女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

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《1階です。ドアが開きます》


1階ロビーへと到着したエレベーター。扉が静かに開いた。

僕らはアンプリエを出て鈴ちゃんを見送るため、アンプリエ近くの地下鉄駅《浅堀町駅》へと、歩いてゆっくりと向かう。






『じゃあ詩織ちゃん、金魚ちゃん。また来週ね』

『うん。鈴ちゃん気を付けてねー』

『はーい。詩織ちゃん達もね』

『ありがとーぉ♪ランチご馳走さまーぁ♪』


いつものように地下鉄の改札口前で、手を振り合って無事にお見送り完了。

今日の鈴ちゃん…ずっと『私と同じ芸能事務所に入って、一緒に芸能活動頑張ろう!』って話しかしてなかったような印象。

もちろん妹の彩乃との、絶縁の話とかもしてたんだけど。


『ねぇ金魚、早瀬ヶ池の《ハイカラ通り》を一回りして、それから…チョコ&フルーツパフェか何か、美味しいもの食べてから帰ろうよ』

『うん。いいよ。じゃあ行こっか』






…そして午後4時ちょっと前。また新井早瀬駅の前へと戻ってきた僕ら。

詩織が電話して、約20分待って迎えに来てくれた《おばタク》。

岡ちゃんにドアを開けてもらって後部座席へ乗り込み、いつものように礼を言って、アンナさんの美容院《クローシュ・ドレ》へと帰る。


『…ねぇ金魚。金魚はどうする?芸能事務所へのお誘いの話』

『うーん。どうしよう…まだ分かんないよ。考え中…』

『あらま!?お嬢ちゃん達、芸能界に誘われたの!?鈴ちゃんに!?』


僕らが『うん』『そうなの』と答えると、岡ちゃんは『私はお嬢ちゃん達が芸能界で働くの、大賛成よ!』と声高らかに、僕らに返してくれた。


『だってそうでしょ?大丈夫よ!お嬢ちゃん達なら。だってこんなに可愛らしいんだし!私はお嬢ちゃん達のこと、応援するわよ!』


あー…あははは。ありがとう岡ちゃん。






…僕は詩織に『まだ分からない』と答えたけど…僕の本心は…。

《僕のこの女装姿を日本中にさらけ出すなんて、ただの《恥晒し》だとしか思えないじゃん。だから…僕が女装して芸能活動するとか…やっぱり無理》



…なんて詩織に…鈴ちゃんにも絶対言えないよな…やっぱり。

詩織が芸能活動することについては、僕も心から賛成。だってアンナさんの願いや夢でもあったし。




詩織は本当に可愛い女の子だし、スタイルだって細身で綺麗だし、いつも楽しそうに歩いてる後ろ姿も…。

それに頭も良くて度胸もあるし、思いやりがあって陽気なあの性格も…。


…せ、性格は…ちょっとだけ問題あるかな…。
たまに《悪戯好きの小悪魔》と化するってところが…。

『でもそこが詩織が可愛いところだと思わない?』なんて、アンナさんは言ってたけど…。

まぁ…総合的に見れば、詩織は人に見られることや目立つことが好きなんだし、だから芸能界向きなんじゃないかなと僕は思う。

だけど、僕は…金魚は…だから…。






僕と詩織は《来週からは土曜日は、ハイカラ通りに堂々と出向こう!》と決めていた。

鈴ちゃんとの姉妹関係が絶縁中…不仲の最中である彩乃を追い込むなら今!
このチャンスを逃す手はない!

…ってことで、やってきた翌週の水曜日。




うん。そう。水曜日。























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