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第4章 仲間達との絆

cys:77 復讐と復活の断罪

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「……うっ…………」
「あぅ…………」

 ノーティスとジークに、顔面と全身を余すとこなく破壊され瀕死の男2人。
 だが、2人は意識を失うことなく全身気が狂いそうな程の激痛を感じている。
 
 ルミが2人に、意識覚醒持続の魔法をかけたからだ。
 また、レイにかけられていた魔法封じも解除済。
 無論、どちらもノーティスの指示に他ならない。

「ルミ、よくやった」

 そして、ノーティスは男2人に怒声を浴びせていく。
 ノーティスは自分には何されてもあまり怒らないが、自分の大切な人に手を出されると怒りが止まらないのだ。

「テメーら。意識落ちるなんて、させねーからな。秒毎に激痛を味わってろ」

 凍るような眼差しで2人を見下ろすノーティスを見て、ジークとルミは再び少し引き気味に言う。
 2人とも気持はよく分かるが、怒ってる時のノーティスの事は、ちょっとだけサイコパスに感じてしまう部分もあるのだ。

「ノーティス、もう充分じゃねぇか。後はこいつらに引導渡して終わりだ」
「そうですよ、ノーティス様」

 けれどそれを聞いて、むしろ笑うノーティス。

「ハーーッハッハッハッ♪ ジーク、ルミ、何を言ってんだよ。こんなのまだ、ただのお遊びだ」
「お遊びぃ?!」「お、お遊びですか?!」

 思わず同時に目を丸くし声を上げたジークとルミに、ノーティスは平然とした顔で答える。

「当たり前だろ」

 そんなノーティスに向かい、ジークは両手をバッ広げた。
 確かに最初コイツらをぶちのめしたいとは思ったが、もう原型が分からない程2人共グチャグチャになっているから。

「いや、こんだけ痛めつけて、奴らの玉も握り潰したんだぜ」

 するとノーティスは、男に踏み潰されたペンダントを片手に持ち、それを悲しく見つめる。

「レイの悲しみはこんなものじゃない……」

 ノーティスはそう零しレイの側にいくと、一瞬で鎖を引きちぎりレイを抱きしめた。
 ただの鎖など、今のノーティスからしたらプラスチックとさほど変わらない。

「レイ、俺のせいだ。すまない……」
「違うわ。私のせいよ。ごめんなさい、ノーティス。それに私、そのネックレス守れなかった……」

 再び涙をジワッとにじませたレイに、ノーティスは優しく微笑んだ。
 男2人を肉塊になるまでぶちのめしたとは思えない程、優しく爽やかな笑顔で。

「大丈夫だよレイ」
「えっ?」
「ハァァァァッ……! 『レパラーレ』!!」

 ノーティスは、ネックレスに復元の魔法をかけた。
 その瞬間ネックレスは一瞬で綺麗に復元され、それを見たレイは目を丸くし瞳を輝かせた。

「凄い! アナタこんな事も出来るの?」
「まあ、ほんの小さなモノだけな。この前ルミから教えてもらったのさ」

 ノーティスがそう答えると、ルミがしたり顔を浮かべ告げてくる。

「ノーティス様は酔うとすぐフラフラになって、物にぶつかったり壊したりしちゃいますからね」
「ルミっ、シー――、それは言わないで」
「本当の事ですから」
「あ~~もう、ルミ。勘弁してくれよ」
「なのでノーティス様、お酒はほどほどしてくださいね♪」
「分かったって」

 そう言ってはにかむ顔を浮かべたノーティスは、やはり少年の顔をしている。

 また、ルミが敢えてこの場でこれを言ったのは、ジークにお酒の誘いを減らしてもらう為だ。
 直接は言いにくいが、こういう機会に間接的に牽制するのも執事としての務めの1つ。
 少なくともルミはそう考えている。

 そんな中、ノーティスは表情を戻すとレイの方へ振り返り、再び優しく微笑んだ。

「レイ、後ろ向いて」
「えっ、まさかここで……」
「あぁ」

 ノーティスはレイの後ろからネックレスをつけた。
 そして、前を向いたレイの両肩を持ち凛とした瞳で見つめる。

「レイ、綺麗だ。素敵だよ」
「ノーティス……当たり前でしょ♪」

 潤んだ瞳で見つめてきたレイに、ノーティスは凛とした瞳で答える。

「レイ、後はキミが彼らにケリをつけるんだ。キミがキミでいる為に」
「……ノーティス、ありがとう」

 レイは自分の気持を汲んでくれたノーティスに抱きつき、頬にチュッとキスをした。
 それに顏をボッと赤くしたノーティスと、それを見て目を大きくするルミにウインクすると、レイは2人の男の前に立ち見下ろした。
 その姿は、まるで傷ついた天使が悪魔を断罪する姿のようだ。

「アナタ達、覚悟は出来てるんでしょうね」
「あっ……が……」
「……う、ぅ……」

 口を動かす事も出来ない2人に、レイはフフンと笑みを浮かべている。
 それは、これから断罪を行うからだけではない。

「けどアナタ達、1つだけ礼を言うわ♪ お陰でノーティスの気持がより分かったから」

 もちろん、これを見てるルミは複雑な心境だし、レイの事を実は昔から好きなジークも同様だ。
 けれど、このタイミングでは嫉妬をあらわにする事も無粋なので、2人ともそこはグッと堪え押し黙っている。

 そんな2人の側でレイはニヤリと笑い、額の魔力クリスタルに意識を集中させていく。
 そして、そこから溢れ出していくパープルブルーの輝きと共に、レイはスラっと伸びた足を交叉させ両手を天に掲げた。

「だから特別に、死ぬまで悪夢を見させてあげるわ『エファルディス・コーディネーションα』!!」

 レイの手から放たれた漆黒で艶のある華麗なクリスタルの黒薔薇が、2人をブワァァァっと覆い尽くしていく。
 それを見上げながら、叫び声を上げる事すら出来ず悪夢の世界に堕とされた2人。
 レイはそんな彼らを見つめたまま、艶のある妖しくレイらしい微笑みを浮かべた。

「フフッ♪ 現実での1日が100年になる悪夢。私がホラムに行く頃には、アナタ達は廃人」

 レイは彼らにそう告げ、ノーティスに直してもらったペンダントを片手に取ると、それをそっと愛おしく見つめ彼らを見下ろしたまま囁く。

「死ぬまで悪夢を見てもらうわ♪ それが私の愛を踏みつけた……アナタ達への断罪よ!」
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