周変軌道のプラネトロイド

さとう たなか

文字の大きさ
8 / 13

2−3

しおりを挟む
わけあって、体は人間だが超人並の破壊力を持って産まれてしまったスイ。現実に異星人やら怪獣やらがいてくれたらこの力も役に立つかもしれないが、複雑な世界情勢に対して暴力は解決にならないし、見える範囲で穏やかな日本では自分が脅威でしか無い。
前にスイがひったくり現場を目撃し、とっさに手持ちの携帯を投げつけた所、ヘルメットを粉砕し余力の時速160キロのスマホが犯人の脳天に直撃、数日間昏睡状態にさせてしまったことがある。
今は意識の戻った犯人だが性格が真逆になってしまい、介護福祉士の資格を取り働くようになってしまった。
今でもそのことを引きずっているスイ。普段も人の迷惑にならないようにと細心の注意を払って生活をしていたのだが、

「もーう、ほら寝てないからぁー」

スイの後ろから、バスケット選手のように脇の下に自身の頭部を抱えたお隣さんが言ったように、力のコントロールがうまくできていないようだった。
お隣さんにそう言われ、落ち込んだ顔をして鼻をすするスイ。
お隣さんは散らかったリビングを見渡し、ちょうど手に届く所にあったティッシュを拾い、スイに差し出す。

「悪い、」

と、スイはティッシュを一枚取り鼻を噛む。

「お前、すぐ首取れるよな」

頭部を再び首に戻したお隣さんを見て言うスイ。

「おかげさまで。君のばかぢからのおかげでデリケートになってるよ」

まだ接着されていないのか両手で頭部の側面を抑え込んでいたお隣さん。

「片付けないとな、」

散らかったリビングに目を向け、倒れていた棚に手を伸ばそうとしたスイの前に
お隣さんはううんと制止させるように手を前に出した。

「今日は寝てなよ。仕事終わったんでしょ?」

「ハルに飯作ってやんないと、」

「ごはんくらいやるって。俺が」

「お前氷しか作れないだろ」

「スイさ、なんでもかんでも一人でやりすぎだよ。ハルちゃんも俺もなにも出来ないわけじゃないんだからさ」

言い合う二人。

「何かあったの?」

二人は声のした方に顔を向ける。
爆撃、ではなく、スイのくしゃみの音で今起きて来たらしいハルが目を擦りながらリビングに入り二人の間に立った。

「ハルちゃん、スイは今日猛烈に眠たいんだって」

「お仕事してた」

「そう。だから、今日はお隣さんと一緒に家の家事をやろう」

片手の拳を上に上げ、すっかりその気のお隣さんにスイは

「いいって、やるから」と遠慮がちに言う。

「君は人より力が強いんだ。さっきのくしゃみで粉砕したのが山のてっぺんで良かったよ、人だったら大惨事だ」

言い返せないスイは歩が悪そうに口籠る。

「いいからたまには一日寝てきなさいな」

ポンと背中を押され、縁側に押されたスイ。

「さあハルちゃん、顔を洗っておいでー」

スイに背中を向け、さっさとハルを洗面所に連れて行ってしまうお隣さん。
頬を掻くスイ。諦めたのかため息をつき、仕方なく寝室として使用している和室に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

デコボコな僕ら

天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。 そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

光と瘴気の境界で

天気
BL
黒髪黒眼の少年・はるは、ある日下校途中にトラックに轢かれると、瘴気に侵された森で倒れていた。 彼を救ったのは、第二騎士団長であるアルバート。 目を覚ましたはるは、魔法や魔物も瘴気も知らず… アルバートの身に危険が迫ったその瞬間、 彼の中で眠っていた“異質な力”が覚醒する。 古来より黒目黒髪は“救世主の色”であり、膨大な力を持っているとされている。 魔物と瘴気で侵されているエクリシア王国の国王ははるの存在を知るとその力を彼の体が壊れようとも思うがままに使おうとする。 ーー動き始めた運命は、やがて大いなる伝承の核心へと迫って行く。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

処理中です...