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続編

5 物騒な王女

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 いじめ倒した義弟に質問の返答を嫌だと拒否されるのは、なんだかちょっと癪に触る。
 今日帰ったら、また新しい嫌がらせをしよう。だって彼は、わたくしにいじめられるのが好きな変わった子だもの。

「ライアン、誠か?」
「えぇ、先程求婚を受け入れてもらいましたので」

 飄々としたライアンに、王太子殿下は無言の悲鳴をあげる。なんというか、今日の王太子殿下はとっても変だ。

「………お前たちは姉弟だろう?」
「えぇ、姉弟です」
「んぐっ、」

 王太子殿下は何が言いたいのだろうか。わたくしには分からないが、ライアンには分かるようだ。なんだか不服で仕方がない。わたくしはやっぱり不出来なのだろうか。

「クラウディアさまっ!!」

 視界にミルクティーブロンドの髪が映り込み、下から見上げてくる淡いエメラルド色の瞳がきらりと輝いた。

「あら?まあっ!ティアラローズさまっ!お久しぶりね、お元気そうで何よりだわ」
「はいっ!クラウディアさまもお元気なようで何よりです」

 隣国の王女さまにして、この国の王太子殿下の従姉妹君であらせられるティアラローズさまはなんというか、犬のようなお方であり、たった3度しか会ったことのないわたくしのことを心底尊敬してくれている。
 敬語を使うことを禁止され、わたくしがティアラローズさまよりも上のように振る舞えという命令には多少困っているが、それ以外にはこれといった害悪はない。というか、可愛いからわたくしはこの子を叱れないのが問題なくらいだ。

「えぇ、そうね。わたくしは元気よ」
「………本当ですか?」

 妙に鋭いティアラローズさまは、訝しげに尋ねてくる。

「そうね………、頭痛の種たる義弟、」
「ごほんっ、婚約者だ」
「はあー、頭痛の種たる婚約者と、さっきから意味の分からないことを繰り広げている王太子殿下のお心を読もうとしていること以外は本当に至って元気よ」
「そうですかー。じゃあ、こいつら簀巻きにしますか?」

 ………ティアラローズさまがとーっても愛らしいお顔と仕草で物騒なことをおっしゃるのも、わたくしの悩みの種の1つかもしれない。わたくしは頭痛がする額を抑えた後で、とびっきりの微笑みを浮かべた。

「ティアラさまぁ?簀巻きってなんなの?わたくし、ちーっとも分からないわぁ」

 必死、ティアラローズがメロメロになる笑み。
 なんというか、わたくしの心が虚しく感じるのは気のせいだろう。ぶりっ子なんてこの世から消えればいいと、他ならぬわたくしが常々思っているのに。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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