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お土産聞いただけなのに!

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「んー!」
「おはようございますチハル。」
「おはよーサフィー、ルプおはよー。」
 目が覚めた千春はルプに抱きつく。

「おはよう千春、向こうに買い出しに行くんだろ?」
「うん、ルプも行く?」
「そうだな、久しぶりに向こうの空気でも吸うか。」
「こっちの方が空気美味しいけどね。」
「あっちはあっちで良いもんだ。」
 千春とルプはベッドから降り着替える。

「サフィーも一緒に行こー。」
「荷物持ちは要らないでしょう?」
 サフィーナはとぐろを巻いて寝ているビェリーを見ながら言う。

「散歩みたいなもんだよ。」
「それじゃあ私も着替えましょうか。」
 サフィーナも千春と一緒に日本に行く準備をする。

「サフィーの服を買いに行くのもありだなぁ。」
「いくつか頂きましたから十分ですよ、チハルの国の服は肌触りが良いですよね。」
 2人が話しながら着替えていると頼子と麗奈が起きてくる。

「おはよー。」
「おはー、今何時?」
「6時半だよ。」
「はええええ!」
「夏休みの小学生かよー、早起き過ぎだろー。」
「こっちじゃ普通だよ。」
 千春がそう答えると麗奈が美桜をユサユサと揺らす。

「ミオーおきなー。」
「・・・・あと5分。」
「ミオはオヤツいらないってさ。」
「いるぅぅぅおきるぅぅ。」
 モゾモゾと布団から出てくる美桜。

「ほら着替えなー。」
「何処に買い物いくのー?」
「近所の24時間スーパー、昨日言ったじゃん。」
「近いん?」
「徒歩15分。」
「あーなんちゃらバリューか。」
「そ、なんちゃらバリュー。」
 うだうだとくっちゃべりながらダラダラと着替える面々。

「よし、行くかー。」
「おー。」
「元気ないな。」
「千春元気過ぎ。」
「小学生かよー。」
 頼子と麗奈が突っ込むが千春はスルーする、部屋を出るとモリアンが掃除をしている。

「おはよーモリー。」
「おはようございます!チハルさん!」
「向こうで買い物してくるからお留守番よろしく。」
「向こうでです?」
「うん、酒屋さん来たら受け取りお願い。」
「了解です!」
 モリアンも連れ日本に戻り皆は買い物に出かける。

「チハル朝ごはんはー。」
「ミオお腹すいたの?」
「朝は食べないと力でないー。」
「朝マックするかー。」
「いいねー。」
 てくてくと5人は歩き、マクダーナルに入る。

「私このセット、単品で玉子マフィンとクリスプ2個づつ、単品は持ち帰りで。」
「玉子マフィンセット。」
「私もー。」
「サフィーどれが良い?」
「このホットケーキが食べたいですね。」
「それじゃコレ1つ、ミオは?」
「・・・・このドザエモンセットで」
「ハッピーか!」
「だって可愛いじゃん!」
「良いけどどのセットなの。」
「・・・これ!」
 美桜は悩んだ挙句ホットケーキのハッピーにした。

「あ、サフィーちゃんのもハッピーにして!」
「ハイハイ、ハッピー2コね。」
 注文して番号を貰い席に座る。

「えっと今日買うのは移動中のお菓子と飲み物でしょ、あと向こうでお茶用のケーキあたりかな?」
「妖精って何が好きなんだろね。」
「花の蜜じゃん?」
「ファンタジーすぎでしょそれは流石に。」
「サフィー何か知らない?」
「聞いた事無いですね。」
 サフィーナがそう言い、うーん、と皆で考えているとセットが届く。

「いただきまーす。」
「んー!こちらのホットケーキも美味しいですね。」
「久しぶりだわ朝マック。」
「んー、どうすっかなー。」
「アイトネ様なら知ってますでしょうか。」
 まだ考えている千春にサフィーナが言う。

「こっちからアイトネ呼べないよね。」
「どうなんでしょうか、世界が違うから無理でしょうか。
 千春はダメ元でアイトネを呼んでみる。

「アイトネー、おーいアイトネ聞こえるー?・・・・お菓子あるよー。」
「・・・・・。」
「アイトネー?」
「声が聞こえると思えば何処ぞの世界の巫女か?いや、日本の娘か。」
「ほぁ?!」
「なんじゃ娘、妾に用があるのかぇ?」
「あ、いえ、えっと、アイトネ呼んだだけなんです。」
「アイトネ・・・聞いたことの無い神よのぅ。」
「えっと、異世界の管理者で女神様してるんですけど。」
「ほう?管理者を知っておるのかぁ。」
 突然聞こえた綺麗な女性の声に狼狽える千春。

「あ、はい、そのアイトネにスキルをもらって話しかけれる様になったんですけど、こっちから聞こえるか試しただけで、すみません!」
「構わぬよ、妾も暇しておったからのぅ。」
「ところで貴女は・・・神様?」
「そうじゃ、宇迦之御魂と呼ばれておる。」
「えぇぇぇ!!!!」
「どうしたの!千春!」
「う、うかのみたま?!」
「なに?うかのみたま?」
「うん!」
 頼子が叫ぶ千春に反応し呟きに答える。

「えーっと、すみません!ごめんなさい!」
「ほっほっほ、人と話すのは久しぶりよ、構わぬ、何か聞きたい事があったのであろう?異世界の巫女や。」
「あー、今日向こうで妖精族の村に行く事になりまして、お土産何が良いかなって・・・アイトネに聞きたかったんです。」
「ふむ、妖精・・・ふむふむ、あったぞよ、同じ様な種族であれば果実や花の蜜じゃぇ。」
 宇迦之御魂は何かを思い出す様に千春に答える。

「果物ですね、ありがとう御座います!」
「ところで今日いくと言っておったのぅ?」
「はい?」
「ふむ、少し見せてもらうぞ・・・、ほう?異世界の扉とな。」
「え?」
「ふむ、面白いのぅ、娘、名は千春か。」
「はい。」
「ふむふむ、+々6^2♪<7\☆○の世界か、妾も興味がある、ちと妾の使いを連れて行ってくれぬか?」
「なんて?何世界?使い?」
 千春がそう呟くと目の前に小さなキツネの人形がポンっと現れた。

「え?何コレ千春。」
「かわいー、何このキツネの人形。」
「ちょっと待ってね!」
 頼子と麗奈が人形を見て喜ぶが千春はそれどころじゃなかった。

「宇迦之御魂様コレ何?!」
「妾の使いぞ。」
 千春が問い返すと人形がスッと立ち上がる。

「よろしくのぅ。」
 立ち上がったキツネの人形はニコリと笑い優雅にお辞儀をする。

「ぎゃぁぁ!うごいたぁ!」
「おわっ!!!」
「こわぁ!!!」
「ひぃ?!」
「ぇぇぇ・・・・」
 頼子、麗奈、美桜がビックリし、サフィーナも声にならない声を上げる、そして千春はまた面倒が増えたわと、ため息を吐いた。







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