周変軌道のプラネトロイド

さとう たなか

文字の大きさ
13 / 13

3−3

しおりを挟む
「最近の娯楽用品は金がかかるなあ」

ゲームコーナー。
たくさんのソフトが置かれた棚の前で白のパーカーと黒ズボンを履いたミニサイズのお隣さんが腕を組みながら言った。

「どれも質が良いのかもな」

お隣さんの後ろで、見ていたレシートを財布に入れながらため息混じりに言ったスイ。
ノーパンだったお隣さんのために子供服売り場で買ったお隣さんの服。とりあえず、目に入ったものを選んでレジに持って行くと思いのほか高かった。

「ねえ、スイ、長袖暑いよー」

袖をまくりあげ、手を仰ぎ、顔に風を送るお隣さん。

「足元サンダルにしたんだ。それでなんとかしてくれ」

面倒そうに言うスイ。

「俺犬じゃないから」

喚くお隣さんを無視してスイはゲームコーナーでたむろする子供たちや、親子、背の高い高校生くらいの青年を見つめた。

「プレゼントってなんなんだろ」

頬を掻くスイ。成人と同じようにおしゃれな服を着る子供が目に入り、「やっぱ、服とか…、」と悩ましく言う。

「服は俺がお下がりもらってきてるから、そんなにじゃない?」

と、お隣さん。

「おしゃれに興味…。は無いか、ハルはゲームがほしいとか、言ったことないよな」

「知らないだけかも」

「ゲーム知らない子供っているか?」

「ハルちゃんならそうかも」

「我慢してる様子はない?」

「ハルは我慢強い子ではないよ。嫌なものは嫌って言うし。欲しかったらほしいって
言うと思うけどな」

「そうか」

「他のところ言って見ようよ」

「ああ」

と頷いたスイ。
次にブックコーナーに向かった。
スイはそのまま問題集の棚に向かった。ああ、いけない、と、いつもの自分の癖にスイは眉をしかめた。
ハルと出会ってからは高校に通うことを辞めた彼の為にと本屋に来たときは学生向けの問題集や専門書を毎回買い漁っていた。スイが買ってきたものに対してハルは嫌な顔を一つしないで喜んでいたから、ハル自身が何を欲しがっているのかを考えたり、聞いたりしていなかった。
仕事ばっかりやらないで、ハルのこともう少しみておけばよかったと、スイはため息吐いた。
ふと、お隣さんがいないことに気づいたスイ。あたりを見渡し、お隣さんを探す。
白髪の小学生が見え、スイは駆け寄ると、お隣さんは水着の表紙の女性アイドルのグラビア本を持っていた。中身が見えないようにゴムで縛られて、中が見えないのか、お隣さんは本を筒状にし、なんとか中を覗こうとしていた。

「おいっ、」

スイはお隣さんの頭を叩く。

「いてっ、ちょっとーもう少しだったのにー」

「子供らしくいろ。小学生がそんなことするか」

「らしくしてるじゃんか。好奇心旺盛」

「いいからやめてくれ」

スイはお隣さんから本を取り上げる。

「ああんもーう、」

「俺の顔でこういう本読むのやめてくれよ」

「人間の勉強だよ」

「どこが」

スイは取り上げた本を棚に戻す。

「良いの見つかった?」

浮かない顔をするスイにお隣さんが聞く。

「癖で、問題集の棚に行っちゃうんだ」

「いつも買ってるから?」

「プレゼントってなると、どこの棚に行ったらいいのか、」

「17歳が見る本と言ったらエロ本でしょ」

「もういい」

スイはコーナーから出ていこうとすると後ろからお隣さんが走ってくる。

「ちょっと、ちょっと」

「なんだ」

「早いって」

お隣さんは手を伸ばす。

「もう、君はどんどん先に行っちゃう」

「悪かったな」

お隣さんはスイの手を乱暴に掴む。

「なに」

「迷子になりそうだから繋いであげる」

「偉そうに」

スイは居心地悪そうにお隣さんの小さくなった手を握り返した。

「ねえねえ、パパー。あたしミカちゃん人形がほしいー」

「うるせえ」

飛び跳ねながらお隣さんは歩く。

「お前小学生男子だろ」

「ちょっと真似しただけじゃん」

「はあ、ハルは何がほしいんだろ」

ぶつぶついいながら歩くスイ。
店内を見渡しながら歩いていると文房具コーナーが目に入った。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

デコボコな僕ら

天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。 そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

孤独な蝶は仮面を被る

緋影 ナヅキ
BL
   とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。  全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。  さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。  彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。  あの日、例の不思議な転入生が来るまでは… ーーーーーーーーー  作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。  学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。  所々シリアス&コメディ(?)風味有り *表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい *多少内容を修正しました。2023/07/05 *お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25 *エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

処理中です...