実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

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 5日ぶりに大森林ギルドに帰ってきたらヨルダンの使いの人が来ていた。どうやら西の森の状態を聞きに来たらしい。疲れきった俺とタサファンを見てオロオロしていた。

 早く報告しなきゃいけないのは良くわかってる。報告はするけど、少し休ませて頼むから。ギルドの応接室にてギルドマスターとヨルダンの使者のステファンさん(β)に現状報告をありのまま伝える。

 人工物までは見つけられなかったが、多分だけど人為的な物で活性化されているであろうと話す。あれはただの魔素溜まりとは思えない、と。

 話を聞いた面々はかなり深刻な顔。まぁそうなるよ…俺だってあんな巨大なコロニー見たことないもん。



 「で、どうすんだ?あの状態のコロニーがスタンピートを起こしたら一瞬で国は吹き飛ぶぞ?早急に対応しないといけない。」
 「それはわかってるが…。」
 「ワイバーンは魔法使いや魔術師だけで対処は難しい。しかもワームまで来るとなると接近戦をするにも常に足元を警戒しないといけなくなる…。圧倒的に騎士団や冒険者の数が足りないではないか。」
 「さて、どうしたものかな…。」
 「俺が単独である程度突っ込んでもいいけど、流石に長期戦は無理だなぁ…タサファンだってそうだろうし。」
 「ワーム苦手なんだよなー、混戦状態のワームには幾度となく苦戦してんだ俺。」
 「わかるわかる、俺もワーム苦手ー。」
 「そう和気あいあいしている場合ではないのだよお二人さん。」



 ギルドマスターの大きなため息。もう疲れきってて頭が回らない。アイデアを出してあげたい気持ちあるけど、これちょっと休まないと…。タサファンも少し目が据わってる。眠たいんだろうな…。

 ヨルダンの使者さんは顔面蒼白で何も言葉が出ないらしい。何となく、俺やタサファンが想像したヨルダンの後継者争いの名残が頭の中に浮かんだんだろうな。

 それくらい簡単に想像出来るくらいヨルダンの戦いは激しかったってことよね。巻き込まれた大森林ギルドやエンデルクロス国はいい迷惑よ、ほんとに。




 「仕方ないから、うちの保護者達に話をしてみようか?他力本願は性分に合わないんだけど。」
 「あの方たちはアルにしか興味ないから話を聞いて協力してくれるか…。」
 「機嫌が悪いと話聞いてくれないかもな~。今回は無理矢理留守番させて来たし、見送り時点では大丈夫そうだったけど帰った時の状況による。」
 「国がかかってるんだから、もう少しやる気だしてくれないかアル?」
 「俺、今は疲れすぎて気力がない…まぁ頑張ってみる。」



 ヨルダンの使者さんだけが理解出来ずにいたが、ステファンさんには残念ながら紹介出来ない。変に関わって機嫌を損ねると別の意味で国が滅びかねん。



 「とにかく大森林ギルドの冒険者はこの戦いに備え、会議を開く。アルとタサファンは戦闘準備しておいてくれ。」
 「はいよ、じゃあ解散!スタンピートは早くても1ヶ月は猶予がありそうだが気を抜かないようにね。」
 「何故わかる?」
 「まだ魔物たちに意思を感じないから。スタンピートはダンジョンから司令塔が生まれない限りただの魔物の群れだから。」
 「その司令がすぐに生まれないとよく分かるな。」
 「そりゃダンジョンが複数あると、そのダンジョンの中からリーダー決める。そのリーダーから司令塔が生まれるんだよ。まだその気配すら無かったから。」
 「初めて聞いたぞ、そんな話。」
 「うちの保護者に教えてもらった。」
 「そ、そうか…。」



 
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