底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第56話

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第56話

身体を乾かして脱衣所から出ると、グレムの仲間達は女湯の所の扉の前の落とし穴に落ちていた。

「チクショー、こんな事するのおっさんだろ?
フザケンナよ!俺達を出せよ」

グレムの仲間達は全員まとめて落ちていた為、大きな穴になっていたが、悪態をつき反省の色が見えない事で、大きな穴に想像魔法で大量の土を入れ男達の顔だけを出すという事をすると、全員の顔がくっついた形になって男達がそれぞれの頰にキスしている形になっていて少し笑えた。

「おっさんも中々酷い事するな。まあ、でもアイツらもこれに懲りておっさんの前でつまらねぇ事しないだろうな」

グレムと話していると女湯の扉からゾロゾロと女性達がバスタオルを身体に巻いて出てきたが、女湯に一緒に入れていた子供達の男の子は裸で出てきて、首だけの男達を股間をプラプラさせながら男達の頭を指で突いたりして楽しんでいた。

女の子は他の女性同様にタオルを身体に巻いている。そんな中でアミとアマはきちんと服を着て、俺の元にやってきた。

「おじさんおじさん、さっきのやつ教えてくれるんでしょ?早く教えてよ」
「もう、アマ!教えてくれる方にそんな言い方はないでしょ!あの、ミーツさん私にも教えてください」
「そうだね。それなら男湯の脱衣所で実践してみようかね。グレムは強制な」
「嫌だ。なんで男湯の方でするんだよ。
嫌な予感しかしないぜ」
「大丈夫大丈夫」

俺はグレムを肩に担いで、男湯の脱衣所に下ろして想像魔法で姐さんソックリな人形を出した。
人形の内部には小さめの風船を入れて、息を吹き入れ過ぎると割れるような物を出した。

「うわぁ、綺麗な人だねぇ。
この人おじさんの知り合い?」
「ホント、凄い無駄のない筋肉。
兄様に見せてあげたい」
「はあ?お前ら本気かよ。
こんなおっさんみたいなゴツイのが綺麗?
頭おかしいんじゃねぇか?」

「グレム、本人が居ても同じ事言えよ?
俺は知らないからな。ちなみに、この人形の元の人間は俺よりも相当強いからな」
「マジかよ。それ本当に人間か?」

「それじゃ、グレムからやって貰おうかね。
さっきマリエさんにやったみたいに口から息を吹き入れて俺が手を当てている所を両手で圧迫させるんだ。思いっきりやると肋骨が折れるからな。人形だから肋骨なんてないけど、適度にやって息も思いっきりは吹くなよ」

「うぇ~、こんなのとキスするのかよ」

「キスじゃない!人工呼吸だ。お前はさっきマリエさんにやったじゃないか。状況次第では誰にでも出来なきゃ駄目だよ。グレム、お前もさっきのマリエさんみたいな状態になったら、俺はお前にもやるよ」

「マジか。俺がマリエみたいな感じになったら見殺しにしてくれ」

「でもお前、俺がいない状況で先程のマリエさんみたいな事が起こったらどうするんだ?
人工呼吸だけじゃ助からないかもだよ?
人工呼吸だけして後は見てるだけか?
一応、憶えておけば中々忘れないんだから憶えておいて損はないはずだよ」

「でも、この人形は生々しいぜ。
せめて他のはないのかよ」

グレムは姐さん人形と人工呼吸するのは断固拒否の姿勢で近寄ろうともしなかった。
それならとグレムの裸の人形を出すと、二、三歩後ずさった。

「おっさん、せめて女の人形にしてくれよ。男にキスはしたくないぜ。それになんで裸なんだよ」

「お前の姿の人形だよ?さっきまで裸だったろ。それを憶えていたから、そのまま出しただけだけど」

「え?コレ俺なのか?俺ってこんな感じなのか?でも、どうやって出したんだよ。元々持ってた訳じゃないんだろ?」

「それは秘密だよ。さぁ、自分自身なら人工呼吸できるだろ?やれよ」

グレムは自分自身の姿の人形の口に口を当て思いっきり息を吹き入れると、パンッとグレム人形の腹部辺りで音が鳴った。

「あーあ、これでグレムは死んだよ。思いっきり息を吹き入れすぎたから、肺が破裂したんだよ。
これがマリエさんなら見殺しじゃなくて、グレムがトドメをさした事になるな」

「何なんだよ!肺?肺ってなんだよ。
おっさんが思いっきりって言ったじゃねぇかよ」

「俺はそんな事は言ってないよ。
じゃあ、俺が手本を見せるから見てろよ」


グレム人形の腹辺りを触り、口から腹部にかけて風船が続くよう想像魔法で作ると、グレム人形の顎を上げて空気を入れやすくして軽く息を吹き入れるとグレム人形の腹部が膨らみ、そして心臓マッサージの真似事をやるのを数度繰り返した所で、アマとアミが姐さん人形で俺がやった手本を試していた。


「心臓マッサージについては、その人形ではなくて別の人形を使う。その人形だと中の風船が割れるだけか、人形相手に押し当てても感触がフニャフニャで分からないだろうしね」

「え?別の人形って?どこにあるの?まさか、おじさんにキスするの?」

「いや、俺には人工呼吸は必要ないから、心臓マッサージね。人形相手じゃなくて生身の人間の方が分かりやすいだろ?でも心肺停止ではない人にやると、逆に心不全になるからやるなら別の場所を押して貰うよ。押す位置だけは教えておくからね」

「ああ、そういう事ですか。それならミーツさん、私からお願いします」


アミは姐さん人形に息を吹き入れ過ぎたのか息切れをしていたが、心臓マッサージやりたいと手を上げた。俺はアミに頷いて横になり、アミにアマとグレムにマッサージする時はこの辺りだと自分の身体の中心に手を当てて説明した後、太腿を押すように指示を出すと、一度に三十回六十秒に百回やるように言うと、アミは俺の太い太腿に小さな両手で押し出した。

「うん、ふん、はぁはぁはぁ、ミーツさん、キツイです。アマと交代しても良いですか?」

「ダメだ。とりあえず言われた回数をこなしてから交代するんだ。それに押す時は両手を重ねてなるべく腕を垂直に立てて押すんだ」

「は、はい。はぁはぁはぁ」

「よし、その調子だ。アミ、終わったらアマと交代だよ」

アミは言われた回数をこなした後、グレム人形の横で息を切らしながら横たわった。
次の番はアマとなり、アマもアミ同様に早々に息を切らしながらなんとか終わったと思ったら男湯の扉が勢いよく開いた。

「お前達!何いかがわしい事やっているんだ!」

勢いよく入ってきたのはシーバスだった。

「え、俺の妹であるアマとアミがグレム君に穢された。グレム君はマリエさんという女性がいるのに何故だ?何故俺の妹達に手を出したー!」

「シーバス、怒っている所を悪いけど、アマとアミが一緒に横たわっているのグレム人形だから。
グレムはシーバスが勢いよく開けた扉にぶつかって気絶しているよ」

「わわ!グレム君、悪かった。
え?でも人形?そこに横たわっているのが?
それにもう一人見慣れない人がいるが」

「コレも人形だよ。今は離ればなれになっている俺の仲間の一人の人形だよ。
コレらの人形と俺の身体を使って人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだ」

「じんこうこきゅう?マッサージっていかがわしい事じゃないのか?アマとアミの扉の外から聞こえた声はいかがわしい事をしているような声だったぞ」

シーバスは未だに分かってくれてなくて、どうしたものかと顎を触りながら考えていると、先程まで息切れが酷かったアマとアミが起き上がって兄であるシーバスを見上げていた。

「ああ、ちょうど良かった。
アマとアミからもシーバスに説明してくれ。
シーバスが二人がいかがわしい事をしていると勘違いして、乗り込んできたんだけど人工呼吸と心臓マッサージの練習をしていたんだって言っても、納得してくれないんだ」

「え~、兄ちゃん。あたし達がおじさんに変な事されてるって思ったの?ありえないから」

「ですです。兄様、私達はミーツさんに人が瀕死の状態になった時の対処法をミーツさんと人形を使って学んでいただけですから」

「そうかそうか。それなら良い!ミーツさん、俺にも妹達に教えた事を教えて欲しい」

「あ、でも、私達の裸はおじさんとグレムに見られたよ」
「もうアマ!忘れかけていたのに思い出させないでよ!」

「あ?なんだって?お前達の裸をミーツさんとグレム君が見た?どうやって?もしかしてミーツさんとグレム君が覗いたのか?外で生き埋めにされてる男達はミーツさんが女湯を覗こうとしたのを止めようとしたけど阻止出来なかったとか?」

シーバスの目が据わっていて、拳を握りしめて今にも殴りかかってきそうな勢いだ。

「いや待てシーバス。それは違うから!
全部逆だよ。外に埋めている男達が女湯を覗こうとしたのを俺が阻止したのと、アマとアミが勝手に男湯に入ってきたんだ」

「なんだと?俺の妹達がそんなふしだらな事をするわけがないじゃないか。
大体、何の為に男湯に入ったというんだ」

「あの~、兄様。アマが最初にミーツさんがお風呂に入れたハーブが知りたくて男湯の方に入ったんです。私はそんなアマを追いかけ入っただけなんです。まさか目の前にミーツさんがいたとは思わなかったですけど」

「ハーブ?回復薬や毒消しの効果がある薬草か?
何で風呂に?」

「兄ちゃん知らないの~?風呂にハーブを入れたら凄く良い香りがして、風呂から上がった後もスッキリするんだよ」

「そんな物、俺が入った風呂には無かったぞ。
なんでお前達だけ!ミーツさん、どういう事だ!」

「シーバス、悪いね。風呂に浸かった時にハーブの事を思い出したんだよ。ハーブを入れた風呂に入りたいなら、また入るかい?いくつかのハーブを出してやるよ」

「しょ、正直、凄く興味があるが、これ以上湯に浸かったら身体がふやけてしまう」

「じゃあ、明日の朝にでも入れば?」

「朝も風呂入れるのか?
そんな贅沢をしていいのだろうか」

「風呂が贅沢なんてシーバス達はどんな生活をしているんだよ。その気になれば泉や川の側でも入れるだろ?」

「あぁ、確かに入れるが朝にもなれば人目にも付く上、魔物にも襲われやすいから無理だ」

「そういえばそっか。
ちなみに外での作り方は知っているか?」

「それは知ってる。川から少し離れた場所に穴を掘って下に石を敷き詰めてから川からの水路を作って穴に流し込んだ後、火を入れるか火で熱した石を投入すれば良いんだろ?」

「よく知ってたね」

「だから言ったろ。前に一時的に俺達のパーティにいた奴が教えてくれたって。ただ、外での風呂は安全じゃないから必ず誰かが見張りをしなきゃいけないのが欠点だよな」

「まぁ、普通はそうだね。
でもアマかアミが土魔法を使えたら簡単に風呂の周りを土壁で囲ったり、周りの石や岩を凝縮して壁にする事もできるんじゃないかな」

「ぎょ、ぎょうしゅく?
わ、悪いがミーツさんの言っている事が分からないんだが、でも土魔法の土壁は分かるぞ」

「そうか、それなら明日水辺が近くにあったら、俺が見せてやるから次から試してみると良いよ。ついでに明日の朝、シーバスが早起きをしていたら朝風呂入れば良い」

「ほ、本当に明日の朝に良いのか?」

「何度も言うけど良いよ。
その代わり早起きしたらね」

「わ、分かった!それなら俺は寝ない」

先程まで脱衣所に乗り込んで来た時のシーバスは怒りで顔が真っ赤で拳も握りしめていたのに、今では明日の風呂の事で頭がいっぱいなのかニコニコした顔になっていた。

そして、簡単に人形と俺を使って人工呼吸と心臓マッサージをシーバスにも教え、俺の講習は終わりを迎えたが、アマとアミはまだ人形とそれぞれの身体を使って練習をしていて俺は「程々にな」と言うと、脱衣所を出て別の場所で横たわって眠りにつこうとした時ふと、ガガモの姿を見なかったがどうしたのだろうか?そう思ったが、きっとガガモの事だ。とっくに風呂から出て適当に寝ている事だろう。

それに本当にシーバスは風呂の為に寝ないのか気になったが自身の眠気で、これ以上何も考えたくなくなりアッシュを枕にして目を閉じた。


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