強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

文字の大きさ
70 / 135
3rdフェーズ 散

No.70 アンジェラ

しおりを挟む

アンジェラとウルルが共に歩いている映像を見ていたのはジーナ達だけではなかった。

仮面付けた男が部下からたった今入った情報を観ていた。

「これは……ああ、あの娘か、余計な事を。それは君の役目か本当に?」
男はどこか気怠そうに話す。

「あの娘を消せ、今No.13U223577に手を出される訳には行かん。キリサメ、今すぐに向かってくれ」

彼の椅子の隣にすぅっとキリサメが暗闇から現れた。
以前の通り全身真っ黒な装備にしっかりヘルメットまで着用している。

「むり、です」

「なんだ、君が断るとは」
「他に、仕事、ある」

背もたれに背中を預けていた姿勢から元に戻る仮面の男。

「私の命令よりも大事なものか、どんな仕事だ」
「あの方から、依頼」

「ああ、そうか。まあそれなら、許そう」
キリサメの言葉を聞いて頷く仮面の男。

「キリサメが忙しいなら……どうするか。そうだ」

仮面の男はどこかに連絡を繋ぐ。

「アルファ、シータ。実験中のアンドロイドを出せ。お姫様はアンドロイドがご所望のようだからな、私の自信作もみて貰おうじゃないか」

それだけ伝えて連絡を切る。

「……」
キリサメはじっと仮面の男に顔を向けていた。

「何をしているキリサメ?忙しいのだろう?早く行きたまえよ」

「はい」

キリサメはまた暗闇の中に姿を消した。

「まったく、なぜこうも人は自分の役目から目を背ける?役目を全うしない者は消えるのがこの世の常だというのに、哀れだな」



「そうだね、この装置でウルルちゃんは私のお母さんになるの」

アンジェラはウルルを撫でてそう言った。

「この装置で……もう少し説明が欲しい所ですが」
「すぐに分かるわ」

アンジェラはそう言うと装置にある幾つものをスイッチを押していく。

「さて、さっそく装置を作動させようかしら」
そう言って操作盤のレバーを引くアンジェラ。

しかし、装置は作動する様子はない。

「あれ、なんで装置が作動しないの?電力不足?」

操作盤のモニターに表示された物を見るアンジェラ。

「ウルルちゃん、何かしたでしょ。発電機が止まってる」
「はい、もう少しお話をしたいと思いまして」

「遠隔操作か、凄いね。外に連絡できないようにはしてたけど、そっかこの中の装置もいじれちゃうんだすごいね」

アンジェラは側に置いてあったカバンからある物を取り出した。
黒色にハートのアクセサリーのついたチョーカーのような物だ。

「まあ良いよ。その場合に備えて、これ付けようね」
「これは?」

アンジェラは優しくウルルの首に取り出した物を装着する。

「可愛いでしょ?、チョーカー風ジャマーよ。もうこれでどこにも接続できないよ」
「随分と用意が良いのですね」

小さく笑うアンジェラ。

「それじゃあ、発電機をつけてっと。あーそうだ、再起動に時間かかるんだった。ここの設備ってどれも古くてね。じゃあその間にお話しましょう、ウルルちゃんもそうしたかったんだよね?そうだ!」

「ええ、お話でしたら喜んで」

ウルルがそう返すとアンジェラは話し始めた。

「私のお母さんはね、ここでずっと研究してたの。私はそれをお手伝いしてた。とても楽しかったわ。ちょっと研究資金を集めるために人にこの装置を使わせて」

「それがデウス・エクス・マキナですね」

「そう、元々はお母さんが資金調達の為に始めたの。仮想現実の世界で男性とコミュニケーションを取る事が出来るって。そしたらあっという間に人が集まってきて、お布施だとか献金だとか言ってみんなお金を沢山払った。お母さんの狙い通り、あの世界こそ私の住む世界って思う人も少なくなかった。お母さんの技術って凄いでしょ?」

そう言って嬉しそうに話すアンジェラ。

「お母さまは今どこに?」
「いない……もう何年も前に死んじゃった」

「それは、なんというか残念ですね」
ウルルがそう伝えると首を振るアンジェラ。

「気にしないで、元々体は頑丈な方じゃ無かったし、それにこっちの現実の肉体に関する話だから。お母さんの意識はこの装置の中にある」

「装置の中?もしかしてお母さま自身の精神を仮想現実に送ったんですか?」

アンジェラは自身が持つ端末にある文章を表示させウルルに見せる。

「私はお母さんならそれぐらいしてると思うの。これ!お母さんの研究日誌」

ウルルが乗せられている台の上に腰掛けるアンジェラ。

「ここにはね色んな事が書いてあるの、ほら、この初期の方の奴!これが最初の装置の設計図!今とだいぶ見た目違うよね、大きさももっと大きかったんだって!」

「それを読んでアンジェラさんはこの研究を引き継いだ、という事ですか?」
研究日誌を見てウルルが言った。

「まあそんな感じね。一番最初の記憶はここで働くお母さんの背中、それぐらいずーっと私もここにいたから、自然とね。お母さんがいなくなってまだ3年程度だけど。最近はプライスおばさんが鬱陶しいけど。それでも楽しいわ」

「……それで、その研究日誌にお母さんがこの装置の中にいると記載されていたんですか?」

ウルルの質問に対してアンジェラは一瞬黙った。

「いや、明確には、でもほらここ見て!”仮想現実に人間の精神を送り込む事が可能になれば、この世界は人類の脅威から救われ、また人類を取り巻く数々の問題も解決する事が出来る”って!だからお母さんはこっちの世界からこの装置の中にある世界に行ったの」

「そうなんですね……」

「確証がないって言いたそうな顔してる。本当に人間みたいだねウルルちゃんは。そう、確かにこの日誌のどこにもお母さん自身が仮想現実に行くという話は無かった。その理論やもしそれが出来たらという話ばっかり」

声が震え始めるアンジェラ。

「でもお母さんなら!きっとあっちの世界に行けているはず!私にこの装置を託して、私が完成させるのを待っている!私が会いに行くのを待っている!!」


するとアンジェラの持つ端末から声が発せられる。

「アンジェラちゃーん!ここにいるんでしょー!」

プライスの声だ。

「プライス、もう来たのね」
アンジェラはそう言ってバッグを持ってその場を離れる。

「結構古い施設だね、でも使われてる痕跡がある」
「ここがその話にあった一番最初の教会があった場所ですか?」

「そうだよ、ここの地上に小さい建物を作ってね。表向きはただの電化製品を扱っている店だったみたいだけど。この地下で装置の研究を行っていたみたい」

先行するジーナに続いてプライスとシャーロットが道を進む。

「まって、誰かいる」

進んだ所でジーナが二人を止める。

「ねー!アンジェラちゃん?そこにいるんでしょ?」

ジーナが呼びかけると物陰からアンジェラが出てくる。
彼女の手には銃が。

「来ないで!」
銃を構えるアンジェラ。

「ああ、ウソまた銃?銃刀法って知ってる?」
ジーナが手を上げる。

そんなジーナの前にプライスが出る。

「プライスさん!」
「ここは私に」


「ねぇ、アンジェラちゃん、もう今日は色んな事があったから今更あなたが銃を持ってる事を怒ったりしない。だからね、落ち着いて話さない?あなたが連れて来たお友達はね、この人たちの大事な友達でもあるの」

プライスは手を上げたままゆっくりとアンジェラに歩み寄る。

「近づかないで!」

振るえる銃身をプライスに向けるアンジェラ。

そんなアンジェラの胸元に赤い光が当たっている事にプライスは気付く。

「アンジェラちゃん危ないッ!!」

プライスは咄嗟にアンジェラを突き飛ばした。

直後彼女の身体を一発の銃弾が貫く。

「ッ!!?」

ジーナとシャーロットが振り向く。

「任務遂行の妨害をした者の生命の保証はいたしかねます。妨害行為を行わない事を推奨します。対象に再度照準を合わせます」

現れたのは武装したアンドロイドの集団だった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...