泡沫の欠片

ちーすけ

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戯言から催事

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そして開けて翌日。
12時約束だったのに、11時には連絡してきた姐さんに苦笑い。
そして、早い時間は無理と言っていた割に、そう変わらずにタテも来た。
会議室には、ゆったりサマーセーターワンピにスパッツにブーツのタテと、黒綿パンに白シャツスニーカーの姉さんが並んでいる。
姐さんは緊張したように視線をソワソワ。
タテは全く気にせず、スマホいじり。
対照的であるが、共通点がある。
「デカ」
入ってくるなり暴言を吐く清牙に、溜息。
「こっちの胸元ガっパリの垂れ目が同級生の…「離婚したから戻った」」
そう云う事ね。
「立山真由良」
サマーセーターの下に見えている見せる下着すら、覗けば絶対に見える空き具合はあざとい。
まあ、昔からこんなんだった気がしないでもなく?
「こっちの白シャツの迫力の姐さんが、甲池恵子さん。えっと…」
一応宣伝用ファイルも持参。
私が知っているのは、声優で蛇のパニック映画で冒頭殺される役だとか、某最多公演数のミュージカルにその他大勢で呼ばれていることしか知らない。
「類友、ですか?」
「舞人君? どこ見て言ってるかな?」
そう、皆巨乳分類。
ただの偶然でしかないけど。
「楓が一番デカいな」
「そう云う結論はいらねぇよ!!」
ほんと、馬鹿ばっかりである。
「それはともかく、これ」
急遽、健吾君が制作した企画書を皆に配る。
概要は、昨日話したことのまとめ。
「来週、ライブハウス借り切って、チャレンジバトルやります」
「なんで、そう、仕事増やすんですか?」
だよねぇ。
駆郎君は常に仕事抱えてるもんねぇ。
だったら、希更に飛行機乗って会いに行くなや!
昨日解禁されたからって、即朝から会いに行ったの知ってんだからな?
希更から連絡来たからな!
「にしてもまあ、いきなりっすね」
舞人君の言う通り。
「清牙がいきなり言い出したからね」
「それに人数呼んで、イベントに仕立て上げようとしたのは楓さんですよ?」
にこやかなアンチコールありがとうな。
健吾君、仕事作ったこと怒ってる?
そんな身内会話はものともせず、不機嫌な自己主張を放つ、同級生様。
「カエちゃん。SPHY曲縛りに、もう一人の候補の鈴鹿って、女優さんでしょ? テレビで結構見るし。相当にやり難いんだけど?」
まあ、言うと思ったよ。
その部分に、姐さんも顔を顰めている。
「最初に、清牙が持ち出したのが、その鈴鹿への楽曲提供。でもさぁ、2人なら、確実に、それより巧く歌えるよね? それって、なんか勿体ない気がしてさぁ」
「美凉華ちゃん…鈴鹿は、貴方の姪でしょ?」
駆郎君の言葉に、2人は顔を上げた。
「やっぱ、モーちゃんの娘?」
タテは、姉ちゃん知ってるもんねぇ。
似てるのは、姉を知っていれば嫌でも思う筈だ。
「それ、あのさぁ」
言いごもる姐さんに首を振る。
「多少の事前人気は致し方ないけど、忖度なし。純粋な、当日ライブの人気投票。まさか、見た目だけの新人女優に、歌で負ける気?」
「いや、コレ、あっちの事務所も乗っかってきたら、出来レースだって」
舞人君の言葉はもっともだけどね。
「人気投票参加券、SPHYの会員登録半年以上に絞ったら?」
その言葉に、皆が黙る。
だって、SPHYの曲だもの。
一番その価値が分かるのは、そのファン。
それも、にわかではなく、普通に今まで応援してきたファンね。
「それでは、身内イベントで終わってしまいますね」
健吾君も厳しいね。
「投げ銭有りにしたら?」
「何に投げ銭するんです?」
駆郎君の言葉に笑う。
「投げ銭金額上位には、それ使ってSPHY監修の上で、SPHYのカバー曲ダウンロード販売とか?」
「それ、事務所付き女優が断然有利じゃない」
タテの膨れっ面の即答に、笑いが出る。
まあ、普通ならそうなるんだけどさ。
「アレの事務所、業界大手よ? 名もない歌い手にファン投票で負けました。ファンの投げ銭で歌いますってのは、流石に格好悪過ぎでしょ。そこはハンデで以って、無し。アレの投げ銭は全部、どこぞの団体に寄付で良いんじゃない?」
「その交渉を、私にやれと?」
健吾君の他に、誰がいるって?
「ミーが勝てなきゃ、同額、俺からも寄付してやるんで良いんじゃね?」
清牙、相変わらず、娘さん達に甘過ぎである。
「それ、そもそもが、美凉華ちゃんには投げ銭無しにすればいいんじゃないんですか?」
まあ、効率考えたらね。
「でも、分かり易い数字は、横並びにしないと面白くないよ?」
盛り上がりに欠けるともいう。
「どうせなら、1位には投票も投げ銭もダブルで取ってくれると面白いんだけど」
「順位の低い投げ銭の扱いは?」
健吾君の言葉は鋭い。
「自分の音楽活動に使ってもらうとか?」
「はああ」
ダメ、なんですね。
他の方法考えて下さい。
頭のイイ人が!
そんな私達のやり取りをぶった切るお言葉。
「言いたいことは分かったけどよ。そこのお二人で、そのイベントが成立すんの?」
舞人君、言いますねぇ。
まあ、当然の発言ではあるけど。
「二人とも行ける?」
「アカペラ?」
「何歌う?」
まあ、その手の準備に怠りはないよね。
「取り合えずじゃんけんしよっか」
どっちから歌っても、私からしたら不利はないと思うんだけどね。
まあ、緊張もあるだろうしと、じゃんけんの結果で2人に好きに歌わせたら、男達の顔つきが変わりました。
だから言ったじゃん。
普通に歌えるって。
流石に、素人目線でも下手だとしか思えないのは、呼ばないってば。
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