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第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?
ロクジュウイチ
しおりを挟むにこやかに始まる?パーティー。
俺的には豪華な場所で豪華に見える料理の立食パーティーにしか思えない。
これが社交界というものか?
まあ、煌びやかだけどね。
「何か食べるか?」
「う…ん。」
料理は全て給仕の者がサーブしてくれるとこが王宮なのかな?
いや、結婚式とかの立食はサーブしてくれたりするよね?たしか。
暗殺の人が紛れやすくもあるけど。
怖いですねえ、恐怖ですねえ。
でも、大丈夫!
ほら、料理人にいろいろ混ぜられたから……『鑑定』ってできないかな?って思ったわけ?
まあ、ゲーム好きな転生者なら一度は試してみる魔法だと思う。
したら、できたわけですよ。
さすが、天才ハノエルだよねー(わーわーパチパチパチパチ)。
ほら、きっとハノエルは使えたかもしれないたくさんの魔法をセーブしていたじゃない?暴走したくなくてね。
でも、俺は頑張って暴走させずにハノエルの心の力と一緒にコントロールすることができたわけ。
なら、するでしょう?
なにせ、魔法に関しちゃ伯母様のお墨付きなんだもん。
家族の身を守れる力だもんね~。
だから、食べる前にちゃんと鑑定します。
だって、毒も嫌だけど媚薬はもっと嫌なんだよ。
でもさ、わからないじゃない?
なにせ変態ホイホイだからさ。
入ってたらどうすんのって。
うちの料理長以外の料理は何が入るかわからないもんよ。
もちろん、作った人ばかりじゃなく給仕の人だってわからないでしょ?
どんな人間かなんてさ。
「兄様、アレが食べてみたいです。」
「わかった。きみ、それをいただけるか?」
「かしこまりました。」
俺が選んだのは小さな花のクリームが乗ったプチケーキをとってもらう。
アレと指したケーキは、白い生クリームの上に藤色の花をあしらったもの。
なのに、お皿には色とりどりの五種類の花のケーキ。
……一個で十分なんだけども……。なのに、なぜ全種類乗せますか?
もしかして五種類で1セットかと思ったけど、他の子は指を指したものだけだ。
解せぬ。
「大丈夫。ハル。一緒に食べましょう?」
「…姉様。」
鑑定すると大丈夫なケーキだったけど、量が多すぎるよ。
お皿を見つめて固まる俺に、姉様が声をかけてくれて、何も乗ってないお皿を持ってきてくれた。
「兄様、あちらに椅子があるわ。」
「そうか、移動しよう。」
「私たちは、少し知人に挨拶をしてくるよ。セシウス、セバス、ルイ。子供達を頼むよ。特にハノエルには人をあまり近づけないように頼む。」
「「かしこまりました。」」
「御意。」
父は母を伴い離れていった。
社交の場でいろんな情報が飛び交うからね。
挨拶という名の偵察だよね。いわゆる表の情報収集ってやつです。
壁際にある椅子にそのまま膝抱っこで座られた。
まあ、いいけど。
一番安心できるし。
姉が俺が食べたいケーキを空皿に入れて、お皿を交換してくれる。
つまり残りは姉が食べてくれるみたいです。優しい!
ちなみに、俺のお皿は兄が持っていますけどね。
フォークを手に取り、小さなケーキをさらに小さく切って口に入れた。
………あまぁー。
すごい、甘すぎた……。
「……甘すぎるわね。」
「はい。」
確か、砂糖は高級品らしい。
だから、それをふんだんに使うケーキは、貴族以外が口にすることはあまりない(うちは、メイドにも菓子やケーキを配りますがね)。
でもさ、こんなに甘くしたら……ケーキが台無しだよね。
「うちの料理長のケーキの方が美味しいわね。」
「はい……。」
どうしよう、一口でもういっぱいなんだけど。甘すぎて無理だー。
俺の顔でいろいろ悟ってくれた兄が、フォークを俺から受け取りパクリと残りを食べてくれた。普通は一口大のケーキなわけだよね。
でも、ハノエルの口は小さすぎるのだよね。春樹だったら一口でいけるんだが。
「確かにあまり上手くないな。ただ、甘いだけだ。」
「本当に。」
姉はパクパクと甘いケーキを全て食べてしまった。
さすがです。
「口直しに何が持ってくるわね?」
「セバス、リオーラについていってくれ。」
「かしこまりました。」
姉は、セバスと食べ物を見に行った。
ルイくんが俺に水をくれる。
「ありがとう。んくっ、はあ、さっぱりした。」
水に少しだけレモンの果汁が垂らされているらしく、口の中がさっぱりした。
なんだろう、砂糖たっぷりなんだけどもさらにこってりなんだよね。
生クリームに油でも入れてるの?ってくらい。バターか?バタークリームの砂糖ましましバージョンなのかもしれない。
たぶん、一個食べたら俺は吐くレベルの油っこさでした。
たまにはさっぱりとしたものがたべたいなあ。
この世界の食事は米もあるけど、基本は洋食なんだよね。
箸を使う文化は今のところ見たことがないです。本にもなかったなあ。
あれ?
確か……箸にまつわるイベントがあった気がする。ほら一応前世をヒロインが思い出すと日本の女性だって話だからさ。
……あのヒロインのことまで思い出してしまったよ。
しっかし、マジでアレがヒロイン?
絶対に男たちなびかなくない?
というか、アレが好きって言われても……『頭、大丈夫?』としか言えないよね。
姉様が持ってきたミモザサラダやスパゲティは……お世辞にもあまり美味しくなかったです。
一言言わせていただけば、コンビニのが美味いです。
「やあ、こんにちは。久しぶりだね。ハノエル。」
げっ、この声は……。
会いたくないけど、会わないわけないよね……だって第一王子だもん。
「クリストファー殿下、ご機嫌よう。」
「ああ、カレイド。でも、私はハノエルに挨拶しているんだ。」
「あら、私には挨拶はないんですの?ハルはまだデビュー前。いわば、兄様のものとしてきていますのよ?まずは私や兄様がお相手になりますわ。」
姉様がずっと前にでて、俺を隠してくれた。
ホッと息を吐く。
クリストファーに恨みはそんなないんだけど、苅野先輩の声のせいでつい、身構えてしまう。
「クリストファー殿下、僕にも紹介していただきたいな。その可愛らしい方々を。」
「ルザベルト……。」
「おや、カレイド様じゃないですか。え?じゃあ、この子が例の?」
例のって何さ。
……ルザベルト?
えー、もしかしてさー。緑の君のルーザ?いやだわ、いやだわ、いやだわ!
またまた、攻略対象じゃないか!
緑の君は、賢也先輩が担当していたはず。
今回、初めて絡んだ先輩なんだよね……。おんなじBL受の声役が多いのに今回は、乙女ゲームの攻略キャラ!羨ましい通り越して妬ましいんじゃ!
っと……いけないいけない、つい本音が。
この頃は攻め役も多いんだって、聞いた。可愛らしい男の子がかっこよくていかにも攻めの男を……って話でね。俺にはそんな話はこなかった……いや、BL自体辞退したい(駄洒落じゃい)。
緑の君は、一応可愛いカッコイイってキャラだったと思う。風魔法が得意で……エッチの時だけ俺様に変わるってタイプ。
……うん、関わりたくないね。
というか、攻略キャラってこんなに会うの?
しかし、会うの早くない?
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