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第五章 エレアと先輩達
4話・ひと悶着
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「あらあら騒がしいと思ったら♪もうザックちゃんたら、モテモテさんだねぇ♪
むふふふ~~♪」
何の騒ぎだと、スタスタと足音を鳴らしてやって来て、俺達のイチャ付きに
気付くと、「いやだわ、この子達ったら朝から大胆な事を♪」と言わんばかりに
身体をクネクネとくねらせて頬を赤く染めていく。
しかしそれも一瞬の事で、ソーニャさんの表情が真面目へと変わっていき、
「でもそろそろその辺でイチャイチャを止めておかないと、三人とも
マジマジで遅刻をしちゃうわよ?」
ソーニャさんが壁に掛けてある時計を指差し、俺達にそう忠告してくる。
「ソーニャさんの言う通り、取り敢えずここを出ませんか?スズ先輩に
ルル先輩?俺のせいでお二人を遅刻させちゃうのは、流石に忍びないので!」
「別に私の事は気に掛けなくても大丈夫だが、まぁそうだな。まだ2日目の
ザックを遅刻させてしまうのは私の方こそ偲びないか。よし!では学園へ
赴くとするか、ザックッ!」
スズ先輩がさっきより強く俺の腕にギュッと抱き付くと、そのままの体勢で
ズルズルと引きずるような形で寮の外へと出て行く。
「ちょ!先輩!?待って!?ち、力が強い!力が強過ぎますってぇえ~~!?」
「や、止めろし!そんな引っ張んな、あほスズ~ッ!あーしが転んで怪我を
しちゃうだろうがなのぉお~~~っ!」
スズ先輩の強引な行動に、ルル先輩も俺と一緒にズルズルと引っ張られて
しまい、それに対して悲鳴にも似た抗議の言葉を思いっきり口からこぼす。
「おっと。スマンな、ルル。お前がいた事をすっかり忘れていたよ!」
「う、嘘つけしぃ~!絶っっ対に、わざとだろうしぃぃい~~っ!」
引きずられているルル先輩に気付いたスズ先輩が、頭を下げてすまないと
謝謝するが、しかしルル先輩は許さんとばかりに怒りを露にする。
そんな犬猿の喧嘩をしている二人を遮り、
「あ、あ~の、お取り込み中のところ誠にすいませんが、ちょいとばかり
お二人にご質問をしてもよろしいでしょうか?」
俺は気になっていた事を聞く。
「……ん?私に質問?」
「どうしたなの、ザック?そんな顔をして、あーしに言いたい事って?」
そんな俺の真剣な表情を見て、スズ先輩とルル先輩が言い争う事を止め、
俺の言葉に耳を傾けてくる。
それを確認した俺は、
「も、もしかして……このまま抱き付かれた状態で、学園に登校をする
おつもりなのでしょうか?」
先程から思っていた疑問を二人に投げる。
すると、
「当然だ!」
「当然なの!」
スズ先輩とルル先輩が、シンクロしたかのように同じ答えを速攻で
俺に返してきた。
―――その頃。
「もう遅いな~ザックの奴?ああ!もしかしてまだ寝ているんじゃ
なかろうなぁ~っ!?」
「あはは、それはありえるかもねぇ♪だって昨日、あんな事がザックの
身にあったんだも―――――ん?誰かの声が聞こえてくるね?」
「あ、ホントだ。この声………聞き覚えが?」
エレアとフローラが今日もザックを大門前で待っていると、遠くの方から
誰かの騒ぐ声が聞こえてきた。
「ねぇ、先輩達!ほ、本当にこのままで行くんですかぁあ~~!?」
「あ、やっぱりこの声の正体はザックだっ―――――たぁあっ!?!?」
エレアがザックの声だと気付き、声のする方角に顔をパッと向けると、
そこにはまるで信じられない光景が、その両の瞳に飛び込んできた。
「おや?あそこで固まっている女子生徒、お前の名前を呼んでいたようだが、
ひょっとしてお前の知り合いなのか、ザック?」
「......え?あ!あの二人は!?」
スズ先輩が大門前にいるエレアとフローラに気付き、俺の知り合いかと
問うてくるので、
「あ~はい、そうです。右で固まっているあの子はエレアと言いまして、
昨日ここに俺と一緒に転校して来たんですよ!そしてその横にいる眼鏡を
掛けている子がフローラと言いまして、エレアの同寮で、昨日紹介された際に
友達になった子です!」
俺は二人の紹介をしつつ、エレア達は知り合いだと伝える。
そんな中、ルル先輩がハテナ顔をして、
「しかしあいつ、何であんな素っ頓狂な表情をしているんだなの?」
…と、不思議がっているので、
「いやいや、どう見てもお二人のせいですよ、お二人のっ!」
俺は間を入れず、そうツッコミを入れる。
すると、
「はぁぁあ?な、何であーし達のせいになるんだ、なのっ??」
ルル先輩が大きく目を見開き、信じられないという仰天とした表情へと
変わると、俺の言葉に対してビックリしている。
むふふふ~~♪」
何の騒ぎだと、スタスタと足音を鳴らしてやって来て、俺達のイチャ付きに
気付くと、「いやだわ、この子達ったら朝から大胆な事を♪」と言わんばかりに
身体をクネクネとくねらせて頬を赤く染めていく。
しかしそれも一瞬の事で、ソーニャさんの表情が真面目へと変わっていき、
「でもそろそろその辺でイチャイチャを止めておかないと、三人とも
マジマジで遅刻をしちゃうわよ?」
ソーニャさんが壁に掛けてある時計を指差し、俺達にそう忠告してくる。
「ソーニャさんの言う通り、取り敢えずここを出ませんか?スズ先輩に
ルル先輩?俺のせいでお二人を遅刻させちゃうのは、流石に忍びないので!」
「別に私の事は気に掛けなくても大丈夫だが、まぁそうだな。まだ2日目の
ザックを遅刻させてしまうのは私の方こそ偲びないか。よし!では学園へ
赴くとするか、ザックッ!」
スズ先輩がさっきより強く俺の腕にギュッと抱き付くと、そのままの体勢で
ズルズルと引きずるような形で寮の外へと出て行く。
「ちょ!先輩!?待って!?ち、力が強い!力が強過ぎますってぇえ~~!?」
「や、止めろし!そんな引っ張んな、あほスズ~ッ!あーしが転んで怪我を
しちゃうだろうがなのぉお~~~っ!」
スズ先輩の強引な行動に、ルル先輩も俺と一緒にズルズルと引っ張られて
しまい、それに対して悲鳴にも似た抗議の言葉を思いっきり口からこぼす。
「おっと。スマンな、ルル。お前がいた事をすっかり忘れていたよ!」
「う、嘘つけしぃ~!絶っっ対に、わざとだろうしぃぃい~~っ!」
引きずられているルル先輩に気付いたスズ先輩が、頭を下げてすまないと
謝謝するが、しかしルル先輩は許さんとばかりに怒りを露にする。
そんな犬猿の喧嘩をしている二人を遮り、
「あ、あ~の、お取り込み中のところ誠にすいませんが、ちょいとばかり
お二人にご質問をしてもよろしいでしょうか?」
俺は気になっていた事を聞く。
「……ん?私に質問?」
「どうしたなの、ザック?そんな顔をして、あーしに言いたい事って?」
そんな俺の真剣な表情を見て、スズ先輩とルル先輩が言い争う事を止め、
俺の言葉に耳を傾けてくる。
それを確認した俺は、
「も、もしかして……このまま抱き付かれた状態で、学園に登校をする
おつもりなのでしょうか?」
先程から思っていた疑問を二人に投げる。
すると、
「当然だ!」
「当然なの!」
スズ先輩とルル先輩が、シンクロしたかのように同じ答えを速攻で
俺に返してきた。
―――その頃。
「もう遅いな~ザックの奴?ああ!もしかしてまだ寝ているんじゃ
なかろうなぁ~っ!?」
「あはは、それはありえるかもねぇ♪だって昨日、あんな事がザックの
身にあったんだも―――――ん?誰かの声が聞こえてくるね?」
「あ、ホントだ。この声………聞き覚えが?」
エレアとフローラが今日もザックを大門前で待っていると、遠くの方から
誰かの騒ぐ声が聞こえてきた。
「ねぇ、先輩達!ほ、本当にこのままで行くんですかぁあ~~!?」
「あ、やっぱりこの声の正体はザックだっ―――――たぁあっ!?!?」
エレアがザックの声だと気付き、声のする方角に顔をパッと向けると、
そこにはまるで信じられない光景が、その両の瞳に飛び込んできた。
「おや?あそこで固まっている女子生徒、お前の名前を呼んでいたようだが、
ひょっとしてお前の知り合いなのか、ザック?」
「......え?あ!あの二人は!?」
スズ先輩が大門前にいるエレアとフローラに気付き、俺の知り合いかと
問うてくるので、
「あ~はい、そうです。右で固まっているあの子はエレアと言いまして、
昨日ここに俺と一緒に転校して来たんですよ!そしてその横にいる眼鏡を
掛けている子がフローラと言いまして、エレアの同寮で、昨日紹介された際に
友達になった子です!」
俺は二人の紹介をしつつ、エレア達は知り合いだと伝える。
そんな中、ルル先輩がハテナ顔をして、
「しかしあいつ、何であんな素っ頓狂な表情をしているんだなの?」
…と、不思議がっているので、
「いやいや、どう見てもお二人のせいですよ、お二人のっ!」
俺は間を入れず、そうツッコミを入れる。
すると、
「はぁぁあ?な、何であーし達のせいになるんだ、なのっ??」
ルル先輩が大きく目を見開き、信じられないという仰天とした表情へと
変わると、俺の言葉に対してビックリしている。
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