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第2章
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今日は駅近くの神社のお祭りがあるから風馬に誘われてやってきた。
地方でも3大夏祭りとしても有名で、たくさんの屋台、イベントが開かれる。
「自転車、わかんなくなりそう」
駅前のデパートの駐輪場を借りて止める。同じ考えの人が大量にいたみたいで、夕方の時間帯だったけどすでに駐輪場から自転車がはみ出てた。
「まあ、大丈夫だろ。いくべ」
「うん」
駅と神社の周辺の道路が封鎖されて、代わりに屋台が並ぶ。
あちらこちらからいい匂いがするなあって、2人してふらふら歩く。
「腹へったからさ、なんかくおうぜ」
お腹を擦りながら歩く風馬。
「そうだね。昼抜いてきたし」
2人で屋台を丁度、広島風お好み焼きとお好み焼きの屋台が隣り合っている前を通りかかった。
「広島風ってなにが違うんだろうな」
「食べてみる?」
「おう」
風馬はお好み焼きの列、俺は広島風の屋台の列に並んだ。
風馬に言われて甚平を着させられた。足元はビーチサンダル。初めて履いたから親指と中指の間が痛かったけど、夏の服装だから涼しい。
夕方でもセミの声はうるさいし、蒸し暑いこの時期にはピッタリ。
先に屋台で広島風を買って、屋台の横で風馬を待つ。
立っているといろんなカップルが目につく。
やっとこさ連絡先を交換して睦を誘ったけど、友達とその日は約束があるって言われて、その後すぐに風馬から泊りの連絡が来た。
正直、断ってこっちに来てくれるんじゃないかって期待したけど。
まあ、仕方ない、睦にだってプライベートはあるし。
はあ…、あそこのカップル、自転車にでも轢かれたら良いのに。
なんなら俺が轢いてやろうか。
ああ、地雷踏んで爆発しろし。
楽しそうな顔しやがって。
…、うわ、なに考えてるんだろ。
足元を見た。
指痛い。
両足の親指を動かす。
暑いから喉も乾いた。
後で飲み物も買おうかな。
風馬、まだかな。
また親指を動かす。
「みう!!」
顔を上げた。
聞き慣れた声だったから。
綺麗で、かっこいい顔。
俺を見て笑ってる睦。
まぼろしか…?
ついに暑さにやられたかな。
「おーい。みーう」
睦が人差し指で俺の鼻をちょんちょんとつついて来た。
あっ、本物だ。
「えっ…あっ、睦」
睦はにっこりと笑う。
睦は白地に水色模様の浴衣を着ていて、それが夕陽に照らされて色がやんわりを黄色がかってた。
いつもと違う睦の姿。
ああもう、こいつはなにしてもかっこいいんだな。
「会うなんて奇遇だね!」
睦はいつもの調子で話始める。
「あっ、うん、」
睦の隣にはよく睦と一緒にいる先輩の一人もいた。
顔見知りだから一応頭を下げる。
「睦、お祭り来てたんだ」
「うん。美空はだれと来てたの?」
「あの、風馬と…」
言ったそばから睦の後ろから風馬がお好み焼きの入った容器を持って戻って来た。風馬も先輩2人に気づいたみたい。
「あっ、前川さん」
「やあ、中原」
「仲村です」
さて、いつものやり取りが済んだところで、少しの間4人でお祭りを回ることになった。
4人で話ながらしばらく歩いた所で射的の屋台が目に止まった。言い方悪いけど、ちょうどお客さんもいない。
「やってみない?」
睦の隣にいた先輩が言ったのをきっかけに4人で屋台の前に並んだ。
先に銃を持った睦と先輩。すると睦がはっと何かに気がついた様子を見せる。
「あっ、先に先輩2人じゃ悪いよ。なか…」
「はい」
名前を言われるより先に風馬が声を出す。
「先にどうぞ」
睦が射的用の銃を風馬に渡す。
「ありがとうございます」
銃を受け取った風馬。棚に並べられた景品を一通り見てから俺を見る。
「美空、なんかほしいのある?」
「ええと…」
「あの巨乳にするか?」
風馬が棚の手前にあるグラビアアイドルのブロマイドを顎で指した。
正直、女の人の胸のサイズに興味はない。
きっと風馬が欲しいんだと思う。
「はいはい、じゃあそれで」
「はいよ。任せろ」
風馬と先輩が銃を景品に向けて構える。俺と睦は後ろから応援する。
けど、なかなか当たらない。
「頑張れー。風馬」
俺がそう言っても風馬の弾はなかなか景品に当たらない。1回外れる度に、風馬が残念そうに声を上げる。
銃を持って楽しそうにしている風馬と先輩の後ろ姿。
ああ、今の一発惜しかった。
頑張れ風馬。
右手が温かい感触に包まれた。
なんだ?
見たら睦が手を握って来ていた。
「みう」
耳元で睦のつぶやき声が聞こえたから顔を上げた。
一瞬のこと。
睦の唇が当たった。
すぐ唇を離した睦。
「あっ、」
キスしてきた…。
睦、いたずらっ子みたいな顔してる。
睦は繋いでいた右手人差し指を俺の唇にちょんって当てて、唇がこれ以上開かなようにしてきて、そっと離した。
「おっしゃみう!取ったぞ!」
景品を当てた風馬がこっちに振り返った。
「えっ!?あっ!すごい!ありがとう!」
急いで風馬の方を見た。
風馬から景品の巨乳グラビアアイドルのブロマイドを受け取る。
やばい、いらない。
てか、それどころじゃないんだって!
「わあ!良かったねみう」
すでに風馬の方を見ていつものウヘヘと笑う睦に戻っていた。
さっきのことがまるで嘘みたいに。
なにもう、こいつ。
なんなのもう。
ほんともう、なに…。
そんなのありかよ、もう…。
日が暮れて暗くなった頃、睦と一緒にいた先輩が行きたいところがあるからと、睦たちと分かれることになった。
またねって、睦は俺に手を振って人混みの中に消えていった。
日が沈んだ頃に、お祭り会場ではイベントが始まる。
封鎖した道路を使っての盆踊り。
仮設ステージでのライブ。
会場はすっかり人で溢れかえった。
「うわ、人増えたな」
人混みの間を割入って風馬はぐんぐん進んでいく。
なんとか着いて行こうとするけど、
「ちょっ、風馬、待って」
向かいから来る人混みに押されて風馬との距離が離されていく。
ここではぐれたらやっかいだ。
気づいたのか風馬がこっちに振り返った。
「みう!」
風馬が俺に手を伸ばしたから、俺は手を掴んだ。
風馬が引っ張ってくれる。
「わあ、良かった、はぐれるかと思った」
「美空ちいせえからな」
「うっさいな」
「あははっ、人混み抜けるまで俺に捕まっとけ」
「うん」
勇ましく胸を張る仕草をした風馬の手を掴んで歩き出す。
「あーあ、カップルばっか」
風馬が嘆くように言う。
「そうだね」
「地雷踏んで爆発しろって感じ」
あはは、俺と同じこと言ってる。
「かわいそうだよ」
半笑いで俺は言った。
風馬が俺の方をちらっと見て、正面に顔を戻した。
「美空が女子だったら良かったのにな」
「何言ってんの」
「そしたらさ、俺ら付き合ってる感じになるじゃん」
風馬の手に握られてる自分の手に目をやる。
人混みの中を歩いていたから風馬と体を密着させて歩いていたし。
これだけ見たら、
「まあ、確かに」
カップルみたい。
「…だろ?前川さんじゃなくて残念だったな」
「いや、そんなことないよ」
さっきキスしてくれたから、別に…。
うん、何故か満足。
「前川さんとお祭り来たかった?」
「いや、結果会えたし。風馬と来れたし」
「そら良かった」
「風馬、誰か他の人誘っても良かったのに」
「あてが無いんだよ」
「雨宮さんは?最近仲良くしてるじゃん」
「あれは違うな」
風馬はすぐに言った。
今、目の前にいるのが睦だったら、何の話をしていたんだろ。
睦、今何してるんだろ。
あの先輩とどこにいるんだろ。
食べ物の屋台が目に入る。
そういえば、睦の好きな食べ物とか知らない。
後で連絡してみようかな。
俺の手を握る風馬の手は睦より小さい。
それが、すごく寂しく感じた。
ーーーーーーーーーーー
「そっか、ごめん、力になれなくて、」
かいとくんは両親からのお願いもあって塾に通うことになった、という話を今聞いた。
「いや、俺が容量悪かったんだ。美空のせいじゃない」
「俺も塾に行くことになったけど、違う所だね」
「今日で勉強会は最後だ」
今、話ながらかいとくんと俺の家の近所にある自動販売機に飲み物を買いに来ていた。コンクリートのあちこちにヒビが入っている古い建物の飲食店の入り口にある。今日はお店もお休みだったから人の気配は無い。
俺は120円の缶コーヒーを買う。
「美空って、もうコーヒー飲んでんの?」
「うん。おいしいよ」
「いつから?」
「中学入ってからすぐかな」
「そうだった?気づかなかった」
「うん」
かいとくんはソーダのボタンを押す。
無色透明のやつ。
「かいとくん、いつもそれだよね」
ガコン。
自販機から缶が落ちる音。
「そうか?」
こっちを見た、かいとくんはピンと来ていない顔をしている。
「うん」
幼稚園の頃からお母さんにお小遣いをもらってこの自販機によく来ていたけど、かいとくんがこのソーダ以外を買った所を見たことが無かった。
かいとくんはしゃがんで缶を取る。
「好きなの?それ」
じゃがむかいとくんの背中に言った。
缶を取り出して立ち上がったかいとくん。
取った缶を見つめる。
「うん。好き」
かいとくんは言った。
普通に話すよりは小さな声で。
「へへっ」
かいとくんは指で鼻の下を擦った。
「ふーん」
かいとくんの手にあるソーダ缶はスーパーだと90円で買えるやつで、ここで買うと120円かかるやつだった。
地方でも3大夏祭りとしても有名で、たくさんの屋台、イベントが開かれる。
「自転車、わかんなくなりそう」
駅前のデパートの駐輪場を借りて止める。同じ考えの人が大量にいたみたいで、夕方の時間帯だったけどすでに駐輪場から自転車がはみ出てた。
「まあ、大丈夫だろ。いくべ」
「うん」
駅と神社の周辺の道路が封鎖されて、代わりに屋台が並ぶ。
あちらこちらからいい匂いがするなあって、2人してふらふら歩く。
「腹へったからさ、なんかくおうぜ」
お腹を擦りながら歩く風馬。
「そうだね。昼抜いてきたし」
2人で屋台を丁度、広島風お好み焼きとお好み焼きの屋台が隣り合っている前を通りかかった。
「広島風ってなにが違うんだろうな」
「食べてみる?」
「おう」
風馬はお好み焼きの列、俺は広島風の屋台の列に並んだ。
風馬に言われて甚平を着させられた。足元はビーチサンダル。初めて履いたから親指と中指の間が痛かったけど、夏の服装だから涼しい。
夕方でもセミの声はうるさいし、蒸し暑いこの時期にはピッタリ。
先に屋台で広島風を買って、屋台の横で風馬を待つ。
立っているといろんなカップルが目につく。
やっとこさ連絡先を交換して睦を誘ったけど、友達とその日は約束があるって言われて、その後すぐに風馬から泊りの連絡が来た。
正直、断ってこっちに来てくれるんじゃないかって期待したけど。
まあ、仕方ない、睦にだってプライベートはあるし。
はあ…、あそこのカップル、自転車にでも轢かれたら良いのに。
なんなら俺が轢いてやろうか。
ああ、地雷踏んで爆発しろし。
楽しそうな顔しやがって。
…、うわ、なに考えてるんだろ。
足元を見た。
指痛い。
両足の親指を動かす。
暑いから喉も乾いた。
後で飲み物も買おうかな。
風馬、まだかな。
また親指を動かす。
「みう!!」
顔を上げた。
聞き慣れた声だったから。
綺麗で、かっこいい顔。
俺を見て笑ってる睦。
まぼろしか…?
ついに暑さにやられたかな。
「おーい。みーう」
睦が人差し指で俺の鼻をちょんちょんとつついて来た。
あっ、本物だ。
「えっ…あっ、睦」
睦はにっこりと笑う。
睦は白地に水色模様の浴衣を着ていて、それが夕陽に照らされて色がやんわりを黄色がかってた。
いつもと違う睦の姿。
ああもう、こいつはなにしてもかっこいいんだな。
「会うなんて奇遇だね!」
睦はいつもの調子で話始める。
「あっ、うん、」
睦の隣にはよく睦と一緒にいる先輩の一人もいた。
顔見知りだから一応頭を下げる。
「睦、お祭り来てたんだ」
「うん。美空はだれと来てたの?」
「あの、風馬と…」
言ったそばから睦の後ろから風馬がお好み焼きの入った容器を持って戻って来た。風馬も先輩2人に気づいたみたい。
「あっ、前川さん」
「やあ、中原」
「仲村です」
さて、いつものやり取りが済んだところで、少しの間4人でお祭りを回ることになった。
4人で話ながらしばらく歩いた所で射的の屋台が目に止まった。言い方悪いけど、ちょうどお客さんもいない。
「やってみない?」
睦の隣にいた先輩が言ったのをきっかけに4人で屋台の前に並んだ。
先に銃を持った睦と先輩。すると睦がはっと何かに気がついた様子を見せる。
「あっ、先に先輩2人じゃ悪いよ。なか…」
「はい」
名前を言われるより先に風馬が声を出す。
「先にどうぞ」
睦が射的用の銃を風馬に渡す。
「ありがとうございます」
銃を受け取った風馬。棚に並べられた景品を一通り見てから俺を見る。
「美空、なんかほしいのある?」
「ええと…」
「あの巨乳にするか?」
風馬が棚の手前にあるグラビアアイドルのブロマイドを顎で指した。
正直、女の人の胸のサイズに興味はない。
きっと風馬が欲しいんだと思う。
「はいはい、じゃあそれで」
「はいよ。任せろ」
風馬と先輩が銃を景品に向けて構える。俺と睦は後ろから応援する。
けど、なかなか当たらない。
「頑張れー。風馬」
俺がそう言っても風馬の弾はなかなか景品に当たらない。1回外れる度に、風馬が残念そうに声を上げる。
銃を持って楽しそうにしている風馬と先輩の後ろ姿。
ああ、今の一発惜しかった。
頑張れ風馬。
右手が温かい感触に包まれた。
なんだ?
見たら睦が手を握って来ていた。
「みう」
耳元で睦のつぶやき声が聞こえたから顔を上げた。
一瞬のこと。
睦の唇が当たった。
すぐ唇を離した睦。
「あっ、」
キスしてきた…。
睦、いたずらっ子みたいな顔してる。
睦は繋いでいた右手人差し指を俺の唇にちょんって当てて、唇がこれ以上開かなようにしてきて、そっと離した。
「おっしゃみう!取ったぞ!」
景品を当てた風馬がこっちに振り返った。
「えっ!?あっ!すごい!ありがとう!」
急いで風馬の方を見た。
風馬から景品の巨乳グラビアアイドルのブロマイドを受け取る。
やばい、いらない。
てか、それどころじゃないんだって!
「わあ!良かったねみう」
すでに風馬の方を見ていつものウヘヘと笑う睦に戻っていた。
さっきのことがまるで嘘みたいに。
なにもう、こいつ。
なんなのもう。
ほんともう、なに…。
そんなのありかよ、もう…。
日が暮れて暗くなった頃、睦と一緒にいた先輩が行きたいところがあるからと、睦たちと分かれることになった。
またねって、睦は俺に手を振って人混みの中に消えていった。
日が沈んだ頃に、お祭り会場ではイベントが始まる。
封鎖した道路を使っての盆踊り。
仮設ステージでのライブ。
会場はすっかり人で溢れかえった。
「うわ、人増えたな」
人混みの間を割入って風馬はぐんぐん進んでいく。
なんとか着いて行こうとするけど、
「ちょっ、風馬、待って」
向かいから来る人混みに押されて風馬との距離が離されていく。
ここではぐれたらやっかいだ。
気づいたのか風馬がこっちに振り返った。
「みう!」
風馬が俺に手を伸ばしたから、俺は手を掴んだ。
風馬が引っ張ってくれる。
「わあ、良かった、はぐれるかと思った」
「美空ちいせえからな」
「うっさいな」
「あははっ、人混み抜けるまで俺に捕まっとけ」
「うん」
勇ましく胸を張る仕草をした風馬の手を掴んで歩き出す。
「あーあ、カップルばっか」
風馬が嘆くように言う。
「そうだね」
「地雷踏んで爆発しろって感じ」
あはは、俺と同じこと言ってる。
「かわいそうだよ」
半笑いで俺は言った。
風馬が俺の方をちらっと見て、正面に顔を戻した。
「美空が女子だったら良かったのにな」
「何言ってんの」
「そしたらさ、俺ら付き合ってる感じになるじゃん」
風馬の手に握られてる自分の手に目をやる。
人混みの中を歩いていたから風馬と体を密着させて歩いていたし。
これだけ見たら、
「まあ、確かに」
カップルみたい。
「…だろ?前川さんじゃなくて残念だったな」
「いや、そんなことないよ」
さっきキスしてくれたから、別に…。
うん、何故か満足。
「前川さんとお祭り来たかった?」
「いや、結果会えたし。風馬と来れたし」
「そら良かった」
「風馬、誰か他の人誘っても良かったのに」
「あてが無いんだよ」
「雨宮さんは?最近仲良くしてるじゃん」
「あれは違うな」
風馬はすぐに言った。
今、目の前にいるのが睦だったら、何の話をしていたんだろ。
睦、今何してるんだろ。
あの先輩とどこにいるんだろ。
食べ物の屋台が目に入る。
そういえば、睦の好きな食べ物とか知らない。
後で連絡してみようかな。
俺の手を握る風馬の手は睦より小さい。
それが、すごく寂しく感じた。
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「そっか、ごめん、力になれなくて、」
かいとくんは両親からのお願いもあって塾に通うことになった、という話を今聞いた。
「いや、俺が容量悪かったんだ。美空のせいじゃない」
「俺も塾に行くことになったけど、違う所だね」
「今日で勉強会は最後だ」
今、話ながらかいとくんと俺の家の近所にある自動販売機に飲み物を買いに来ていた。コンクリートのあちこちにヒビが入っている古い建物の飲食店の入り口にある。今日はお店もお休みだったから人の気配は無い。
俺は120円の缶コーヒーを買う。
「美空って、もうコーヒー飲んでんの?」
「うん。おいしいよ」
「いつから?」
「中学入ってからすぐかな」
「そうだった?気づかなかった」
「うん」
かいとくんはソーダのボタンを押す。
無色透明のやつ。
「かいとくん、いつもそれだよね」
ガコン。
自販機から缶が落ちる音。
「そうか?」
こっちを見た、かいとくんはピンと来ていない顔をしている。
「うん」
幼稚園の頃からお母さんにお小遣いをもらってこの自販機によく来ていたけど、かいとくんがこのソーダ以外を買った所を見たことが無かった。
かいとくんはしゃがんで缶を取る。
「好きなの?それ」
じゃがむかいとくんの背中に言った。
缶を取り出して立ち上がったかいとくん。
取った缶を見つめる。
「うん。好き」
かいとくんは言った。
普通に話すよりは小さな声で。
「へへっ」
かいとくんは指で鼻の下を擦った。
「ふーん」
かいとくんの手にあるソーダ缶はスーパーだと90円で買えるやつで、ここで買うと120円かかるやつだった。
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