銀河戦国記ノヴァルナ 第2章:運命の星、掴む者

潮崎 晶

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第20話:奸計、陰謀、策略…

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 ノヴァルナ・ダン=ウォーダが、オ・ワーリ宙域の統一を終えて、ほぼ一年の月日が過ぎた………


 ウォーダの二つの宗家、キオ・スーもイル・ワークランも一つに統合され、今は単に“ウォーダ家”または“ウォーダ宗家”の名で呼ばれるようになっている。
 NNL(ニューロネットライン)によって惑星国家時代より、行政管理速度が飛躍的に向上している銀河皇国の情報処理システムのおかげで、旧イル・ワークラン家の領有星系も大きな混乱を見せる事無く、ノヴァルナの統治下に置くことが出来ていた。



 皇国暦1560年1月1日、キオ・スー城の大広間―――


「あけまして、おめでとうございます!!」

 妻のノアと並んで玉座に座った、ノヴァルナの前に居並ぶ重臣達の中で、まるで戦闘開始を告げるように号令するのはカッツ・ゴーンロッグ=シルバータ。ウォーダ家の中でも第一の声量を誇る男だ。それに続いて家臣一同が一斉に祝賀の挨拶を発する。

「おめでとうございます!!!!」

 するとノヴァルナはいつもと違い、まるでどこかの、青い肌をした異星人帝国の総統閣下のような、妙に気取った物言いで応じた。

「おめでとう。諸君」

 途端に“なに?コイツ…”と、引いた眼でノヴァルナを見るノア。また新年早々ろくでもない事をやらかすのでは、という予感がしたからだ。キオ・スー家出身の重臣なら、ノアと同じように気付いているかもしれないが、イル・ワークラン家出身の重臣には、まだノヴァルナの“やらかし”に、それほど免疫は無いはずだから心配である。

「えー…それでは、ノヴァルナ様から本年の目標などを」

 そうアナウンスしたのは、マイクのヘッドセットをつけたキノッサだった。頷いたノヴァルナは重臣一同を見渡し、神妙な面持ちで口を開く。

「えー。今年の俺の目標は―――」

 ウォーダ家を統合し、オ・ワーリ宙域統一を果たした以上、今年はノヴァルナが掲げる上洛軍編制に向け、さらに何かと忙しい一年になるに違いない。どんな目標が出て来るか期待と不安の重臣達の中、ノヴァルナは前々からやろうと思っていた事を、高らかに宣言した。

「今年こそ、二級宇宙船整備士の資格を取る!」

 重臣達が唖然となるより早く、ノアとキノッサが声を揃え、ノヴァルナへ即座にツッコミを入れる。

「そうじゃない!」



激動の年の始まりも、ノヴァルナ達は通常運転だった………





▶#01につづく
 
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