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白と黒の騎士
第36話-短刀に誓う-
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「話がまとまったなら時間までうちで休むと言い。アル、君は特に仮眠をとっておきなさい」というオーガストさんの提案を受け入れて私とアルはそのまま家の中で過ごしていた。
アルは別室で仮眠を取っている。私も仮眠を取ろうとしたけど、まったく寝ることが出来なくて居間の椅子に座っていた。
窓の外を見ると元から陰で暗かった下層が一層暗くなってきている。深夜へと一歩ずつ近づいてきているのが分かる、それでも雨は止まずに冷たい雨を降らせてる。
アルが仮眠をとる前に「あなただけでもここにいて欲しい」と言っていたけど私はそれを拒否した。それだとオーガストさんへの答えが嘘になるように感じたから、無理にでも同行させてもらうことにした。もちろん遠くから見ているだけにはなるけど、何か手伝えることもあるかもしれない。
「眠れませんか」
アルの寝ている別室からオーガストさんが出てきた。
「起こしてしまいましたか? すみません。中々寝付けなくて」
「無理もないですよ。当然です。暖かい飲み物でも入れますので座っておいてください」
私はお礼を言って、好意に甘えることにした。
5分もしないうちに湯気のたつコップを2つ持ってオーガストさんが私の向かいに座った。コップからはほのかに甘い香りがしている、ホットミルクに何か入れたものみたいだ。
飲むと体の芯から暖かくなるのが分かった。
「そうだ。あなたに渡したい物があるんです」
そう言って席を立ったオーガストさんは部屋の一角にある、祭壇へと近づき、そこにある短刀を持ってまた私の前に座った。
短刀の柄の部分が装飾されていて明らかに市販のものとは違うのが分かる。それに対して鞘はどこにでもある革の鞘なのがアンバランスに感じてしまう。
「これをあなたに」
そう言って短刀を私の前に差し出してくる。
「う、受け取れません。これは奥様の、ヤンのお母様の形見なのでしょう?」
「ええそうです。縁起のいいものではないかもしませんし、あなたから見れば高価なものでもございません。ですが、それでもヤンを近衛騎士にしたいと言ってくれるあなたにこの短刀を受け取ってもらいたい。護身用にとでも思って受け取って頂きたい」
ここで私がそれを拒否することは簡単だと思う。それでもオーガストさん私に受け取って欲しいというだろう。それではお互い平行線のままずっと進まない気しかしない。
「分かりました。それでは受け取らせて頂きます」
目の前に置かれた短刀を受け取った、思ってたいたよりも軽い。女性用に作られたのかもしれない。革のベルトを外して抜くと、鏡のように綺麗な刃が部屋の中と私の顔を映した、まるで鏡のように。
「ヤンをよろしくお願い致します」
「はい。絶対に悪いようには致しません」
手に持った短刀を握りしめて改めて私はヤンを近衛騎士にすると誓った。
アルは別室で仮眠を取っている。私も仮眠を取ろうとしたけど、まったく寝ることが出来なくて居間の椅子に座っていた。
窓の外を見ると元から陰で暗かった下層が一層暗くなってきている。深夜へと一歩ずつ近づいてきているのが分かる、それでも雨は止まずに冷たい雨を降らせてる。
アルが仮眠をとる前に「あなただけでもここにいて欲しい」と言っていたけど私はそれを拒否した。それだとオーガストさんへの答えが嘘になるように感じたから、無理にでも同行させてもらうことにした。もちろん遠くから見ているだけにはなるけど、何か手伝えることもあるかもしれない。
「眠れませんか」
アルの寝ている別室からオーガストさんが出てきた。
「起こしてしまいましたか? すみません。中々寝付けなくて」
「無理もないですよ。当然です。暖かい飲み物でも入れますので座っておいてください」
私はお礼を言って、好意に甘えることにした。
5分もしないうちに湯気のたつコップを2つ持ってオーガストさんが私の向かいに座った。コップからはほのかに甘い香りがしている、ホットミルクに何か入れたものみたいだ。
飲むと体の芯から暖かくなるのが分かった。
「そうだ。あなたに渡したい物があるんです」
そう言って席を立ったオーガストさんは部屋の一角にある、祭壇へと近づき、そこにある短刀を持ってまた私の前に座った。
短刀の柄の部分が装飾されていて明らかに市販のものとは違うのが分かる。それに対して鞘はどこにでもある革の鞘なのがアンバランスに感じてしまう。
「これをあなたに」
そう言って短刀を私の前に差し出してくる。
「う、受け取れません。これは奥様の、ヤンのお母様の形見なのでしょう?」
「ええそうです。縁起のいいものではないかもしませんし、あなたから見れば高価なものでもございません。ですが、それでもヤンを近衛騎士にしたいと言ってくれるあなたにこの短刀を受け取ってもらいたい。護身用にとでも思って受け取って頂きたい」
ここで私がそれを拒否することは簡単だと思う。それでもオーガストさん私に受け取って欲しいというだろう。それではお互い平行線のままずっと進まない気しかしない。
「分かりました。それでは受け取らせて頂きます」
目の前に置かれた短刀を受け取った、思ってたいたよりも軽い。女性用に作られたのかもしれない。革のベルトを外して抜くと、鏡のように綺麗な刃が部屋の中と私の顔を映した、まるで鏡のように。
「ヤンをよろしくお願い致します」
「はい。絶対に悪いようには致しません」
手に持った短刀を握りしめて改めて私はヤンを近衛騎士にすると誓った。
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