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1章
51話 助ける決意
しおりを挟む突然のマリーと謎の美女の訪問に固まってしまっている俺に向かって謎の美女は唐突に頭を下げて感謝を告げてきた。
「この度は、マリーたちに食事を恵んでくださり、本当にありがとうございます。私は孤児院でマリーたちの面倒を見ている院長のリーシャというものです。以後お見知りおきを」
ああ、なるほど。この人がマリーたちの親代わりになっている人というわけか。
「えっと、俺.....いや、自分はレイです。えっと、よろしくお願いします?」
俺は無難な挨拶を済ませ、立ち話もなんなのでと二人を中に通す。最初は断られそうになったけど、マリーが中に入りたそうにしていたので、俺は無理にでもリーシャさんを説得して中へと誘導する。決して幼女の笑顔にやられた訳では無い。
レジ奥の扉を開けて、休憩室ように作成した部屋に二人を誘導すると、俺はマリーにりんごジュースを、リーシャさんに緑茶を出して、椅子に腰掛けてもらう。
ちなみに、りんごジュースと緑茶は、冷蔵庫の中に最初から入ってた。うん、創造スキルにはびっくりしてばかりである。
「えっと、それでリーシャさん? 今日はどういった要件でお越しになられたんですか?」
「え?」
「え?」
俺が来訪の要件を聞くと、何故か何言ってんだこいつみたいな返しをされた。
いや、だってここまで来るからには、きっと孤児院に何かしらの援助をして欲しいから頼みにきたんじゃないの? だって俺、子供たちに困ったらここにきていいからって言ったよ? それとも、ただありがとうって伝えるためだけに態々来たのか?
「レイお兄ちゃん? 私たちは改めてお礼を言いに来たんだけですよー!」
いや、マジでそっちの線だったのかよ。
でも、ここで、はいそうですかと言って追い返せるわけない。
だって、マリーたちはこれからもお腹を空かせてしまう可能性の方が高いから。
助けられる力を持った俺が助けなきゃいけないんだ。
偽善でもなんでもいい。俺は助けるって決めた。だから助けるんだ。
「ねえ、マリー。話変わるけどさ、今何歳なの?」
「私ですか? 私は11歳ですよ! それがどうしたんですか?」
マリーは元気よく、笑顔でそう答えてくる。
ああ、やっぱりまだ日本だったら小学生の年齢じゃないか。
「ああ、うん。ちょっときになったんだ。それで、さっきまでいたあの子達も大体同じ年か?」
「違いますよ! あの子達は9~10歳くらいの子達です! 孤児院では私が一番のお姉さんなんですよ?」
「なるほどね。マリーはみんなにとってとてもいいお姉さんなんだな。まだ子供なのに偉いな」
俺はマリーを褒めながら、優しくマリーの頭を撫でる。マリーはそれを嫌がることなく受け入れてくれる。
「えへへー、レイお兄ちゃんに褒められちゃいましたー」
そんな俺たちの様子を見て、リーシャさんは、何かを決心したのか。唐突に真剣な表情になり、俺のことを真っ直ぐに見つめてきた。
「レイ様、私から一つお願いがあります」
「なんですか?」
「どうか、どうか孤児院の子供たち数名をここで働かせて上げてください! お願いします!!」
リーシャさんは、椅子から降りて、土下座をする勢いでこちらに頭を下げて懇願してくる。
その言葉は、俺が待っていた言葉とは全く違う言葉だった。だから........。
「一つ聞いてもいいですか?」
「何でしょうか?」
「自分はここら辺の出身ではないので、あまりここら辺の常識には詳しくないんですが、普通、一般的には、何歳くらいから子供は働きに出るものなんですか?」
「..........普通であれば、早くても12歳からです......」
なるほど、思ったよりも早い。だけど......。
「では、孤児院にいる子供たちの中で最年長の子の年齢は何歳ですか?」
「.........11歳です」
そうか。やっぱりそうだったか.........。
だったら........だったらダメじゃないか..........。
「リーシャさん、僕は子供のうちは遊ぶのが仕事だと学んで育ちました。そして、親は子供が自立するまで面倒を見るものだと、学びました。僕は、正直いって親不孝者な側で、いつも迷惑をかけていたのに、親に恩を返すことなく親は離れ離れになって今に至ります。
だからこそ僕は、その罪滅ぼしという訳では無いですが、こっちの世界では大人として、子供たちが困っていれば助けてあげようと思いました。そして、今日、マリーたちが食べ物に困っているのを見て、いても立ってもいられずご飯を与えました。そして、これからも困っているのを見れば、助けます。誰に頼まれなくても助けます。
だからこそ、あなたの願いは断らせていただきます」
俺が最後にそう言い捨てると、リーシャさんは、絶望の表情を浮かべた。でも、俺はまだ言葉を続ける。
「その代わりに俺は孤児院にお金を寄付します。そうすれば、子供たちは働かなくても済むでしょ? ていうか、子供なんだからそもそもまだ働く必要なんてないんですよ。 子供が成長するのにお金が必要なのは分かります。でも、そのお金は大人が用意するものだ。そして、そのお金がないと言うなら俺が出しますよ。だってそれが大人の義務ってもんでしょ?」
最後の方は、ちょっと熱くなってカッコつけみたいになってしまった。これで納得してくれればいいんだけど.......。
「っっひっぐっっっぅぅうっうっうぅーーーーー」
ってえ!?!? なんで泣いてんだ!?!?
「ええぇええ!? どどどどしました? なななにかまずいこと言いましたか俺? あのあのごめんなさい! すいません! だから泣かないでください!!」
やべえよ、何故か知らんけど泣かせちゃったよ。どうすりゃいいんだよこれ? 誰か助けてくれ!!
「ふふふっ、レイお兄ちゃん。大丈夫だよ?」
俺が慌てふためていると天使が俺に救いの手を述べてくれた。
「リーシャお姉ちゃんはね、きっと嬉しくて泣いてるんだ.......だって、そんなこと言ってくれる人いなかったから.....いままで、頼み込んでもお金を寄付してくれる人なんていなかったから......ご飯を.....くれる.....人も....いなかったから.....お兄ちゃんが、初めてなんだよ......だから、だから、リーシャお姉ちゃんは嬉しくて.....泣いてるんだよ......ぅう......私まで.....泣いちゃってごめんね?」
マリーが泣きながら言ったその言葉は、再度俺を決心させるのには十分な言葉だった。
いや、内容よりも言葉遣いだな。
マリーだって、まだ11歳の子供なんだ。孤児だというのに、あれほど畏まった口調で大人の俺に話す時点で、もっと早く察してあげるべきだったんだ。
マリーが無理してることも気づいてなかったのに、何がなんでも助けるなんて、俺は大バカ野郎だな......。
「マリー、リーシャさん。もう、無理する必要ないよ。 俺はこう見えても今結構金持ちなんだ。それに、これからこのお店を始めればもっと大金持ちになれる可能性だってある。いや、必ず大金持ちになる。だから、もうお金に困ることもなければ、食事に困ることだって無くなるんだ。だから、もう大丈夫。安心してな」
俺は泣きじゃくる二人の頭を撫でて慰めながらそう言う。
リーシャさんだって、よく見ればまだまだ若い女の子だ。
この子自身もきっと苦しんで苦しんででも、誰にも助けてもらえなかったんだろう。
絶対に、この子達もあの子達も纏めて救おう。
心の中で、そう決意し、俺は二人が泣き止むまで頭を撫で続けたのた。
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