175 / 247
第4章
第56話
しおりを挟む
第56話
身体を乾かして脱衣所から出ると、グレムの仲間達は女湯の所の扉の前の落とし穴に落ちていた。
「チクショー、こんな事するのおっさんだろ?
フザケンナよ!俺達を出せよ」
グレムの仲間達は全員まとめて落ちていた為、大きな穴になっていたが、悪態をつき反省の色が見えない事で、大きな穴に想像魔法で大量の土を入れ男達の顔だけを出すという事をすると、全員の顔がくっついた形になって男達がそれぞれの頰にキスしている形になっていて少し笑えた。
「おっさんも中々酷い事するな。まあ、でもアイツらもこれに懲りておっさんの前でつまらねぇ事しないだろうな」
グレムと話していると女湯の扉からゾロゾロと女性達がバスタオルを身体に巻いて出てきたが、女湯に一緒に入れていた子供達の男の子は裸で出てきて、首だけの男達を股間をプラプラさせながら男達の頭を指で突いたりして楽しんでいた。
女の子は他の女性同様にタオルを身体に巻いている。そんな中でアミとアマはきちんと服を着て、俺の元にやってきた。
「おじさんおじさん、さっきのやつ教えてくれるんでしょ?早く教えてよ」
「もう、アマ!教えてくれる方にそんな言い方はないでしょ!あの、ミーツさん私にも教えてください」
「そうだね。それなら男湯の脱衣所で実践してみようかね。グレムは強制な」
「嫌だ。なんで男湯の方でするんだよ。
嫌な予感しかしないぜ」
「大丈夫大丈夫」
俺はグレムを肩に担いで、男湯の脱衣所に下ろして想像魔法で姐さんソックリな人形を出した。
人形の内部には小さめの風船を入れて、息を吹き入れ過ぎると割れるような物を出した。
「うわぁ、綺麗な人だねぇ。
この人おじさんの知り合い?」
「ホント、凄い無駄のない筋肉。
兄様に見せてあげたい」
「はあ?お前ら本気かよ。
こんなおっさんみたいなゴツイのが綺麗?
頭おかしいんじゃねぇか?」
「グレム、本人が居ても同じ事言えよ?
俺は知らないからな。ちなみに、この人形の元の人間は俺よりも相当強いからな」
「マジかよ。それ本当に人間か?」
「それじゃ、グレムからやって貰おうかね。
さっきマリエさんにやったみたいに口から息を吹き入れて俺が手を当てている所を両手で圧迫させるんだ。思いっきりやると肋骨が折れるからな。人形だから肋骨なんてないけど、適度にやって息も思いっきりは吹くなよ」
「うぇ~、こんなのとキスするのかよ」
「キスじゃない!人工呼吸だ。お前はさっきマリエさんにやったじゃないか。状況次第では誰にでも出来なきゃ駄目だよ。グレム、お前もさっきのマリエさんみたいな状態になったら、俺はお前にもやるよ」
「マジか。俺がマリエみたいな感じになったら見殺しにしてくれ」
「でもお前、俺がいない状況で先程のマリエさんみたいな事が起こったらどうするんだ?
人工呼吸だけじゃ助からないかもだよ?
人工呼吸だけして後は見てるだけか?
一応、憶えておけば中々忘れないんだから憶えておいて損はないはずだよ」
「でも、この人形は生々しいぜ。
せめて他のはないのかよ」
グレムは姐さん人形と人工呼吸するのは断固拒否の姿勢で近寄ろうともしなかった。
それならとグレムの裸の人形を出すと、二、三歩後ずさった。
「おっさん、せめて女の人形にしてくれよ。男にキスはしたくないぜ。それになんで裸なんだよ」
「お前の姿の人形だよ?さっきまで裸だったろ。それを憶えていたから、そのまま出しただけだけど」
「え?コレ俺なのか?俺ってこんな感じなのか?でも、どうやって出したんだよ。元々持ってた訳じゃないんだろ?」
「それは秘密だよ。さぁ、自分自身なら人工呼吸できるだろ?やれよ」
グレムは自分自身の姿の人形の口に口を当て思いっきり息を吹き入れると、パンッとグレム人形の腹部辺りで音が鳴った。
「あーあ、これでグレムは死んだよ。思いっきり息を吹き入れすぎたから、肺が破裂したんだよ。
これがマリエさんなら見殺しじゃなくて、グレムがトドメをさした事になるな」
「何なんだよ!肺?肺ってなんだよ。
おっさんが思いっきりって言ったじゃねぇかよ」
「俺はそんな事は言ってないよ。
じゃあ、俺が手本を見せるから見てろよ」
グレム人形の腹辺りを触り、口から腹部にかけて風船が続くよう想像魔法で作ると、グレム人形の顎を上げて空気を入れやすくして軽く息を吹き入れるとグレム人形の腹部が膨らみ、そして心臓マッサージの真似事をやるのを数度繰り返した所で、アマとアミが姐さん人形で俺がやった手本を試していた。
「心臓マッサージについては、その人形ではなくて別の人形を使う。その人形だと中の風船が割れるだけか、人形相手に押し当てても感触がフニャフニャで分からないだろうしね」
「え?別の人形って?どこにあるの?まさか、おじさんにキスするの?」
「いや、俺には人工呼吸は必要ないから、心臓マッサージね。人形相手じゃなくて生身の人間の方が分かりやすいだろ?でも心肺停止ではない人にやると、逆に心不全になるからやるなら別の場所を押して貰うよ。押す位置だけは教えておくからね」
「ああ、そういう事ですか。それならミーツさん、私からお願いします」
アミは姐さん人形に息を吹き入れ過ぎたのか息切れをしていたが、心臓マッサージやりたいと手を上げた。俺はアミに頷いて横になり、アミにアマとグレムにマッサージする時はこの辺りだと自分の身体の中心に手を当てて説明した後、太腿を押すように指示を出すと、一度に三十回六十秒に百回やるように言うと、アミは俺の太い太腿に小さな両手で押し出した。
「うん、ふん、はぁはぁはぁ、ミーツさん、キツイです。アマと交代しても良いですか?」
「ダメだ。とりあえず言われた回数をこなしてから交代するんだ。それに押す時は両手を重ねてなるべく腕を垂直に立てて押すんだ」
「は、はい。はぁはぁはぁ」
「よし、その調子だ。アミ、終わったらアマと交代だよ」
アミは言われた回数をこなした後、グレム人形の横で息を切らしながら横たわった。
次の番はアマとなり、アマもアミ同様に早々に息を切らしながらなんとか終わったと思ったら男湯の扉が勢いよく開いた。
「お前達!何いかがわしい事やっているんだ!」
勢いよく入ってきたのはシーバスだった。
「え、俺の妹であるアマとアミがグレム君に穢された。グレム君はマリエさんという女性がいるのに何故だ?何故俺の妹達に手を出したー!」
「シーバス、怒っている所を悪いけど、アマとアミが一緒に横たわっているのグレム人形だから。
グレムはシーバスが勢いよく開けた扉にぶつかって気絶しているよ」
「わわ!グレム君、悪かった。
え?でも人形?そこに横たわっているのが?
それにもう一人見慣れない人がいるが」
「コレも人形だよ。今は離ればなれになっている俺の仲間の一人の人形だよ。
コレらの人形と俺の身体を使って人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだ」
「じんこうこきゅう?マッサージっていかがわしい事じゃないのか?アマとアミの扉の外から聞こえた声はいかがわしい事をしているような声だったぞ」
シーバスは未だに分かってくれてなくて、どうしたものかと顎を触りながら考えていると、先程まで息切れが酷かったアマとアミが起き上がって兄であるシーバスを見上げていた。
「ああ、ちょうど良かった。
アマとアミからもシーバスに説明してくれ。
シーバスが二人がいかがわしい事をしていると勘違いして、乗り込んできたんだけど人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだって言っても、納得してくれないんだ」
「え~、兄ちゃん。あたし達がおじさんに変な事されてるって思ったの?ありえないから」
「ですです。兄様、私達はミーツさんに人が瀕死の状態になった時の対処法をミーツさんと人形を使って学んでいただけですから」
「そうかそうか。それなら良い!ミーツさん、俺にも妹達に教えた事を教えて欲しい」
「あ、でも、私達の裸はおじさんとグレムに見られたよ」
「もうアマ!忘れかけていたのに思い出させないでよ!」
「あ?なんだって?お前達の裸をミーツさんとグレム君が見た?どうやって?もしかしてミーツさんとグレム君が覗いたのか?外で生き埋めにされてる男達はミーツさんが女湯を覗こうとしたのを止めようとしたけど阻止出来なかったとか?」
シーバスの目が据わっていて、拳を握りしめて今にも殴りかかってきそうな勢いだ。
「いや待てシーバス。それは違うから!
全部逆だよ。外に埋めている男達が女湯を覗こうとしたのを俺が阻止したのと、アマとアミが勝手に男湯に入ってきたんだ」
「なんだと?俺の妹達がそんなふしだらな事をするわけがないじゃないか。
大体、何の為に男湯に入ったというんだ」
「あの~、兄様。アマが最初にミーツさんがお風呂に入れたハーブが知りたくて男湯の方に入ったんです。私はそんなアマを追いかけ入っただけなんです。まさか目の前にミーツさんがいたとは思わなかったですけど」
「ハーブ?回復薬や毒消しの効果がある薬草か?
何で風呂に?」
「兄ちゃん知らないの~?風呂にハーブを入れたら凄く良い香りがして、風呂から上がった後もスッキリするんだよ」
「そんな物、俺が入った風呂には無かったぞ。
なんでお前達だけ!ミーツさん、どういう事だ!」
「シーバス、悪いね。風呂に浸かった時にハーブの事を思い出したんだよ。ハーブを入れた風呂に入りたいなら、また入るかい?いくつかのハーブを出してやるよ」
「しょ、正直、凄く興味があるが、これ以上湯に浸かったら身体がふやけてしまう」
「じゃあ、明日の朝にでも入れば?」
「朝も風呂入れるのか?
そんな贅沢をしていいのだろうか」
「風呂が贅沢なんてシーバス達はどんな生活をしているんだよ。その気になれば泉や川の側でも入れるだろ?」
「あぁ、確かに入れるが朝にもなれば人目にも付く上、魔物にも襲われやすいから無理だ」
「そういえばそっか。
ちなみに外での作り方は知っているか?」
「それは知ってる。川から少し離れた場所に穴を掘って下に石を敷き詰めてから川からの水路を作って穴に流し込んだ後、火を入れるか火で熱した石を投入すれば良いんだろ?」
「よく知ってたね」
「だから言ったろ。前に一時的に俺達のパーティにいた奴が教えてくれたって。ただ、外での風呂は安全じゃないから必ず誰かが見張りをしなきゃいけないのが欠点だよな」
「まぁ、普通はそうだね。
でもアマかアミが土魔法を使えたら簡単に風呂の周りを土壁で囲ったり、周りの石や岩を凝縮して壁にする事もできるんじゃないかな」
「ぎょ、ぎょうしゅく?
わ、悪いがミーツさんの言っている事が分からないんだが、でも土魔法の土壁は分かるぞ」
「そうか、それなら明日水辺が近くにあったら、俺が見せてやるから次から試してみると良いよ。ついでに明日の朝、シーバスが早起きをしていたら朝風呂入れば良い」
「ほ、本当に明日の朝に良いのか?」
「何度も言うけど良いよ。
その代わり早起きしたらね」
「わ、分かった!それなら俺は寝ない」
先程まで脱衣所に乗り込んで来た時のシーバスは怒りで顔が真っ赤で拳も握りしめていたのに、今では明日の風呂の事で頭がいっぱいなのかニコニコした顔になっていた。
そして、簡単に人形と俺を使って人工呼吸と心臓マッサージをシーバスにも教え、俺の講習は終わりを迎えたが、アマとアミはまだ人形とそれぞれの身体を使って練習をしていて俺は「程々にな」と言うと、脱衣所を出て別の場所で横たわって眠りにつこうとした時ふと、ガガモの姿を見なかったがどうしたのだろうか?そう思ったが、きっとガガモの事だ。とっくに風呂から出て適当に寝ている事だろう。
それに本当にシーバスは風呂の為に寝ないのか気になったが自身の眠気で、これ以上何も考えたくなくなりアッシュを枕にして目を閉じた。
身体を乾かして脱衣所から出ると、グレムの仲間達は女湯の所の扉の前の落とし穴に落ちていた。
「チクショー、こんな事するのおっさんだろ?
フザケンナよ!俺達を出せよ」
グレムの仲間達は全員まとめて落ちていた為、大きな穴になっていたが、悪態をつき反省の色が見えない事で、大きな穴に想像魔法で大量の土を入れ男達の顔だけを出すという事をすると、全員の顔がくっついた形になって男達がそれぞれの頰にキスしている形になっていて少し笑えた。
「おっさんも中々酷い事するな。まあ、でもアイツらもこれに懲りておっさんの前でつまらねぇ事しないだろうな」
グレムと話していると女湯の扉からゾロゾロと女性達がバスタオルを身体に巻いて出てきたが、女湯に一緒に入れていた子供達の男の子は裸で出てきて、首だけの男達を股間をプラプラさせながら男達の頭を指で突いたりして楽しんでいた。
女の子は他の女性同様にタオルを身体に巻いている。そんな中でアミとアマはきちんと服を着て、俺の元にやってきた。
「おじさんおじさん、さっきのやつ教えてくれるんでしょ?早く教えてよ」
「もう、アマ!教えてくれる方にそんな言い方はないでしょ!あの、ミーツさん私にも教えてください」
「そうだね。それなら男湯の脱衣所で実践してみようかね。グレムは強制な」
「嫌だ。なんで男湯の方でするんだよ。
嫌な予感しかしないぜ」
「大丈夫大丈夫」
俺はグレムを肩に担いで、男湯の脱衣所に下ろして想像魔法で姐さんソックリな人形を出した。
人形の内部には小さめの風船を入れて、息を吹き入れ過ぎると割れるような物を出した。
「うわぁ、綺麗な人だねぇ。
この人おじさんの知り合い?」
「ホント、凄い無駄のない筋肉。
兄様に見せてあげたい」
「はあ?お前ら本気かよ。
こんなおっさんみたいなゴツイのが綺麗?
頭おかしいんじゃねぇか?」
「グレム、本人が居ても同じ事言えよ?
俺は知らないからな。ちなみに、この人形の元の人間は俺よりも相当強いからな」
「マジかよ。それ本当に人間か?」
「それじゃ、グレムからやって貰おうかね。
さっきマリエさんにやったみたいに口から息を吹き入れて俺が手を当てている所を両手で圧迫させるんだ。思いっきりやると肋骨が折れるからな。人形だから肋骨なんてないけど、適度にやって息も思いっきりは吹くなよ」
「うぇ~、こんなのとキスするのかよ」
「キスじゃない!人工呼吸だ。お前はさっきマリエさんにやったじゃないか。状況次第では誰にでも出来なきゃ駄目だよ。グレム、お前もさっきのマリエさんみたいな状態になったら、俺はお前にもやるよ」
「マジか。俺がマリエみたいな感じになったら見殺しにしてくれ」
「でもお前、俺がいない状況で先程のマリエさんみたいな事が起こったらどうするんだ?
人工呼吸だけじゃ助からないかもだよ?
人工呼吸だけして後は見てるだけか?
一応、憶えておけば中々忘れないんだから憶えておいて損はないはずだよ」
「でも、この人形は生々しいぜ。
せめて他のはないのかよ」
グレムは姐さん人形と人工呼吸するのは断固拒否の姿勢で近寄ろうともしなかった。
それならとグレムの裸の人形を出すと、二、三歩後ずさった。
「おっさん、せめて女の人形にしてくれよ。男にキスはしたくないぜ。それになんで裸なんだよ」
「お前の姿の人形だよ?さっきまで裸だったろ。それを憶えていたから、そのまま出しただけだけど」
「え?コレ俺なのか?俺ってこんな感じなのか?でも、どうやって出したんだよ。元々持ってた訳じゃないんだろ?」
「それは秘密だよ。さぁ、自分自身なら人工呼吸できるだろ?やれよ」
グレムは自分自身の姿の人形の口に口を当て思いっきり息を吹き入れると、パンッとグレム人形の腹部辺りで音が鳴った。
「あーあ、これでグレムは死んだよ。思いっきり息を吹き入れすぎたから、肺が破裂したんだよ。
これがマリエさんなら見殺しじゃなくて、グレムがトドメをさした事になるな」
「何なんだよ!肺?肺ってなんだよ。
おっさんが思いっきりって言ったじゃねぇかよ」
「俺はそんな事は言ってないよ。
じゃあ、俺が手本を見せるから見てろよ」
グレム人形の腹辺りを触り、口から腹部にかけて風船が続くよう想像魔法で作ると、グレム人形の顎を上げて空気を入れやすくして軽く息を吹き入れるとグレム人形の腹部が膨らみ、そして心臓マッサージの真似事をやるのを数度繰り返した所で、アマとアミが姐さん人形で俺がやった手本を試していた。
「心臓マッサージについては、その人形ではなくて別の人形を使う。その人形だと中の風船が割れるだけか、人形相手に押し当てても感触がフニャフニャで分からないだろうしね」
「え?別の人形って?どこにあるの?まさか、おじさんにキスするの?」
「いや、俺には人工呼吸は必要ないから、心臓マッサージね。人形相手じゃなくて生身の人間の方が分かりやすいだろ?でも心肺停止ではない人にやると、逆に心不全になるからやるなら別の場所を押して貰うよ。押す位置だけは教えておくからね」
「ああ、そういう事ですか。それならミーツさん、私からお願いします」
アミは姐さん人形に息を吹き入れ過ぎたのか息切れをしていたが、心臓マッサージやりたいと手を上げた。俺はアミに頷いて横になり、アミにアマとグレムにマッサージする時はこの辺りだと自分の身体の中心に手を当てて説明した後、太腿を押すように指示を出すと、一度に三十回六十秒に百回やるように言うと、アミは俺の太い太腿に小さな両手で押し出した。
「うん、ふん、はぁはぁはぁ、ミーツさん、キツイです。アマと交代しても良いですか?」
「ダメだ。とりあえず言われた回数をこなしてから交代するんだ。それに押す時は両手を重ねてなるべく腕を垂直に立てて押すんだ」
「は、はい。はぁはぁはぁ」
「よし、その調子だ。アミ、終わったらアマと交代だよ」
アミは言われた回数をこなした後、グレム人形の横で息を切らしながら横たわった。
次の番はアマとなり、アマもアミ同様に早々に息を切らしながらなんとか終わったと思ったら男湯の扉が勢いよく開いた。
「お前達!何いかがわしい事やっているんだ!」
勢いよく入ってきたのはシーバスだった。
「え、俺の妹であるアマとアミがグレム君に穢された。グレム君はマリエさんという女性がいるのに何故だ?何故俺の妹達に手を出したー!」
「シーバス、怒っている所を悪いけど、アマとアミが一緒に横たわっているのグレム人形だから。
グレムはシーバスが勢いよく開けた扉にぶつかって気絶しているよ」
「わわ!グレム君、悪かった。
え?でも人形?そこに横たわっているのが?
それにもう一人見慣れない人がいるが」
「コレも人形だよ。今は離ればなれになっている俺の仲間の一人の人形だよ。
コレらの人形と俺の身体を使って人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだ」
「じんこうこきゅう?マッサージっていかがわしい事じゃないのか?アマとアミの扉の外から聞こえた声はいかがわしい事をしているような声だったぞ」
シーバスは未だに分かってくれてなくて、どうしたものかと顎を触りながら考えていると、先程まで息切れが酷かったアマとアミが起き上がって兄であるシーバスを見上げていた。
「ああ、ちょうど良かった。
アマとアミからもシーバスに説明してくれ。
シーバスが二人がいかがわしい事をしていると勘違いして、乗り込んできたんだけど人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだって言っても、納得してくれないんだ」
「え~、兄ちゃん。あたし達がおじさんに変な事されてるって思ったの?ありえないから」
「ですです。兄様、私達はミーツさんに人が瀕死の状態になった時の対処法をミーツさんと人形を使って学んでいただけですから」
「そうかそうか。それなら良い!ミーツさん、俺にも妹達に教えた事を教えて欲しい」
「あ、でも、私達の裸はおじさんとグレムに見られたよ」
「もうアマ!忘れかけていたのに思い出させないでよ!」
「あ?なんだって?お前達の裸をミーツさんとグレム君が見た?どうやって?もしかしてミーツさんとグレム君が覗いたのか?外で生き埋めにされてる男達はミーツさんが女湯を覗こうとしたのを止めようとしたけど阻止出来なかったとか?」
シーバスの目が据わっていて、拳を握りしめて今にも殴りかかってきそうな勢いだ。
「いや待てシーバス。それは違うから!
全部逆だよ。外に埋めている男達が女湯を覗こうとしたのを俺が阻止したのと、アマとアミが勝手に男湯に入ってきたんだ」
「なんだと?俺の妹達がそんなふしだらな事をするわけがないじゃないか。
大体、何の為に男湯に入ったというんだ」
「あの~、兄様。アマが最初にミーツさんがお風呂に入れたハーブが知りたくて男湯の方に入ったんです。私はそんなアマを追いかけ入っただけなんです。まさか目の前にミーツさんがいたとは思わなかったですけど」
「ハーブ?回復薬や毒消しの効果がある薬草か?
何で風呂に?」
「兄ちゃん知らないの~?風呂にハーブを入れたら凄く良い香りがして、風呂から上がった後もスッキリするんだよ」
「そんな物、俺が入った風呂には無かったぞ。
なんでお前達だけ!ミーツさん、どういう事だ!」
「シーバス、悪いね。風呂に浸かった時にハーブの事を思い出したんだよ。ハーブを入れた風呂に入りたいなら、また入るかい?いくつかのハーブを出してやるよ」
「しょ、正直、凄く興味があるが、これ以上湯に浸かったら身体がふやけてしまう」
「じゃあ、明日の朝にでも入れば?」
「朝も風呂入れるのか?
そんな贅沢をしていいのだろうか」
「風呂が贅沢なんてシーバス達はどんな生活をしているんだよ。その気になれば泉や川の側でも入れるだろ?」
「あぁ、確かに入れるが朝にもなれば人目にも付く上、魔物にも襲われやすいから無理だ」
「そういえばそっか。
ちなみに外での作り方は知っているか?」
「それは知ってる。川から少し離れた場所に穴を掘って下に石を敷き詰めてから川からの水路を作って穴に流し込んだ後、火を入れるか火で熱した石を投入すれば良いんだろ?」
「よく知ってたね」
「だから言ったろ。前に一時的に俺達のパーティにいた奴が教えてくれたって。ただ、外での風呂は安全じゃないから必ず誰かが見張りをしなきゃいけないのが欠点だよな」
「まぁ、普通はそうだね。
でもアマかアミが土魔法を使えたら簡単に風呂の周りを土壁で囲ったり、周りの石や岩を凝縮して壁にする事もできるんじゃないかな」
「ぎょ、ぎょうしゅく?
わ、悪いがミーツさんの言っている事が分からないんだが、でも土魔法の土壁は分かるぞ」
「そうか、それなら明日水辺が近くにあったら、俺が見せてやるから次から試してみると良いよ。ついでに明日の朝、シーバスが早起きをしていたら朝風呂入れば良い」
「ほ、本当に明日の朝に良いのか?」
「何度も言うけど良いよ。
その代わり早起きしたらね」
「わ、分かった!それなら俺は寝ない」
先程まで脱衣所に乗り込んで来た時のシーバスは怒りで顔が真っ赤で拳も握りしめていたのに、今では明日の風呂の事で頭がいっぱいなのかニコニコした顔になっていた。
そして、簡単に人形と俺を使って人工呼吸と心臓マッサージをシーバスにも教え、俺の講習は終わりを迎えたが、アマとアミはまだ人形とそれぞれの身体を使って練習をしていて俺は「程々にな」と言うと、脱衣所を出て別の場所で横たわって眠りにつこうとした時ふと、ガガモの姿を見なかったがどうしたのだろうか?そう思ったが、きっとガガモの事だ。とっくに風呂から出て適当に寝ている事だろう。
それに本当にシーバスは風呂の為に寝ないのか気になったが自身の眠気で、これ以上何も考えたくなくなりアッシュを枕にして目を閉じた。
1
お気に入りに追加
7,139
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。