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4 第1作戦決行!

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 わたくしは意気揚々とお義母さまに割り当てられている部屋へと向かった。
 気分は最高だ。

 コンコンコン!

「お義母さま、起きていらっしゃいますか?」
「あら、ディア?どうぞ入ってください」

 わたくしは愕然とした。だってまだ6時過ぎなのに、お義母さまは眠たさを一切感じさせない返事をしたのだ。わたくしは、息を呑んでからゆっくりと扉を開いた。常に微笑みを浮かべているわたくしに、視線が合ったお義母さまは満面の笑みを浮かべた。

「おはようございます、ディア。こんな朝早くからいかがなさったのですか?」
「おはようございます、お義母さま。………わたくし、毎朝庭園をお散歩をしていますの。ですから、今日からお義母さまも一緒にどうかなと思いまして………。お父さまは朝に弱いので参加しませんが、いかがですか?」

 もうとっくに起きていたお義母さまは、着替えを済ませて化粧も施していた。櫛だけを通したボサボサのまとまりのない腰まである猫っ毛を適当に下ろして、庶民風の動きやすいお洋服を着ているわたくしとは大違いだ。

「まぁ!それは素敵ですわね。ライアンも誘うのですか?」
「え、えぇ。仲間はずれは良くありませんから」

 わたくしの言葉に、お義母さまはうるうると目を輝かせた。意地悪をしているのに、そういう表情をされると調子が狂ってしまう。

「では、ライアンのお部屋に参りましょう!アレはとっても寝起きが悪いですから、急いで叩き起こさないと、お散歩の時間が減ってしまいますわ!!」

 意気揚々と部屋を出ていったお義母さまを呆然と見つめたわたくしは、途中で置いて行かれてしまっていることに気が付き、急いでお義母さまのことを追いかけた。お義母さまはとても歩くのが早かった。たった数秒目を離しただけだったのに、もう大分先にあるライアンの部屋に辿り着いてノックなしにライアンの部屋を開けていた。

「ほらね、失敗したでしょう?」
「う、うるさいわね。ライアン相手に成功しそうだからいいのよ!!」

 にんまり笑ったメアリーに、わたくしは悪態をついてから、急いでお義母さまの方に向かって全力で走った。ライアン、朝が弱いのに母親相手に叩き起こされるなんてちょっとだけ可哀想ね。
 ま、わたくしには関係ないけど。
 嫌ならせいぜいさっさとこの家から出ていくことね。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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