実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

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 「意外とノリノリでした。」
 「それは何よりだ。」
 「ただ、やっぱり周りには冒険者や騎士の方々を配置しないでほしい。あれは遊ぶ気満々だった。」
 「うむ……派手にやられてしまうと隠すのも難しくなるぞ?」
 「なんかもう本人達どうでも良さそうだし良いんじゃない?自己責任ってことで。」




 ゆっくり休んだ次の日にはギルドマスターに報告をしに大森林ギルドに向かった。保護者達は準備運動とか言ってそれぞれが留守にしている。詳しい話は教えてくれなかった。

 そんなわけで、ギルドに来たらタサファンも既にいて話し合いはすんなり進んだ。甘えちゃいけないとわかっているが、被害を最小限に抑えたいのは当然なので、今回のスタンピートに関しては前線に保護者達と俺が充てがわれることになった。前線というか、ド真ん中である。

 ヨルダン方面はヨルダンの騎士団と大森林ギルドから冒険者が溢れた魔物を狩ってもらう。エンデルクロスも同じような感じ。エンデルクロスにも小さいけどギルドはあるから、そこで募集かけるみたい。

 どれだけ溢れちゃうかわからないけど、なるべく上位の魔物を逃さないよう気をつけないといけないな。



 「では、各方面には私から連絡を入れておこう。マルに補佐をしてもらうつもりだから、何かあれば私かマルに。」
 「マルさんギルドの受付の仕事はいいのか?」
 「暫くはスタンピート対策で依頼なんて出してる余裕はない。お前は魔物の討伐の事だけ考えていればいい。」
 「はーい。」




 稀にない大規模なスタンピートに警戒を怠らず冷静に行動に移すあたり、さすがアントムさんって感じだ。ちょっと前の萎びた彼とは違うね!

 元兄弟と元第二王子が変な行動さえ起こさなければ順調に事が進むはず。頼むから問題を起こすのは、このスタンピート終わってからにして。出来れば二度と何もしないで。

 ………しかし、久しぶりに俺の直感がひしひしと嫌な予感をさせてくる。なんか凄く面倒くさいことが起こりそうな予感がしてならない。

 神様がくれたギフトである“直感”はビビるくらい予感が当たるから嫌な時に直感が働くと辛い…今、そんな予感が胸いっぱいになって埋め尽くしてくる。

 嫌だなぁ…この直感がいつ当たるかわからない。妙にそわそわしてしまうのは仕方ない。不安である。



 「アル、どうかしたか?」
 「………ッ!い、いや、大丈夫。俺、準備あるから先に帰るな。何かあったらギルドカードに連絡くれる?」
 「わかった。ハクア様達によろしく頼むと伝えてくれ。タサファンは私と一緒に他の冒険者達に説明しにいくぞ。」
 「あいよ。じゃあなアル。」
 「うん、バイバイ。」



 不安が顔に出ていたらしい。スタンピートのことじゃないし、彼らにも不安が伝わると困るから俺は急いで帰ることにした。

 賑わうギルドを出て、ふらふらと少し街を歩いてから家に帰る。まだ誰も帰ってきていないのか静まり返った家。大きく息をついてソファに体を預け、嫌な予感が巡る頭と胸の中を落ち着ける。

 

 「………とにかく今はスタンピート対策をしないと。悪い予感は後回し、籠手の手入れしながら落ち着こう、うん…。」



 
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