410 / 508
第20話:奸計、陰謀、策略…
#00
しおりを挟むノヴァルナ・ダン=ウォーダが、オ・ワーリ宙域の統一を終えて、ほぼ一年の月日が過ぎた………
ウォーダの二つの宗家、キオ・スーもイル・ワークランも一つに統合され、今は単に“ウォーダ家”または“ウォーダ宗家”の名で呼ばれるようになっている。
NNL(ニューロネットライン)によって惑星国家時代より、行政管理速度が飛躍的に向上している銀河皇国の情報処理システムのおかげで、旧イル・ワークラン家の領有星系も大きな混乱を見せる事無く、ノヴァルナの統治下に置くことが出来ていた。
皇国暦1560年1月1日、キオ・スー城の大広間―――
「あけまして、おめでとうございます!!」
妻のノアと並んで玉座に座った、ノヴァルナの前に居並ぶ重臣達の中で、まるで戦闘開始を告げるように号令するのはカッツ・ゴーンロッグ=シルバータ。ウォーダ家の中でも第一の声量を誇る男だ。それに続いて家臣一同が一斉に祝賀の挨拶を発する。
「おめでとうございます!!!!」
するとノヴァルナはいつもと違い、まるでどこかの、青い肌をした異星人帝国の総統閣下のような、妙に気取った物言いで応じた。
「おめでとう。諸君」
途端に“なに?コイツ…”と、引いた眼でノヴァルナを見るノア。また新年早々ろくでもない事をやらかすのでは、という予感がしたからだ。キオ・スー家出身の重臣なら、ノアと同じように気付いているかもしれないが、イル・ワークラン家出身の重臣には、まだノヴァルナの“やらかし”に、それほど免疫は無いはずだから心配である。
「えー…それでは、ノヴァルナ様から本年の目標などを」
そうアナウンスしたのは、マイクのヘッドセットをつけたキノッサだった。頷いたノヴァルナは重臣一同を見渡し、神妙な面持ちで口を開く。
「えー。今年の俺の目標は―――」
ウォーダ家を統合し、オ・ワーリ宙域統一を果たした以上、今年はノヴァルナが掲げる上洛軍編制に向け、さらに何かと忙しい一年になるに違いない。どんな目標が出て来るか期待と不安の重臣達の中、ノヴァルナは前々からやろうと思っていた事を、高らかに宣言した。
「今年こそ、二級宇宙船整備士の資格を取る!」
重臣達が唖然となるより早く、ノアとキノッサが声を揃え、ノヴァルナへ即座にツッコミを入れる。
「そうじゃない!」
激動の年の始まりも、ノヴァルナ達は通常運転だった………
▶#01につづく
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】聖女ディアの処刑
大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。
枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。
「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」
聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。
そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。
ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが――
※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・)
※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・)
★追記
※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。
※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。
※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる