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第5章 ホラムでの決戦
cys:94 誠の皇帝
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「なっ?! まさかキサマ……」
カミュは怒りに震えた。
ノーティスが何を言わんとしてるかを悟ったからだ。
また、カミュもレイと同じ心証を受けていた。
───コイツの瞳はまるであの男……!
カミュの脳裏に浮かんだ。
幼き頃に父と話していたアルカナートの姿が。
そんなカミュに、ノーティスはそのまま告げる。
「命令は聞けないが、頼みなら受けてやってもいい」
「……この俺様が、キサマに頼むだと」
「あぁ、もちろん無理強いはしないさ。ただ、早くしないと頼む事すら出来なくなるぞ」
その言葉に戦慄したカミュにノーティスは近寄り静かに告げる。
これは、ノーティスにとっても賭けだ。
本当は早く皆を助けに行きたいが、カミュをこのままにしておいては、いつまた同じような事をされるか分からない。
なので、ここでカミュを完全に抑えておく必要があるのだ。
スマート・ミレニアムを守る勇者として。
「カミュ。国が……民が失くなれば、お前はもう皇帝ですらないんだ」
「うっ……ぐっ……!」
「どうするんだカミュ! 今すぐ決めろ! プライドの為に全てを失うか、それを捨てて国を守るかを!!」
ノーティスが叫ぶとその刹那、カミュの脳裏に幼き頃の記憶が浮かぶ。
それは、カミュの父親が民に対して優しく手を振っていた時の事だった。
幼いながらに皇帝の気質があるカミュは、父のその行動に不思議な物を感じたのだ。
『お父様、何で下々の者にあんな優しい顔を見せるのですか?』
『……カミュ。皇帝に必要な物は何だと思う?』
『決まってますよ。権力と畏怖される事です』
『ふむ。確かにそれも大事だ。けれど、何より大切な物はそれではない』
『えっ?』
『カミュ、お前は賢く強いし、政治の才能もあるだろう。ただ大切なのは、それを誰の為に使うかだ』
『誰の為に……?』
それを思い出しカミュは、愕然とした表情を浮かべた。
大切な事を忘れていた事に気付いたからだ。
カミュは父の後を継ぎ、建国間もないホラムを強く強固にする為に魔力クリスタルを科学的に応用し、強い軍隊を作った。
また、その技術で国を発展させていった。
無論、当初は純粋な気持ちでそれを行っていたが、強くなると同時にそれは野心に変わっていったのだ。
その野心は日に日に膨れ上がり、最終的に達したのはスマート・ミレニアムへのクーデター。
全てを支配したくなったから。
民の為ではなく、己の野望の為に……!
その結果が最悪の結果を生んでしまった事に気付いたカミュは、ガクッと片膝を折りノーティスにひれ伏した。
───大切なのは支配ではなく、民の為に協力する事であったか……!
「すまなかった、勇者よ。国を……我がホラムの民を、守ってくれ。頼む……!」
するとノーティスはすぐさまサッと片膝を折り、カミュを澄んだ瞳で見つめる。
「プライドよりも民の命を守る決断をしたアナタは、誠の皇帝だ」
「……!」
カミュがハッと顔を上げた瞬間、ノーティスはサッと立ち上がり皆に号令をかける。
「ロウ、レイ、ジーク、メティア。偉大な皇帝からの依頼、俺達が必ず成し遂げる! そして、この国をトゥーラ・レヴォルトから守るんだ!」
ノーティスのその号令に奮い立ち、皆凛とした瞳を輝かす。
「この国の技術、ヤツらに潰される訳にはいかないな」
「フフッ♪ ノーティス。アナタもカミュも美しいわ」
「いっちょ、やってやるぜ!」
「ボクも全力で皆とこの国を守るよ!」
そんな皆にノーティスは微笑むと、クルッと背を向けた。
「行くぞ!!」
カミュは怒りに震えた。
ノーティスが何を言わんとしてるかを悟ったからだ。
また、カミュもレイと同じ心証を受けていた。
───コイツの瞳はまるであの男……!
カミュの脳裏に浮かんだ。
幼き頃に父と話していたアルカナートの姿が。
そんなカミュに、ノーティスはそのまま告げる。
「命令は聞けないが、頼みなら受けてやってもいい」
「……この俺様が、キサマに頼むだと」
「あぁ、もちろん無理強いはしないさ。ただ、早くしないと頼む事すら出来なくなるぞ」
その言葉に戦慄したカミュにノーティスは近寄り静かに告げる。
これは、ノーティスにとっても賭けだ。
本当は早く皆を助けに行きたいが、カミュをこのままにしておいては、いつまた同じような事をされるか分からない。
なので、ここでカミュを完全に抑えておく必要があるのだ。
スマート・ミレニアムを守る勇者として。
「カミュ。国が……民が失くなれば、お前はもう皇帝ですらないんだ」
「うっ……ぐっ……!」
「どうするんだカミュ! 今すぐ決めろ! プライドの為に全てを失うか、それを捨てて国を守るかを!!」
ノーティスが叫ぶとその刹那、カミュの脳裏に幼き頃の記憶が浮かぶ。
それは、カミュの父親が民に対して優しく手を振っていた時の事だった。
幼いながらに皇帝の気質があるカミュは、父のその行動に不思議な物を感じたのだ。
『お父様、何で下々の者にあんな優しい顔を見せるのですか?』
『……カミュ。皇帝に必要な物は何だと思う?』
『決まってますよ。権力と畏怖される事です』
『ふむ。確かにそれも大事だ。けれど、何より大切な物はそれではない』
『えっ?』
『カミュ、お前は賢く強いし、政治の才能もあるだろう。ただ大切なのは、それを誰の為に使うかだ』
『誰の為に……?』
それを思い出しカミュは、愕然とした表情を浮かべた。
大切な事を忘れていた事に気付いたからだ。
カミュは父の後を継ぎ、建国間もないホラムを強く強固にする為に魔力クリスタルを科学的に応用し、強い軍隊を作った。
また、その技術で国を発展させていった。
無論、当初は純粋な気持ちでそれを行っていたが、強くなると同時にそれは野心に変わっていったのだ。
その野心は日に日に膨れ上がり、最終的に達したのはスマート・ミレニアムへのクーデター。
全てを支配したくなったから。
民の為ではなく、己の野望の為に……!
その結果が最悪の結果を生んでしまった事に気付いたカミュは、ガクッと片膝を折りノーティスにひれ伏した。
───大切なのは支配ではなく、民の為に協力する事であったか……!
「すまなかった、勇者よ。国を……我がホラムの民を、守ってくれ。頼む……!」
するとノーティスはすぐさまサッと片膝を折り、カミュを澄んだ瞳で見つめる。
「プライドよりも民の命を守る決断をしたアナタは、誠の皇帝だ」
「……!」
カミュがハッと顔を上げた瞬間、ノーティスはサッと立ち上がり皆に号令をかける。
「ロウ、レイ、ジーク、メティア。偉大な皇帝からの依頼、俺達が必ず成し遂げる! そして、この国をトゥーラ・レヴォルトから守るんだ!」
ノーティスのその号令に奮い立ち、皆凛とした瞳を輝かす。
「この国の技術、ヤツらに潰される訳にはいかないな」
「フフッ♪ ノーティス。アナタもカミュも美しいわ」
「いっちょ、やってやるぜ!」
「ボクも全力で皆とこの国を守るよ!」
そんな皆にノーティスは微笑むと、クルッと背を向けた。
「行くぞ!!」
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