実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

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 タサファンと合流して俺の転移魔法で目的地である西の森に一番近いヨルダンの村まで一瞬で飛ぶ。前に行ったことのある村だったので移動は容易かった。

 村にも事前に連絡がいっていて、俺とタサファンが急に現れても騒ぎにはならず村長さんと少し話してから移動することにした。

 村長さんは俺を覚えていたようで安心しきった表情で任務のサポートはおまかせ下さいと言っていた。ここはまだヨルダンの地だからね、エンデルクロス国と近いだけで国境に接触はしていないから何度か来たことがあるんだ。



 「さて、タサファンどうする?」
 「村を守る結界があるとはいえ、この気配…相当な数がいそうだな。とにかく見てみないと状況もわからん。行くぞ。」
 「はーい。」



 村から移動してすぐに森の違和感に気づいてタサファンが警戒する。確かに異様な臭いと気配……ギルドマスターが言っていたように特殊だと言っていた理由がわかる。

 一般的な魔素溜まりから出来たコロニーは上位の魔物は早々生まれない。長い年月そのままだとコロニーはダンジョンとなり巨大な巣になる。

 これは短期間で出来た魔素溜まりが、ここまで巨大なコロニーになったのがおかしいのだ。この規模だとダンジョンが出来ていてもおかしくないな。

 ゆっくりと気配を消して森の中を探索する。今回は討伐任務ではなく、探索任務だ。無理に魔物と戦う必要はない。ただし、状況によりけり。この場合、多少の戦闘はしないといけないかな…そう思いながら自身に隠密の魔法をかける。

 タサファンも慣れた様子で隠密魔法をかけて森を進み続けると、目撃情報があったようにワイバーンの群れが木をなぎ倒し巣を作っている。魔素溜まりが出す混じりけのない魔力に活性化されて次々と子を産んでいるようだ。

 ……これはまた、大変なことになったな。ワイバーンが群れで来るとなると面倒な事になる。警戒範囲がグンッと広がるからね。



 「タサファン…普通こんな短期間で大量のワイバーン産まれる?あり得なくない?」
 「あぁあり得ないな。人工的な活性化でもされてるのか?」
 「それか、魔素溜まり自体が人工的なものかもね。」
 「あり得る。想像したくないが…これはヨルダンの後継者争いの名残かもな。」
 「あ~ね。」



 なんか納得。随分と長く内戦をしていたからなぁ。負けた貴族は処刑され身内は奴隷落ちか平民となったと聞いた。生き残りによる復讐と考えてみると、違和感ないね。

 でも、これはあくまで想像だから断言できない。とにかく出来る限り状況を把握して帰らないと。こりゃ大合戦になりそうな予感。

 その日は村の近場を調べ、次の日には魔素溜まりを確認し、無駄にでかいダンジョンが複数出来ているのを確認。ワイバーンだけでなくミミズ系統の魔物であるワームも確認した。

 ワームは面倒くさい…地面の中から獲物が動く気配で捕食行動に移る。だから混戦状態でワームが交じると被害が甚大になる。これは困ったぞ…上位冒険者を掻き集めても大苦戦しそう…。

 タサファンと3日みっちりと調べ上げたがため息が出るほど大変だった。しかもスタンピート前なのにこんな上位魔物がうようよ湧くとか地獄だ。ギルドマスター、報告聞いたらまた萎びてしまいそうだな…。


 
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