泡沫の欠片

ちーすけ

文字の大きさ
上 下
50 / 124
戯言から催事

しおりを挟む



そして開けて翌日。
12時約束だったのに、11時には連絡してきた姐さんに苦笑い。
そして、早い時間は無理と言っていた割に、そう変わらずにタテも来た。
会議室には、ゆったりサマーセーターワンピにスパッツにブーツのタテと、黒綿パンに白シャツスニーカーの姉さんが並んでいる。
姐さんは緊張したように視線をソワソワ。
タテは全く気にせず、スマホいじり。
対照的であるが、共通点がある。
「デカ」
入ってくるなり暴言を吐く清牙に、溜息。
「こっちの胸元ガっパリの垂れ目が同級生の…「離婚したから戻った」」
そう云う事ね。
「立山真由良」
サマーセーターの下に見えている見せる下着すら、覗けば絶対に見える空き具合はあざとい。
まあ、昔からこんなんだった気がしないでもなく?
「こっちの白シャツの迫力の姐さんが、甲池恵子さん。えっと…」
一応宣伝用ファイルも持参。
私が知っているのは、声優で蛇のパニック映画で冒頭殺される役だとか、某最多公演数のミュージカルにその他大勢で呼ばれていることしか知らない。
「類友、ですか?」
「舞人君? どこ見て言ってるかな?」
そう、皆巨乳分類。
ただの偶然でしかないけど。
「楓が一番デカいな」
「そう云う結論はいらねぇよ!!」
ほんと、馬鹿ばっかりである。
「それはともかく、これ」
急遽、健吾君が制作した企画書を皆に配る。
概要は、昨日話したことのまとめ。
「来週、ライブハウス借り切って、チャレンジバトルやります」
「なんで、そう、仕事増やすんですか?」
だよねぇ。
駆郎君は常に仕事抱えてるもんねぇ。
だったら、希更に飛行機乗って会いに行くなや!
昨日解禁されたからって、即朝から会いに行ったの知ってんだからな?
希更から連絡来たからな!
「にしてもまあ、いきなりっすね」
舞人君の言う通り。
「清牙がいきなり言い出したからね」
「それに人数呼んで、イベントに仕立て上げようとしたのは楓さんですよ?」
にこやかなアンチコールありがとうな。
健吾君、仕事作ったこと怒ってる?
そんな身内会話はものともせず、不機嫌な自己主張を放つ、同級生様。
「カエちゃん。SPHY曲縛りに、もう一人の候補の鈴鹿って、女優さんでしょ? テレビで結構見るし。相当にやり難いんだけど?」
まあ、言うと思ったよ。
その部分に、姐さんも顔を顰めている。
「最初に、清牙が持ち出したのが、その鈴鹿への楽曲提供。でもさぁ、2人なら、確実に、それより巧く歌えるよね? それって、なんか勿体ない気がしてさぁ」
「美凉華ちゃん…鈴鹿は、貴方の姪でしょ?」
駆郎君の言葉に、2人は顔を上げた。
「やっぱ、モーちゃんの娘?」
タテは、姉ちゃん知ってるもんねぇ。
似てるのは、姉を知っていれば嫌でも思う筈だ。
「それ、あのさぁ」
言いごもる姐さんに首を振る。
「多少の事前人気は致し方ないけど、忖度なし。純粋な、当日ライブの人気投票。まさか、見た目だけの新人女優に、歌で負ける気?」
「いや、コレ、あっちの事務所も乗っかってきたら、出来レースだって」
舞人君の言葉はもっともだけどね。
「人気投票参加券、SPHYの会員登録半年以上に絞ったら?」
その言葉に、皆が黙る。
だって、SPHYの曲だもの。
一番その価値が分かるのは、そのファン。
それも、にわかではなく、普通に今まで応援してきたファンね。
「それでは、身内イベントで終わってしまいますね」
健吾君も厳しいね。
「投げ銭有りにしたら?」
「何に投げ銭するんです?」
駆郎君の言葉に笑う。
「投げ銭金額上位には、それ使ってSPHY監修の上で、SPHYのカバー曲ダウンロード販売とか?」
「それ、事務所付き女優が断然有利じゃない」
タテの膨れっ面の即答に、笑いが出る。
まあ、普通ならそうなるんだけどさ。
「アレの事務所、業界大手よ? 名もない歌い手にファン投票で負けました。ファンの投げ銭で歌いますってのは、流石に格好悪過ぎでしょ。そこはハンデで以って、無し。アレの投げ銭は全部、どこぞの団体に寄付で良いんじゃない?」
「その交渉を、私にやれと?」
健吾君の他に、誰がいるって?
「ミーが勝てなきゃ、同額、俺からも寄付してやるんで良いんじゃね?」
清牙、相変わらず、娘さん達に甘過ぎである。
「それ、そもそもが、美凉華ちゃんには投げ銭無しにすればいいんじゃないんですか?」
まあ、効率考えたらね。
「でも、分かり易い数字は、横並びにしないと面白くないよ?」
盛り上がりに欠けるともいう。
「どうせなら、1位には投票も投げ銭もダブルで取ってくれると面白いんだけど」
「順位の低い投げ銭の扱いは?」
健吾君の言葉は鋭い。
「自分の音楽活動に使ってもらうとか?」
「はああ」
ダメ、なんですね。
他の方法考えて下さい。
頭のイイ人が!
そんな私達のやり取りをぶった切るお言葉。
「言いたいことは分かったけどよ。そこのお二人で、そのイベントが成立すんの?」
舞人君、言いますねぇ。
まあ、当然の発言ではあるけど。
「二人とも行ける?」
「アカペラ?」
「何歌う?」
まあ、その手の準備に怠りはないよね。
「取り合えずじゃんけんしよっか」
どっちから歌っても、私からしたら不利はないと思うんだけどね。
まあ、緊張もあるだろうしと、じゃんけんの結果で2人に好きに歌わせたら、男達の顔つきが変わりました。
だから言ったじゃん。
普通に歌えるって。
流石に、素人目線でも下手だとしか思えないのは、呼ばないってば。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

今日はパンティー日和♡

ピュア
ライト文芸
いろんなシュチュエーションのパンチラやパンモロが楽しめる短編集✨ おまけではパンティー評論家となった世界線の崇道鳴志(*聖女戦士ピュアレディーに登場するキャラ)による、今日のパンティーのコーナーもあるよ💕

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...