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60・北の国へ
第175話 冷蔵技術が欲しい!
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ベンクマンから依頼は、都市国家群の第一の名を関する、ワンダバーに向かい、彼の国が秘匿している冷凍魔法の技術を手に入れることなのだった。
なるほど、これはコトだ……!
それにあの国、にんにくがあったりしたしな。
「ご主人~! どこいくのー」
「うむ、次は北の国だぞー」
「きた?」
「さむーいところだ」
「コゲタ、さむいのとくい!」
もふもふだもんな!
今はちょっと夏毛だけど。
「そう言えばワンダバーも今頃は夏なのではないか?」
「そうなるな。ワンダバーに行くんだな? 俺も行こう」
「シズマ! 経験者が同行してくれると心強いなあ」
ということで、この三人でワンダバーに向かうこととなったのであった。
冷凍魔法の技術、僕も欲しい。
なにせこれがあれば、いつでも冷えたビールとかを飲めるようになるのだ。
牛乳をキンキンに冷やして飲んでもいいし、冷奴やキーウリを楽しむこともできる。
ついに異世界パルメディアに生まれるか、冷蔵庫……!!
「なるほど、冷蔵庫が出来上がる可能性があるのか! 冷えたビール、いいね……。熱々のソーセージをキンキンのビールで楽しみたい」
「な! 頑張ろうぜ」
「おう! モチベーションが湧き上がってくる!」
僕とシズマは熱くハイタッチする。
コゲタがぴょんぴょん跳ねてハイタッチしたがったので、二人でしゃがんでハイタッチしてあげた。
これはロータッチだな。
まあ、コゲタが嬉しそうだからいいか。
さて、今回の仕事はツーテイカーからの依頼だ。
経費は向こうが持ってくれる。
それだけに、僕らは必ず成果を持ち帰らねばならないのだが……。成功したら莫大な報酬が得られることだろう。
「金が手に入ったら美味しいものをたくさん揃えてだな。そして船を手に入れて、南国にあるという米を取りに行く」
「おおーっ! つ、ついに米を……!!」
「手を貸してくれシズマ!」
「無論だ!!」
「コゲタもー!」
「コゲタも一緒に行こうなー」
ということで、街道を北上していく。
この大陸は、多分かなりコンパクトだ。
イメージ的に日本の本州位の大きさしかないのではないだろうか……?
日本よりも山が少なく、比較的平坦。
だからひたすら歩き続けると隣の国まで割とすぐに到着するのだ。
で、ちょっと移動しただけで気候がバンバン変わる。
これは精霊力みたいなものが働いているのだとかリップルが言っていた気がする。
僕らは大量の荷物を荷馬車に乗せ、借りた荷馬を連れて行くのだ。
この馬の名前はポーターと言って、大変心優しい馬である。
コゲタみたいな小さい生き物が好きらしく、彼が横を歩いていると、鼻先を寄せてベロっと舐めたりしている。
「あーれー」
舐められてよろけるコゲタ。
「ご主人ー! ポーターなめてくる!」
「コゲタのことが好きなんだろう」
「そおー?」
またポーターがコゲタをベロンと舐めた。
「あわー」
見てて楽しいなあ。
大変和む旅であった。
「大体片道で半月は掛かった。アーランからの換算だから、ツーテイカーからだと十日くらいだな」
「やはりどう考えても近い。大陸という距離ではない」
「確かになあ……。東京から青森くらいまでの距離だと思うわ」
「なんてイメージしやすい」
凸凹が少なめなパルメディアだからこそ、これだけの日にちで移動できるのである。
野宿を繰り返したり、途中途中にある農村に泊めてもらったりなどして旅は続いた。
農村は都市国家の庇護下にあり、農産物を献上することで彼らの兵力と足りないものとの物々交換なんかをできるようになっているわけだ。
僕はここで!
日本の料理を披露した!
なんと農村にはバターがあった。
卵もあった。
パンもあった。
フレンチトーストを作るしかあるまい。
僕はパンを卵液に浸し、たっぷりのバターで焼いてなんかそれっぽいフレンチトーストを作った。
大好評である。
「フレンチトーストっていうか卵パンだけど美味いな! 全然ありだわ!」
「うろ覚えフレンチトーストですまんな」
「ご主人、おいしーよ!」
農村の人たちもやたら褒めてくれる。
これでいいのかも知れない。
いやいや、うろ覚えで褒められるのは、この世界で馴染みがない料理だからである。
そこにあぐらをかいていては、僕の発展は無いのではなかろうか……!!
アーランに帰ったら、こっちはギルド酒場のマスターと相談して詰めていこう……。
スイーツ系の食事と言えばあの人だからね。
なお、フレンチトーストもとい、卵パンのレシピと引き換えに農村宿泊は無料になった。
ポーターは美味そうにたっぷりの牧草をもりもりと食べていたのだった。
彼は本当にマイペースだなあ……。
農村を発ち、北上していく。
日一日ごとに寒くなっていくのが分かる。
途中で、ツーテイカーから持ってきていた上着を羽織って移動することにした。
「以前に来た時はこんなもんじゃなかったぜ」
「もっと寒かったのか」
「ああ、もっとふわっふわの毛皮で四人ともモコモコになりながら移動してたわ」
「そうかあ……じゃあさすが夏なんだな。ほんの一週間くらい北上しただけで、体感温度が十度くらい下がってるけど、冬場なら零下になったりしていると」
「そうなるな。見ろ、ポーターは平気そうだ」
「馬は寒さに強いらしいからなあ……」
全く気温を気にしていないポーターが、横を歩くコゲタをまたペロンと舐めるのだった。
「あひゃー」
コゲタがまた悲鳴をあげているな。
さて、ワンダバーまではもう少しだ。
なるほど、これはコトだ……!
それにあの国、にんにくがあったりしたしな。
「ご主人~! どこいくのー」
「うむ、次は北の国だぞー」
「きた?」
「さむーいところだ」
「コゲタ、さむいのとくい!」
もふもふだもんな!
今はちょっと夏毛だけど。
「そう言えばワンダバーも今頃は夏なのではないか?」
「そうなるな。ワンダバーに行くんだな? 俺も行こう」
「シズマ! 経験者が同行してくれると心強いなあ」
ということで、この三人でワンダバーに向かうこととなったのであった。
冷凍魔法の技術、僕も欲しい。
なにせこれがあれば、いつでも冷えたビールとかを飲めるようになるのだ。
牛乳をキンキンに冷やして飲んでもいいし、冷奴やキーウリを楽しむこともできる。
ついに異世界パルメディアに生まれるか、冷蔵庫……!!
「なるほど、冷蔵庫が出来上がる可能性があるのか! 冷えたビール、いいね……。熱々のソーセージをキンキンのビールで楽しみたい」
「な! 頑張ろうぜ」
「おう! モチベーションが湧き上がってくる!」
僕とシズマは熱くハイタッチする。
コゲタがぴょんぴょん跳ねてハイタッチしたがったので、二人でしゃがんでハイタッチしてあげた。
これはロータッチだな。
まあ、コゲタが嬉しそうだからいいか。
さて、今回の仕事はツーテイカーからの依頼だ。
経費は向こうが持ってくれる。
それだけに、僕らは必ず成果を持ち帰らねばならないのだが……。成功したら莫大な報酬が得られることだろう。
「金が手に入ったら美味しいものをたくさん揃えてだな。そして船を手に入れて、南国にあるという米を取りに行く」
「おおーっ! つ、ついに米を……!!」
「手を貸してくれシズマ!」
「無論だ!!」
「コゲタもー!」
「コゲタも一緒に行こうなー」
ということで、街道を北上していく。
この大陸は、多分かなりコンパクトだ。
イメージ的に日本の本州位の大きさしかないのではないだろうか……?
日本よりも山が少なく、比較的平坦。
だからひたすら歩き続けると隣の国まで割とすぐに到着するのだ。
で、ちょっと移動しただけで気候がバンバン変わる。
これは精霊力みたいなものが働いているのだとかリップルが言っていた気がする。
僕らは大量の荷物を荷馬車に乗せ、借りた荷馬を連れて行くのだ。
この馬の名前はポーターと言って、大変心優しい馬である。
コゲタみたいな小さい生き物が好きらしく、彼が横を歩いていると、鼻先を寄せてベロっと舐めたりしている。
「あーれー」
舐められてよろけるコゲタ。
「ご主人ー! ポーターなめてくる!」
「コゲタのことが好きなんだろう」
「そおー?」
またポーターがコゲタをベロンと舐めた。
「あわー」
見てて楽しいなあ。
大変和む旅であった。
「大体片道で半月は掛かった。アーランからの換算だから、ツーテイカーからだと十日くらいだな」
「やはりどう考えても近い。大陸という距離ではない」
「確かになあ……。東京から青森くらいまでの距離だと思うわ」
「なんてイメージしやすい」
凸凹が少なめなパルメディアだからこそ、これだけの日にちで移動できるのである。
野宿を繰り返したり、途中途中にある農村に泊めてもらったりなどして旅は続いた。
農村は都市国家の庇護下にあり、農産物を献上することで彼らの兵力と足りないものとの物々交換なんかをできるようになっているわけだ。
僕はここで!
日本の料理を披露した!
なんと農村にはバターがあった。
卵もあった。
パンもあった。
フレンチトーストを作るしかあるまい。
僕はパンを卵液に浸し、たっぷりのバターで焼いてなんかそれっぽいフレンチトーストを作った。
大好評である。
「フレンチトーストっていうか卵パンだけど美味いな! 全然ありだわ!」
「うろ覚えフレンチトーストですまんな」
「ご主人、おいしーよ!」
農村の人たちもやたら褒めてくれる。
これでいいのかも知れない。
いやいや、うろ覚えで褒められるのは、この世界で馴染みがない料理だからである。
そこにあぐらをかいていては、僕の発展は無いのではなかろうか……!!
アーランに帰ったら、こっちはギルド酒場のマスターと相談して詰めていこう……。
スイーツ系の食事と言えばあの人だからね。
なお、フレンチトーストもとい、卵パンのレシピと引き換えに農村宿泊は無料になった。
ポーターは美味そうにたっぷりの牧草をもりもりと食べていたのだった。
彼は本当にマイペースだなあ……。
農村を発ち、北上していく。
日一日ごとに寒くなっていくのが分かる。
途中で、ツーテイカーから持ってきていた上着を羽織って移動することにした。
「以前に来た時はこんなもんじゃなかったぜ」
「もっと寒かったのか」
「ああ、もっとふわっふわの毛皮で四人ともモコモコになりながら移動してたわ」
「そうかあ……じゃあさすが夏なんだな。ほんの一週間くらい北上しただけで、体感温度が十度くらい下がってるけど、冬場なら零下になったりしていると」
「そうなるな。見ろ、ポーターは平気そうだ」
「馬は寒さに強いらしいからなあ……」
全く気温を気にしていないポーターが、横を歩くコゲタをまたペロンと舐めるのだった。
「あひゃー」
コゲタがまた悲鳴をあげているな。
さて、ワンダバーまではもう少しだ。
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