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いまさらですが火竜の君は絶倫でした。~オーディアル城滞在記~2.
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ひゅん、と眼前を赤いものが横切った。
シグルド様の美しい髪だ。
……私の腰はシグルド様の手に。
瞬間移動した彼の腕の中に。
そして。
「ちょ、っと、シグルド様」
我ながら声が上ずる。
ざらりとした温かい舌が私の指を捉えていた。
人前で、なんてことをするのだ。
とっくにあれこれ過激なことをしている間柄とはいえ、恥ずかしいったらない。
衛兵たちはある程度慣れているだろうけれど。当の本人、私の羞恥心はまだまだ健在である。
「おやめになって。血がまだ出て」
「もったいない」
シグルド様は即答した。
私の腰を捉えていないほうの手で私の手をとり、傷ついた指を舐め回している。
ぴちゃぴちゃと舌の這う音が生々しい。
指先から伝わる感触もなんだか卑猥で逃げ出したくなってくる。
やがてシグルド様は私の指先を口に含み、ちゅう、と音を立てて吸い上げた。
あまい、とか呟いている。目を閉じて恍惚としている。
まずい。フェチ発動だ。
衛兵は微妙に目をそらしてくれているが、厨房の面々は顔を赤くしつつも揃ってガン見している。
公開羞恥プレイはごめんだ。
「シグルド様!」
「ん……?」
「お帰りなさいませ!!」
いうが早いか、私は伸びあがって自分からシグルド様の頬に口づけた。
「ひめ……!?」
シグルド様はぱちっと目を開けた。正気に返ったらしい。
ざわ、とどよめきがあがるが、その理由について考えたら負けである。
名君と名高いシグルド様が婚約者の指を舐め回してうっとりしているところなど見せるべきではない。
普通に口づけるよりずっとエロいと思うのだ。
私は素早く自分の指を取り戻して前掛けにくるんだ。
ちら、と名残惜しそうな視線に追いかけられたような気がしたが、とにもかくにもシグルド様はようやくしっかりと私を視界に収めてくれた。
全身に目を走らせてからもう一度私の目をみつめ、ふわりと笑う。
やさしい、穏やかな笑顔。
不覚にも胸がきゅんとする。
「俺を迎えに来てくれたのか、姫?」
さっきまで変態行為にうつつを抜かしていたのが嘘のように、爽やかに微笑んでシグルド様は言った。
私の手への執着を中断させ、空いた手で頬を撫でている。
「嬉しいな。面白くもない外交だったが」
熱っぽく囁いて唇を寄せてくる。
「おかえりなさい、はたまらんな」
柔らかく目元をほころばせたシグルド様のお顔がどんどん近づいてきて、やがて視界一杯になって思わず目を閉じる。
吐息が私の唇をかすめる。
……情熱的で色っぽいレオン様、常にヤらしいオルギール、クールな美貌と正反対の、でろ甘ユリアス。
そのいずれとも異なる爽やかさ、甘さを湛えた空色の瞳は破壊力抜群だったが、負傷した指がじんじん痛くなってきたので、私はいつものようにすぐふらふらしたりしなかった。結構なことである。
毅然とした態度でシグルド様の抱擁と口づけをすり抜けた。
「シグルド様のおからだが心配で参りましたのよ!」
「からだ?」
口づけをスルーされたシグルド様はちょっとだけ眉をひそめつつも、綺麗な目を数回、怪訝そうにぱちぱちとさせた。
「このとおり元気だが」
「回復されましたの?でも、とってもひどい食あたりだって」
「俺は大丈夫だった」
シグルド様はけろりとしている。
なんですと?
私は傍らに控えるミリヤムさんと目を見合わせた。
「でもでも、とても体力を消耗されて、予定を切り上げて帰途につかれたって」
「同行した者たち、相当数は確かにそのとおりだが」
よく知ってるな。でも微妙に違ってるぞとシグルド様は言った。
「俺は大丈夫だ。あちこちで歓待を受け、何かにつけ食物を捧げられるからな。いちいち出されたもの全部口にするわけではない。晩餐会でもなければ」
「はあ」
「ひとくちふたくち、‘食してみせる’だけだ。民の手前もあるし。で、残りは全部供周りの者に下げ渡す」
「はあ」
「毒見などは徹底的にするんだがな。よもや傷んでいるとは。俺はちょっとむかむかしただけだが平らげた者たちはとんでもない目にあった。村の者は蒼白で今も倒れた者たちの看病にあたっている」
私はミリヤムさんを見た。
ミリヤムさんも私を見て、姫様、と呟いた。
やられた……
「供の半数以上が倒れて、危機管理の問題もある。どのみち残りの日程は領内の見回り程度だったからとりやめにして、俺や軽症だった者だけ先に出発したのだ」
だから俺は大丈夫、姫。
シグルド様はいたって快活に言って締めくくった。
「……シグルド様が大事に至らず何よりでございました」
私は棒読みで言った。
シグルド様に罪はないが少々むかつく。
くっつけ隊はまた私をたばかった。
ずいぶん突飛な話だったからかえって信用したのだ。今回の話は本当だと思ったのに。
いや、私が悪いのか。中将はただの一度も「シグルド様は」と言わなかったな。
終始、「シグルド様ご一行は」と言っていた。
「くっそう……」
「姫様」
品のない独り言とともに拳を震わせる私を、ミリヤムさんがそっとたしなめた。
私やミリヤムさんの反応は微妙なものだったからだろう。「私のお迎え」に上機嫌なシグルド様以外は沈黙して成り行きを見守っているようだ。怖いくらい周囲の反応がない。
「……シグルド様、ノルドグレーン中将はどちらに」
「俺と入れ違いに出発したぞ」
「はあ!?」
姫様!とミリヤムさんはまたはらはらして私の袖をそっと引いた。
剣呑な声と表情を自覚する。私は強張る頬を赤くなるほど強く撫で擦った。
シグルド様も私の様子がおかしいことに気づいた様子だ。
中将が何か、と言って首を傾げている。
「何か用事があったのか?彼は一週間くらい不在にするぞ。呼び戻した方がいいなら」
「いえ、シグルド様。結構ですわ」
中将め。
したたかなオヤジだ。
ウソがばれてもいいように自分は逃げ出すとは。
腹を立て、脱力して。痛む指をまた舐めながら立ち尽くしていると、
「……あの、姫様」
遠慮がちに厨房長が声をかけてきた。
「何?」
「米が煮えてきましたが」
そうだった。
消化の良い栄養のあるもの、と思ったけれど。
お肉のスープはいい香りだし、ふつふつと煮立ってきたお米の鍋にはすりおろし野菜を投入するばかりになっている。一緒に刻んだ香草の香りが食欲をそそる。
私はのろのろとそれらを目にした。
ウソつかれて必死になって指をケガして。馬鹿みたいだな、私。
……まあでも捨てるのも惜しいからとりあえず続けるか。
「えっと、じゃあそれに野菜を」
「姫、料理を?」
シグルド様はまた距離を詰めてさりげなく私の肩を抱いた。
温かい大きな手で肩を撫でている。
「ええ、まあ。……具合が悪いと伺ったので……」
「俺のために?」
声が弾んでいる。
私は黙って頷く。
ノルドグレーン中将に一杯食わされたのがいまいち腹立たしくて顔を上げられない。
でもシグルド様の声は浮き立つようで、とてもとても嬉しそうで。
「姫、俺のために手料理を?さっきは医者に出迎えられた。俺を心配して姫が手配を?」
「……そうですわ」
ガセネタだったようですが、と口の中だけで付け加えた。
優しいシグルド様を傷つけるのは本意ではない。
中将はあとでとっちめるとして、いつまでもぷりぷりしていてはだめだ、と思いなおす。
私は、あらためてシグルド様を見上げ、にっこりした。
シグルド様も輝くお日様みたいな笑顔を返してくれる。
姫、かわいい、と言って肩を撫でていた手でそのまま私を抱き寄せてきた。
頬にちゅ、とされたがまあこの程度なら人前でも許容範囲であろう。
少なくとも手を舐め回されるよりもずっとマシだ。
そう思って抵抗しなかったら、少々調子に乗ったらしいシグルド様はちゅっちゅと連続して口づけし始めた。肩を抱く手に力が加わり、空いた手は私の後頭部を捉えて髪を梳くように撫でている。
「シグルド様、冷静に」
まずい。シグルド様が盛り上がってきた。
衛兵の沈黙が痛い。抱きしめられたまま目を泳がせると温く微笑みつつてんでに目を逸らせている。
お米の煮立つ匂いがする。
厨房の連中は眼前のいちゃいちゃに慣れていないに違いない。どんどんざわざわし始めたが、職務に忠実らしい厨房長がもう一度「姫、米が」と言った。
この機をとらえなくては。
「シグルド様」
「ん?」
「お料理、もうすぐできますから。あちらでお待ち下さいな」
「俺も手伝う」
また厨房の連中がどよめいた。
当然だ。公爵様ですよ。
魚もさばける公爵様、といったって、野営の延長だろう。料理の腕は期待していない。
こんな図体で、もとい、立派な体格のひとに厨房をうろうろされてはかなわない。
と、そこへ、
「閣下、失礼致します」
衛兵の間からきびきびとした声がかけられた。
「何の用だ」
シグルド様は私をしっかりと抱いたまま言った。
耳元でものを言うのはやめてほしい。シグルド様の声もよく響くいい声なのだ。ぞくぞくする。
「手短に言え」
「至急の要件にて。筆頭公爵閣下からの伝令が参っております」
家宰は主のイチャイチャを歯牙にもかけず言った。
オーディアル公爵家の家宰は五十くらいの壮年の男だ。冷静でいかにも有能そうな彼とは既に何度か親しく話をしている。私がわたわたしているの知ってのことか、イチャコラを中断させられたシグルド様のあからさまにむっとした応答にもまるで動じない。
「いますぐお越しを」
「……お前、ちょっとは空気を」
「さ、シグルド様」
シグルド様は不承不承、という感じで手を緩めた。
家宰、グッジョブである。
腕の拘束を抜け出した私と目が合うと、穏やかに微笑んで一礼した。
「シグルド様、のちほど。お仕事をないがしろにされてはなりません」
「わかった。……で、姫」
シグルド様は衛兵に取り囲まれ、連行さながらに歩き始めながらもしつこく振り返って言った。
そんなに距離を詰めるな、邪魔だと家宰と衛兵にあたっている。
「土産があるんだ。食事のとき渡すから楽しみに」
「お待ちしてますわ、シグルド様」
小さく手を振ると、シグルド様は片手を上げて応じて、歩み去った。
「……お待たせ、続けましょうか」
私は再び鍋の前に立った。
火加減を調整してくれていたのだろう、煮立ってきてはいるが焦げ付く様子もなくイイ感じだ。
柔らかいほうがいいもの。火を通しすぎると栄養価が損なわれるもの。
素材の特徴を考えながら順を追って投下してゆく。
お元気そうだ。考えてみたら、ガセネタでよかった。
優しくてあったかい気持ちになるシグルド様の笑顔を思い出すと、私の顔も緩んできてしまう。
お元気ならこの食事だけじゃ足りないかも。何か増やそうか。
でもあとは厨房の人たちにお任せしようかな。いきなり彼らの仕事を取り上げてしまったわけだし。
リゾットはほぼ出来上がったも同然だし、お肉でダシをとったスープも(何しろ極上の素材だろうから)いいお味だ。
私は厨房の面々の協力に感謝を伝え、私の気まぐれが終わって明らかにほっとしたらしいミリヤムさんを連れて、食事の時間まで城内を散策することにした。
******
案内を乞うことなく、気ままにふらふらと城内を見て回る。
「散策」は本当に楽しい。解説が欲しければそのへんのひとを捕まえて聞けばいい。別にわからなくてもいい。食事の時にでもシグルド様に尋ねればいい。
先入観かもしれないけれど、三公爵のお城はそれぞれ公爵様方のカラーが反映しているような気がする。
エヴァンジェリスタ城は華麗、ラムズフェルド城は優美。オーディアル城は豪壮。
つまり、このお城はたぶん一番広い。
何度も訪れているとはいえ案内人なし、かつ無目的にふらつくのは初めてだ。
私は道に迷わない程度にうろうろして窓外の眺めを楽しみ、扉の空いた部屋を覗きこみ、そこかしこの調度品に触れて尚も歩き続けていたら、たくさんの人々が出入りする一角にたどり着いた。
大きいもの小さいもの。小型の、しかし高価そうなもの。長持とか衣装箱とか、そういうたぐいのものだ。
「荷ほどきしてるのね、きっと」
私が言うと、ミリヤムさんも「さようでございますね」と相槌を打った。
邪魔にならない程度にそうっと覗き見ていると、やがて皆、気づいたらしい。姫様、と言って手を止めて礼を取る彼らに「どうかそのまま続けて」と声をかける。
責任者らしき人が近づいてきて、衣料品などは洗濯したり修繕したり、不審物が紛れていないか検品したりするのだと簡単に解説してくれた。
献上品とか公爵様の私物とか。高価でこまごましたものはこちらに、と小部屋にも入れてくれる。
お部屋の前は警備が厳重だったが、もちろん私は顔パスである。
いかにも高価そうな、装飾の綺麗な箱が山積みだ。
貴重品が多々あるのとシグルド様の私物、という性質上、家宰の指示のもと公爵様直属の小姓だけが荷解きをするのだそうで、部屋にはまだ誰もいない。
「触ってもいい?」
念のために尋ねると、勿論でございます、と言われたので、遠慮なく触れる。
うわあ楽しい、と箱を撫でたりちょっと蓋を開けてみたりする。
アンティークショップに来たみたいだ。箱だけでも本当に美しい。
彫刻の施された飴色に光る木箱。補強の金古美色の金具がまたいい味を出していて、宝探しに来た気分。
宝石だの絵だのにひとしきり興じた後、とりわけ豪華で大きな長持の蓋をずらすと、煌びやかな衣装がたくさん入っていた。
「公爵様の盛装でございますね」
ミリヤムさんは感嘆のため息を吐きながら言った。
忙しいだろうから責任者は下がらせて、部屋には私とミリヤムさんだけだ。
私は長衣を面白半分に引きずり出した。
深海の青に金糸の縫い取り。釦は透き通った青い石。おそらく本物の宝石だろう。
これを身に着けたシグルド様を想像してみる。
堂々たる体躯と対照的な繊細な美貌。群青色の衣装の仕上げをするのは、紅玉を溶かして染め上げたような素晴らしい緋色の髪。
本当に美しい火竜の君。私の妖精王。
長衣は豪華な生地だしシグルド様仕様のものだから当然ながら大きい。「長衣」だから半端なく長い。
眺めていても仕方がないので手を通してみたが、ちょっとしたドレスのようだ。
姫様、お似合いですわとミリヤムさんが調子のよいことを言うので気をよくして部屋を一周してみた。
重いけれど着心地はいい。素晴らしい衣装だなと感心しながらゆっくり歩き、壁の隅の姿見の前に立ってポーズを決めてみる。
腰回りに手を当てると、隠しポケットがあるようだ。
何気なしに手を入れてみると、指が何かに触れた。
「?」
手触りの良い紙。極上のものとわかる。透かし模様が入っているようだ。
宛名の無い封筒。丁寧に、封が剥がされていて。
手紙だ。
「姫様、それは?」
「手紙、みたいだけれど……」
すう、と脳が冷える。
大切そうにしまい込まれた手紙。
シグルド様宛の?
……勝手に読んじゃいけない。
私宛のものではないのだから。だけど。
「姫様、お読みなさいませ」
ミリヤムさんは言った。
思わず、顔を上げる。
優しくて思いやりがあって。穏やかなミリヤムさんからは思いもよらぬきっぱりとした声。
「あなた、なんてこと。……これはきっとシグルド様宛の」
「だからですわ、姫様」
私の愚かしい、表面的な非難の言葉を、ミリヤムさんは迷いのない口調で遮った。
「どんな内容かわたくしはお尋ねしません。無論、姫様がお話になられるならお聞きしとう存じますが」
「……」
「姫様は、オーディアル公爵様の妻になられるのです。妻は……女性は隠しごとがあってもよいとわたくしは思っております。けれど夫となる男性に隠しごとがあってはなりません。姫様は望まれてエヴァンジェリスタ公爵様以外の夫を持つことになられたのです。姫様に恋い焦がれ、乞われたから」
「ミリヤムさん」
「長衣に入れたままの手紙など、隠しごとと呼べるものではないのかもしれませんわ。とにかく、姫様」
わたくしはよそを向いておりますから、お開けなさいませ。
そして、場合によってはオーディアル公爵様を問い詰めておやりになればよろしいのですわ。
ミリヤムさんはそう締めくくって、優雅に音もなく数歩下がると背を向けた。
……いつも私の男装に萌えている彼女だけれど。
私を着飾らせることに気合を入れているけれど。
わかってはいた。人材ぞろいのグラディウス一族。あのレオン様の城で侍女を務める彼女。
言うべきことは言うひとなんだなあ、とこんな心境の時だけれど妙に感心してしまう。
公爵夫人として覚悟を決めろ、とも言っているのだろう。
だって、知らないほうが幸せなことだってあると思うのだ。
今の私はまさにそう。他人あての手紙など本来は読むものではないというのは表面的な口実に過ぎなくて、読んで傷つきたくないと思っている。
そしてあの微妙な言い回し。
まるでシグルド様が横恋慕して、私がそれに絆されて求婚を受け入れたみたいだ。
エヴァンジェリスタ城に仕える彼女が「レオン様推し」になるのは当然のことで、そこへあとから夫として加わったシグルド様が秘密を持つことなど許さないということか。
読みたい。
でも読むのが怖い。
でも読まないままなんてもうあり得ない。気になって気が狂いそうになるだろう。
私はよろよろと窓辺に立つと、封筒を開け、四つ折りにされた手紙を引き出した。
手紙とともに、ころん、と何かが手のひらの上に転がり出てくる。
緑柱石の美しい、華奢な指環。
……明らかに、女物の。
シグルド様の美しい髪だ。
……私の腰はシグルド様の手に。
瞬間移動した彼の腕の中に。
そして。
「ちょ、っと、シグルド様」
我ながら声が上ずる。
ざらりとした温かい舌が私の指を捉えていた。
人前で、なんてことをするのだ。
とっくにあれこれ過激なことをしている間柄とはいえ、恥ずかしいったらない。
衛兵たちはある程度慣れているだろうけれど。当の本人、私の羞恥心はまだまだ健在である。
「おやめになって。血がまだ出て」
「もったいない」
シグルド様は即答した。
私の腰を捉えていないほうの手で私の手をとり、傷ついた指を舐め回している。
ぴちゃぴちゃと舌の這う音が生々しい。
指先から伝わる感触もなんだか卑猥で逃げ出したくなってくる。
やがてシグルド様は私の指先を口に含み、ちゅう、と音を立てて吸い上げた。
あまい、とか呟いている。目を閉じて恍惚としている。
まずい。フェチ発動だ。
衛兵は微妙に目をそらしてくれているが、厨房の面々は顔を赤くしつつも揃ってガン見している。
公開羞恥プレイはごめんだ。
「シグルド様!」
「ん……?」
「お帰りなさいませ!!」
いうが早いか、私は伸びあがって自分からシグルド様の頬に口づけた。
「ひめ……!?」
シグルド様はぱちっと目を開けた。正気に返ったらしい。
ざわ、とどよめきがあがるが、その理由について考えたら負けである。
名君と名高いシグルド様が婚約者の指を舐め回してうっとりしているところなど見せるべきではない。
普通に口づけるよりずっとエロいと思うのだ。
私は素早く自分の指を取り戻して前掛けにくるんだ。
ちら、と名残惜しそうな視線に追いかけられたような気がしたが、とにもかくにもシグルド様はようやくしっかりと私を視界に収めてくれた。
全身に目を走らせてからもう一度私の目をみつめ、ふわりと笑う。
やさしい、穏やかな笑顔。
不覚にも胸がきゅんとする。
「俺を迎えに来てくれたのか、姫?」
さっきまで変態行為にうつつを抜かしていたのが嘘のように、爽やかに微笑んでシグルド様は言った。
私の手への執着を中断させ、空いた手で頬を撫でている。
「嬉しいな。面白くもない外交だったが」
熱っぽく囁いて唇を寄せてくる。
「おかえりなさい、はたまらんな」
柔らかく目元をほころばせたシグルド様のお顔がどんどん近づいてきて、やがて視界一杯になって思わず目を閉じる。
吐息が私の唇をかすめる。
……情熱的で色っぽいレオン様、常にヤらしいオルギール、クールな美貌と正反対の、でろ甘ユリアス。
そのいずれとも異なる爽やかさ、甘さを湛えた空色の瞳は破壊力抜群だったが、負傷した指がじんじん痛くなってきたので、私はいつものようにすぐふらふらしたりしなかった。結構なことである。
毅然とした態度でシグルド様の抱擁と口づけをすり抜けた。
「シグルド様のおからだが心配で参りましたのよ!」
「からだ?」
口づけをスルーされたシグルド様はちょっとだけ眉をひそめつつも、綺麗な目を数回、怪訝そうにぱちぱちとさせた。
「このとおり元気だが」
「回復されましたの?でも、とってもひどい食あたりだって」
「俺は大丈夫だった」
シグルド様はけろりとしている。
なんですと?
私は傍らに控えるミリヤムさんと目を見合わせた。
「でもでも、とても体力を消耗されて、予定を切り上げて帰途につかれたって」
「同行した者たち、相当数は確かにそのとおりだが」
よく知ってるな。でも微妙に違ってるぞとシグルド様は言った。
「俺は大丈夫だ。あちこちで歓待を受け、何かにつけ食物を捧げられるからな。いちいち出されたもの全部口にするわけではない。晩餐会でもなければ」
「はあ」
「ひとくちふたくち、‘食してみせる’だけだ。民の手前もあるし。で、残りは全部供周りの者に下げ渡す」
「はあ」
「毒見などは徹底的にするんだがな。よもや傷んでいるとは。俺はちょっとむかむかしただけだが平らげた者たちはとんでもない目にあった。村の者は蒼白で今も倒れた者たちの看病にあたっている」
私はミリヤムさんを見た。
ミリヤムさんも私を見て、姫様、と呟いた。
やられた……
「供の半数以上が倒れて、危機管理の問題もある。どのみち残りの日程は領内の見回り程度だったからとりやめにして、俺や軽症だった者だけ先に出発したのだ」
だから俺は大丈夫、姫。
シグルド様はいたって快活に言って締めくくった。
「……シグルド様が大事に至らず何よりでございました」
私は棒読みで言った。
シグルド様に罪はないが少々むかつく。
くっつけ隊はまた私をたばかった。
ずいぶん突飛な話だったからかえって信用したのだ。今回の話は本当だと思ったのに。
いや、私が悪いのか。中将はただの一度も「シグルド様は」と言わなかったな。
終始、「シグルド様ご一行は」と言っていた。
「くっそう……」
「姫様」
品のない独り言とともに拳を震わせる私を、ミリヤムさんがそっとたしなめた。
私やミリヤムさんの反応は微妙なものだったからだろう。「私のお迎え」に上機嫌なシグルド様以外は沈黙して成り行きを見守っているようだ。怖いくらい周囲の反応がない。
「……シグルド様、ノルドグレーン中将はどちらに」
「俺と入れ違いに出発したぞ」
「はあ!?」
姫様!とミリヤムさんはまたはらはらして私の袖をそっと引いた。
剣呑な声と表情を自覚する。私は強張る頬を赤くなるほど強く撫で擦った。
シグルド様も私の様子がおかしいことに気づいた様子だ。
中将が何か、と言って首を傾げている。
「何か用事があったのか?彼は一週間くらい不在にするぞ。呼び戻した方がいいなら」
「いえ、シグルド様。結構ですわ」
中将め。
したたかなオヤジだ。
ウソがばれてもいいように自分は逃げ出すとは。
腹を立て、脱力して。痛む指をまた舐めながら立ち尽くしていると、
「……あの、姫様」
遠慮がちに厨房長が声をかけてきた。
「何?」
「米が煮えてきましたが」
そうだった。
消化の良い栄養のあるもの、と思ったけれど。
お肉のスープはいい香りだし、ふつふつと煮立ってきたお米の鍋にはすりおろし野菜を投入するばかりになっている。一緒に刻んだ香草の香りが食欲をそそる。
私はのろのろとそれらを目にした。
ウソつかれて必死になって指をケガして。馬鹿みたいだな、私。
……まあでも捨てるのも惜しいからとりあえず続けるか。
「えっと、じゃあそれに野菜を」
「姫、料理を?」
シグルド様はまた距離を詰めてさりげなく私の肩を抱いた。
温かい大きな手で肩を撫でている。
「ええ、まあ。……具合が悪いと伺ったので……」
「俺のために?」
声が弾んでいる。
私は黙って頷く。
ノルドグレーン中将に一杯食わされたのがいまいち腹立たしくて顔を上げられない。
でもシグルド様の声は浮き立つようで、とてもとても嬉しそうで。
「姫、俺のために手料理を?さっきは医者に出迎えられた。俺を心配して姫が手配を?」
「……そうですわ」
ガセネタだったようですが、と口の中だけで付け加えた。
優しいシグルド様を傷つけるのは本意ではない。
中将はあとでとっちめるとして、いつまでもぷりぷりしていてはだめだ、と思いなおす。
私は、あらためてシグルド様を見上げ、にっこりした。
シグルド様も輝くお日様みたいな笑顔を返してくれる。
姫、かわいい、と言って肩を撫でていた手でそのまま私を抱き寄せてきた。
頬にちゅ、とされたがまあこの程度なら人前でも許容範囲であろう。
少なくとも手を舐め回されるよりもずっとマシだ。
そう思って抵抗しなかったら、少々調子に乗ったらしいシグルド様はちゅっちゅと連続して口づけし始めた。肩を抱く手に力が加わり、空いた手は私の後頭部を捉えて髪を梳くように撫でている。
「シグルド様、冷静に」
まずい。シグルド様が盛り上がってきた。
衛兵の沈黙が痛い。抱きしめられたまま目を泳がせると温く微笑みつつてんでに目を逸らせている。
お米の煮立つ匂いがする。
厨房の連中は眼前のいちゃいちゃに慣れていないに違いない。どんどんざわざわし始めたが、職務に忠実らしい厨房長がもう一度「姫、米が」と言った。
この機をとらえなくては。
「シグルド様」
「ん?」
「お料理、もうすぐできますから。あちらでお待ち下さいな」
「俺も手伝う」
また厨房の連中がどよめいた。
当然だ。公爵様ですよ。
魚もさばける公爵様、といったって、野営の延長だろう。料理の腕は期待していない。
こんな図体で、もとい、立派な体格のひとに厨房をうろうろされてはかなわない。
と、そこへ、
「閣下、失礼致します」
衛兵の間からきびきびとした声がかけられた。
「何の用だ」
シグルド様は私をしっかりと抱いたまま言った。
耳元でものを言うのはやめてほしい。シグルド様の声もよく響くいい声なのだ。ぞくぞくする。
「手短に言え」
「至急の要件にて。筆頭公爵閣下からの伝令が参っております」
家宰は主のイチャイチャを歯牙にもかけず言った。
オーディアル公爵家の家宰は五十くらいの壮年の男だ。冷静でいかにも有能そうな彼とは既に何度か親しく話をしている。私がわたわたしているの知ってのことか、イチャコラを中断させられたシグルド様のあからさまにむっとした応答にもまるで動じない。
「いますぐお越しを」
「……お前、ちょっとは空気を」
「さ、シグルド様」
シグルド様は不承不承、という感じで手を緩めた。
家宰、グッジョブである。
腕の拘束を抜け出した私と目が合うと、穏やかに微笑んで一礼した。
「シグルド様、のちほど。お仕事をないがしろにされてはなりません」
「わかった。……で、姫」
シグルド様は衛兵に取り囲まれ、連行さながらに歩き始めながらもしつこく振り返って言った。
そんなに距離を詰めるな、邪魔だと家宰と衛兵にあたっている。
「土産があるんだ。食事のとき渡すから楽しみに」
「お待ちしてますわ、シグルド様」
小さく手を振ると、シグルド様は片手を上げて応じて、歩み去った。
「……お待たせ、続けましょうか」
私は再び鍋の前に立った。
火加減を調整してくれていたのだろう、煮立ってきてはいるが焦げ付く様子もなくイイ感じだ。
柔らかいほうがいいもの。火を通しすぎると栄養価が損なわれるもの。
素材の特徴を考えながら順を追って投下してゆく。
お元気そうだ。考えてみたら、ガセネタでよかった。
優しくてあったかい気持ちになるシグルド様の笑顔を思い出すと、私の顔も緩んできてしまう。
お元気ならこの食事だけじゃ足りないかも。何か増やそうか。
でもあとは厨房の人たちにお任せしようかな。いきなり彼らの仕事を取り上げてしまったわけだし。
リゾットはほぼ出来上がったも同然だし、お肉でダシをとったスープも(何しろ極上の素材だろうから)いいお味だ。
私は厨房の面々の協力に感謝を伝え、私の気まぐれが終わって明らかにほっとしたらしいミリヤムさんを連れて、食事の時間まで城内を散策することにした。
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案内を乞うことなく、気ままにふらふらと城内を見て回る。
「散策」は本当に楽しい。解説が欲しければそのへんのひとを捕まえて聞けばいい。別にわからなくてもいい。食事の時にでもシグルド様に尋ねればいい。
先入観かもしれないけれど、三公爵のお城はそれぞれ公爵様方のカラーが反映しているような気がする。
エヴァンジェリスタ城は華麗、ラムズフェルド城は優美。オーディアル城は豪壮。
つまり、このお城はたぶん一番広い。
何度も訪れているとはいえ案内人なし、かつ無目的にふらつくのは初めてだ。
私は道に迷わない程度にうろうろして窓外の眺めを楽しみ、扉の空いた部屋を覗きこみ、そこかしこの調度品に触れて尚も歩き続けていたら、たくさんの人々が出入りする一角にたどり着いた。
大きいもの小さいもの。小型の、しかし高価そうなもの。長持とか衣装箱とか、そういうたぐいのものだ。
「荷ほどきしてるのね、きっと」
私が言うと、ミリヤムさんも「さようでございますね」と相槌を打った。
邪魔にならない程度にそうっと覗き見ていると、やがて皆、気づいたらしい。姫様、と言って手を止めて礼を取る彼らに「どうかそのまま続けて」と声をかける。
責任者らしき人が近づいてきて、衣料品などは洗濯したり修繕したり、不審物が紛れていないか検品したりするのだと簡単に解説してくれた。
献上品とか公爵様の私物とか。高価でこまごましたものはこちらに、と小部屋にも入れてくれる。
お部屋の前は警備が厳重だったが、もちろん私は顔パスである。
いかにも高価そうな、装飾の綺麗な箱が山積みだ。
貴重品が多々あるのとシグルド様の私物、という性質上、家宰の指示のもと公爵様直属の小姓だけが荷解きをするのだそうで、部屋にはまだ誰もいない。
「触ってもいい?」
念のために尋ねると、勿論でございます、と言われたので、遠慮なく触れる。
うわあ楽しい、と箱を撫でたりちょっと蓋を開けてみたりする。
アンティークショップに来たみたいだ。箱だけでも本当に美しい。
彫刻の施された飴色に光る木箱。補強の金古美色の金具がまたいい味を出していて、宝探しに来た気分。
宝石だの絵だのにひとしきり興じた後、とりわけ豪華で大きな長持の蓋をずらすと、煌びやかな衣装がたくさん入っていた。
「公爵様の盛装でございますね」
ミリヤムさんは感嘆のため息を吐きながら言った。
忙しいだろうから責任者は下がらせて、部屋には私とミリヤムさんだけだ。
私は長衣を面白半分に引きずり出した。
深海の青に金糸の縫い取り。釦は透き通った青い石。おそらく本物の宝石だろう。
これを身に着けたシグルド様を想像してみる。
堂々たる体躯と対照的な繊細な美貌。群青色の衣装の仕上げをするのは、紅玉を溶かして染め上げたような素晴らしい緋色の髪。
本当に美しい火竜の君。私の妖精王。
長衣は豪華な生地だしシグルド様仕様のものだから当然ながら大きい。「長衣」だから半端なく長い。
眺めていても仕方がないので手を通してみたが、ちょっとしたドレスのようだ。
姫様、お似合いですわとミリヤムさんが調子のよいことを言うので気をよくして部屋を一周してみた。
重いけれど着心地はいい。素晴らしい衣装だなと感心しながらゆっくり歩き、壁の隅の姿見の前に立ってポーズを決めてみる。
腰回りに手を当てると、隠しポケットがあるようだ。
何気なしに手を入れてみると、指が何かに触れた。
「?」
手触りの良い紙。極上のものとわかる。透かし模様が入っているようだ。
宛名の無い封筒。丁寧に、封が剥がされていて。
手紙だ。
「姫様、それは?」
「手紙、みたいだけれど……」
すう、と脳が冷える。
大切そうにしまい込まれた手紙。
シグルド様宛の?
……勝手に読んじゃいけない。
私宛のものではないのだから。だけど。
「姫様、お読みなさいませ」
ミリヤムさんは言った。
思わず、顔を上げる。
優しくて思いやりがあって。穏やかなミリヤムさんからは思いもよらぬきっぱりとした声。
「あなた、なんてこと。……これはきっとシグルド様宛の」
「だからですわ、姫様」
私の愚かしい、表面的な非難の言葉を、ミリヤムさんは迷いのない口調で遮った。
「どんな内容かわたくしはお尋ねしません。無論、姫様がお話になられるならお聞きしとう存じますが」
「……」
「姫様は、オーディアル公爵様の妻になられるのです。妻は……女性は隠しごとがあってもよいとわたくしは思っております。けれど夫となる男性に隠しごとがあってはなりません。姫様は望まれてエヴァンジェリスタ公爵様以外の夫を持つことになられたのです。姫様に恋い焦がれ、乞われたから」
「ミリヤムさん」
「長衣に入れたままの手紙など、隠しごとと呼べるものではないのかもしれませんわ。とにかく、姫様」
わたくしはよそを向いておりますから、お開けなさいませ。
そして、場合によってはオーディアル公爵様を問い詰めておやりになればよろしいのですわ。
ミリヤムさんはそう締めくくって、優雅に音もなく数歩下がると背を向けた。
……いつも私の男装に萌えている彼女だけれど。
私を着飾らせることに気合を入れているけれど。
わかってはいた。人材ぞろいのグラディウス一族。あのレオン様の城で侍女を務める彼女。
言うべきことは言うひとなんだなあ、とこんな心境の時だけれど妙に感心してしまう。
公爵夫人として覚悟を決めろ、とも言っているのだろう。
だって、知らないほうが幸せなことだってあると思うのだ。
今の私はまさにそう。他人あての手紙など本来は読むものではないというのは表面的な口実に過ぎなくて、読んで傷つきたくないと思っている。
そしてあの微妙な言い回し。
まるでシグルド様が横恋慕して、私がそれに絆されて求婚を受け入れたみたいだ。
エヴァンジェリスタ城に仕える彼女が「レオン様推し」になるのは当然のことで、そこへあとから夫として加わったシグルド様が秘密を持つことなど許さないということか。
読みたい。
でも読むのが怖い。
でも読まないままなんてもうあり得ない。気になって気が狂いそうになるだろう。
私はよろよろと窓辺に立つと、封筒を開け、四つ折りにされた手紙を引き出した。
手紙とともに、ころん、と何かが手のひらの上に転がり出てくる。
緑柱石の美しい、華奢な指環。
……明らかに、女物の。
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