177 / 247
第4章
第58話
しおりを挟む
第58話
「ミーツさん、さっきの叫び声は何だったんだ?」
グレムの仲間達が俺に怯えながら出発の準備を女性達と一緒に終わらせていると、丁度風呂上がりのシーバスが先程の叫び声について聞いてきた。
「あー、まあ、ちょっと俺のやり過ぎによる結果だよ」
シーバスは頭に?を浮かべながらも、まだ先程まで風呂に浸かっていたと思われる上着だけシャツを着ていて、まだ髪も濡れている半裸のガガモを脇に挟んで自分達が置いてある荷物の所に歩いて行った。
「「あー!」」
さあ出発する前に風呂を潰さなくてはと思って先に大きな風呂から潰すと、ガガモとシーバスが同時に大きな声を上げた。
「ガガモはともかく、シーバスそんな大きな声を上げてどうしたんだい?」
「いや、風呂に使っていたツルツルした床と、あの大きな風呂を壊したから勿体ないと思って。
ミーツさん、まさかとは思うが俺達が入った一人用の風呂も同じように潰すのか?」
「うん。そりゃあそうだよ。あんな物、持ってても仕方ないし潰して最後にはドームごと跡形もなくする予定だよ」
「オークゴッドさん!なんて勿体ない事をするんですか!貴方は魔物だから風呂の価値が分からないのでしょう!って、ちょ、シーバスその拳はなんですか?今回、私は何も悪い事言ってないはずですよ!」
いつもより強めに見えたシーバスによる鉄拳制裁がガガモに振り落とされてからは、シーバスも俺にガガモ同様に風呂を壊すのは勿体ないと訴えてかけてきた。
「ミーツさん、ガガモが今後ミーツさんの事を魔物呼びしたらミーツさんが遠慮なくガガモを殴って良いからな。ついでに言わせてもらうと俺もガガモと同じ考えで、風呂を潰すのは間違っていると思う。あれは売れば金貨数百枚は行くと思うからだ。先程潰したツルツルの床でも売れば結構な額になったはずだ」
え?金貨数百枚?思考が一瞬停止してシーバスに返事をしようにも上手く言葉が出ない。
金貨になる魔物は沢山持っているが、想像魔法で出した浴槽が金貨数百枚ってのに驚きを隠せないでいた。
「それでももし、ミーツさんがあの風呂は要らないっていうなら俺が貰っても良いか?」
「ちょっ、シーバス、貴方だけズルイですよ!
オークゴッドさん、私も欲しいです」
「あ、うん。別に良いけど、とりあえずガガモは殴るね」
「え?うわっわっ、ひぶぶぇ」
ガガモの頰を殴って少しは気持ちを落ち着かせたが、もういっその事、冒険者を辞めて店を開くのもアリだと思った。でも、それは最終的に冒険者が嫌になって辞めたくなった時にしよう。
「おーい、妹達。お前達のマジックバックに空きはあるかー?」
シーバスは既に馬車に乗り込んでいたアマとアミに呼びかけ、マジックバックに空きがあるかどうかを聞いた。
「お兄ちゃん何で?あたしのは頑張ればゴブオークが二体入るくらいだよ」
「兄様、私のはあまり入らないです。
アマの物も沢山入っているので」
「よし!それなら入るかな?
ミーツさんが風呂をくれるんだ。だからアマ、お前のマジックバックに風呂を入れてくれ!依頼物をギルドに渡したら俺のに入れるからよ」
「「えぇーーーーーー!」」
「おじさん正気?魔物を倒しすぎて頭おかしくなってんじゃないの?」
「ミーツさん正気ですか?あんな高価な物を兄様に譲渡するなんて、ハッ!まさか兄様、昨夜私達が寝静まった後ミーツさんと体の関係になったのですか?」
「バッ、バカ、アミ、俺がミーツさんとそんな仲な訳がないだろうが!」
「とか言っちゃって、ホントはもう、お兄ちゃんとおじさんそういう仲なんじゃないのぉ?
あたしはおじさんに裸を見られたから、もうおじさんのお嫁さんになるしかないと思ってたけど、お兄ちゃんに譲るよ」
「お前達ぃ!」
「きゃん」「ふぎゅっ」
シーバスが俺と肉体関係にあると邪推した妹達に拳骨をして涙目になっているアマとアミだった。
そんな事がありつつも、シーバスは妹達に俺とはそういう関係ではないと力説し、浴槽はアマのマジックバックに無事収納された。
もう一つの浴槽はシーバスが担いで行くと言って聞かなかったから、馬車の後方の降り口を塞ぐ形で馬車の荷車に括り付けた。
正直、I.Bにも入れれるし処分した所でまた同じ物を出せば良いだけだからシーバス達の行動も止める事は出来たが、あまりに必死に浴槽を持って行こうとしている姿に口を出さずに見守る事しか出来なかった。
馬車を動かしてドームを出てドームごと跡形もなく潰すと、御者席の側にいたシーバスが残念そうに潰したドームを見ていた。
「ミーツさん、関所では関所の兵と顔見知りの俺の方が良いと思うんだ。だから俺と御者代わって貰えないだろうか?」
俺が御者をして関所に近づいた時にシーバスから御者を代わるように提案され、問題なくシーバスと御者を代わった。
「シーバス、ハッキリ言わないとダメですよ?
オークゴッドミーツさんが、まんまオークの見た目してるから交代しようって言わなきゃです。
きっと顔馴染みの関所の兵達に殺されちゃいます」
「ガガモ、馬車を降りたら思いっきり殴るからな。ミーツさんは確かに見た目は、ほぼ裸で初見だと怪しさ満点だが、それは見た目なだけで実際は凄い良い人だろうが。お前、そんな人をよく魔物扱いできるな。それに、そんな兵達をなんとかできるお前がいるだろうが」
「もう魔物扱いしてないじゃないですか。
ちゃんとオークゴッドミーツさんって呼んでるじゃないですか!それに本当に最初会った時はオークだと思ったんですからね」
「はぁ、もう良い。お前は後で関所を抜けたらシメる」
「私をシメる?いいでしょう。望むところです。いつも叩かれていて内心腹を立てていた所でしたし、今日こそシーバスに勝ってみせますよ」
俺が御者をシーバスと代わって御者席から離れて後方の席に移動するのと同時にガガモがシーバスの近くに行き、何やら魔物の話でもしているのか、オークという単語が聞こえた。
まさか俺がオークに見えるとか、そういう話しているのではないだろうか?そう思った俺は想像魔法で薬草を数点出して、水を加えてながらグチャグチャに手で潰すと顔や身体に付けてオークに似てるなど言えないようにカモフラージュした。
身体に塗る時は胴体にいるアッシュに避けてもらい、入念に薬草を塗り込み、塗った後でアッシュには元の定位置に戻ってもらって、これで大丈夫だろうと馬車内の空いているスペースに立ち前方を見た。
前方には俺を見ていたグレムが何もない所から薬草を出した事で驚いているのか、全身緑色の俺を驚いた顔で凝視して口をパクパクとさせていた。
そんなグレムは放っておき、シーバスが御者する馬車は関所に着いた。関所では昨夜外で野営していた冒険者の行列が出来ていた。
この世界に来て初めて、関所らしい関所を後方の席からでも見えて、興味が出て御者をしているシーバスの近くに行き、並んでいる冒険者を見ていると最後に並んでいた冒険者と目が合い凄く驚かれた。
「ま、ま、ま、魔物だぁーー!生きたゴブオークを乗せた馬車がいるぞーー」
目が合った冒険者は生きたゴブオークを乗せた馬車がいると大声を上げ出した。俺は俺達以外に馬車が後方にいてゴブオークを乗せているのかと咄嗟に後方に行き、馬車にくくり付けている浴槽をI.Bに仕舞って外を見たが、俺達以外に馬車は居なかった。
「あー!おじさん!私達のお風呂、どこにやったの!一瞬で消えちゃった。おじさんのマジックバック?でもマジックバックに入れた感じでもなかったよね」
「ミーツさん、それより何したんですか?
ゴブオークがいるって聞こえたんですけど。
それにミーツさん、その姿どうしたんですか?」
「いや、俺にもサッパリだ。
てっきり俺達の馬車の後ろに違う馬車がいて、それに生きたゴブオークがいるって思ったんだけどいないね。俺はオークに見られないように薬草でカモフラージュしたんだよ。後アマ、風呂は後できちんと出して返すから」
「本当に返してよね!でもおじさん、それオークってよりゴブオークに見えるよ?」
「うんうん。ミーツさん、私もミーツさんがゴブオークに見えます。ねぇアマ、それより馬車が囲まれてない?」
アミの言う通り、先程叫んだ冒険者により俺達の馬車が冒険者達に囲まれている感じで、冒険者達が殺気立っているのが馬車内でも分かる。
馬車の外の側面は幌で見えないが、後方に数人剣を構えて立っていたから囲まれていると思った。
「おい!御者しているのシーバスだろ?お前、なんで生きたゴブオークを馬車に乗せてる!」
シーバスと顔見知りであろう冒険者の一人が御者をしているシーバスに問いかけた。
「この馬車には生きた魔物なんて乗せてない!
乗っているのは冒険者になりたての若者達とその家族だ。それと一人凄腕の冒険者が乗ってるだけだ」
シーバスはグレムとその仲間達を冒険者になりたての若者として女達と子供達を、その家族と言い放ち、後ろの出入口にいる俺の方に振り向いた。
その瞬間、シーバスとガガモは先程のグレム同様に口をポカーンと開けて驚愕な顔をした。
そんな中、シーバスはすぐに正気を取り戻したのか真面目な顔をして怒鳴った。
「ミーツさん、何しちゃってくれてんだ!
ミーツさんがオークみたいな体型をしているから魔物に間違われないように御者を代わって後方に下がらせたのに、なんで自らゴブオークみたいな見た目にしているんだよ!」
どうやら俺の見た目がゴブオークみたいに見えるみたいだ。薬草を潰して身体に塗ったのは間違いだったみたいだ。せめて森に隠れていれば良かったのかも知れない。でも今更、そんな事を思っても仕方ないと思って、外にいる冒険者達は俺をゴブオークだと思い込んでいるみたいだから、俺が自ら外に出て誤解を解こうと馬車を降りて外に降り立った。
「ミーツさん、さっきの叫び声は何だったんだ?」
グレムの仲間達が俺に怯えながら出発の準備を女性達と一緒に終わらせていると、丁度風呂上がりのシーバスが先程の叫び声について聞いてきた。
「あー、まあ、ちょっと俺のやり過ぎによる結果だよ」
シーバスは頭に?を浮かべながらも、まだ先程まで風呂に浸かっていたと思われる上着だけシャツを着ていて、まだ髪も濡れている半裸のガガモを脇に挟んで自分達が置いてある荷物の所に歩いて行った。
「「あー!」」
さあ出発する前に風呂を潰さなくてはと思って先に大きな風呂から潰すと、ガガモとシーバスが同時に大きな声を上げた。
「ガガモはともかく、シーバスそんな大きな声を上げてどうしたんだい?」
「いや、風呂に使っていたツルツルした床と、あの大きな風呂を壊したから勿体ないと思って。
ミーツさん、まさかとは思うが俺達が入った一人用の風呂も同じように潰すのか?」
「うん。そりゃあそうだよ。あんな物、持ってても仕方ないし潰して最後にはドームごと跡形もなくする予定だよ」
「オークゴッドさん!なんて勿体ない事をするんですか!貴方は魔物だから風呂の価値が分からないのでしょう!って、ちょ、シーバスその拳はなんですか?今回、私は何も悪い事言ってないはずですよ!」
いつもより強めに見えたシーバスによる鉄拳制裁がガガモに振り落とされてからは、シーバスも俺にガガモ同様に風呂を壊すのは勿体ないと訴えてかけてきた。
「ミーツさん、ガガモが今後ミーツさんの事を魔物呼びしたらミーツさんが遠慮なくガガモを殴って良いからな。ついでに言わせてもらうと俺もガガモと同じ考えで、風呂を潰すのは間違っていると思う。あれは売れば金貨数百枚は行くと思うからだ。先程潰したツルツルの床でも売れば結構な額になったはずだ」
え?金貨数百枚?思考が一瞬停止してシーバスに返事をしようにも上手く言葉が出ない。
金貨になる魔物は沢山持っているが、想像魔法で出した浴槽が金貨数百枚ってのに驚きを隠せないでいた。
「それでももし、ミーツさんがあの風呂は要らないっていうなら俺が貰っても良いか?」
「ちょっ、シーバス、貴方だけズルイですよ!
オークゴッドさん、私も欲しいです」
「あ、うん。別に良いけど、とりあえずガガモは殴るね」
「え?うわっわっ、ひぶぶぇ」
ガガモの頰を殴って少しは気持ちを落ち着かせたが、もういっその事、冒険者を辞めて店を開くのもアリだと思った。でも、それは最終的に冒険者が嫌になって辞めたくなった時にしよう。
「おーい、妹達。お前達のマジックバックに空きはあるかー?」
シーバスは既に馬車に乗り込んでいたアマとアミに呼びかけ、マジックバックに空きがあるかどうかを聞いた。
「お兄ちゃん何で?あたしのは頑張ればゴブオークが二体入るくらいだよ」
「兄様、私のはあまり入らないです。
アマの物も沢山入っているので」
「よし!それなら入るかな?
ミーツさんが風呂をくれるんだ。だからアマ、お前のマジックバックに風呂を入れてくれ!依頼物をギルドに渡したら俺のに入れるからよ」
「「えぇーーーーーー!」」
「おじさん正気?魔物を倒しすぎて頭おかしくなってんじゃないの?」
「ミーツさん正気ですか?あんな高価な物を兄様に譲渡するなんて、ハッ!まさか兄様、昨夜私達が寝静まった後ミーツさんと体の関係になったのですか?」
「バッ、バカ、アミ、俺がミーツさんとそんな仲な訳がないだろうが!」
「とか言っちゃって、ホントはもう、お兄ちゃんとおじさんそういう仲なんじゃないのぉ?
あたしはおじさんに裸を見られたから、もうおじさんのお嫁さんになるしかないと思ってたけど、お兄ちゃんに譲るよ」
「お前達ぃ!」
「きゃん」「ふぎゅっ」
シーバスが俺と肉体関係にあると邪推した妹達に拳骨をして涙目になっているアマとアミだった。
そんな事がありつつも、シーバスは妹達に俺とはそういう関係ではないと力説し、浴槽はアマのマジックバックに無事収納された。
もう一つの浴槽はシーバスが担いで行くと言って聞かなかったから、馬車の後方の降り口を塞ぐ形で馬車の荷車に括り付けた。
正直、I.Bにも入れれるし処分した所でまた同じ物を出せば良いだけだからシーバス達の行動も止める事は出来たが、あまりに必死に浴槽を持って行こうとしている姿に口を出さずに見守る事しか出来なかった。
馬車を動かしてドームを出てドームごと跡形もなく潰すと、御者席の側にいたシーバスが残念そうに潰したドームを見ていた。
「ミーツさん、関所では関所の兵と顔見知りの俺の方が良いと思うんだ。だから俺と御者代わって貰えないだろうか?」
俺が御者をして関所に近づいた時にシーバスから御者を代わるように提案され、問題なくシーバスと御者を代わった。
「シーバス、ハッキリ言わないとダメですよ?
オークゴッドミーツさんが、まんまオークの見た目してるから交代しようって言わなきゃです。
きっと顔馴染みの関所の兵達に殺されちゃいます」
「ガガモ、馬車を降りたら思いっきり殴るからな。ミーツさんは確かに見た目は、ほぼ裸で初見だと怪しさ満点だが、それは見た目なだけで実際は凄い良い人だろうが。お前、そんな人をよく魔物扱いできるな。それに、そんな兵達をなんとかできるお前がいるだろうが」
「もう魔物扱いしてないじゃないですか。
ちゃんとオークゴッドミーツさんって呼んでるじゃないですか!それに本当に最初会った時はオークだと思ったんですからね」
「はぁ、もう良い。お前は後で関所を抜けたらシメる」
「私をシメる?いいでしょう。望むところです。いつも叩かれていて内心腹を立てていた所でしたし、今日こそシーバスに勝ってみせますよ」
俺が御者をシーバスと代わって御者席から離れて後方の席に移動するのと同時にガガモがシーバスの近くに行き、何やら魔物の話でもしているのか、オークという単語が聞こえた。
まさか俺がオークに見えるとか、そういう話しているのではないだろうか?そう思った俺は想像魔法で薬草を数点出して、水を加えてながらグチャグチャに手で潰すと顔や身体に付けてオークに似てるなど言えないようにカモフラージュした。
身体に塗る時は胴体にいるアッシュに避けてもらい、入念に薬草を塗り込み、塗った後でアッシュには元の定位置に戻ってもらって、これで大丈夫だろうと馬車内の空いているスペースに立ち前方を見た。
前方には俺を見ていたグレムが何もない所から薬草を出した事で驚いているのか、全身緑色の俺を驚いた顔で凝視して口をパクパクとさせていた。
そんなグレムは放っておき、シーバスが御者する馬車は関所に着いた。関所では昨夜外で野営していた冒険者の行列が出来ていた。
この世界に来て初めて、関所らしい関所を後方の席からでも見えて、興味が出て御者をしているシーバスの近くに行き、並んでいる冒険者を見ていると最後に並んでいた冒険者と目が合い凄く驚かれた。
「ま、ま、ま、魔物だぁーー!生きたゴブオークを乗せた馬車がいるぞーー」
目が合った冒険者は生きたゴブオークを乗せた馬車がいると大声を上げ出した。俺は俺達以外に馬車が後方にいてゴブオークを乗せているのかと咄嗟に後方に行き、馬車にくくり付けている浴槽をI.Bに仕舞って外を見たが、俺達以外に馬車は居なかった。
「あー!おじさん!私達のお風呂、どこにやったの!一瞬で消えちゃった。おじさんのマジックバック?でもマジックバックに入れた感じでもなかったよね」
「ミーツさん、それより何したんですか?
ゴブオークがいるって聞こえたんですけど。
それにミーツさん、その姿どうしたんですか?」
「いや、俺にもサッパリだ。
てっきり俺達の馬車の後ろに違う馬車がいて、それに生きたゴブオークがいるって思ったんだけどいないね。俺はオークに見られないように薬草でカモフラージュしたんだよ。後アマ、風呂は後できちんと出して返すから」
「本当に返してよね!でもおじさん、それオークってよりゴブオークに見えるよ?」
「うんうん。ミーツさん、私もミーツさんがゴブオークに見えます。ねぇアマ、それより馬車が囲まれてない?」
アミの言う通り、先程叫んだ冒険者により俺達の馬車が冒険者達に囲まれている感じで、冒険者達が殺気立っているのが馬車内でも分かる。
馬車の外の側面は幌で見えないが、後方に数人剣を構えて立っていたから囲まれていると思った。
「おい!御者しているのシーバスだろ?お前、なんで生きたゴブオークを馬車に乗せてる!」
シーバスと顔見知りであろう冒険者の一人が御者をしているシーバスに問いかけた。
「この馬車には生きた魔物なんて乗せてない!
乗っているのは冒険者になりたての若者達とその家族だ。それと一人凄腕の冒険者が乗ってるだけだ」
シーバスはグレムとその仲間達を冒険者になりたての若者として女達と子供達を、その家族と言い放ち、後ろの出入口にいる俺の方に振り向いた。
その瞬間、シーバスとガガモは先程のグレム同様に口をポカーンと開けて驚愕な顔をした。
そんな中、シーバスはすぐに正気を取り戻したのか真面目な顔をして怒鳴った。
「ミーツさん、何しちゃってくれてんだ!
ミーツさんがオークみたいな体型をしているから魔物に間違われないように御者を代わって後方に下がらせたのに、なんで自らゴブオークみたいな見た目にしているんだよ!」
どうやら俺の見た目がゴブオークみたいに見えるみたいだ。薬草を潰して身体に塗ったのは間違いだったみたいだ。せめて森に隠れていれば良かったのかも知れない。でも今更、そんな事を思っても仕方ないと思って、外にいる冒険者達は俺をゴブオークだと思い込んでいるみたいだから、俺が自ら外に出て誤解を解こうと馬車を降りて外に降り立った。
1
お気に入りに追加
7,139
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。