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第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・
ヒャクイチ
しおりを挟むSide カレイド
公園についてから二人で手をつないであるく。
うーん、とてつもなく幸せだ。
可愛いハルとラブラブデートができるなんて、幸せ意外のなにものでもない。
「ハル、寒くない?」
「はい。大丈夫です。」
「楽しい?」
「はい、兄様とお出かけで楽しい。」
「私も楽しいよ。」
「兄様、大好き。」
「私もハルを愛しているよ。」
「えへへ。」
あー可愛い。
もー可愛い=ハノエルってことでいいんじゃないかな?
天使=ハノエルでもいいし?
いや、もう可愛いの代名詞はハノエルで!
言葉を作り変えていいとおもうんだ。
うちの者は皆がそう思っていると言っても過言ではない。
リオーラはものすごく美人だが、全ての『美』という可愛さは、ハルのためにあると、納得するような?よくわからないことを胸を張り言っていた。
うん、その通りだ!
だが、いちゃいちゃしていても、いまいちこの世界のエッチ事情に向かない初心なハルは、周りの目が……おいおい、涙ぐむなよ。
まあ、わかるがね。
ようやく、健康には遠いとはいえ、寝込むことが少なくなって……好きなことができるようになってきたハル……。
涙なしでは語れないくらい、いろんな意味で危険な目にあってきたわけだし。
だか、ほかに目をやって欲しくないなあ。
俺も大概心が狭い。
「ほら、ハル。ほかに目をやったら焼けてしまうよ?」
「ごめんなさい。」
「ふふ、そんな子は私しか考えられないようにしないとね?」
「なっん……………ん、んー、………………っはふ。」
ふふ、悪戯心が芽生えてしまい。ついつい、キスをしてしまった。
ん?
もちろん濃厚なモノに決まっている。
すでに一線を超えた可愛いloverなんだから。
美味しいハルの唇を堪能する。
「もう(////////!)兄様、のばか。」
ポカポカと胸を叩かれてしまった。
だが、その行為は可愛いだけだ。
「ふふ、可愛すぎるハルがいけないんだよ。」
可愛いハルをいただきました!
マジで可愛すぎるでしょう?
もう、これはやばいよな?
ものすごーく可愛すぎて可愛すぎて……どうしたいの!ってのはこのことだ。
しかし、こんな時にお邪魔なゴキブリは出てくるモノだ!
「ちょっとー!カレイドの相手は私よ!ハノエルは、モブ姦に決まってるのよ!もしくは魔王落ちよー!」
わけわからん。
ハノエルをだれがそんな目に合わせるものか!
「申し訳ないが、近寄らないでいただきたい。」
セシウスが剣に手を置き牽制するが……頭のおかしい女は、まったく意に返さない。
「だれよっ!あんた。あら、でも、イケメンね?攻略キャラにはいなかったわよね?じゃあ、もしかして魔王化しちゃうとか?
あんたなら、魔王落ちもいいかもしれないわ。
でも、だめ。
美しすぎる私は、ハーレムエンドがまっているの。」
これは脳味噌がないのか?
おかしい頭の女は男ならだれでもいらしい。これが幼い少女の言うことか?
どう聞いてもビッチな頭のいかれた女にしか思えない。
それならば、魔獣とでも番ばいい。
オークなどは、頭のおかしい女でも女で有れば喜んで犯してくれるだろうに……ね?
まあ、コレが?
本当にヒロインというなら世も末だが。
どうせなら、レオンやクリスとでもいちゃついて欲しい。
俺は何があってもお断りだ。
「カレイドから、離れてよ!私がカレイドとも結ばれるのよ?だって、私が世界を救うんだし。私にみんながひれ伏すの!当たり前じゃない。私が主人公なんだからっ!」
……開いた口が塞がらないとはこのことか?
「兄様、いいですか?」
「なに?」
おや?
普段は大人しく温和なハルが、珍しい。
青筋を立てて、にっこりと笑うハル。
こんな綺麗で冷たい微笑もできるのか。
ふふ、さすがリオーラと姉妹なんて言われるハルだねえ……。
でも、俺はあんな笑顔を向けられたくはないなあ。
「あの子に一言って言うか、言っておきたいのです。」
「でも。」
しかし、頭のおかしい女は危険だ。ましてや、『巫女』かもしれないなら魔力が……いや、ハルの魔力は私以上だ。
大丈夫かもしれないが、ハルが傷つくのは少しでも嫌だ。
「大丈夫です。結界を張って近づきます。それならいいでしょう?」
「しかし……。」
でも、危険なことは……。
!!!
「(チュッ)ね?」
ハルからのキス!
キス!で懐柔なんて、なんてけしからん技を覚えたのだ!
もう、仕方がない。
まあ、何がしようとすれば、首と体を離してくれよう。
まあ、俺が動く前にセバスが殺るだろう……ハルには気づかれないように。
優秀すぎるセバスには朝飯前なことだから。
どうやらかなり怒っていたようで、理路整然と言い負かしてしまう。
さすがだハル。
まあ、そんなことで時間を取られたものの、引き続きハルとラブラブデート♡だ。
人工池を皆がイチャイチャ。
もう、なんだろう?
この可愛い生き物は。
キスをすれば、はにかむし。
真っ赤なほっぺはとても旨そうだし。
うん、早く帰ってベッドにいこう。それがいいんじゃないかな?
いきなり幸せな時間が奪われた。
腕の中にしっかりといたはずのハルが、瞬きの間に消えた!
いや、奪われた!
「だ、だれ?!」
「ふふ、わからない?」
「……クリ…ス?」
「そう……なの……かな?」
なぜ、クリスが!
「クリストファー!ハルを、ハノエルをはなせ!」
「ふふ……ふふ……。」
奪い返そうとするが、早い。
嘘だろ?
ハルを抱き込むようにされて、ハルが震えだしている。
発作がおきてしまう!
「ふふ…ハル、震えてるの?大丈夫だよ。だって、本当は私の……ものなんだから。
……決まっているんだよ?ずーっと昔から。」
「な、な……。」
何を言っているんだ、こいつは!
「ハルは私の……俺のもの。絶対にもう誰にも奪わせやしない。
例え……。」
ふざけるな!
「クリストファー、いくらお前が王子でも許されるはずのないことくらいわかるだろう?
ハルをはなせ!発作を起こしたらどうするんだ!」
「ふ、ふふ。発作?死んだら……?
死なないよ?……違うか?
死んでも大丈夫なんだ。眷属にしてくれるからさ。」
「「は?」」
「セバス?ふふ、私に刃向かうの?」
「その手をお離しください。私が『敬語』でお話ししている間に。私の坊っちゃまから、手を離してくだされば……今日は穏便に済ましましょう。」
「虫けらのくせに。ただのモブのくせに。俺に刃向かうんだ?
でも、無理だよ。……死ね。」
「ぐうっ、な、なん、う……。」
「「「セバス(さま)!」」」
クリストファーの後ろでセバスが蹲るのが見えた。
セバスが遅れを取るだと?
「な、くり、す、なんで?ぼく、を……はな、し……ヒッ、イーーーーー!」
「ふふ、痛いよね?知ってるんだよ?痛いの。ふふ、あはは。」
結界を張られたのか、そばによれない!なんだコレは。
クリスの力?
いや、こんな汚い力は知らない。
ビリ、ビリビリビリ……。
とハルの服を目の前で破かれて、なす術がない!
結界を破ることができない。
触られたことでなのか、何故か、ハルの翼が現れていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
やつは、あろうことか右側の翼を無造作に掴むと、いきなり引きちぎりやがった!
ふざけるな!
ハルが、死んでしまうっ!
だが、結界は無慈悲にも俺を拒み、ハルのもとにいけない。
「ああ、やっぱり。」
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ぐりゅ……。
グチャッ……。
さらにぐちゃぐちゃとちぎれた翼を引っ張り、痛みを増させるように翼の付け根に指を突っ込んで爪を立てる。
自分から魔力が溢れるのがわかる。
痛みに泣き叫ぶハル、俺は自分の中で恐ろしいくらいの力が吹き出すのを感じた。
しかし、
「ふふ、ハル、私の天使は片翼こそが美しい。
堕天し、我が妃となるがいい。
痛みは快楽へ、快楽は痛みへ。
さあ……行こう。」
血だらけの意識を失ったらしいハルを抱えて、クリスが目の前から消えた。
俺が結果を破るのと同時に。
俺はまた一歩遅かったのだ。
また、目の前で大切なものへ手が届かなかった。
だが、悲嘆に暮れるには早い。
春樹とは違う。
ハルは、まだ生きているはず。
助ける。
助けてみせる。
絶対に。
そう、たぶんコレが……。
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