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お誕生日おめでとう!

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 試着と着替えも終わりマルグリットと千春達はのんびりとお茶を楽しんでいる。

「チハル、フィンレー君の誕生日会ってどこでやんの?」
 麗奈が千春に問いかける。

「え?知らない、お母様どこでやるんです?」
「チハル達は王族の食卓でやるわよ。」
「ん?私達以外は?」
「大広間で貴族に挨拶してそこで行うわ。」
「そっちに私達は・・・」
「行くわよ、挨拶だけするわ、その為に着替えたんですもの。」
 マルグリットは微笑みながら答えお茶を啜る。

「王妃殿下準備が整いまして御座います。」
 執事が現れマルグリットに報告する。

「ありがとう、さぁチハル行きましょうか。」
「私達もだよね?」
 頼子が呟くとマルグリットが答える。

「もちろん、貴女達のお披露目も兼ねてますわ。」
「えー!聞いてないですお母様!」
「あら、言ってなかったかしら?」
 クスクスと笑いながら千春達を促し前を歩くマルグリット。

「チハルお姉様!」
 廊下を歩いているとフィンレーが声をかけてきた。

「フィンレー、お誕生日おめでとう。」
「ありがとう御座います。」
「ユラの面倒見てくれてるんだって?いつもありがとうね。」
「いえ!大事な妹ですから!」
 頬を赤らめながらにこやかに答えるフィンレー。

「さぁ着きましたよ、チハル達はフィンレーの後ろから付いてきてね。」
「はーい。」
 そう言うとマルグリットは兵士が開いた扉を抜ける。

「うぉ・・・。」
「ちょ、チハル、ヤバい。」
「ひぃぃぃ」
「マ?!」
 千春、麗奈、頼子、美桜と続いて入り思わず小さな声を出す4人、扉は大広間の最前列側面に有り、扉を抜け左を見ると貴族が並んでいた。

「あ、お父様。」
「よくきたなチハル、緊張しなくても良いぞ。」
 微笑みながら千春に声をかけてくれるエイダン国王。

「さぁ、揃ったな。」
 そう言うとエイダンは100人は軽く居るであろう貴族に声を掛ける。

「皆よく集まってくれた、今日は我が息子フィンレーが8歳になる、これからも王族としての意志、教養を身に付け勉強して行く事であろう。」
 エイダンはスラスラと言葉を続け、フィンレーの誕生日を祝った。

「さて、この場を借りて報告もある、先ずは娘となったチハル第一王女はエンハルトと婚約する事になった。」
 貴族達から騒めきと喜びの声が上がる、エイダンの左後ろに立つエンハルトは千春に目をやり微笑む。

「それとじゃ、フィンレーにはユラ第二王女が婚約する事になった。」
 千春は叫びそうになったが堪えた、しかし思わずフィンレーといつの間にかフィンレーの横に居るユラをガン見する。

「・・・お母様、聞いてない・・・。」
「言うの忘れてたわ。」
 本気で忘れてたのか、珍しくペロッと舌を出し可愛い仕草で千春に言うマルグリット、そして頼子がサフィーナの家の養女に、麗奈、美桜は宰相の家の養女になった事を伝える。

「さぁ、私たちの仕事は終わり、戻りましょうか。」
「はーい。」
 貴族達はこのままお約束らしい社交の場へ移動、食事や商談等を行う、千春達は大広間を出るとそのまま王族の食卓へ向かった。

「チハル!私達もココで食べんの?」
「そうじゃない?連れてこられたし。」
「フィンレー君の部屋かと思った。」
「そっちも行くでしょ、知らんけど。」
 美桜と麗奈が千春に言うと、さも適当に言ってます感を出しながら千春は答える。

「お母様、お誕生日ケーキ持ってきてるんですけど、どこで出します?」
「あら、そうなの?食卓で出して皆で祝いましょ。」
 千春が問うとマルグリットは顎に指を当てて少し考えつつそう答える、そして食卓に着く。

「ヨリ、レナ、ミオ手伝って。」
「あいよ!」
「はーい。」
「お?」
 千春は誕生日ケーキを取り出し、ロウソクとライターを皆に渡す。

「ミオロウソクよろっ。」
「オッケー。」
 美桜は長いカラフルなロウソクを持ってケーキを見つめる。

「レナ、どこ刺せば良い?」
「ぐるっと8本でいいんじゃん?」
「うぃーっす。」
 プスプスと美桜、麗奈がロウソクを刺すと頼子がライターで火を付ける。

「チハルお姉様コレは?」
「ロウソクの本数がフィンレーの歳の数で、フィンレーはこの火を吹き消すの、私達の所でやるお誕生日のお約束だよ。」
 そして千春が音頭を取りハッピーバースデーの歌を歌う、そしてフィンレーが吹き消す。

「フィンレーおめでとー!」
「フィンレー君8歳おめでとー!」
 千春達がフィンレーに言うと頼子がプレゼントを渡す。

「フィンレー君誕生日プレゼントだよ、後で遊んでね、遊び方は後で教えるから。」
「ありがとう御座いますヨリお姉様。」
「!? 千春!お姉様って!ひゃぁぁ!」
「いいな!お姉様!フィンレー君私も呼んで!」
「えっと・・レナお姉様。」
「ふぉっ・・・もう悔いはない。」
 麗奈と頼子は意味のわからないダメージをくらいふらつく。

「何やってんのさ、フィンレー君よろしくね。」
「はい!ミオお姉様。」
「・・・・っ。」
 ミオもダメージを食らった。

「執事さん、このケーキ切り分けて下さい、このチョコプレートはフィンレーに。」
「はい。」
 執事がケーキを下げ、料理を運ばせる、そして皆からお祝いの言葉やプレゼントを受け取り始終ニコニコなフィンレーだった。

「所でお母様、ユラが婚約者って言う話しはいつ決まったんですか?」
「先週フィンレーから言われて、ユラに聞いたら喜んでくれたのよ、そこで決めたわ。」
「良いんです?そんな王子殿下のフィアンセなんて簡単に決めちゃって。」
「貴族の結婚事情知ってるとね、恋愛は応援したくなるのよ。」
 何故か遠くを見る目でマルグリットは呟く。

「そうじゃぞチハル、王族とは言え貴族じゃ、そう言う事を見聞きするとな、やはり応援したくなるもんじゃ。」
 エイダンも笑いながら千春に言う。

「そう言うもんだ、ライリーもそのうち誰か連れてくるんじゃないか?」
 ライリーはフィンレーと話しをしながら食事をしている、嬉しそうだ。

「ま、みんなが幸せなら問題ありませーん。」
 千春がそう言うと麗奈が呟く。

「チーハールー、わーたーしーわー?」
「・・・ライリーどう?可愛いよ?」
「王族かよ!流石にダメでしょ!」
「いんじゃない?知らんけど。」
 ケラケラ笑いながら食事をする千春、そしてライリーを見てため息をつく麗奈。


「年上がいいなぁ・・・・。」


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