころころと転がることはなく、落下したその場所で静かに絨毯の柄の一部と化している。
「姫?」
「あ、……」
手をはたかれたシグルド様は茫然としている。
無意識の行為に私自身も言葉を失って、落ちた指環とシグルド様を交互に見た。
咄嗟にシグルド様の手を振り払ってしまったのだ。
他のひとに指環をやった同じ手で、私の手に指環を嵌めさせるなんて嫌だったから。
……想像してしまった私は悪くないはずだ。
連れて行ってほしいと泣く女性の手を取って指環を嵌めてやるシグルド様。
だいたいそもそもなんだって指環なのか。
シグルド様が手フェチだからに違いないと思う。
女性のことを、百歩譲っても女性の手をお気に召したのだ。だからきっと指環を買ってやったんだ。首飾りでも腕輪でもなく。
ヤキモチで思考がぐちゃぐちゃになり、怒りで眩暈がしそうだ。
「どうした、姫。気に入らなかったか?」
座ったまま少し身を屈め、落ちた指環を拾いながらシグルド様は言った。
心もち眉を下げたシグルド様が恨めしい。
美しい大型犬が尻尾をだらりと垂らしてうなだれているように見えてしまう。
立腹しているのだけれど、私がとんでもなく無体なことをしているように感じる。
腹が立っているのに良心が疼く。
理不尽だ。
なぜ私が罪悪感を感じなくてはならないのか。
旅先で女を抱いて、お優しく贈り物までやって、そして平気な顔で同じ店の品を婚約者である私に渡す、無神経なシグルド様が悪い。
私は悪くない、と自分に言い聞かせる。
「姫、どうした?」
手を振り払われても、シグルド様の声はあくまでも優しい。
私への気遣いに溢れていて、そしてまた気持ちがぐらぐらしたけれど。
「気分が悪いのか?」
「ものすごく悪いです!」
勇を奮って私はシグルド様を睨みつけた。
シグルド様は鳩豆を食らったように空色の目を見開いていたが、
「気分が悪いなら医師を呼ぼうか。オルギール以外の」
とひどくズレたことを言って、私をさらに苛立たせた。
言葉も態度も出し惜しみしないのが公爵様たち、というかこちらの世界の男性の特徴である。シグルド様は手放しで料理をほめちぎり(たいしたものではないのだが)、夕食の席のおめかしについても絶賛し(どこかの城で着せられるようなお胸強調ではない衣装だ)、自分の体調不良を私が心配してこちらへ来たことへの感謝感激をありったけの言葉を尽くして披露してくれたが、ずうっと私の気持ちは晴れなかった。
晴れないどころか暗雲垂れ込め、ゴロゴロと雷が鳴っていたと言ってよい。
疑惑の確証がないだけに土砂降りとはなっていないだけで。
……シグルド様の長衣から出てきた手紙は女性からのものらしかった。
極上の紙に書かれた繊細な筆致。微かに鼻腔を擽る花の香り。
愛しい方へ、と始まる手紙には、受け取る側、つまりシグルド様の立場をおもんぱかってか、名を明記してはいない。
だから一瞬、「誰か違うひとへの手紙かも」と期待したのだけれど。
勇気を出して手紙を広げて目を走らせたとたん、淡い期待は木っ端みじんに吹き飛んだ。
(赤い花を見ればあなたさまの髪を。空を見上げればあなたさまの美しい瞳を思い出すのです)
緋色の髪、空色の瞳。
そのまんま、火竜の君のことではないか。
まず頭を一発ぶん殴られた気持ちになった。
(夢のような一夜でございました。わたくしはいっそこのまま死んでもいいとさえ思いました)
(わたくしを哀れんで下さったに過ぎないことは承知しておりますのに)
(アルバへお供したい、お連れ下さいと思わず泣きだした愚かしいわたくしを優しく諫め、思い出のよすがにと指環まで下さって)
連綿と恋する女ごころが書き連ねられて。
(------わたくしにも婚約者がおります。あなたさま同様に。ですからよすがなど頂けません。いえ、頂くべきではないのでしょう。ですからこれはお返し致します)
だから、指環が入っていたのか。
(たとえ一夜限りと言えど、あの時、あの瞬間だけは真実、わたくしを愛して下さった。そう思うことをお許し下さい)
(あなたさまの温かさ。麗しいお姿。生涯忘れることはないでしょう。どうか、お元気で。お幸せに)
あの後、差出人の名前のない手紙を元通りにして、部屋を出た。
ミリヤムさんはゆっくりと振り向いておそらくは強張った表情の私を見て、瞬時に事の次第を悟ったらしい。どこまで正確に、かはわからないが、少なくともシグルド様の女性関係のことだと推測したらしい。
「いつでもお力になりますから」
ひとことだけそう言って、さあそろそろ参りましょう、と私を促したのだった。
それからはずっとずっとずうっと、私の思考の一部はあの手紙のこと、指環のこと、その向こうにいる女性のことで占められている。
どんな女性だろう。何色の髪だろう?緑柱石の指環だった。緑色の瞳だろうか。それとも緑髪?
文面からするとがつがつした肉食系じゃない。たおやかで、けれど芯の強い女性。
あんなにもシグルド様に恋した様子なのに、頂いたものを返すなんて。
どんなに勇気のいることだったろう……
食事の間中、久々に私の中の女優モードが発動した。
つまり、楽しそうなふり。シグルド様との会話に、食事に、集中しているふりを全力で演じて。
まあ食事がおいしかったのも、シグルド様の帰城までのお話が面白かったのも事実ではあるから、何から何まで「ふり」でもなかったけれど。
朗らかにお話をするシグルド様。
空色の瞳に蕩ける甘さを絡めて見つめてくる。
私だけに見せてくれる表情。そう思っていた。そう思いたいのに。
この手紙の女性にも見せていたのだろうか。
シグルド様の私への愛情。それを疑ってはいないし疑ったことはない。
でもあの手紙からすると、ようは旅先で女性を抱いた、ってことだ。
指環まであげたのだ。少なからずお気に召したに違いない。
一晩だけとかお情けとか。そんなことは私には関係ない。
身分の高い男性のことだ。まして、これほど美しくて優しいシグルド様。夜伽の女性など自薦他薦を問わず掃いて捨てるほどいるのはわかる。わかっていた、つもりだ。
でも私は。
おめでたいことに、婚約者たちの女性関係についてまるで気にしたことがなかったのだった。
公爵様方もオルギールも、競うように溢れんばかりの愛情を私にぶつけてくれて、「四人の夫を持つのはたいへんだなあ、私、身がもつかな」と思うばかりで、まさか自分が嫉妬することになるなんて、毛筋ほども想像したことはなかったのだ。
気持ちが波立つ。大声を上げて無茶苦茶に走り回りたい気分。実際にやらないだけ。
何度、卓の下で、シグルド様から見えない自分の膝の上で、指がてのひらに食い込むほど強く手を握りしめたことだろう。
……やがて食事は終わり、お茶を頂くため居間に場所を移して、促されるままシグルド様と隣同士ぴったりくっついて長椅子に腰かけていた私の手に、「姫、これを」と小さな箱が載せられた。
優美な花柄の包みに薄紅色のリボンがかかっている。
「これは?」
尋ねはしたが、装身具かな、と思う。この形状と重みからすると。
「土産だ。食後に、と言ったろう?」
シグルド様は私の頬と手の甲を撫でまわしながら言った。
嫉妬という名の底なし沼にどっぷりとはまりっぱなしだったから、抵抗こそしないものの包みを開けようとはせずに、ただぼんやりと手渡された物を見つめていると、
「他にもたくさんあるが、とりあえずこれを。開けてみてくれないか?」
シグルド様は優しく、けれどちょっとだけ急かすように言った。
正直、お土産なんてどうでもよかったけれど、こうまで言われて「後で見ます」とは言えないだろう。
ありがとうございます、と一応きちんと礼を述べてから、のろのろと開封した。
鋲を打った革の箱。
開けてみれば、やはり指環。
お揃いの首飾りもある。
中心に緑柱石がセットされて、周囲を小さめの藍玉が取り巻いている。空色と緑色、なかなか斬新な色使いなのだけれど、緑色の深みと空色の透き通るような軽やかさの対比が素晴らしく、びっしりと彫り込まれた金の台座が重厚感を加味していて、とても素敵な指環と首飾り。
……さっきの指環も緑柱石だった。
瞬時にそれを思い出して、私はまた静かに打ちのめされる。
私は宝石好きなだけあってそれなりに目利きだと自負している。
こちらの指環のほうが数段豪勢なことはわかるけれど、台座の細工、全体の醸す雰囲気。
同じ店の商品、あるいは同じ職人が手掛けたものだ。
シグルド様はどんな気持ちで、どんな顔で選んだのだろう。
あの指環を……
「緑柱石はユリアスの瞳の色なのが癪に障るが」
小箱の蓋を開けたきり、眺めているだけの私に焦れたように、シグルド様は指環をそっと手に取った。
「店で一番良いものを、と出させたらたまたま緑柱石ばかりだったんだ。でもこれは俺の色が取り巻いているからまあいいかと」
緑柱石「ばかり」?
他にも候補があったわけだ。
で、これを私に。あの繊細で華奢な指環をあの女性に。
……むかむかする。
食事のせいじゃない。
嫉妬だ。そして怒り。
夜伽の女性への贈り物と婚約者である私へのお土産を、同じ店で買い求めたのだ。
腹が立ってむかついて、むかつきすぎて沈黙している私の手をそっと持ち上げ、シグルド様は右手の中指にお土産の指環を嵌めようとして。
ぱしん、と軽い音がした。
指環が飛んで、ぼとりと床に落ちる。柔らかな絨毯が敷かれているのでころころと転がることはなく、落下したその場所で静かに絨毯の柄の一部と化している。
「姫?」
「あ、……」
手をはたかれたシグルド様は茫然としている。
無意識の行為に私自身も言葉を失って、落ちた指環とシグルド様を交互に見た。
咄嗟にシグルド様の手を振り払ってしまったのだ。
他のひとに指環をやった同じ手で、私の手に指環を嵌めさせるなんて嫌だったから。
……想像してしまった私は悪くないはずだ。
連れて行ってほしいと泣く女性の手を取って指環を嵌めてやるシグルド様。
だいたいそもそもなんだって指環なのか。
シグルド様が手フェチだからに違いないと思う。
女性のことを、百歩譲っても女性の手をお気に召したのだ。だからきっと指環を買ってやったんだ。首飾りでも腕輪でもなく。
ヤキモチで思考がぐちゃぐちゃになり、怒りで眩暈がしそうだ。
「どうした、姫。気に入らなかったか?」
座ったまま少し身を屈め、落ちた指環を拾いながらシグルド様は言った。
心もち眉を下げたシグルド様が恨めしい。
美しい大型犬が尻尾をだらりと垂らしてうなだれているように見えてしまう。
立腹しているのだけれど、私がとんでもなく無体なことをしているように感じる。
腹が立っているのに良心が疼く。
理不尽だ。
なぜ私が罪悪感を感じなくてはならないのか。
旅先で女を抱いて、お優しく贈り物までやって、そして平気な顔で同じ店の品を婚約者である私に渡す、無神経なシグルド様が悪い。
私は悪くない、と自分に言い聞かせる。
「姫、どうした?」
手を振り払われても、シグルド様の声はあくまでも優しい。
私への気遣いに溢れていて、そしてまた気持ちがぐらぐらしたけれど。
「気分が悪いのか?」
「ものすごく悪いです!」
勇を奮って私はシグルド様を睨みつけた。
シグルド様は鳩豆を食らったように空色の目を見開いていたが、
「気分が悪いなら医師を呼ぼうか。オルギール以外の」
とひどくズレたことを言って、私をさらに苛立たせた。
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