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スローライフよ永遠に!編
第121話 これが砂漠でのやり方だ
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三日目。
見た目は完全にオアシスになった。
木々はヤシの木になって風に揺られているし、色とりどりの草花も茂っている。
うむうむ。
「じゃあ、ここから川を掘り進めて行くから護衛よろしくー」
『任されましたぞ。キャタピラとやらで馬車の速度が上がりましたからな』
骨次郎とラムザーが御者席に並びながら、川をどんどん拡張していく俺に追走する。
新たな天地創造スキルで、川の距離を伸ばせるようになったのだ。
幅だって広げられるし、逆に埋めてしまうこともできる。
これを使って、あちこちにオアシスのつながりを作っていこうというのである。
「あっ、キナッコーの手下がやって来たよ! フランクリンがポップコーンマシーンとか持って足止めしてるみたい」
あの雪だるまも頼もしくなったものだ。
破壊不能オブジェクトもたっぷりあるので、工夫次第で魔王の眷属も撃退は容易であろう。
ポタルも、フランクリンなら大丈夫だと思ったようで、こちらに向き直った。
「でもタマル、今回のやり方は他とちょっと違うんだね。砂漠のままでも一応進んでいけたじゃない」
「おう、確かにな。だが、本来は砂漠じゃないところが砂漠化されてるわけで、それが今までの魔人侯領と違うんだ。なので俺はここを緑化することで戦いを仕掛けている。大自然の戦いだ。俺はスローライフをしているだけなのに、自然が勝手に戦ってくれる」
「難しいね……!」
『いつものように理屈をこねくり回してるだけで、言ってることは平時と変わりませんぞ』
「ラムザーの理解度が深い!」
ほどよく川の距離を伸ばした。
この天地創造スキル、ひと掘りごとに数メートル進むのだ。
道路敷設よりも効率がいいな。川限定だからかな?
どうやら、障害物があるとそこから掘り進めなくなるらしくて、山の地形変化を使う必要も出てくる。
しかし、砂漠は平坦である。
砂丘はあっても、そのまま掘り抜ける。
つまりどこまでも川を伸ばせる。
そして川を伸ばしたあと、並走するように花畑の道を敷いていった。
砂漠に突如、オアシスとそこから続く小川、花畑が出現したことになる。
『さ、砂漠が蹂躙されている!』
『これは恐ろしい攻撃だぞ!』
『キナッコー様にご報告だ!』
キナッコーの手下たちが戻っていった。
今回の相手は、上と下の連絡が密に行われているんだな。
『アヒー、ベリーハードミッションでしたー』
キュラキュラとキャタピラを使って、フランクリンが戻ってきた。
激しいバトルだったようで、あちこちに汚れがついている。
なお、身につけている耐熱スーツが破壊不能オブジェクトなのだが、衝撃は内部に通るのだ。
「ちょっと雪だるまフェイスが崩れてるぞ」
『オー! ミーのハンサムフェイスが! ちょっと直してきまーす!』
簡単に直せるらしい。
雪だもんなあ。
「トウテツが来るまで、草花の種は手に入らない。なので川と花畑ロードでお茶を濁しておく感じだな。よし、オアシスに戻って今日は終わりだ!」
そういうことになった。
手持ち無沙汰なキャロルとポルポルは、ジョウロで花に水をやっている。
……?
花がオアシスの外にちょっとだけ生えているような。
あそこには植えてないぞ?
「キャロル、花を植え替えた?」
『水やってただけよ。あんた、植物の生命力舐めんじゃないわよ。必要な栄養があるなら、無限に増えるんだからね』
「植物からそう言われると説得力が凄いな……!」
果たして、キャロルの言ったとおりだった。
翌朝。
ヤシの木は完全に成熟して、大きな葉の間から、やはり大きな実を揺らしている。
草花も成長しきっている。
そして、柵の外側に何本もの草花の芽が出ていた。
「これは……。こっちの花に水をやると、あっちに増えるのか……!」
『増えるわね。このジョウロの力だと思うわよ』
「伊達に最近閃いたレシピじゃないな。凄まじい力を秘めてるじゃないか。しかも、ヘルズテーブルだとそこまで目立たないやつだ」
あっちはなんだかんだで緑に溢れているからな。
このジョウロ、砂漠を侵食するために必要な、強大な力を持っている。
そこへ、ハイドラからのいつもの放送が入った。
『おはようございます。タマル村の朝をお伝えします。今日は朝来てびっくりしたのですが、砂漠にだんだん緑が広がりつつありますね。ヌキチータさんが仰ってましたが、上空から眺めると砂漠がどんどん世界を侵食しつつあるということでした。ですが昨日から、物凄い勢いで緑が増えて、お尻の側から砂漠を侵食しつつあるようです。がんばれがんばれ、どっちも負けるな。わたしからエールを送りますね。では今日も元気に侵略しましょうね』
「うひょー、凄いことになってるじゃないか。というかキナッコー、やばかったんだな」
『一応、外なる神ですからな。兄弟神の邪魔がない状態で降り立ったんですから、そりゃあ全力で世界を我が物にしようとしますな』
「俺への邪魔が部下任せなの、自分がせっせと砂漠を広げてるからか」
『でしょうなあ。だが、ヘルズテーブルで砂漠化が止まったの、あそこはタマル様が作ったものがたくさんあるからでしょう。壊せないもので溢れてますからな』
「あちこちに放置してきた破壊不能オブジェクトが役立っていたか」
そして今、俺たちは広がりゆく砂漠の中で、広がりゆく緑地を生み出しているのである。
いいだろう、砂漠を片っ端からオアシスに変えてくれる。
見た目は完全にオアシスになった。
木々はヤシの木になって風に揺られているし、色とりどりの草花も茂っている。
うむうむ。
「じゃあ、ここから川を掘り進めて行くから護衛よろしくー」
『任されましたぞ。キャタピラとやらで馬車の速度が上がりましたからな』
骨次郎とラムザーが御者席に並びながら、川をどんどん拡張していく俺に追走する。
新たな天地創造スキルで、川の距離を伸ばせるようになったのだ。
幅だって広げられるし、逆に埋めてしまうこともできる。
これを使って、あちこちにオアシスのつながりを作っていこうというのである。
「あっ、キナッコーの手下がやって来たよ! フランクリンがポップコーンマシーンとか持って足止めしてるみたい」
あの雪だるまも頼もしくなったものだ。
破壊不能オブジェクトもたっぷりあるので、工夫次第で魔王の眷属も撃退は容易であろう。
ポタルも、フランクリンなら大丈夫だと思ったようで、こちらに向き直った。
「でもタマル、今回のやり方は他とちょっと違うんだね。砂漠のままでも一応進んでいけたじゃない」
「おう、確かにな。だが、本来は砂漠じゃないところが砂漠化されてるわけで、それが今までの魔人侯領と違うんだ。なので俺はここを緑化することで戦いを仕掛けている。大自然の戦いだ。俺はスローライフをしているだけなのに、自然が勝手に戦ってくれる」
「難しいね……!」
『いつものように理屈をこねくり回してるだけで、言ってることは平時と変わりませんぞ』
「ラムザーの理解度が深い!」
ほどよく川の距離を伸ばした。
この天地創造スキル、ひと掘りごとに数メートル進むのだ。
道路敷設よりも効率がいいな。川限定だからかな?
どうやら、障害物があるとそこから掘り進めなくなるらしくて、山の地形変化を使う必要も出てくる。
しかし、砂漠は平坦である。
砂丘はあっても、そのまま掘り抜ける。
つまりどこまでも川を伸ばせる。
そして川を伸ばしたあと、並走するように花畑の道を敷いていった。
砂漠に突如、オアシスとそこから続く小川、花畑が出現したことになる。
『さ、砂漠が蹂躙されている!』
『これは恐ろしい攻撃だぞ!』
『キナッコー様にご報告だ!』
キナッコーの手下たちが戻っていった。
今回の相手は、上と下の連絡が密に行われているんだな。
『アヒー、ベリーハードミッションでしたー』
キュラキュラとキャタピラを使って、フランクリンが戻ってきた。
激しいバトルだったようで、あちこちに汚れがついている。
なお、身につけている耐熱スーツが破壊不能オブジェクトなのだが、衝撃は内部に通るのだ。
「ちょっと雪だるまフェイスが崩れてるぞ」
『オー! ミーのハンサムフェイスが! ちょっと直してきまーす!』
簡単に直せるらしい。
雪だもんなあ。
「トウテツが来るまで、草花の種は手に入らない。なので川と花畑ロードでお茶を濁しておく感じだな。よし、オアシスに戻って今日は終わりだ!」
そういうことになった。
手持ち無沙汰なキャロルとポルポルは、ジョウロで花に水をやっている。
……?
花がオアシスの外にちょっとだけ生えているような。
あそこには植えてないぞ?
「キャロル、花を植え替えた?」
『水やってただけよ。あんた、植物の生命力舐めんじゃないわよ。必要な栄養があるなら、無限に増えるんだからね』
「植物からそう言われると説得力が凄いな……!」
果たして、キャロルの言ったとおりだった。
翌朝。
ヤシの木は完全に成熟して、大きな葉の間から、やはり大きな実を揺らしている。
草花も成長しきっている。
そして、柵の外側に何本もの草花の芽が出ていた。
「これは……。こっちの花に水をやると、あっちに増えるのか……!」
『増えるわね。このジョウロの力だと思うわよ』
「伊達に最近閃いたレシピじゃないな。凄まじい力を秘めてるじゃないか。しかも、ヘルズテーブルだとそこまで目立たないやつだ」
あっちはなんだかんだで緑に溢れているからな。
このジョウロ、砂漠を侵食するために必要な、強大な力を持っている。
そこへ、ハイドラからのいつもの放送が入った。
『おはようございます。タマル村の朝をお伝えします。今日は朝来てびっくりしたのですが、砂漠にだんだん緑が広がりつつありますね。ヌキチータさんが仰ってましたが、上空から眺めると砂漠がどんどん世界を侵食しつつあるということでした。ですが昨日から、物凄い勢いで緑が増えて、お尻の側から砂漠を侵食しつつあるようです。がんばれがんばれ、どっちも負けるな。わたしからエールを送りますね。では今日も元気に侵略しましょうね』
「うひょー、凄いことになってるじゃないか。というかキナッコー、やばかったんだな」
『一応、外なる神ですからな。兄弟神の邪魔がない状態で降り立ったんですから、そりゃあ全力で世界を我が物にしようとしますな』
「俺への邪魔が部下任せなの、自分がせっせと砂漠を広げてるからか」
『でしょうなあ。だが、ヘルズテーブルで砂漠化が止まったの、あそこはタマル様が作ったものがたくさんあるからでしょう。壊せないもので溢れてますからな』
「あちこちに放置してきた破壊不能オブジェクトが役立っていたか」
そして今、俺たちは広がりゆく砂漠の中で、広がりゆく緑地を生み出しているのである。
いいだろう、砂漠を片っ端からオアシスに変えてくれる。
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