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36 助けは来ない

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「おふたりとも、話を戻してもいいかしら?」
「いいよ。」
「構わないわ。」

 メアリーは気を取り直してと言わんばかりに扇子の端をパシンと左手の掌に叩きつけてから、再びガイセルへと視線を戻した。

「逆に聞くけれど、じゃああなたはこれからどこで働くの?」
「はあ?この城に決まっているじゃないか。」

 ガイセルの声音にはなにを当然なことを聞いているんだ?という疑問符が浮かんでいた。

「と、言っていますが、如何なさるのですか?国王陛下。」

 にっこりと相手を威圧する笑みを正面から受けることとなった国王はプルプルと震えながら、大きく首を左右に振った。

「ち、父上!?」
「うるさいから黙ってくれる?」

 メアリーのピシャリと言った言葉に、ガイセルは口を閉じた。

「だ、そうよ。あなたはもう王太子ではないっぽいから、働く場所がないわね。さて、もう1度質問するわ。あなたはこれからどこで働くの?」
「………………。」
「ないわよね?働く場所なんて。さっきのギルの言葉からして、お勉強はまともにせず、剣術から逃げ倒し、あまつさえ後ろ盾だった元婚約者様を蔑ろにしていたんだから。」
「………………。」

 ガイセルはメアリーの言葉になにも言い返すことが出来ずに、逃げるように情けなく俯いた。
 が、やがて上げた顔には喜色満面の狂気に滲んだ笑みがぴったりと貼られていた。いいからか、妙に迫力のある笑顔だった。

(ふん、やっぱり馬鹿な男。父親に見捨てられたのは私の所為だ、私を消せばどうにでもなる、あたりのことを考えているのでしょうね。救いようもないとはまさにこのことかしら?)

 メアリーはその笑みに、花が綻ぶような淡く儚い完成された笑みを返した。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

新作です!

題名は『私の刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?』です!!

紹介文は

『無能はいらない』

魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!?

大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。
無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!!

です。

読んでいただけると嬉しいです!!



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