女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

page.179

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そう大きな声で斎藤に訴える詩織。僕も詩織に賛意を表して、うんうんと頷く。

《鵜鷹目》がスカウト…キャッチしているのは、ほんの1時間程度。その僅かな時間内のチャンスを、僕らは逃すわけにはいかない…必死なんだ!


『急ぎの用?どうせ本当は大した用じゃないんだろ?』

『あのぉ…えっと…』


いつもの詩織なら気転を利かせて、策を案じて上手に切り抜けられるのに…今の詩織は、プリンス斎藤を目の前にして冷静な思考ができないのか、上手く説明できないでいる…。

かと言って、本当のことなんか絶対言えないし…。
《鵜鷹目》出没情報は、本来は《G.F.》編集部内しか知らない極秘情報。そのルールを犯し情報を得た女の子は…てゆうか、ルール違反がバレたら《G.F.》デビューの権利は、永久に剥奪されてしまう…だろう。たぶん…。

もちろん、情報漏洩させた局員だって罰せられ、職を失う…ことも想像できる。


『…ふうん。《オトコ》と待ち合わせか…?』

『えっ…あ、そう!私たち、アンプリエでデートの待ち合わせなの。んもぅ、解ってるんだったらそんな恥ずかしいこと、女の子に言わせないでよ…』


詩織がプリンス斎藤の言いぶりに合わせて、苦しいながらも《彼氏と待ち合わせ》ってことで、なんとか誤魔化す。


『待ち合わせは11時だったの!もう40分近くも待たせちゃってるんだから…行かせて!お願い!!』

『…そうか。分かった』


プリンス斎藤が詩織に微笑んで応える。


『えっ…いいの?通って?』


んっ?…その詩織の言葉に、プリンス斎藤は首を横に振る…?


『…それが本当だってんなら、そのオトコらをここへ呼べ。俺がそいつらの顔、見定めてやる』

『えっ?』


無理に決まってるじゃん…そんなの。嘘なんだから…!


『…っていうか斎藤さん、なんで私たちを行かせずここで止めさせたの?』


斎藤は一度、大きくため息をし、語り出した。


『…俺の通う大学に…俺の友達つうか、まぁ…あるオンナがいるんだけど…』


…宮学の斎藤の友達?…あるオンナ?
樋口絵里佳のことだろうか…?


『そいつなぁ…オンナのくせにオンナと…つうか池川、お前と《チュウしたい…チュウしたい!》って、狂ったようにずーっと言ってんだよ』

『!!』


やっぱり!…樋口のことだ!
…え?い、池川と…ちゅう??


『…で、私にどうしろと言うの?そんなの、私のせいじゃないし…』


まさか…『1回だけでいい。樋口とKissしてやれ』とでも…?


『俺は、あいつを普通の娘に戻してやりたいんだ。だから…』


きた!!…プリンス斎藤!お前に何をお願いされても、僕は絶対に聞かないからな!!


『池川金魚…お前、ひと晩…俺と付き合え』


…ほら。やっぱり樋口とキ…ス?
………ぇ?


はぁぁっ!!?キモっ!!!!


『…そのアツい一夜をきっかけに…《瀬ヶ池のプリンス》と女装小僧とのボーイズラヴが今夜、始ま…』

『だから始まんないって。詩織…』

























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