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ペンシエちゃん救出するぞぉ!

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「この屋敷?」
『えぇ、そうよ。』
 千春、美桜、青空、花音の4人は屋敷を見上げる。

「でっけぇ。」
「チハル突撃する?」
「ドアぶち壊す?」
 物騒な事を言い出す花音に美桜はニヤっと笑う。

「それじゃウチが~♪」
「ちょーっとまって、何処に居るか分かんないから!」
「アイトネ様に聞けばわかるんじゃない?」
 4人はアイトネを見る、アイトネは屋敷を見回すと1点を見つめる。

『屋敷の奥の小さな部屋に居るわ。』
「ほほう?それじゃこのドアぶち壊しても問題無いと♪」
 美桜は楽し気に言うが千春はテクテクと扉の前に行くとノッカーを叩く。

コンコンコンコンコン!!!

 すると扉から老けた男が現れる。

「何用ですかな?お嬢さん。」
「ココに居る白金狐族の子を頂きに来ました。」
 平然と言う千春に男は眉間に皺を寄せる。

「貴女は?どちら様で?」
「聖女です。」
「・・・証拠は?」
「・・・聖女の証拠ってなんだろう。」
 ハテ?と言う顔をして後ろを見る千春、横にはワークスと狼男姿のルプが守る様に立っている。

「女神様呼ぶくらいしか思いつかないね。」
 美桜はそう言いながらアイトネを見る。

「目の前に居るからなぁ。」
「回復するとか?」
「何をよ。」
 千春は思わず突っ込む、そして老けた男をもう一度見る。

「証拠無いです。」
「・・・名前は?」
「チハル・アル・ジブラロールです。」
「・・・お入りください。」
 男は眉をピクリと動かした後扉を開き中へ促す。

「有難うございます。」
「そちらの部屋でお待ち頂けますか?」
 男はそう言うと瀟洒な扉を見る、そして扉を開き千春達を中へ送ると一礼し部屋を出て行った。

「チハル、突撃ってこういう事?」
「いやぁ~、アイトネ居るし万が一も無いだろうけど、その子に何かあったら嫌じゃん?」
「話し合いで救出出来ればOKと。」
「一応他国だし~?」
「いいの?王族の名前言っちゃって。」
「うん、良いんだよね?サフィー。」
「えぇ構いませんよ、その事で何かしらの事があれば・・・。」
 サフィーナはそう言うと一緒に居るロイロとルプを見る、2人はニヤっと笑う。

「コンちゃん暴れられなかったね。」
「ですー。」
「穏便に済むならそれで良いじゃない。」
 子供のドラゴン姿で答えるミカ。

「お待たせしました。」
 老けた男が声を掛け入って来ると、後ろから貴族が現れる。

「その者か?」
「はい。」
 貴族は千春達を一瞥すると対面に座る。

「私はこの屋敷の主、オンソ・ドーテルだ。」
 貴族はそう名乗るとアイトネを見る。

『・・・。』
「アイトネ?」
『チハル、用件を言いなさい。』
「うん、この屋敷に居る白金狐族の子を返して頂けますか。」
「何故だ?」
「何故?」
「あぁアレは私の所有物だ。」
「所有・・・奴隷狩りで無理やり連れて来られたんですよね!?」
「君はジブラロール王族の名を名乗った、他国とは言え、偽りで名乗れば切り捨てられる、そして聖女だと、だがその護衛を見れば本物だろう、それを前提で話すが宜しいか?」
「はい。」
「この国では奴隷狩りは合法であり、獣人は奴隷でありペットだ。」
「・・・。」
「そして正規に購入し私が所有している。」
「返して頂けないと?」
「何故他国の王女が一匹の奴隷を欲しがる?確かに珍しい種族ではあるが、一国の王女がそこまでするのは何故だ?」
「その子は私の妹の知り合いです。」
「・・・ふむ、この国には沢山の獣人が飼われている、皆を助けるのか?この屋敷の一匹だけを助けるのか?」
「!?」
「ザンバ、シエを連れて来い。」
「はっ。」
 オンソ伯爵はザンバと呼ばれた男に言うと、ザンバは部屋を出て行く、そして暫くすると部屋に戻って来た。

「連れてきました。」
 ザンバはそう言うと白金狐の少女を部屋に入れる。

「首輪・・・。」
「酷い。」
「・・・。」
 千春、青空、花音は少女を見つめる、少女は俯き目を合わせることは無い。

「ペンシエちゃん?」
 美桜は立ち上がり少女に近付くと少女は美桜を見る。

「おねーちゃんはだれ?」
「ユラちゃん、ヴィユラちゃんのお友達だよ。」
「ユラ・・・ユラちゃん・・・ユラちゃん!?」
「うん、ユラちゃん、覚えてる?」
 美桜が言うとコクコクと頷き目に光を取り戻す様に爛々と輝かせる。

「伯爵、この子を買い取る事は出来ますか?」
 千春はオンソを見る。

「先ほども言ったが、この子を連れて行った所で他にも沢山居るぞ?他を見捨てるのか?」
「その事に関しては改めて考えさせていただきます、まずは私が出来る事をさせて貰います。」
 千春はオンソを見つめながら答える。

「・・・そうか、それではシエは譲ろう。」
「え?」
「欲しいのだろう?」
「あ、はい。」
「保護しただけだ、贅沢こそさせては無いが病気もしていないはずだ。」
「はい。」
「俺もな、この国のこの文化には嫌気がさしてるんだ。」
 不意に砕けた話し方をするオンソを見て千春は驚く。

「すまんな、他国の者だから話せるが、外で俺がこう言ったとか言わないでくれよ。」
「はい。」
「ジブラロールには昔だが数回行った事が有る、そして最近の噂も良く聞いている。」
「噂?」
「あぁ、破天荒な聖女である王女がドラゴンを使役し、女神を呼び。美味い飯を広めているとな。」
「うっ・・・。」
「君の事だろう?」
「あ~・・・はい。」
 先ほどとは打って変わりオンソはニヤニヤと笑みを浮かべながら千春に話しかける。

「ジブラロールは良い、人間、獣人、精霊族、他種族が上手く協力しあっている。」
「そうですね。」
「この国を見たか?」
「・・・いえ、モチ米を買いに一度来ただけなので。」
「そうか。」
「酷いです?」
「他の国から来たならそうだな、酷い。」
「それじゃ何故伯爵は言わないんですか?」
「言えばこうだ。」
 オンソはそう言うと自分の首にスッと手を当て引く。

「ペンシエちゃんを氏族の里に返す事は出来なかったんですか?」
「また捕まってこの国に帰って来るぞ?」
「あ~・・・だから?」
「でも首輪は酷くないですか?!」
「首輪してないとどうなると思う?」
「「「「え?」」」」
 即答で問いかけて来るオンソに4人は驚く。

「あっという間に攫われる、所有者が居ない野良獣人は殺されてもゴミ扱いだ。」
「酷い・・・。」
「それがこの国、ジャシール国だ、だが人間には優しいぞ?」
「獣人には?」
「保護無しで生きる事は無理だな。」
「・・・ムカつく国だなぁ!」
 千春は拳を握り叫ぶ。

「はっはっは!正直な王女だ!」
「オンソさん!お聞きします!」
「なんだ?」
「変える事は出来ますか!?」
「・・・出来ると思うか?」
「思うかじゃなく聞いてるんです!」
「俺には無理だ。」
「・・・誰なら?」
「そうだな。」
 チラッとアイトネを見るオンソ。

「女神様なら出来るんじゃないか?」
「アイトネ?出来るの?」
『国の政には手を出さないわよ?』
「だよねぇ。」
『チハルがやれば良いじゃない?』
「わたしぃ!?」
『えぇ♪』
「むりむりむりむり!」
「オンソさん!誰をヤレば変えれますか!?」
 美桜が物騒な事を言い始める。

「お?そう来たか、俺の口から言わせるか?」
「ミオ、物騒過ぎじゃん。」
「でもそう言う事じゃん?」
「ねぇ、聖女ってさぁ、王様より立場強いんじゃないっけ?」
 ポツリと呟く花音に3人が振り向く。

「んでさぁ、私達んとこ聖女沢山いるじゃーん?」
 続ける花音はニコッと笑う。

「アイトネ様、私も聖女にしちゃってください。」
『良いわよ~♪あと10回くらい呼んでくれたら聖女になってたし♪』
「え?もうそこまでカウント入ってたの!?」
 驚く花音。

『えい!』
「軽いなぁアイトネ、もうカノンは聖女になったの?」
『なったわよ♪』
「それじゃ今この4人は聖女と。」
「で?どうするん?カノン。」
「そりゃこの国の王様に直談判っしょ。」
「えー、聞いてくれる訳ないじゃん。」
「そうだよぉ。」
 千春はそう呟きオンソを見る。

「君たちじゃ無理だろうね、言い包められて終わりだ。」
「「「「デスヨネー!」」」」
「せめて悪い人が王様ならモートさんに審判してもらって冥界旅行プレゼントなのにね。」
 千春は溜息を吐きながら呟く。

「オンソさん、ここの王様って悪い人?」
 美桜は容赦なくオンソに問いかけると、オンソは苦笑いだ。

「だから俺にそう言う事を言わせるか?」
「まぁまぁ、ここには女神様も居ますし、安全は保障されてますから。」
「やっぱり女神様か、威厳が・・・いや、オーラが違うとは思ったが。」
 オンソはそう呟きアイトネを見るとアイトネは微笑む。

「で!?」
「どうなんです?!」
「悪い!?悪く無い?!」
 千春、美桜、青空がオンソを見る。

「・・・間違いなく悪いぞ。」
「よっしゃ!決定!」
「冥界逝きですにゃー。」
 美桜と千春は手を合わせる。

「アイトネ、もしかしてオンソさん悪い人じゃないって分かってた?」
『勿論。』
「なんで最初に言わなかったのぉ!?」
『この国の事情ですもの、オンソちゃんはちゃんと話ししてくれたでしょう?』
「・・・うん。」
『勉強になったでしょ?』
「はい、なりました、でもあの言い方だとペンシエちゃん泣いてると思うじゃん!」
『泣いてるわよ?毎日、ずっと里に帰れないんですもの。』
「・・・そうだったわ。」
 千春はそう言うとペンシエを見る。

「ペンシエちゃん、お家帰ろうか。」
「うん!」
「オンソさんありがとうございます。」
「構わない、もう攫われるなよ。」
 オンソはそう言うとペンシエを見る、ペンシエは驚いた顔でオンソを見る。

「どうしたの?」
「はじめてわらったかお見ました。」
「そうなの?」
「はい。」
 返事を聞いた千春はオンソを見る。

「笑わなかったんです?」
「・・・情が移るだろう。」
「拾った猫か!」
「良いじゃん情移っても!優しくしてあげたらよかったのに!」
「これだから男ってやつは!」
「ほんとだよ!可哀そうじゃん!」
 そっぽを向くオンソにJK達はギャイギャイと文句を言う、しかし皆の顔は笑みがこぼれていた。

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「あれ?私聖女になり損?」
「「「ナカーマ♪」」」



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