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さくらの親友、大きくなる

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「もう、何をしているの?もか」
「えーっと、えーっと!!」

 必死になって弁明を探していたもかは、咄嗟に見つけた小瓶をごくごくと飲み干した。そして、この小瓶の中に入っていた不思議な水色の液体ぼ効果で身体が大きくなり、部屋の中に詰まってしまった。

「ぴぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!」

 もかから大きな悲鳴が上がり、どうにか部屋の端で丸まって難を逃れていたさくらは、鼓膜がビリビリ痺れるのを感じた。

「う、うるさい………」
「わおおおおぉぉぉぉん!!」

 必死に遠吠えを始めたもかに、さくらは困惑を隠せず、きょろきょろと見回す。一面真っ白な毛むくじゃらだったが、視界の端にもかとは違う真っ白な生き物が映った。そこに映ったのは、真っ白なうさぎさんだ。
 うさぎさんは、“トカゲのおもちゃ”を手に握ってしきりに振っていた。どうやら、このおもちゃ使ってもかを追い出そうとしているらしい。けれど、この作戦は失敗に終わるだろう。なぜなら、“トカゲのおもちゃ”はもかの大好物だ。間違いなく、食いつく。

「お、おもちゃっ!!」

 ーーーぐぎぎぎっぎっ、

 うさぎさんのお家から嫌な音が鳴り響き始める。おもちゃで遊びたくて仕方がないもかが、必死になって踏ん張っている故に、家が許容範囲を超えた広がりを求められて、壊れかけているのだ。

「ああああああぁぁぁぁぁああああああ!!」

 事態に気がついたうさぎから、悲鳴に似た絶叫が上がる。どうやらこの世界でもお家が壊れると言うのは避けたい事態らしい。さくらは必死に考えた末に、一言叫ぶ。

「“待てステイ”」

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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