ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~

青空顎門

文字の大きさ
318 / 396
第6章 終末を告げる音と最後のピース

283 地下に隠された王国の秘密

しおりを挟む
 フレギウス王国王都バーンデイトの中心地、ファイーリア城の煌びやかな廊下を慎重に進みながら、敷地全体へと展開した氷の粒子と風の探知で状況を確認する。
 どうやら襲撃者レンリの存在が各所に伝わったらしい。
 慌ただしい人の流れの中に、城門へと向かう多くの人々の気配が感じられる。
 目論見通り、陽動がうまくいっているようだ。

「…………戦闘が本格化してきたみたいだな」

 レンリが三大特異思念集積体コンプレックスユニークリヴァイアサンの少女化魔物ロリータたるラハさんとのアーク複合発露エクスコンプレックス制海アビィサル神龍・ヴォーテクス・轟渦インカーネイト〉を発動させて攻撃を放つのを感知し、口の中で呟く。
 彼女は迫る兵士達へと水流や水の塊を撃ち、牽制しているようだ。

「静か過ぎて、全然そんな感じはしないけど」

 本来なら激しい戦闘音が撒き散らされていること間違いないが、人形化魔物ピグマリオン【終末を告げる音】対策の無音結界によって俺の耳には届かない。
 そのせいで音から周囲の状況を判断することは不可能だが……。
 それでも、氷の粒子と風による探知さえあれば何の問題もないだろう。
 内側からの音も外には届かないので、隠密行動に適している部分もあるしな。
 勿論、フレギウス王国の兵士達が俺と似た方法での探知をしない保証はないので過信はできないが、少なくとも音のせいで気づかれる危険性は皆無だ。
 それこそ歌を歌おうが奇声を上げようが潜入に支障は出ない。

「レンリさん、大丈夫でしょうか」
「……まあ、心配はいらないだろ」

 声もまた極々至近距離でもなければ他人の耳に届くことはないので、影の中から投げかけられたリクルの問いかけにも俺は普通に答えた。

「レンリも自分で無茶はしないって言ってたしな」

 そのまま言葉を続けながら廊下を足早に進んでいく。
 周囲に人の気配はない。と言うか、ちゃんと人のいない道を選んでいる。
 非戦闘員は避難所へ、指揮官は指揮所へ、多くの兵士はレンリの下へ。
 彼女の派手な行動のおかげで、簡単に人目を避けて移動することができている。

「けど、相手はアーク暴走パラ複合発露エクスコンプレックスでしょ? いくらあの子でも敵の命を奪わないようにってのは難しいんじゃない?」
「可能な限り、だろ。危険な状況に陥るようなら撤退すればいいだけのことさ」

 複雑な感情を滲ませながら尋ねてきたフェリトに、落ち着いた口調で答える。
 かつて人間至上主義組織に利用された彼女であるだけに、レンリも心配だが、不当に扱われている少女化魔物達を救って欲しい気持ちもあるのだろう。

 今回の目的は、あくまでもクピドの金の矢の奪還。
 そのための本拠地ファイーリア城の強襲だ。
 しかし、レンリはそれを利用することでフレギウス王国の中枢を叩いて戦況をアクエリアル帝国有利に、あわよくば一国家を落とすことまで視野に入れている。
 その中で、真性少女契約ロリータコントラクトを強制的に結ばされた少女化魔物を自国民に組み込める可能性があるからと、王城の兵士の命は極力奪わないつもりらしい。

「俺としても、なるべくレンリの思惑通りに行って欲しいけどな」

 実際のところ。フレギウス王国の兵士達の命と紐づけされたままというのは、少女祭祀国家ホウゲツとしても避けたいはずだ。
 だから、一回に限った話になるだろうが、クピドの金の矢やその複製改良品を利用した真性少女契約の切り替えが許容される公算が高い。
 レンリの方針は、その辺りを考慮した合理的な考えによるものに過ぎない。
 だが、前世でもホウゲツでも、殺人は倫理的にも法的にも忌避されるものだ。
 何を前提とした判断であれ、彼女がそうできるならそれに越したことはない。
 たとえ一応は戦時下に該当する状況であるにしても。

「何にせよ、一先ず俺は俺のやるべきことをやる。まずはそれからだ」

 勿論、レンリの動向は探知で常に気にかけておくつもりだが。
 目的の品が手に入りさえすれば、後はいくらでもレンリをサポートできる。
 たとえ彼女が危機的な状況に陥るような不測の事態が起こっても、救い出して撤退することぐらいは十分に可能なはずだ。
 いずれにしても、クピドの金の矢奪還は早ければ早い程いい。

「ですが、イサク様。手がかりもない状況で、この広大なファイーリア城を隈なく探していくのは時間がかかり過ぎます」
「ああ。それなら、探知であからさまに怪しい場所を三ヶ所程見つけたから、とりあえずそこから調べてみるさ」
「三ヶ所、ですか?」

 俺の返答に、イリュファが若干困惑したように繰り返しながら問う。
 少ないと言えば少ないし、多いと言えば多いという感じか。
 そんな彼女に俺は頷いて肯定し、人差し指を立てながら口を開いた。

「まず、千人以上の規模で直立不動の密集した集団と、その間をうろつく数十名の人々がいる広間。これは恐らく、前線で戦う兵士用の少女化魔物再利用場だろう」
「確かに怪しい場所ではありますが……そこは可能性が低いのでは?」
「まあ、そうだな」

 普通の場所に比べれば怪しいが、ここにクピドの金の矢があるとは思えない。
 勿論、少女化魔物達が前線の兵士達に巻き込まれて命を落としたりしないようにするためにも、押さえておかなければならない場所ではあるが……。
 現時点では優先度は低い。
 本当に少女化魔物の再利用を行っている現場なら、そこで下手に騒ぎを起こすと切り替え作業が滞って前線の兵士ごと死んでしまう可能性もあるからな。
 今正に戦闘中であろうアクエリアル帝国の兵士達には申し訳ないが、もっと優先して調査すべき場所がある以上は後回しにした方がいい。

「次に、数十人程度が似たような状況にある地下の部屋だ。多分、国王や王族、近衛の兵士達用の特別強力な少女化魔物を隔離している場所だろうな。こっちにも一人、彼女達の間を縫うように動いている奴がいる」

 主だった者は俺が凍結してそのままになっているはずだが、当然ながらジーグ以外の王族やその護衛は王城にいるはずだ。
 そちらへの切り替えが行われていても何ら不思議ではない。
 間違いなく重要度の高い場所だけに、こちらは最初の場所に比べればクピドの金の矢が存在する可能性が大きいように思う。それに地下だしな。

「けど――」

 少女化魔物だろう微動だにしない数十人の扱いに、明確な差が感じられない。
 クピドの金の矢がそこで使われていると推測するのは、少々違和感がある。
 何より、最後の一ヶ所の怪しさは前の二ヶ所の比ではない。

「一番怪しいのは王城のどこからも入ることのできない小部屋だ。通気口があったおかげで探知することできた。そこには女の子座りをしたまま、壁に鎖で繋がれた少女……まず間違いなく少女化魔物が一人だけいる」

 正直なところ、ここの異様さは突出している。
 たとえクピドの金の矢と何ら関わりのない存在だったとしても、フレギウス王国にとって極めて重要な何かであることは確実だ。

「壁に鎖で繋がれた少女……罪でも犯したのでしょうか」
「それは分からない。けど、一先ずそこから調べるのがいいと思う」

 少なくとも俺がクピドの金の矢を使うとすれば、その対象は他の少女化魔物達とは別の場所に隔離する。その隠し小部屋が俺の中では本命だ。
 しかも、そうこう話をしている内に、転移の複合発露エクスコンプレックスによってか突如として隠し小部屋に人型の存在が一体出現している。
 あるいは、慌てて別の場所に移動させようとしているのかもしれない。

「…………急いだ方がよさそうだな」

 だから俺は、速やかに隠し小部屋へと繋がる通気口のある裏庭に出た。
 その出口の前に立つが、人が通るものではないので穴は割と狭い。
 ならばと俺は、真・複合発露〈万有アブソリュート凍結コンジール封緘サスペンド〉で生成したドリル状の氷を高速回転させ、掘削するようにそこを抉じ開けて一気に隔離された部屋へと突入した。
 そして――。

「これは……」

 そこで俺が目にしたのは、以前対峙したジーグに似た若干年若い男がその手の中の黄金に輝く矢を拘束衣を着用した少女に肩に突き立てている光景と……。
 それに何の苦痛も感じていないかのように、ひたすら焦点の合わない視線を中空に彷徨わせている彼女の姿だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...