王族に拾われましたがまわりの人はよく思ってないみたいです

1章

9

「リリン様。貴女の部屋はこちらです。今日からはしばらくハルシルフィ様専属侍女であるフィアンとリズが貴女様専属侍女、仮、として行動させていただきます。」
「よろしくお願いします！」
リリンは勢いよく頭を下げた。部屋の中に入るとハルシルフィ程ではないが、豪華な部屋だった。
「まず部屋着に着替えましょう。」
リリンはフィアンとリズに手伝ってもらい部屋着に着替えた。その時二人が手を止めた。
「！？」
「どうしたんですか？」
「申し訳ございません。我が主であるハルシルフィ様に呼ばれてしまいましたのでいかなければなりません。少し雑になってしまうかもしれませんがよろしいでしょうか？」
「大丈夫です。別にこれで誰かと会うわけではないので。」
「すみません。」
着替え終わるとフィアンとリズは一礼して慌てて部屋を出て行った。リリンはベッドに近づいた。とても豪華で、汚さないと思うけど、リリンが寝ていいのかと迷うほどだった。部屋には、専属侍女を呼ぶ用のベルがあった。リリンはベッドに入った。あんまり眠くなかった。しかし、羊が一匹、羊が二匹・・・と数えているうちに寝てしまった。


















フィアンとリズは廊下で他の専属侍女と会い、急いでハルシルフィの部屋へと行った。
「失礼します。」
聞こえていなかったのかハルシルフィは窓の方を見ている。切なげな瞳に胸を打たれた。
「ハルシルフィ様。」
ハルシルフィは返事をしなかった。心配そうに見ている専属侍女達はいをけっしてハルシルフィに近づいた。


















その時ハルシルフィは夢の用なものを見ていた。
「ハル。」
ハルシルフィを愛称で呼ぶ声に勉強していたハルシルフィは振り返った。
「フィリィップ。どうしたの？」
「ハルはお仕事忙しいんだね？」
「うん。お父様とお母様早くに亡くなったから。」
小さいのにしっかりとした受け答えにフィリィップは驚いた。
「ハルは竜王か。カッコいいな！僕は人族だから。ハルの婚約者で本当にいいの？」
「もう！今さら何いってるの？アプローチしてきたのそっちじゃん。」
「は、はい。ソウデスネ。」
「でもここまでくる道のりは長かったね。」
「そうだね。ララ嬢が邪魔してきたり、いろいろあったね。」
「うん。今思うと懐かしいよ。」
フィリィップはお昼寝をしに部屋へ戻って行った。代わりに小さい声がだんだんと大きく聞こえてきた。
「ハル・・・様・・・シルフィ様ハルシルフィ様！？」
声にはっ！とハルシルフィは顔を上げた。
「ハルシルフィ様。よかったです。どうしたのかと。」
「ごめんなさい。」
ホッとしたようにため息をつくスノーとファラにハルシルフィはうつむいた。
「ところでどんな夢を見ていらっしゃったのですか？」
「昔の話し。フィリィップとの。」
「そうですか。本当に小さい頃の話しですね。」
懐かしげにスノーが言った。ファラは目を細めている。
「心配しましたよ。」
「突然呼ばれるものですから。」
「すみません。」
「もう寝たらどうですか？今日はもう遅いですよ。それに明日は学院です。」
「はぁい。」
ハルシルフィはベッドに入った。スノーとファラ、そしてハルシルフィの専属侍女達は一礼して部屋を出て行った。