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29.安全の作り方

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 「いやぁ、聡明なきょうだいっすね」
 もう一人の男の子。
 筋金 兼夫君。
 中1のノーマル。
「誤字や脱字の書き直し、全部してくれたっすよ」
 それは校正と言う作業なの。
 助かるよ。
 筋金君はイラストレーター。
 動画『何が忘れられたのか』の実写パート以外は、筋金君のイラストなの。
 ギンギンに尖ったシャープなイラストを描くよ。
「セリフや展開は変えてないよ」
 みつきが、さらにドヤ顔に。
「でも、それホラーでしょ
 お姉ちゃんなら、キラキラ王子さまが好きなんじゃないの?
 たしかに、しのぶの言うとおり。
 でもね、これも私なりに考えた安全保障の一環ですよ。
「え、どういうこと?」
 月島さんが聞いてきた。
 ・・・・・・そう言えば、ちゃんと言ってなかったですね。 
「私たちが戦う怪獣とか怪人って、ほんの20年前までは全然架空の存在じゃないですか。
 だったら、昔から伝わる都市伝説なんかに、真実があるんじゃないかな、と考えたのが書くきっかけです」
 みんな、静かに聴いてくれている。
「でも、そう言うのって、つまりは誰かの創作です。
 どこまで調べても、誰が書いたかわからない噂じゃないですか。
 だったら、自分の経験なり人の直接体験をもとにして、相手がなんでそこにいたのか、ちゃんと向き合いたいんです」
「・・・・・・それで、それは向き合えたのかい?」
 ウワ!
 いきなり後ろから声をかけられた!
「僕だよ」
 振り向けば、魔術女子高生。
 ショートカットにもみ上げ部分だけワキしたまで伸ばしてる。
 未来文化研究部の部長、白 明花、ペク ミンファ部長だ。
 私は答える事にした。
 どうしても、みんなに聞いてほしかった。
「向き合えたか、といわれても、それは、まだわかりません。
 できるのか、やる資格があるのかもわかりません。
 そもそも、私たちハンターの戦略は、この世界に現れた怪獣は一匹残らず狩ることですから」
 そうなんだ。
 他の世界で産まれた命は、この世界とは違う物理法則で生きているんだ。
 自分で調整できないなら、この世界を汚染した後で死んでいく。
 白部長が緊張してる。
「なかなか、ハードな背景だな。 
 さっきの話し方からすると、これは実話かい?」
「ハイ! 前藤総理が官房長官だった頃の体験を参考にしました」
 これは自信をもって言える。
 会議に出席したのも、そう言う話をたくさんもらうためでもあるの。
「それは、意外というか、あの人らしいかな?」
 そうですね。
 我が国の総理大臣は、世界的に有名なフランス人怪盗の、もっと有名な三代目怪盗より自由人かもしれない。
「でも、君には迷いはある。
 その自分からの意見が心の傷になるかもしれない。
 シナリオは書きあげたんだろ?」
「ハイ」
「だったら、君の手腕で大きく化けるかもしれない。
 化けたいなら、着いてきなさい」
 そうだ、今日はアフレコだ。
 この部室には分厚くしきられた部分があり、その向こうはスタジオだ。
 自信を得たいなら、やらないと。
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