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第5章 ホラムでの決戦
cys:91 縋るアッシュと去るノーティス
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「なんて殺気と戦闘力なの……!」
レイが驚愕した顔でノーティスにそう零すと、ジーク達もノーティスに真剣な顔を向けてきた。
皆、ノーティスから遂に指示が出るハズだと、期待しているからだ。
「ノーティス、遂に敵さん達のご到着だぜ」
「あぁ。まだ少し距離はあるのにこの殺気と戦闘力か……」
「ノーティス、ボクこんな殺気感じるの初めてだよ……!」
「メティア、心配するな。俺らがいる」
「うん……! ごめんノーティス。むしろ皆を守る為に、ボク頑張るよ!」
「メティア、ありがとう」
ノーティスがメティアにそう言ってほほ笑むと、ロウがノーティスに告げてくる。
ロウも皆と同じ気持ちだから。
「じゃあノーティス、そろそろ準備を始めようか」
けれど、ノーティスは軽く目を閉じるとフッと微笑んだ。
「ロウ、何の準備だ?」
「何ってノーティス……ハッ、キミはまさか……」
「そうだロウ、俺らは何もしないよ」
「ノーティス……キミは本気で言ってるのか?」
目を丸くして驚くロウに、ノーティスは平然と答える。
「ロウ、忘れた訳じゃないだろ。俺達は皇帝カミュ様から直々に言われたんだぞ。何もしなくていいと。だから、命令に背く訳にはいかないさ」
「じゃあ、そうなると……」
「あぁ、行くんだよ。コイツらが」
ノーティスは平然とそう言ってスッとしゃがみ込むと、アッシュの頬を片手でペチペチと叩いた。
これは、ノーティスが相手にキレてる時にする態度だ。
さっきはジークと女心の話になって一瞬脇に意識が逸れたが、ノーティスはアッシュ達に心から怒りを感じていた。
現場を一瞬見て、何が起こったのか大体の察しがついていたから。
「おい、お前らも戦士なら、この殺気と戦闘力は感じてんだろ?」
「あ、当たり前さ! こんなん感じない方がどうかしてるヨ……」
「だろ? だから早く見せてくれよ。努力も研鑽も必要無い、絶大な科学の力でアイツらを倒す所を」
「うっ……うぅっ」
自分達の吐いたいた言葉をそのまま返され、アッシュは苦しそうに顔を歪めた。
分かっているからだ。
例え自分達が万全の状態でも、決して勝てない事が。
ノーティスは、それを全て分かってる上でアッシュを冷酷に見下ろしている。
「なに情けねぇ顔してんだよ。科学の力と数は個の力を圧倒すんだろ。お前自身で言った事じゃねぇか」
「で、でも、あんな強い相手キミ達の協力が無いと……」
アッシュは泣き出しそうな顔で見上げてきたが、ノーティスはザッと立ち上がりそれを一喝する。
「黙れ!」
「ヒイッ」
「舐めてんじゃねぇぞ……! 俺の大切な仲間達の力を散々バカにしといて、調子悪くなったら助けを乞うのか?」
「うぅっ……」
「んな都合のいい事あるわけねーだろ。テメェらの命張ってこの国を守れ。それがお前らの存在意義と、俺の仲間をバカにした償いだ!」
「ぐっ……うぅっ!」
自分達の愚かさを呪い、膝を折ったまま床に両手をついて嘆きを零すアッシュ達。
だが、もう遅いのだ。
ノーティスはそんな彼らに全く興味が無いような顔でスッと立ち上がると、ロウ達に向かって微笑んだ。
「そういえば昼ご飯がまだだった。あーーお腹減った。みんな、一緒に飯食いに行こう♪」
すると、皆も笑みを浮かべてノーティスを見つめた。
もちろん、多少やり過ぎだと思う気持ちはあるが、ノーティスがこうなったら笑うしかないからだ。
「フム、そうだな。まぁ、たまには昼食を取りながら戦場を見下ろすのも悪くない」
「ボク、甘い物食べたーい♪」
両手を上げて笑顔ではしゃぐメティア。
その側で、レイが艶やかな瞳をノーティスに向けた。
「ノーティス、一緒に紅茶飲みましょ♪ 朝からガサツな人と一緒にいて疲れたの」
「おい、レイ。そりゃ誰の事だい?」
「あらジーク、アナタ以外に誰かいるのかしら♪」
「お前さん、言わせておけば……」
ジークが顔をしかめると、レイはノーティスの腕にギュッと抱きついた。
「ノーティスーー、この人怖ーい♪」
「お、おいレイ」
顔を赤くしたノーティスに、ジークは別の意味で顔を赤くして怒鳴る。
「おいレイ! お前さん、なーーにやってんだよ。それにノーティス、お前さんもだ」
「すまんジーク」
そう言って片手で軽くゴメンのホーズを取ったノーティスに、軽く苛立ちを零したジーク。
「ちっ、まあ分かりゃいいんだ」
けれどノーティスは、そんなジークにワザとおちゃらけた顔を向けた。
「けどジーク、困ったよ。腕が幸せで動かなくなってしまったみたいなんだ」
「はいっ?」
「だから外す事が出来ない。すまないな♪ 不可抗力だ」
「おーい、ノーティーーーース。勇者さーーーん。それでいいのか?」
「まあ、いいだろう。なぁ、レイ」
軽く流し目で見つめたノーティスに、レイも嬉しそうに流し目で返す。
「フフッ♪ 当然じゃない。さぁ行くわよ♪」
ノーティス達は、まるでどこかに遊びに行くかのようにその場を後にした。
うなだれるアッシュ達を敢えてそこに残したまま……
ただその去り際、ノーティスはロウに一瞬目配せをした。
それにより、全てを悟ったロウ。
───フム、なるほど。そういう事か。
ロウはノーティスのその視線に力強く笑みを返すと、嬉しそうに微笑んだ。
レイが驚愕した顔でノーティスにそう零すと、ジーク達もノーティスに真剣な顔を向けてきた。
皆、ノーティスから遂に指示が出るハズだと、期待しているからだ。
「ノーティス、遂に敵さん達のご到着だぜ」
「あぁ。まだ少し距離はあるのにこの殺気と戦闘力か……」
「ノーティス、ボクこんな殺気感じるの初めてだよ……!」
「メティア、心配するな。俺らがいる」
「うん……! ごめんノーティス。むしろ皆を守る為に、ボク頑張るよ!」
「メティア、ありがとう」
ノーティスがメティアにそう言ってほほ笑むと、ロウがノーティスに告げてくる。
ロウも皆と同じ気持ちだから。
「じゃあノーティス、そろそろ準備を始めようか」
けれど、ノーティスは軽く目を閉じるとフッと微笑んだ。
「ロウ、何の準備だ?」
「何ってノーティス……ハッ、キミはまさか……」
「そうだロウ、俺らは何もしないよ」
「ノーティス……キミは本気で言ってるのか?」
目を丸くして驚くロウに、ノーティスは平然と答える。
「ロウ、忘れた訳じゃないだろ。俺達は皇帝カミュ様から直々に言われたんだぞ。何もしなくていいと。だから、命令に背く訳にはいかないさ」
「じゃあ、そうなると……」
「あぁ、行くんだよ。コイツらが」
ノーティスは平然とそう言ってスッとしゃがみ込むと、アッシュの頬を片手でペチペチと叩いた。
これは、ノーティスが相手にキレてる時にする態度だ。
さっきはジークと女心の話になって一瞬脇に意識が逸れたが、ノーティスはアッシュ達に心から怒りを感じていた。
現場を一瞬見て、何が起こったのか大体の察しがついていたから。
「おい、お前らも戦士なら、この殺気と戦闘力は感じてんだろ?」
「あ、当たり前さ! こんなん感じない方がどうかしてるヨ……」
「だろ? だから早く見せてくれよ。努力も研鑽も必要無い、絶大な科学の力でアイツらを倒す所を」
「うっ……うぅっ」
自分達の吐いたいた言葉をそのまま返され、アッシュは苦しそうに顔を歪めた。
分かっているからだ。
例え自分達が万全の状態でも、決して勝てない事が。
ノーティスは、それを全て分かってる上でアッシュを冷酷に見下ろしている。
「なに情けねぇ顔してんだよ。科学の力と数は個の力を圧倒すんだろ。お前自身で言った事じゃねぇか」
「で、でも、あんな強い相手キミ達の協力が無いと……」
アッシュは泣き出しそうな顔で見上げてきたが、ノーティスはザッと立ち上がりそれを一喝する。
「黙れ!」
「ヒイッ」
「舐めてんじゃねぇぞ……! 俺の大切な仲間達の力を散々バカにしといて、調子悪くなったら助けを乞うのか?」
「うぅっ……」
「んな都合のいい事あるわけねーだろ。テメェらの命張ってこの国を守れ。それがお前らの存在意義と、俺の仲間をバカにした償いだ!」
「ぐっ……うぅっ!」
自分達の愚かさを呪い、膝を折ったまま床に両手をついて嘆きを零すアッシュ達。
だが、もう遅いのだ。
ノーティスはそんな彼らに全く興味が無いような顔でスッと立ち上がると、ロウ達に向かって微笑んだ。
「そういえば昼ご飯がまだだった。あーーお腹減った。みんな、一緒に飯食いに行こう♪」
すると、皆も笑みを浮かべてノーティスを見つめた。
もちろん、多少やり過ぎだと思う気持ちはあるが、ノーティスがこうなったら笑うしかないからだ。
「フム、そうだな。まぁ、たまには昼食を取りながら戦場を見下ろすのも悪くない」
「ボク、甘い物食べたーい♪」
両手を上げて笑顔ではしゃぐメティア。
その側で、レイが艶やかな瞳をノーティスに向けた。
「ノーティス、一緒に紅茶飲みましょ♪ 朝からガサツな人と一緒にいて疲れたの」
「おい、レイ。そりゃ誰の事だい?」
「あらジーク、アナタ以外に誰かいるのかしら♪」
「お前さん、言わせておけば……」
ジークが顔をしかめると、レイはノーティスの腕にギュッと抱きついた。
「ノーティスーー、この人怖ーい♪」
「お、おいレイ」
顔を赤くしたノーティスに、ジークは別の意味で顔を赤くして怒鳴る。
「おいレイ! お前さん、なーーにやってんだよ。それにノーティス、お前さんもだ」
「すまんジーク」
そう言って片手で軽くゴメンのホーズを取ったノーティスに、軽く苛立ちを零したジーク。
「ちっ、まあ分かりゃいいんだ」
けれどノーティスは、そんなジークにワザとおちゃらけた顔を向けた。
「けどジーク、困ったよ。腕が幸せで動かなくなってしまったみたいなんだ」
「はいっ?」
「だから外す事が出来ない。すまないな♪ 不可抗力だ」
「おーい、ノーティーーーース。勇者さーーーん。それでいいのか?」
「まあ、いいだろう。なぁ、レイ」
軽く流し目で見つめたノーティスに、レイも嬉しそうに流し目で返す。
「フフッ♪ 当然じゃない。さぁ行くわよ♪」
ノーティス達は、まるでどこかに遊びに行くかのようにその場を後にした。
うなだれるアッシュ達を敢えてそこに残したまま……
ただその去り際、ノーティスはロウに一瞬目配せをした。
それにより、全てを悟ったロウ。
───フム、なるほど。そういう事か。
ロウはノーティスのその視線に力強く笑みを返すと、嬉しそうに微笑んだ。
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