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復帰した俺に不穏な影
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しおりを挟む「西の森からスタンピートの気配がある?へ~、そうなんだ。」
「へ~、そうなんだ。ではないんだよアルよ…。西の森はヨルダンとエンデルクロスの境界線にある、街が密集している場所でスタンピートなど起きてみろ。下手をしたら国が滅ぶぞ。」
「……で?それで俺に何をしてほしいの?」
「タサファンと共に数日、森を調べてきてほしい。スタンピートが起きるであろう場所の特定、範囲、予測できる限りどう対処するか見極めてほしい。」
「えぇ…エンデルクロスか…行きたくないなぁ…。」
ギルドマスター直々に依頼が来た。復帰してから暫くして貴族の面々からの執拗な乗り込みや手紙が来なくなったおかげで日に日に元のギルドマスターに戻りつつある。
仕事の遅れをを取り戻すようにバリバリと働くギルドマスターは最初のうちは真っ白な顔で魘されていたが、今はすっかり落ち着きを取り戻している。
余程あの阿呆共からの攻撃が効いていたんだな…可哀想に。まっ、今後は関わることはないと思われる。安心してくれギルドマスター。
しっかし、スタンピートねぇ。魔素溜まりってのが出来ることがある。それを放置していると、魔物が大量に湧き、手に負えなくなる状態をスタンピートと言う。人里が近くにある場合、誰かしら見つけて浄化をし対処するから頻繁に起こることではない。
しかし森の奥や人が立ち寄らない場所に出来てしまった魔素溜まりは放置され、無限に魔物を生むコロニーとなってしまうのである。
今回はヨルダンとエンデルクロスからの協力要請がかかった。なんでそんな大規模に?なんて思ったら、ヨルダンの内戦が終わったのを期に国の中を整えるのに時間を使い、周りの国の外の環境にまで手がまわらなかったようだ。
エンデルクロスの国境付近ということもあり、協定を結ぶのは必然だっはたようだ。ヨルダンは長い後継者争いが原因で今だに消費した武力を回復出来ていない。国に力が無いので、長年関係を続けている大森林ギルドに討伐要請が入ったのだった。
「まっ、仕方無いから依頼は受けるけど、そんな大規模なスタンピートなわけ?」
「少し特殊なものらしい。下級の魔獣なんかは当たり前だが、飛行系の魔物もいるようだ。」
「つまり上位魔獣も多くいる可能性があるってこと?」
「目撃情報によると、ワイバーンに似たドラゴン系の魔物が飛行しているのを見たらしい。他にもここらへんでは見ない魔物もな。」
「そりゃ大変だね。だから上級冒険者の俺とタサファンで下見に行けってことか。」
「そういうことだ。魔物が暴れだす可能性もある、保護者達は連れて行くなよ?」
「頭のいい魔物は気配にも敏感だから、確かにハクア達は連れていけないか。」
大規模な魔法で吹っ飛ばせれば秒でスタンピートの原因になった魔素溜まりを消せるけど、街が近いんじゃこっちにも被害が出てしまうから仕方無いないね。
ギルドマスターの言うことも理解できるので、そうしたいのは山々なんだが…果たして納得してくれるだろうか?あの保護者達は。
う~ん、任務より難しい保護者達の説得を、さてどうしたもんかと頭を悩ませることとなった。また予想の斜め上なことを言わなきゃいいけど…。
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