底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第58話

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第58話

「ミーツさん、さっきの叫び声は何だったんだ?」

グレムの仲間達が俺に怯えながら出発の準備を女性達と一緒に終わらせていると、丁度風呂上がりのシーバスが先程の叫び声について聞いてきた。

「あー、まあ、ちょっと俺のやり過ぎによる結果だよ」

シーバスは頭に?を浮かべながらも、まだ先程まで風呂に浸かっていたと思われる上着だけシャツを着ていて、まだ髪も濡れている半裸のガガモを脇に挟んで自分達が置いてある荷物の所に歩いて行った。

「「あー!」」

さあ出発する前に風呂を潰さなくてはと思って先に大きな風呂から潰すと、ガガモとシーバスが同時に大きな声を上げた。

「ガガモはともかく、シーバスそんな大きな声を上げてどうしたんだい?」

「いや、風呂に使っていたツルツルした床と、あの大きな風呂を壊したから勿体ないと思って。
ミーツさん、まさかとは思うが俺達が入った一人用の風呂も同じように潰すのか?」

「うん。そりゃあそうだよ。あんな物、持ってても仕方ないし潰して最後にはドームごと跡形もなくする予定だよ」

「オークゴッドさん!なんて勿体ない事をするんですか!貴方は魔物だから風呂の価値が分からないのでしょう!って、ちょ、シーバスその拳はなんですか?今回、私は何も悪い事言ってないはずですよ!」

いつもより強めに見えたシーバスによる鉄拳制裁がガガモに振り落とされてからは、シーバスも俺にガガモ同様に風呂を壊すのは勿体ないと訴えてかけてきた。

「ミーツさん、ガガモが今後ミーツさんの事を魔物呼びしたらミーツさんが遠慮なくガガモを殴って良いからな。ついでに言わせてもらうと俺もガガモと同じ考えで、風呂を潰すのは間違っていると思う。あれは売れば金貨数百枚は行くと思うからだ。先程潰したツルツルの床でも売れば結構な額になったはずだ」

え?金貨数百枚?思考が一瞬停止してシーバスに返事をしようにも上手く言葉が出ない。
金貨になる魔物は沢山持っているが、想像魔法で出した浴槽が金貨数百枚ってのに驚きを隠せないでいた。

「それでももし、ミーツさんがあの風呂は要らないっていうなら俺が貰っても良いか?」

「ちょっ、シーバス、貴方だけズルイですよ!
オークゴッドさん、私も欲しいです」

「あ、うん。別に良いけど、とりあえずガガモは殴るね」

「え?うわっわっ、ひぶぶぇ」

ガガモの頰を殴って少しは気持ちを落ち着かせたが、もういっその事、冒険者を辞めて店を開くのもアリだと思った。でも、それは最終的に冒険者が嫌になって辞めたくなった時にしよう。

「おーい、妹達。お前達のマジックバックに空きはあるかー?」

シーバスは既に馬車に乗り込んでいたアマとアミに呼びかけ、マジックバックに空きがあるかどうかを聞いた。

「お兄ちゃん何で?あたしのは頑張ればゴブオークが二体入るくらいだよ」
「兄様、私のはあまり入らないです。
アマの物も沢山入っているので」

「よし!それなら入るかな?
ミーツさんが風呂をくれるんだ。だからアマ、お前のマジックバックに風呂を入れてくれ!依頼物をギルドに渡したら俺のに入れるからよ」

「「えぇーーーーーー!」」
「おじさん正気?魔物を倒しすぎて頭おかしくなってんじゃないの?」
「ミーツさん正気ですか?あんな高価な物を兄様に譲渡するなんて、ハッ!まさか兄様、昨夜私達が寝静まった後ミーツさんと体の関係になったのですか?」

「バッ、バカ、アミ、俺がミーツさんとそんな仲な訳がないだろうが!」

「とか言っちゃって、ホントはもう、お兄ちゃんとおじさんそういう仲なんじゃないのぉ?
あたしはおじさんに裸を見られたから、もうおじさんのお嫁さんになるしかないと思ってたけど、お兄ちゃんに譲るよ」

「お前達ぃ!」
「きゃん」「ふぎゅっ」

シーバスが俺と肉体関係にあると邪推した妹達に拳骨をして涙目になっているアマとアミだった。
そんな事がありつつも、シーバスは妹達に俺とはそういう関係ではないと力説し、浴槽はアマのマジックバックに無事収納された。

もう一つの浴槽はシーバスが担いで行くと言って聞かなかったから、馬車の後方の降り口を塞ぐ形で馬車の荷車に括り付けた。

正直、I.Bにも入れれるし処分した所でまた同じ物を出せば良いだけだからシーバス達の行動も止める事は出来たが、あまりに必死に浴槽を持って行こうとしている姿に口を出さずに見守る事しか出来なかった。

馬車を動かしてドームを出てドームごと跡形もなく潰すと、御者席の側にいたシーバスが残念そうに潰したドームを見ていた。

「ミーツさん、関所では関所の兵と顔見知りの俺の方が良いと思うんだ。だから俺と御者代わって貰えないだろうか?」

俺が御者をして関所に近づいた時にシーバスから御者を代わるように提案され、問題なくシーバスと御者を代わった。

「シーバス、ハッキリ言わないとダメですよ?
オークゴッドミーツさんが、まんまオークの見た目してるから交代しようって言わなきゃです。
きっと顔馴染みの関所の兵達に殺されちゃいます」

「ガガモ、馬車を降りたら思いっきり殴るからな。ミーツさんは確かに見た目は、ほぼ裸で初見だと怪しさ満点だが、それは見た目なだけで実際は凄い良い人だろうが。お前、そんな人をよく魔物扱いできるな。それに、そんな兵達をなんとかできるお前がいるだろうが」

「もう魔物扱いしてないじゃないですか。
ちゃんとオークゴッドミーツさんって呼んでるじゃないですか!それに本当に最初会った時はオークだと思ったんですからね」

「はぁ、もう良い。お前は後で関所を抜けたらシメる」
「私をシメる?いいでしょう。望むところです。いつも叩かれていて内心腹を立てていた所でしたし、今日こそシーバスに勝ってみせますよ」


俺が御者をシーバスと代わって御者席から離れて後方の席に移動するのと同時にガガモがシーバスの近くに行き、何やら魔物の話でもしているのか、オークという単語が聞こえた。

まさか俺がオークに見えるとか、そういう話しているのではないだろうか?そう思った俺は想像魔法で薬草を数点出して、水を加えてながらグチャグチャに手で潰すと顔や身体に付けてオークに似てるなど言えないようにカモフラージュした。

身体に塗る時は胴体にいるアッシュに避けてもらい、入念に薬草を塗り込み、塗った後でアッシュには元の定位置に戻ってもらって、これで大丈夫だろうと馬車内の空いているスペースに立ち前方を見た。

前方には俺を見ていたグレムが何もない所から薬草を出した事で驚いているのか、全身緑色の俺を驚いた顔で凝視して口をパクパクとさせていた。

そんなグレムは放っておき、シーバスが御者する馬車は関所に着いた。関所では昨夜外で野営していた冒険者の行列が出来ていた。
この世界に来て初めて、関所らしい関所を後方の席からでも見えて、興味が出て御者をしているシーバスの近くに行き、並んでいる冒険者を見ていると最後に並んでいた冒険者と目が合い凄く驚かれた。

「ま、ま、ま、魔物だぁーー!生きたゴブオークを乗せた馬車がいるぞーー」

目が合った冒険者は生きたゴブオークを乗せた馬車がいると大声を上げ出した。俺は俺達以外に馬車が後方にいてゴブオークを乗せているのかと咄嗟に後方に行き、馬車にくくり付けている浴槽をI.Bに仕舞って外を見たが、俺達以外に馬車は居なかった。

「あー!おじさん!私達のお風呂、どこにやったの!一瞬で消えちゃった。おじさんのマジックバック?でもマジックバックに入れた感じでもなかったよね」

「ミーツさん、それより何したんですか?
ゴブオークがいるって聞こえたんですけど。
それにミーツさん、その姿どうしたんですか?」

「いや、俺にもサッパリだ。
てっきり俺達の馬車の後ろに違う馬車がいて、それに生きたゴブオークがいるって思ったんだけどいないね。俺はオークに見られないように薬草でカモフラージュしたんだよ。後アマ、風呂は後できちんと出して返すから」

「本当に返してよね!でもおじさん、それオークってよりゴブオークに見えるよ?」

「うんうん。ミーツさん、私もミーツさんがゴブオークに見えます。ねぇアマ、それより馬車が囲まれてない?」


アミの言う通り、先程叫んだ冒険者により俺達の馬車が冒険者達に囲まれている感じで、冒険者達が殺気立っているのが馬車内でも分かる。
馬車の外の側面は幌で見えないが、後方に数人剣を構えて立っていたから囲まれていると思った。

「おい!御者しているのシーバスだろ?お前、なんで生きたゴブオークを馬車に乗せてる!」

シーバスと顔見知りであろう冒険者の一人が御者をしているシーバスに問いかけた。

「この馬車には生きた魔物なんて乗せてない!
乗っているのは冒険者になりたての若者達とその家族だ。それと一人凄腕の冒険者が乗ってるだけだ」

シーバスはグレムとその仲間達を冒険者になりたての若者として女達と子供達を、その家族と言い放ち、後ろの出入口にいる俺の方に振り向いた。
その瞬間、シーバスとガガモは先程のグレム同様に口をポカーンと開けて驚愕な顔をした。
そんな中、シーバスはすぐに正気を取り戻したのか真面目な顔をして怒鳴った。

「ミーツさん、何しちゃってくれてんだ!
ミーツさんがオークみたいな体型をしているから魔物に間違われないように御者を代わって後方に下がらせたのに、なんで自らゴブオークみたいな見た目にしているんだよ!」

どうやら俺の見た目がゴブオークみたいに見えるみたいだ。薬草を潰して身体に塗ったのは間違いだったみたいだ。せめて森に隠れていれば良かったのかも知れない。でも今更、そんな事を思っても仕方ないと思って、外にいる冒険者達は俺をゴブオークだと思い込んでいるみたいだから、俺が自ら外に出て誤解を解こうと馬車を降りて外に降り立った。

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