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18 2回目のお散歩

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 コンコンコン!

「お義母さま、起きていらっしゃいますか?」
「えぇ、少し待ってちょうだい。今行くわ」

 お義母さまは今日もお散歩に行く気満々だったのか、すぐに返事が返ってきたし、すぐにわたくしの前に現れた。それに、お洋服が昨日に比べると圧倒的に簡素なものになっている。

「ライアンの元に向かいましょう。今日も叩き起こさなきゃ」
「ほ、ほどほどにした方が良いのでは?」
「大丈夫よ。あの子は10時くらいまでいっつも死んだお魚さんみたいになってるから」
「そ、そうですか………」

 頑張れ、ライアン。心の中でエールを送ってわたくしはライアンのお部屋へと向かった。

 コンコンコン!

「入るわよ!!」

 今日も今日とてお義母さまはなんの躊躇いもなく息子のお部屋にずかずかと入って行く。うん、やっぱりライアンは可哀想だ。

「ほら、起きない!!お散歩に行くわよ!!」
「………あとごふん………………」
「起きないっ!!」
「ふぎゃびゃっ!!」

 ………可哀想な悲鳴は聞かなかったことにしよう。そう誓ったわたくしは、お部屋の側の壁にもたれかかって足をぷらぷらさせた。そろそろ革靴も変え変えた方が良さそうだ。だいぶボロボロになってきてしまっているし、サイズもキツくなってきている。

「………明日頼んだら、いつくらいにできるかしら?」
「何を頼むって?」
「!!」

 ぼーっとしていたわたくしの隣に、気がつけばお義母さまが立っていた。何も気配がしなかった。

「………ーーー靴をそろそろ買い替えようかと思っただけですわ。お義母さまとライアンは明日お時間ございますか?」

 わたくしはついでにと思い、明日考えているいじめ大作戦の計画のために必要な質問を行った。

「ん?空いているわよ?」
「なら、そのまま開けておいてください。わたくしやお父さまの贔屓にしている仕立て屋が明日来ますので」
「あら、一緒に仕立ててくれるの?」
「ついでです。公爵家の人間ならば、その店で仕立てるべきですし………。お義母さまには贔屓にしているお店がおありで?」

 わたくしは少しだけ不安になって尋ねた。贔屓にしている仕立て屋があるのならば、そちらで仕立てた方が圧倒的に着心地が良いのが仕上がるだろう。無理にわたくしに会わさせるべきではないと思い至ったからだ。

「ないわ。是非そちらでお願いするわ」
「分かりましたわ。見窄らしくないくらいに仕立ててくださいましね。お金は考えてはいけませんわよ?」

 お義母さまはわたくしの言葉に困ったように頷いた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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