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スローライフから逃げられると思うな編
第69話 リサイタルと迷宮入り口見つけた
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廻天将軍を捕まえたことで、空飛ぶ魔人たちの士気が崩壊し、散り散りに逃げ去ってしまった。
『魔人侯が捕らえられた以上、もうあやつらが増えることはありませんな。放置しても良いでしょう』
すっかり静かになった、廻天将軍の城。
これを見回しながらラムザーがわっはっは、と笑うのである。
……おや? 何かラムザーに関することを忘れているような。
なんだったかな。
『どうされましたかなタマル様。我をじーっと見て。ははーん、ドラゴン装備がかっこいいのですな?』
「それはそう、ドラゴン装備は男心をくすぐるよな……。だがそうじゃない。ラムザーに関する何か重大な記憶を忘れているような気がするんだ!」
『な、なんですとーっ!? 我に関する重大な記憶!?』
「なんだったか……」
「いえーい、ロックンロール!」
ポタルが後ろで、ドクトルロックを流し始めた。
フランクリンと二人でぶいぶい踊り、ポルポルが飛び回り、キャロルが音楽に引っ張られて、動き出そうとしている。
この世界の住人は音楽に弱いな……。
「そうだ!! ロックンロール! これだ!! ラムザー、ちょっと村まで戻るぞ」
『おお、我は構いませんぞ! 思い出されたのですな!』
「ああ。廻天将軍と同じくらい重大な用事を思い出した」
こうして俺とラムザーで彩色洋品店へ来るのである。
そこには、完成した衣装があった。
真っ白なジャケットは胸元が大きく開き、袖からはそうめんが垂れ下がっている。
パンプスというかパンタロンというか、ボトムスは足に向かうに従ってラッパのように広くなる。
そして底の分厚い磨き抜かれた先端の尖った靴!!
『おおお……!! 我がまるで生まれ変わったようですぞーっ!!』
「これがラムザーのためにオーダーした、ロックスターの服だ!!」
『おおーっ!! 今ならロックンロールできそうですぞーっ!!』
「いやあお似合いですよお客様ー!」
店員のサンが褒め称える。
ラムザーがすごくいい笑顔になった。
ということで帰ってきたら、ドクトルロックがリピートされているではないか。
ロックンロールと、ロックスターなラムザー。
二つに挟まれた俺の脳内に電流が走る────!
『新しいレシピが生まれた!』
▶DIYレシピ
※スタンドマイク
素材:機械端子+鉱石
※大音量スピーカー
素材:機械端子+機械部品+鉱石
「うおおおおっ、俺はやるぜ俺はやるぜ!!」
トンカントンカンDIYして、一瞬でスタンドマイクと大音量スピーカーが完成した。
スッとラムザーにスタンドマイクを手渡す。
ラムザーはこれを受け取ると、まるで勝手知ったる得物であるかのように、くるくる振り回してからかっこいいポーズをとってみせた。
ちょっと前傾姿勢でマイクの設置部分を後ろに向けつつ上に持ち上げ、下がったマイクがちょうど顔のところにある。
『ロックンロール……! 行きますぞーっ!!』
「うおーっ!!」
盛り上がる我らタマル一味。
ガンガンに音を出しながら、しばしラムザーのリサイタルを楽しむのだった。
あまりにリサイタルに集中していたので、ゴッドモジュールが光っていることに気付いたのは夕方頃だった。
もう遊び疲れてへとへとだぞ。
明日だ明日。
そして翌日。
メールが来ていた。
『タマルさん、空でリサイタルしたんだなもし? 空から恐ろしい音楽が降ってきて世界の終わりだって、ヘルズテーブル中で話題になっているんだなもし。新しい音楽テープがドクトル太郎さんから送られて来たので、この平和的な音楽で今度は和ませてあげて欲しいんだなもし』
「世界はそんな事になっていたのか」
『我の歌声が世界を滅ぼすところだった……?』
「それもまたロックだよな」
『ですなー』
俺とラムザーでハハハハハと笑い合いつつ、音楽テープを受け取るのだ。
ほう、ドクトルラブソング。
ラジカセにセットしてみると、そこからはなんとも甘ったるい感じの歌が流れ出してきた。
ドクトル太郎の歌声が、ヘリウム吸ったみたいな声になってるぞ。
女性キーだろこの歌。
ハッとしてポタルを見る。
ポタル、得意げに親指で自分を指し示す。
「私の出番だね!」
「ポタルの魔曲の技が光る時がやって来たかあ……。ちょっと魔人商店行こう」
二人で魔人商店に行き、ポタルの採寸をとってもらう。
「スウィートなラブソングに似合った感じの服にしてくれ」
「つまり……昭和のアイドルですね」
「外なる神は昭和を知ってるんだ……」
イチの反応に軽い衝撃を受けつつ、俺は帰ってくるのだった。
ポタルったらウキウキである。
「どんな可愛い衣装になるんだろうね! 楽しみーっ!!」
ふわふわーっと翼で舞い上がっては、ひゅーっと落ちてきている。
テンションマックスである。
「俺も、ポタルの歌声を聞いたのは出会った湖以来かも知れない。楽しみだなー」
「ずーっと踊ってるだけだったもんねー。こんなに歌わなかったの初めて!」
「ノーミュージックノーライフ的な感じではあるが、ミュージックで環境音楽とかサンバとかロックが常に近くにあったもんな」
ドクトル太郎さまさまである。
そのうち会ったらお礼を言いたい。
『ねえねえタマル、ポタル』
「どうしたキャロル」
昨日踊り疲れて、昼まで寝ていたキャロル。
作り置きのマシマル焼きを食べながら登場である。
『なんかさ、城の中をぶらぶらしてたら、迷宮に降りてくっぽい入り口あったんだけど』
「なんだって」
そういえば、その可能性を失念していた。
迷宮に入られたら困る魔人侯なら、壊れていない入り口の真上に城を建てるぐらいするんじゃないか。
それがあの、油断をしない廻天将軍ならなおさらだ。
「よし、では今日は空の迷宮探索と行こう」
新たな冒険が俺たちを待つのである。
『ウグワーッ! 音楽の力を世界に知らしめました! 500ptゲット!』
▶DIYレシピ
スタンドマイク
大音量スピーカー
UGWポイント
5200pt(廻天将軍と魔人たちをポイントに還元しました)
獲得音楽
ドクトルラブソング
『魔人侯が捕らえられた以上、もうあやつらが増えることはありませんな。放置しても良いでしょう』
すっかり静かになった、廻天将軍の城。
これを見回しながらラムザーがわっはっは、と笑うのである。
……おや? 何かラムザーに関することを忘れているような。
なんだったかな。
『どうされましたかなタマル様。我をじーっと見て。ははーん、ドラゴン装備がかっこいいのですな?』
「それはそう、ドラゴン装備は男心をくすぐるよな……。だがそうじゃない。ラムザーに関する何か重大な記憶を忘れているような気がするんだ!」
『な、なんですとーっ!? 我に関する重大な記憶!?』
「なんだったか……」
「いえーい、ロックンロール!」
ポタルが後ろで、ドクトルロックを流し始めた。
フランクリンと二人でぶいぶい踊り、ポルポルが飛び回り、キャロルが音楽に引っ張られて、動き出そうとしている。
この世界の住人は音楽に弱いな……。
「そうだ!! ロックンロール! これだ!! ラムザー、ちょっと村まで戻るぞ」
『おお、我は構いませんぞ! 思い出されたのですな!』
「ああ。廻天将軍と同じくらい重大な用事を思い出した」
こうして俺とラムザーで彩色洋品店へ来るのである。
そこには、完成した衣装があった。
真っ白なジャケットは胸元が大きく開き、袖からはそうめんが垂れ下がっている。
パンプスというかパンタロンというか、ボトムスは足に向かうに従ってラッパのように広くなる。
そして底の分厚い磨き抜かれた先端の尖った靴!!
『おおお……!! 我がまるで生まれ変わったようですぞーっ!!』
「これがラムザーのためにオーダーした、ロックスターの服だ!!」
『おおーっ!! 今ならロックンロールできそうですぞーっ!!』
「いやあお似合いですよお客様ー!」
店員のサンが褒め称える。
ラムザーがすごくいい笑顔になった。
ということで帰ってきたら、ドクトルロックがリピートされているではないか。
ロックンロールと、ロックスターなラムザー。
二つに挟まれた俺の脳内に電流が走る────!
『新しいレシピが生まれた!』
▶DIYレシピ
※スタンドマイク
素材:機械端子+鉱石
※大音量スピーカー
素材:機械端子+機械部品+鉱石
「うおおおおっ、俺はやるぜ俺はやるぜ!!」
トンカントンカンDIYして、一瞬でスタンドマイクと大音量スピーカーが完成した。
スッとラムザーにスタンドマイクを手渡す。
ラムザーはこれを受け取ると、まるで勝手知ったる得物であるかのように、くるくる振り回してからかっこいいポーズをとってみせた。
ちょっと前傾姿勢でマイクの設置部分を後ろに向けつつ上に持ち上げ、下がったマイクがちょうど顔のところにある。
『ロックンロール……! 行きますぞーっ!!』
「うおーっ!!」
盛り上がる我らタマル一味。
ガンガンに音を出しながら、しばしラムザーのリサイタルを楽しむのだった。
あまりにリサイタルに集中していたので、ゴッドモジュールが光っていることに気付いたのは夕方頃だった。
もう遊び疲れてへとへとだぞ。
明日だ明日。
そして翌日。
メールが来ていた。
『タマルさん、空でリサイタルしたんだなもし? 空から恐ろしい音楽が降ってきて世界の終わりだって、ヘルズテーブル中で話題になっているんだなもし。新しい音楽テープがドクトル太郎さんから送られて来たので、この平和的な音楽で今度は和ませてあげて欲しいんだなもし』
「世界はそんな事になっていたのか」
『我の歌声が世界を滅ぼすところだった……?』
「それもまたロックだよな」
『ですなー』
俺とラムザーでハハハハハと笑い合いつつ、音楽テープを受け取るのだ。
ほう、ドクトルラブソング。
ラジカセにセットしてみると、そこからはなんとも甘ったるい感じの歌が流れ出してきた。
ドクトル太郎の歌声が、ヘリウム吸ったみたいな声になってるぞ。
女性キーだろこの歌。
ハッとしてポタルを見る。
ポタル、得意げに親指で自分を指し示す。
「私の出番だね!」
「ポタルの魔曲の技が光る時がやって来たかあ……。ちょっと魔人商店行こう」
二人で魔人商店に行き、ポタルの採寸をとってもらう。
「スウィートなラブソングに似合った感じの服にしてくれ」
「つまり……昭和のアイドルですね」
「外なる神は昭和を知ってるんだ……」
イチの反応に軽い衝撃を受けつつ、俺は帰ってくるのだった。
ポタルったらウキウキである。
「どんな可愛い衣装になるんだろうね! 楽しみーっ!!」
ふわふわーっと翼で舞い上がっては、ひゅーっと落ちてきている。
テンションマックスである。
「俺も、ポタルの歌声を聞いたのは出会った湖以来かも知れない。楽しみだなー」
「ずーっと踊ってるだけだったもんねー。こんなに歌わなかったの初めて!」
「ノーミュージックノーライフ的な感じではあるが、ミュージックで環境音楽とかサンバとかロックが常に近くにあったもんな」
ドクトル太郎さまさまである。
そのうち会ったらお礼を言いたい。
『ねえねえタマル、ポタル』
「どうしたキャロル」
昨日踊り疲れて、昼まで寝ていたキャロル。
作り置きのマシマル焼きを食べながら登場である。
『なんかさ、城の中をぶらぶらしてたら、迷宮に降りてくっぽい入り口あったんだけど』
「なんだって」
そういえば、その可能性を失念していた。
迷宮に入られたら困る魔人侯なら、壊れていない入り口の真上に城を建てるぐらいするんじゃないか。
それがあの、油断をしない廻天将軍ならなおさらだ。
「よし、では今日は空の迷宮探索と行こう」
新たな冒険が俺たちを待つのである。
『ウグワーッ! 音楽の力を世界に知らしめました! 500ptゲット!』
▶DIYレシピ
スタンドマイク
大音量スピーカー
UGWポイント
5200pt(廻天将軍と魔人たちをポイントに還元しました)
獲得音楽
ドクトルラブソング
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